周りに誰を置くか

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“You’re The Average Of The Five People You Spend The Most Time With” ~ Jim Rohn
あなたが最も長く時を共にする5人の人間の平均が、”あなた” という存在だ。 
~ ジム・ローン

人のモチベーションや考え、自信は、周りの人や環境に大きく影響される。だからこそ、自分の周りにどういった人を置くかが非常に重要だ。

例えば起業する時。一緒に起業する仲間、メンター、そして投資家など、自分がこれから最も長い時間を共に過ごす人を選ぶ場面がある。そんな時、僕はこんな人たちを周りに置くことを勧めている。

自分より目線が高い人

その人と話をすることで、自分が持つ目標やビジョンがどんどん大きくなって、自分自身をもっと成長させたいと思うきっかけを与えてくれる人を置くと良い。なぜなら経営者には、目標を設定してくれる人がいない。自分の成長の上限は、自分自身で決めることが出来てしまう。

だらこそ、その目標が中途半端にならないように、会社の成長を止めないように、さらに上へ上へと挑戦する気持ちを与えてくれる人が必要である。

自分より努力してる人

きっとたくさんの起業家が人一倍の努力を経て起業し、経営者になっている。
でも、自分が一番努力してる環境にいることで、時には少しペースを落としても良いのではないかという誘惑に惑わされることがある。そんな時、自分より何十倍も努力している人が近くにいると、焦りを感じるし、もっと努力が必要であることを気付かせてくれる。

自分より頭が良い人

知識や専門性など、自分よりも頭が良い人に直接相談できる環境を作っておくのが良い。考えをまとめたり、構想した企画や戦略に欠点がないかを試すことができる。

自分より経験を持っている人

自分より経験豊かな起業家がメンターにいると、自分の企業経営に参考になることが多いだろう。ただ、会社というのはそれぞれがユニークであるため、他の会社で成功した事例がすべてそのまま自分の会社でも上手く行くとは限らない。実行に移すときは、きちんと考えて、選択することが必要だ。

自分よりネットワークが強い人

様々な業界に強いネットワークを持つ人が近くにいると、事業を展開する上で重要な繋がりをつくる手助けにもなる。たとえ自分の事業の分野とは異なる業界からのネットワークでも、そこから得た情報が新たなチャンスを生み出すこともある。

信頼とリスペクト

自分の周りに置く人たちに対して必ず必要なこと。それは信頼とリスペクトだ。そして、その人達も自分に対して同じように信頼とリスペクトしてもらう関係性であることが不可欠だ。そうでないとお互いが協力し合い助け合う最適な関係性を作ることが出来ない。どれだけ自分より優秀な人を見つけたとしても、信頼関係が欠けていたり、一方通行の関係性である場合は、自分の周囲に置くべきではない。

起業家としてだけでなく、人として、常に自分を成長させて自身の限界に挑戦し続けるのが生きる意味の1つなのではないかと思う。だから、「もっと良くしよう」「もっと頑張ろう」「もっと上を目指そう」と思わせるような人を身の回りに置いて欲しいし、自分もそうしたいと思っている。


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4軸の成長

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シード期のスタートアップに出資をするとき、僕はそのスタートアップの「成長の素質」に注目するようにしている。

僕が特に着目しているのは「人」「ユーザー」「プロダクト」「戦略」。この4軸の成長を主に見ている。

最初から完璧な経営ができる起業家はいない。
最初から良いアイディアを持つ起業家もいない。
重要なのは、その起業家が将来良いアイディアを生み出して発展させることができる素質を持っているか、良い経営者に成長できる素質を持っているか。

ほんの数回のミーティングで、人としての成長性を見極めるのはものすごく難しい。見極め方としてはその人物が「自分をより良くするためのドライブ」を持っているかどうかを確認することだ。例えば、アドバイスをした時にそのアドバイスを自分できちんと判断をして実行に移しているのは1つの良いシグナル。他の人や本から学んだことを、まるで自分で考えたことかのように説得力を持って上手く伝えられるというのも、また1つの良いシグナルだ。

ユーザー

プロダクト利用者数の成長状況はもちろん重要だ。でも僕は、顧客をきちんと理解しているか、その市場の理解度が深まっているかどうかが、特に大切だと思っている。ユーザーは誰なのか?モチベーションは?どういったシグナルがあればユーザーがサービスを使う傾向があるのか?ユーザーがサービス登録するときに期待していることは何か?はたまた期待外れに思うことは?などたくさんの質問と答えを繰り返すことで、会う度にどんどん相手を理解できる。そしてさらに実際そのユーザーが存在する市場が、どんな構成で隣の市場にいるユーザーと具体的にどう違うのか、その規模がきちんと見えていることが重要である。

