最高の組織をつくるための必須ツール『1 on 1』


Photo by: The DEMO Conference

「最高の組織」をつくるには、従業員一人一人が自身のミッションを理解し、目標、期待そして戦略を明確にすること。そして、自身のアウトプットが会社全体に貢献しているという実感(自信)を持てる環境づくりが必要だ。

1 on 1は、これらを実現するために必要不可欠なツールであり、もしマネージャーに必要なスキルを一つだけに絞るとしたら、僕は「1 on 1を上手く行えるスキル」を挙げる。

マネージャー=時間のレバレッジ、部下=集中と成長のきっかけ

マネージャーにとって、部下との定期的な30分間1 on 1の時間を設けることは、レバレッジを効かせるための重要な時間になる。

1 on 1を通して「いま何が大事なのか」の認識をお互い再確認し、情報をシンクロさせる。これが、”選択と集中” の絶好の機会になる。会社の成長に貢献するアウトプットを増やし、部下のさらなる自立に繋げていくことができる。

また、マネージャーにとっても自分以外の視点で会社や組織の課題を拾えるきっかけになり、自分自身の成長に繋がるフィードバックを受け取ることができる。

何よりも1 on 1は部下との信頼関係を深めることができる。

進捗を確認する時間ではない

1 on 1は、進捗やタスクを管理する時間ではない。産業革命の時に普及し定着した「マイクロマネージメント」は、インターネット企業の組織体では通用しないと思っている。

1 on 1の時間は、部下のより一層の自立・成長を促すため、そしてクリエイティビティを引き出すための「部下のための時間」だ。極端な話、マネージャーは自ら話す必要はなく、”聞く姿勢” であるべき。答えを出すのではなく答えを出す手助けをする意識が重要だ。そして、よくありがちだが予定していた1 on 1は絶対キャンセルしないこと。

構成は10-10-10

1 on 1ミーティングの理想の構成は:
● 部下が話したいことを自由に話す・・・10分
● マネージャーが話したいことを話す・・・10分
● 未来について語る・・・10分

最初の10分は、部下が話したいことをとにかく自由に話す時間。もし、マネージャーが最初に「あの件はどうなりましたか?」や「週末はどうでしたか?」という質問を部下にぶつけてしまったら、それはすでに “マネージャーが話したいこと” を話していることになる。会話の出だしは「最近どうですか?」や「何について話したいですか?」からスタートすると良いだろう。

次の10分では、プロジェクトの進捗確認をしても良いが、フィードバックを得る時間に使うことを推奨する。例えば、サイバーエージェントやSmartHRでは「あなたのパフォーマンスを天気で表すと、どんな状態ですか?」という質問をしている。これは、部下のコンディションや課題を、双方に伝えやすい形で引き出すことができる良い例だ。
他にも「私が見落としている機会損失はありますか?」や「働きやすい環境をつくるために私にできることはありますか?」などの質問で、マネージャーに対するフィードバックを求めることもできる。

最後の10分は、直近の目標や、部下のキャリアプランニングも含めた中長期の将来プランについて話すと良い。

もちろん、きっちり時間を守る必要はない。最初は、30分間部下が話しっぱなしになってしまうということもあるかもしれないが、回数を重ねる度に徐々にこの理想の構成に近づければ良い。

1 on 1の頻度

1 on 1の頻度には色々な考えがあり、最初は週に一度、そして徐々に月に一度に減らしていく方が良い人もいれば、週に二度が良い人もいる。僕は、直属の部下との1 on 1は、週に一度の頻度が最適だと思っている。その理由は単純で、比較的頻度が多い方が、情報や感覚のシンクロ率が高くなり、信頼関係が築きやすくなると考えているからだ。

『1 on 1』は、実は奥が深く、最初から効果的かつ効率的な1 on 1をするのは難しい。とにかく回数を重ねて、どうすればもっと有意義な1 on 1にできるのかを試行錯誤していくと良い。1 on 1を長くやってきた他のマネージャーやリーダーに話を聞くのも効果的だろう。

僕が1 on 1について参考にしている記事は、以下。

(edited by kobajenne

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SaaSは全ての業界を食うのか?業界特化型SaaSを起業するときに考えるべきこと


