このシード投資以降、僕は継続してほぼ全てのラウンドでSmartHRに追加投資をしている。そして今回のラウンドでは、共同リードで55億円を投資させてもらった。ALL STAR SAAS FUNDからの直接投資と、僕が窓口となって交渉、調整をさせてもらった投資金額を合わせると、合計で30億円近くになる。これは、僕自身のキャリアの中でも、一番大きい投資だ。
投資家は様々で、企業との相性によってはその繋がりがプラスに働くこともあれば、マイナスになることも、ゼロになることもある。SmartHRの場合、すでに対投資家との関係性が上手く機能している状態だったこともあった。だから、これから相性の良い新たな出資者を探すプロセスをゼロから始めるよりも、僕自身が共同リードのポジションに入って調整をさせてもらう方が、様々なリスクを減らせるのではと考えたのだ。こうしてALL STAR SAAS FUNDは、当初の予定よりも3ヶ月前倒しをして誕生することになった。
シリーズC
実はこのラウンドでは、ALL STAR SAAS FUNDの組成、資金調達、SmartHRへの投資をほぼ同時並行で行っていたので、僕にとって大きな挑戦だった。つい最近のことではあるけれど、この時のことを良く振り返る。そして毎回、この挑戦をして本当に良かったと思う。シードから支援させてもらっているSmartHRを、レイターステージでもサポートし続けられるのは、とても嬉しく光栄なことだ。
Management Team シード段階と比べて、チームがどの程度アップグレードできているのか。 セールスやカスタマーサクセス、プロダクトチームそれぞれの先頭に立ちチームを引っ張っていける人材がいるのか。各チームのレベルはどのくらい向上しているのか。そして、今まで社長が行ってきた業務をどれだけ権限委任することが出来ているのか。最も良いのは、営業のクロージングを社長以外の人ができ始めていて、さらにカスタマーサクセスとプロダクトチームの権限委任が完了している状態だ。
TAM / SAM / SOM 狙っている市場で、ARR100億円以上の企業を作ることができるのか。 この答えは、ボトムアップで(対象顧客数 x ARPA)で算出した方が分かりやすい。可能であればSOM (今のプロダクトで狙える顧客セグメントの市場規模)、SAM(2〜3年の期間で狙いたい顧客セグメントの市場規模)、そしてTAM (最終的に獲得したい最大の市場規模)に分けられていると良い。SOMが100億円以上、SAMが500億円以上、そしてTAMが1000億円以上が理想と言える。