Photo by: Kevin Gill

SaaSは全ての業界を食うのか?業界特化型SaaSを起業するときに考えるべきこと

ここ数年、業界特化型のSaaS企業(Vertical SaaS)に注目が集まっている。
例えばアメリカでは、製薬業界に特化したVeeva(時価総額 約1.2兆円)、教育業界に特化した2U (時価総額 約5600億円)、建築業界特化したのProcure Technologies(時価総額 約1000億円)、ウェルネス業界に特化したMindbody(時価総額 約2000億円)などがあり、2016年アメリカのVertical SaaS企業の時価総額は、合計16兆円にまで拡大している(参照)。

日本でも建築*リーガル保険*食品工場*歯科医院*薬局ホテル国際物流等などの業界で、Vertical SaaS企業が次々と生まれている(* BEENEXT支援先)。

また、SMSが運営する介護業界に特化したSaaS「カイポケ」も年間売上33億円のビジネスに成長している。

では、Vertical SaaSのビジネス機会は、全ての業界に対して存在するのか?
Vertical SaaS企業を立ち上げるときに考えるべきポイントについてまとめてみた。

対象顧客が支払うSaaS利用料の限界はいくらなのか?
Vertical SaaS企業を立ち上げようとした時に考えるべき重要なポイントは、対象となる業界の状況とその業界内の顧客が支払うSaaS利用料の目安だ。例えば、その業界全体が潤っているならば、年間1000万円を支払う顧客が多く存在するかもしれない。しかし、利益率が低い業界ならば年間10万円程度しか支払わない顧客の方が多いかもしれない。

全体的に儲かっている業界なのであれば、市場規模についてはあまり心配する必要はない。
なぜなら、利用料を年間1000万円支払える顧客が多く存在する場合、ARR50億円を達成するために必要な有料顧客は500社程度だからだ。
その一方で、SaaSに対して少額の資金しか投入できない顧客が集まる業界の場合、自分の会社が現実的に到達できる規模がどの程度になるのかを考える必要がある。一顧客あたりが支払う利用料が年間10万円ならば、ARR50億円を達成するには5万社の顧客が必要になる。対象顧客は何社存在するのか?マーケットシェア20%程度でも十分な規模に到達できるのか?などを問うべきだ。

営業サイクルはどれぐらい長いのか?
平均単価が年間1000万円以上であれば問題になることは少ないが、年間500万円以下の顧客をクロージングするのに半年以上かかるのであれば、もう一度エクセルと向き合う必要があるかもしれない。

極端な例として、年間30万円の顧客をクロージングするのに12ヶ月かかり、営業マンあたりのクロージング数が年間10社しかないとすると、その営業マンの給料でさえも一年で回収できないということになる。営業マンの費用以外にもカスタマーサクセス費用、オペレーション費用、営業サポート費用、マーケティング費用などもあることも忘れずに。

そんな中、「一人の営業マンは自分の年収の4倍のARRを獲得する」というのが一つの良い指標になるだろう。つまり、年収500万円の営業マンは、年間2000万円のARRを獲得する必要がある。ちなみに北米では、6〜8倍程度のARRが望ましいと言われている。

〈参考〉以下は、Hubspotがまとめた、の年間契約金額に応じた平均営業サイクルの表:

セールスフォースでは解決できない独特な課題が存在するか?
特定の業界に特化したSaaSを作ろうとしたとき、セールスフォースなど既存のHorizontal SaaSで解決できる課題はどのくらいあるのか?もし、既存の大手SaaSで課題のほとんどを解決できるのであれば、差別化要素が足りていないのかもしれない。

でも、その業界独特なプロセスや課題があり、既存のSaaSよりも10倍良い体験を生み出せるのであれば、大手SaaS企業に勝てる可能性は十分ある。

日本ではまだまだ存在するVertical SaaSの機会
下図は、北米大手VC Bessemer Venture Partnersが作ったVertical SaaSのマップ。
日本では特に物流、医療、教育などでチャンスがまだ残っていると僕は思う。

SaaSは、まだまだ色んな業界を”食える”と思っている。ただし前述のとおり、狙う業界によっては展開の難度や、市場サイズが異なり、ビジネスモデルを成り立たせる難易度が想像以上に高い場合があるので、Vertical SaaSに挑戦する起業家は上記のポイントを頭に入れて自分たちの事業の可能性を考えてみてほしい。

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70億円調達したB2B SaaSスタートアップのピッチ資料を解説


Photo by: Phil

カスタマーサポートや求人、その他お問い合わせのメールを一度に複数人で対応できる「コラボレーション・インボックス」を展開するFront社が、今年1月、シリーズBでSequoia Capital等から約70億円を調達した。この資金調達時に使用された資料を同社のCEOが一般公開していたので、僕の視点からこの資料の”イケてる”ポイントを解説したい。

様々な業界や業種が使っている

スライド左下の表から、テック業界以外にも旅行や教育、不動産など様々な業界の顧客を獲得できていることが分かる。また、右下の表では、カスタマーサポートからHR、マーケティングやプロダクトチームなど、一部の部署に限らず会社内で幅広く使われているのが分かる。

スタートアップを評価する時、多くのVCが注目するポイントの1つに「TAM (この会社が狙える最大の市場規模)」があるだろう。僕の場合も『この企業がターゲットにしている市場は、ARR 50億円以上の企業を作り出す可能性を持っているのか』という点はいつも確認するようにしている。

一つの業種にしか対応していないB2B SaaSを展開している場合、それでも十分大きなACVが取れるのか、または様々な業界に対応できるようサービスに変更を加える必要があるのかを検討する。その結果一つの業界に絞った場合も、その業界の中でさらに様々な業種を狙えるのか、大きなACVを取れるのかが重要な基準になる。

Front社は、業界そして業種をまたいで顧客を獲得できていることが、特に優れているポイントの一つだろう。

ARRが順調に伸びてる

具体的な数字は非公開になっているが、このグラフからもARRが順調に伸びていることが見て取れる。SaaS企業は常にT2D3の成長率を求められているわけだが、同社は、恐らくその成長率を満たしているのだろう。前ラウンド(シリーズA)の調達資料には、2017年度の計画が10億円以上のARRになっていたので、この数字を達成したものと考えられる。

ネガティブチャーン!

ネガティブチャーンとは、Net Churnがマイナスになっていること。つまり退会による売上の減少よりもアップセルやアップグレード、エキスパンションによる売上の増加ペースの方が速いということを示している(方程式はこちら)。

上のスライドでは、同社がネガティブチャーンを達成できていること、そして、Gross Churnも改善傾向にあることを示している。

営業チームもスケールできている

もう一つ、VCがB2B SaaSのシリーズBラウンドで出資を検討する際に着目するポイントとして、「営業チームをスケールさせられているか」がある。ただ単に営業メンバーを増やすだけではなく、営業メンバーのオンボーディングや、トレーニングがきちんとできているのかが重要だ。スライド左側は、営業メンバーの数(グレー)と個人目標を達成できてるメンバーの数(ブルー)をグラフにしたもの。一般的に、営業メンバーの半分以上が目標を達成できている状態が健全だと言われており、Front社はその比率を超えていることが分かる。

スライド右側は、営業チームのキャパシティ(グレー)と実績(ブルー)を表している。実績がキャパシティを常に上回っており、モチベーションの高いチームを維持できていることが分かる。

ASPの上昇と大型案件の増加

ASP(平均販売単価)が上がり、大型案件(定義は不明)が増加していることを表しているスライド。ここで注目したいのは、同社のサービスが中小企業だけでなく、大規模な顧客にも販売できているということ。営業チームのレベルが上がっている証拠だ。

マーケティング指標が健全

スライドの上半分はマーケティング費用とリード数を四半期毎に比較したものだが、このスライドでは、左下の表に注目してほしい。
まず、LTV/CACの数値。北米のSaaS業界では、LTV/CACが3以上であることが望ましいと言われている中、同社の直近四半期では、4.4を達成している。

次に、売上に対して使われているマーケティング費用の比率。アメリカ上場SaaS企業の売上に対するマーケティング費用の比率は、20%〜50%程であるケースが多い。例えば、Salesforceは50%以上、Marketoは60%以上を占めているなか、Front社は20%を下回っている。

Net Retention 150%

以前Net Revenue Retentionの重要性について書いたことがあるが、Front社は、1年後のNet Revenue Retentionが150%、さらに時間軸と共にユーザーの利用率(スライド右下)も増加傾向にある。これは、アップセルやエキスパンションが確実にできていることを表している。

Front社は、様々な観点で非常に魅力的なスタートアップだ。同社の シリーズAシリーズB 両ピッチ資料も、参考になるポイントが多く含まれているので、是非一度見てみて欲しい。

(edited by kobajenne

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この数値がSaaS経営の難易度を決める「Net Revenue Retention」


Photo by: zapmole756

SaaS企業は、T2D3の成長率を求められるが、実はこの成長を達成する難易度は企業ごとに異なる。この難易度を示す重要な指標の1つが「Net Revenue Retention」だ。

Net Revenue Retentionとは
売上継続率のこと。今月獲得した売上が来年の今頃にはどの位になるのか、を示す指標。
方程式は以下:

A = [1年前に当月獲得した有料顧客のMRR]

B = [その同じ顧客の今月のMRR]

Net Revenue Revenue Retention = B / A

参照:Essential SaaS Metrics: Revenue Retention Fundamentals

例えば、昨年3月に獲得した新規有料顧客のMRRが100万円で、その同じ顧客からの今年3月のMRRが90万円の場合、Net Revenue Retentionは90%になる。

アメリカの上場SaaS企業は、Net Revenue Retentionが100%を超えているケースが多数。
下のグラフは、Net Revenue Retentionを公表しているアメリカの上場SaaS企業の一覧。Twilioが170%、Boxが130%、Zendeskは123%で、これら企業のNet Revenue Retentionの中央値は、117%となる。

(クリックすると拡大します)

Source: Net Dollar Retention Benchmarks

100%を超えているということは、退会による売上の減少よりもアップセルやアップグレード、エクスパンションによる売上の増加ペースの方が速いということを示している。

例えば Veeva Systems の場合。Net Revenue Retentionが187%なので、今月新規顧客から獲得した月次売上が1億円だとすると、来年の今頃その同じ顧客から得られる月次売上は1.87億円になるということだ。

Net Revenue Retentionは、低ければ低いほど経営のハードルが上がり、高ければ高いほど経営が楽になる。
今月の新規有料顧客からのMRRが1000万円だったとしよう。

Net Revenue Retentionが150%の場合、新規の顧客を全く獲得しなくても来年の同じ頃に獲得できる売上は1500万円になる。しかし、Net Revenue Retentionが50%の場合は来年の同じ頃の売上は500万円になってしまう。

つまり、Revenue Retentionが低ければ低いほど、売上の成長計画を達成するために、新規の売上を多く獲得する必要が出てきてしまう。

プロダクトマーケットフィットとカスタマーサクセスが鍵
売上継続率を上げるためには、プロダクトマーケットフィットを達成すること、アップセルやアップグレードが可能な料金体系にすること、そしてカスタマーサクセスを実践することが重要だ。

これらのポイントについては、以下の記事も参考にして読んでみてほしい。

(edited by kobajenne

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OKR (目標と主な結果)

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OKRというゴール設定テクニックがある。

「Objective and Key Result(目標と主な結果)」の略で、企業のチームメンバーそれぞれの目標と期待されている結果を明確にし、組織のオペレーションとコミュニケーションを効率化するためのシステムだ。1970年代にIntelがこのシステムを採用して以降GoogleやLinkedInなど数々のシリコンバレー企業がこのシステムを実践している。

OKRのメリット

OKRを組織に導入するメリットはいくつかあるが、一番大きなメリットはゴールを明確にすることによって何にフォーカスするべきなのか、何を無視しても良いのかをクリアにできることだろう。そして、OKRは会社全体に公表されるのでコミュニケーションの効率化にも繋げることができる。

OKRのプロセス

まず四半期ごとに会社全体のOKRを設定する。

これは社長や役員の話し合いで決められることが多い。会社全体のOKRは各チームリーダーや部署のリーダーに共有され、その内容を基に次は自分が担当するチームや部署のOKRを設定する。この時留意してほしいことは、会社全体のOKRとの整合性だ。チームや部署のOKR設定が済んだらチームメンバー全員に内容を共有し、その後チームメンバーが個人のOKRを設定する。個人のOKRは、チームリーダーとの複数回の一対一ミーティングを経て、そこで受けたフィードバックの内容を反映させながら固めていく。特に注意深く見るべきなのは、チーム全体のOKRとの整合性と高い目標が掲げられているかだ。

但しこのミーティングの場は、チームが実践すべきことや新たなアイディアなどをチームリーダーに提案する機会にもなるため、話し合いの中でチームリーダーがチームのOKRの修正を検討するきっかけになることもあれば、時には会社全体のOKRの見直しに繋がることもある。

全メンバー、チーム、部署、会社全体のOKRが確定したら、全てのOKRを会社全体に公表し、いつでもアクセスできる場所にファイルを置く。

OKRの設定

OKRの設定のポイントは以下を見てほしい:

  • OBJECTIVE (目標)
    • 野心的であり、チーム全体そして会社全体で整合性がとれていること。
    • 定量的である必要は無い。
    • ここでのポイントは、少し高めの無理をした設定にする事。
      100%以上を出し切らないと100%の達成率には届かないように、目標値を高めに設定することによって人はより効率よく働く工夫をするようになり、結果的に本人の成長に繋がったりする。100%出し切って6割〜7割ぐらいの達成率がちょうど良い。
  • KEY RESULTS(主な結果)
    • 1つのOBJECTIVE(目標)に対して1から最大4つのKEY RESULTSを設定する。
    • 目標の達成度を測るために必要となるため、定量的な要素を含める必要がある。
    • 客観的に評価できるような内容で設定する。

例1(プロダクトの場合):

OBJECTIVE(目標)
  最も使いやすいニュースアプリを作る
KEY RESULTS(主な結果)
  ロードタイムを30%削減
  新規登録ファネルの達成率20%増
  3月10日までにバージョン2をデプロイ

例2(コミュニティーの場合):

OBJECTIVE(目標)
  アクティブなコミュニティーを結成
KEY RESULTS(主な結果)
  1ユーザーあたりの掲示板投稿数を50%増
  返信率を30%増
  新たなキャンペーンを3つローンチ

会社全体とチームや部署のOKRは最大5つまで、個人のOKRは最大3つまで設定することができるが、目標に更にフォーカスしていくためには、OKRの数は少ない方が良いだろう。

OKRの評価

四半期が終わったら、個人で設定したOKRの達成率を個別に振り返る。全社メンバーを集めて、チームや部署そして会社全体の達成率を評価する。

例1(プロダクトの場合):

OBJECTIVE(目標)
  最も使いやすいニュースアプリを作る(以下の結果から算出する平均達成率は、71%)
KEY RESULTS(主な結果)
  ロードタイムを30%削減(19%削減を達成、達成率63%)
  新規登録ファネルの達成率20%増(10%増加、達成率50%)
  3月10日までにバージョン2をデプロイ(3月10日に無事ローンチ、達成率100%)

例2(コミュニティーの場合):

OBJECTIVE(目標)
  アクティブなコミュニティーを結成(以下の結果から算出する平均達成率は、59%)
KEY RESULTS(主な結果)
  1ユーザーあたりの掲示板投稿数を50%増(返信率40%で、達成率80%)
  返信率を30%増(返信率20%で、達成率66%)
  新たなキャンペーンを3つローンチ (1つしかローンチできず、達成率33%)

その他のポイント

Key ResultとObjectiveの整合性:会社のKey Resultsは、それぞれの部署または個人のObjectiveに紐付く。部署のKey Resultは、下図のように、その組織に属す部署または個人のObjectiveに紐付ける必要がある。

OKR.001 (1)

組織図が重要:チームの目的を明確にし、各メンバーが適正なチームに配置されているのかを確認するためには組織図を設計する必要がある。組織図がちゃんと設計されていないと、OKRの設定自体が難しくなったりレポートラインが複雑になってしまう。

しつこいと思うほどOKRについて話す:特に最初にOKRを導入する組織が陥りやすい失敗は、OKRの設定は出来たものの、その後のコミュニケーションに活かすことができず放置してしまうというケースだ。だからチームや会社全体のミーティングでは必ずOKRを見ながら会議を進行するべきだし、日々のコミュニケーションでもOKRについての会話が起きるようにメンバー1人1人が推進していく必要がある。特にチームリーダーや会社の経営メンバーはしつこいと思うほどOKRについて語るくらいがちょうど良い。

OKRの導入は5人から:まだ2人や3人しかいないスタートアップの場合は、人数が少ないためOKRを導入する必要はないかもしれない。でも、メンバーが5人以上になった時点で、目標をより正確に共有するための手段としてOKRの導入を推奨する。

結果の達成率よりもプロセスが大事:OKRは、コミュニケーションの効率化やメンバー1人1人の目標を明確にするためのシステムであり、結果の達成率ばかりを気にする必要は無い。連続で低い達成率であった場合でも、考えるべきはOKRの設定方法や目標達成に向けた取り組み方、人員体制などの見直しを行う必要性があるかどうかだ。

このOKRというシステムを確実に実践するためには、メンバー1人1人の協力と、かなりの努力が必要となる。でも的確に実施することができれば、たくさんの無駄をなくし、組織のフォーカスをより高めることができる。みんなも自分たちの組織で是非実践してみてほしい。

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アイディアの迷路

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“a good founder doesn’t just have an idea, s/he has a bird’s eye view of the idea maze.” ~ Balaji Srinivasan
“良い起業家はアイディアを持っているだけでなく、そのアイディアの迷路の様子を鳥瞰図で見ているかのように把握することが出来る。 
~ バラジ・スリニヴィサン

自分が持っているアイディアの中で、実行可能な数々のシナリオをすべて頭の中でシュミレーションできている起業家は、トップクラスの起業家だと思う。

どの道を辿れば良いのか、どこで曲がれば良いのかをしっかりシュミレーションして、その道の先に何があるかを正確に伝えることができる。その他の道に関しても何故その道を選ばなかったのか、そしてそれぞれの道の先にある行き止まりを伝えることができる。状況を把握して、その「アイディアの迷路」を鳥瞰図で見ることが出来ている。

僕は、アイディアの迷路はこれらの要素によって作り上げられていると思う:

市場 – アイディアが狙っている市場はどう変化しているのか。市場に変化をもたらす新たな規制、イベントは何なのか。

競合 – 競合はどんな道を選んでいるのか、同じ道を辿って戦うのか、違う道を選ぶのか。

テクノロジー – どんな技術が生まれてきているのか、新たなプラットフォームが生まれてきているのか、それらを応用するべきか。

ユーザー – サービスに満足しているのか、サービスに対する不満は何なのか?

チーム – 今の人員で足りるか?どこを補充するべきか?このままの体制で良いのか?

資金 – 今の資金力で行きたい道を進む事ができるのか?調達は必要か?

アイディアの迷路を正確に作り上げるためにも、これらの要素を深いところまで調べ尽くす必要がある。調べて、アイディアの迷路を作り、そしてその攻略方法を考える事をお勧めする。


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周りに誰を置くか

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“You’re The Average Of The Five People You Spend The Most Time With” ~ Jim Rohn
あなたが最も長く時を共にする5人の人間の平均が、”あなた” という存在だ。 
~ ジム・ローン

人のモチベーションや考え、自信は、周りの人や環境に大きく影響される。だからこそ、自分の周りにどういった人を置くかが非常に重要だ。

例えば起業する時。一緒に起業する仲間、メンター、そして投資家など、自分がこれから最も長い時間を共に過ごす人を選ぶ場面がある。そんな時、僕はこんな人たちを周りに置くことを勧めている。

自分より目線が高い人

その人と話をすることで、自分が持つ目標やビジョンがどんどん大きくなって、自分自身をもっと成長させたいと思うきっかけを与えてくれる人を置くと良い。なぜなら経営者には、目標を設定してくれる人がいない。自分の成長の上限は、自分自身で決めることが出来てしまう。

だらこそ、その目標が中途半端にならないように、会社の成長を止めないように、さらに上へ上へと挑戦する気持ちを与えてくれる人が必要である。

自分より努力してる人

きっとたくさんの起業家が人一倍の努力を経て起業し、経営者になっている。
でも、自分が一番努力してる環境にいることで、時には少しペースを落としても良いのではないかという誘惑に惑わされることがある。そんな時、自分より何十倍も努力している人が近くにいると、焦りを感じるし、もっと努力が必要であることを気付かせてくれる。

自分より頭が良い人

知識や専門性など、自分よりも頭が良い人に直接相談できる環境を作っておくのが良い。考えをまとめたり、構想した企画や戦略に欠点がないかを試すことができる。

自分より経験を持っている人

自分より経験豊かな起業家がメンターにいると、自分の企業経営に参考になることが多いだろう。ただ、会社というのはそれぞれがユニークであるため、他の会社で成功した事例がすべてそのまま自分の会社でも上手く行くとは限らない。実行に移すときは、きちんと考えて、選択することが必要だ。

自分よりネットワークが強い人

様々な業界に強いネットワークを持つ人が近くにいると、事業を展開する上で重要な繋がりをつくる手助けにもなる。たとえ自分の事業の分野とは異なる業界からのネットワークでも、そこから得た情報が新たなチャンスを生み出すこともある。

信頼とリスペクト

自分の周りに置く人たちに対して必ず必要なこと。それは信頼とリスペクトだ。そして、その人達も自分に対して同じように信頼とリスペクトしてもらう関係性であることが不可欠だ。そうでないとお互いが協力し合い助け合う最適な関係性を作ることが出来ない。どれだけ自分より優秀な人を見つけたとしても、信頼関係が欠けていたり、一方通行の関係性である場合は、自分の周囲に置くべきではない。

起業家としてだけでなく、人として、常に自分を成長させて自身の限界に挑戦し続けるのが生きる意味の1つなのではないかと思う。だから、「もっと良くしよう」「もっと頑張ろう」「もっと上を目指そう」と思わせるような人を身の回りに置いて欲しいし、自分もそうしたいと思っている。


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4軸の成長

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シード期のスタートアップに出資をするとき、僕はそのスタートアップの「成長の素質」に注目するようにしている。

僕が特に着目しているのは「人」「ユーザー」「プロダクト」「戦略」。この4軸の成長を主に見ている。

最初から完璧な経営ができる起業家はいない。
最初から良いアイディアを持つ起業家もいない。
重要なのは、その起業家が将来良いアイディアを生み出して発展させることができる素質を持っているか、良い経営者に成長できる素質を持っているか。

ほんの数回のミーティングで、人としての成長性を見極めるのはものすごく難しい。見極め方としてはその人物が「自分をより良くするためのドライブ」を持っているかどうかを確認することだ。例えば、アドバイスをした時にそのアドバイスを自分できちんと判断をして実行に移しているのは1つの良いシグナル。他の人や本から学んだことを、まるで自分で考えたことかのように説得力を持って上手く伝えられるというのも、また1つの良いシグナルだ。

ユーザー

プロダクト利用者数の成長状況はもちろん重要だ。でも僕は、顧客をきちんと理解しているか、その市場の理解度が深まっているかどうかが、特に大切だと思っている。ユーザーは誰なのか?モチベーションは?どういったシグナルがあればユーザーがサービスを使う傾向があるのか?ユーザーがサービス登録するときに期待していることは何か?はたまた期待外れに思うことは?などたくさんの質問と答えを繰り返すことで、会う度にどんどん相手を理解できる。そしてさらに実際そのユーザーが存在する市場が、どんな構成で隣の市場にいるユーザーと具体的にどう違うのか、その規模がきちんと見えていることが重要である。

プロダクト

ユーザーの理解度が深まる度に、プロダクトを改善する。プロダクトがまだ無い場合は、そのプロダクトの設計がユーザーから得た学び(又は学びたい事)を根拠にした改善を実装することが重要。プロダクトの開発スピード、PDCAを回すスピードは、サービスの成長と比例することが多い。

戦略

そして最後の軸が、戦略。戦略の組み方や伝え方、そして発展性をきちんと見ること。正しいか間違っているかは問題ではなく、その戦略を裏付ける考えやインサイトは何なのか、組み方や伝え方がロジカルかどうかが重要である。

成長は重要な説得材料

資金調達時のフェーズに、一時的に成長速度を落としてしまうスタートアップをよく目にする。資金調達フェーズでは、資料作成、そして投資家や関係者との会話に多くの時間を費やさなくてはならない。結果、現状のオペレーションを維持するだけで精一杯になってしまうのだ。でも、事業を成功に導くための成長なのだから、成長の状況は投資家にとって最も重要な説得材料の一つになるわけだ。資金調達時期にもちゃんと4軸の成長ができるタイムマネージメントやプランを組むことによって、より多くの投資家を説得することができるだろう。


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経営のPower Law

ベンチャーキャピタルの世界には、冪乗則(Power Law)と言う概念がある。

これは、ベンチャーキャピタルファンドの価値を測ると、ポートフォリオの中で最も企業価値の高い会社数社が、ファンド価値の半分以上を占めているという原理。

例えばYcombinatorは、400社のポートフォリオに出資しているが、そのなかでDropboxとAirbnbの2社がポートフォリオ全体の6割以上の価値を占めている。もし残りの398社の価値をすべて合わせても、DropboxとAirbnbの2社の価値の合計には届かない(Source)。また、北米でベンチャーキャピタルからの出資を受け、2012年に上場した会社を軸に見てみても、その年のベンチャーキャピタル全体のリターンのうち77%がFacebookからきているものだった。

僕がOnlabをやっていた時代も、現在のBEENOSのポートフォリオも、すべてこの「Power Law」が成り立っている。

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経営のPower Law

Yammerを創業したDavid Sacksが、Power Lawはベンチャーキャピタルだけではなく、日々のオペレティングの中でも適用できるとつぶやいている。これに僕も、同感だ。

過去に決断してきた様々なことの100倍の価値を、たった1度の決断で生み出せることがある。Power index (べき指数)の価値を生み出すための決断が出来るようになるには、とにかく決断の数を増やすことしかない。

ロジックや思考だけで決断のインパクトの大きさを予測するのは難しい。大きなインパクトがあると分かっていても、人は、べき指数を過小評価してしまうことが多い。だから、決断して実行してからじゃないと本当のインパクトは分からない。

Startup = Growth

Ycombinatorを創業したPaul Grahamは、スタートアップは成長し続けないといけないと述べた。成長が止まったと感じたときこそ、決断を迫られているときと考えるべきだ。べき指数的な決断はチームや会社のみんなが満場一致で合意しないケースが多い。50:50で分かれて長い議論を必要とされることが多い。ただ、留意すべきなのは議論の結果「何もしない」「このまま維持する」という選択も立派な「決断」であることを忘れないでほしい。

考えて、決断して、実行する。

とにかくこれを繰り返す事が大事。「決断する」ことは怖い。「決断しない」方がよっぽど楽だ。

でも、起業家は成長し続けるために、「決断」をし続けないといけないのだ。


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チェスボクシング

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経営者や大きな事業を任されているマネージャーが身につけるべきスキルの1つは、瞬時に思考モードやコンテクストをスイッチすることができる「ハイコンテクスト・スイッチング」と言うスキル。

「コンテクスト・スイッチ」とは、複数のプロセスが1つのCPUを共有できるように、CPUの状態(コンテキスト)を保存したり復元したりする過程のこと。実行中のプロセスの状態を保存して、後にそのプロセスを再開する際にその状態を復元して、実行をする(ウィキペディアから)。

会社を経営をしていると、マーケティングから採用へ、採用からプロダクトへ、プロダクトからまたマーケティングへと1日を通して何度も思考モードを切り替えないといけない。そこで重要なのは、その時その時のテーマに100%集中すること。他のテーマや直前のミーティングでの議論内容に引きずられないようにすること。

BEENOSの津田と「ハイコンテクスト・スイッチング」について話していたら、「まるでチェスボクシングだね」と言われた。チェスボクシングは、チェスとボクシングを交互に行うアンダーグラウンドな協議。戦術モードと戦略モードを交互に行う「コンテクスト・スイッチング」。

悩まない

「ハイコンテクスト・スイッチング」をマスターするには、悩みをできるだけ無くすことが重要。悩みを引きずると上手くスイッチングが効かなくなる。以下は僕が考える悩みを減らして、スイッチングを上手くするポイント。

クリアな優先順位 :会社の優先順位そして自分自身の価値観を明確にする事によってよりスピーディーに物事を決断できるようになる。スピーディーな決断は、効率的なスイッチの切り替えに繋がる。

ルール化:テーマごとにその課題を解決するアプローチをルール化したりすると、問題の本質に早くたどり着く事ができる。例えば僕の場合、オペレーションについて課題を抱えている時は、そのボトルネックとなっている要因を探し出すことに集中するし、もしα版のプロダクトについて検討課題がある時は、初期ユーザーのファネル(導線)を中心に解析しようとする。こんな風に、経験を重ねてどんどん自分の中のルールを作っていく。ただ、気をつけないと行けないのは、作ったルールに執着し過ぎない事。他により効果的で最適なルールがあれば、常にチャレンジし続けること。

時間を作る:以前のブログにも書いたことだが、考える時間を作るのは大事なこと。考える時間を作る事によって悩むべきことと「今は悩まなくていい」ことが判断できる。

実践と経験によって身に付く「ハイコンテクスト・スイッチング」のスキルを着実に自分のものにするためには、学習する力を常に意識していかなくちゃならない。


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