プロダクト

ユーザーの理解度が深まる度に、プロダクトを改善する。プロダクトがまだ無い場合は、そのプロダクトの設計がユーザーから得た学び(又は学びたい事)を根拠にした改善を実装することが重要。プロダクトの開発スピード、PDCAを回すスピードは、サービスの成長と比例することが多い。

戦略

そして最後の軸が、戦略。戦略の組み方や伝え方、そして発展性をきちんと見ること。正しいか間違っているかは問題ではなく、その戦略を裏付ける考えやインサイトは何なのか、組み方や伝え方がロジカルかどうかが重要である。

成長は重要な説得材料

資金調達時のフェーズに、一時的に成長速度を落としてしまうスタートアップをよく目にする。資金調達フェーズでは、資料作成、そして投資家や関係者との会話に多くの時間を費やさなくてはならない。結果、現状のオペレーションを維持するだけで精一杯になってしまうのだ。でも、事業を成功に導くための成長なのだから、成長の状況は投資家にとって最も重要な説得材料の一つになるわけだ。資金調達時期にもちゃんと4軸の成長ができるタイムマネージメントやプランを組むことによって、より多くの投資家を説得することができるだろう。


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経営のPower Law

ベンチャーキャピタルの世界には、冪乗則(Power Law)と言う概念がある。

これは、ベンチャーキャピタルファンドの価値を測ると、ポートフォリオの中で最も企業価値の高い会社数社が、ファンド価値の半分以上を占めているという原理。

例えばYcombinatorは、400社のポートフォリオに出資しているが、そのなかでDropboxとAirbnbの2社がポートフォリオ全体の6割以上の価値を占めている。もし残りの398社の価値をすべて合わせても、DropboxとAirbnbの2社の価値の合計には届かない(Source)。また、北米でベンチャーキャピタルからの出資を受け、2012年に上場した会社を軸に見てみても、その年のベンチャーキャピタル全体のリターンのうち77%がFacebookからきているものだった。

僕がOnlabをやっていた時代も、現在のBEENOSのポートフォリオも、すべてこの「Power Law」が成り立っている。

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経営のPower Law

Yammerを創業したDavid Sacksが、Power Lawはベンチャーキャピタルだけではなく、日々のオペレティングの中でも適用できるとつぶやいている。これに僕も、同感だ。

過去に決断してきた様々なことの100倍の価値を、たった1度の決断で生み出せることがある。Power index (べき指数)の価値を生み出すための決断が出来るようになるには、とにかく決断の数を増やすことしかない。

ロジックや思考だけで決断のインパクトの大きさを予測するのは難しい。大きなインパクトがあると分かっていても、人は、べき指数を過小評価してしまうことが多い。だから、決断して実行してからじゃないと本当のインパクトは分からない。

Startup = Growth

Ycombinatorを創業したPaul Grahamは、スタートアップは成長し続けないといけないと述べた。成長が止まったと感じたときこそ、決断を迫られているときと考えるべきだ。べき指数的な決断はチームや会社のみんなが満場一致で合意しないケースが多い。50:50で分かれて長い議論を必要とされることが多い。ただ、留意すべきなのは議論の結果「何もしない」「このまま維持する」という選択も立派な「決断」であることを忘れないでほしい。

考えて、決断して、実行する。

とにかくこれを繰り返す事が大事。「決断する」ことは怖い。「決断しない」方がよっぽど楽だ。

でも、起業家は成長し続けるために、「決断」をし続けないといけないのだ。


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チェスボクシング

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経営者や大きな事業を任されているマネージャーが身につけるべきスキルの1つは、瞬時に思考モードやコンテクストをスイッチすることができる「ハイコンテクスト・スイッチング」と言うスキル。

「コンテクスト・スイッチ」とは、複数のプロセスが1つのCPUを共有できるように、CPUの状態(コンテキスト)を保存したり復元したりする過程のこと。実行中のプロセスの状態を保存して、後にそのプロセスを再開する際にその状態を復元して、実行をする(ウィキペディアから)。

会社を経営をしていると、マーケティングから採用へ、採用からプロダクトへ、プロダクトからまたマーケティングへと1日を通して何度も思考モードを切り替えないといけない。そこで重要なのは、その時その時のテーマに100%集中すること。他のテーマや直前のミーティングでの議論内容に引きずられないようにすること。

BEENOSの津田と「ハイコンテクスト・スイッチング」について話していたら、「まるでチェスボクシングだね」と言われた。チェスボクシングは、チェスとボクシングを交互に行うアンダーグラウンドな協議。戦術モードと戦略モードを交互に行う「コンテクスト・スイッチング」。

悩まない

「ハイコンテクスト・スイッチング」をマスターするには、悩みをできるだけ無くすことが重要。悩みを引きずると上手くスイッチングが効かなくなる。以下は僕が考える悩みを減らして、スイッチングを上手くするポイント。

クリアな優先順位 :会社の優先順位そして自分自身の価値観を明確にする事によってよりスピーディーに物事を決断できるようになる。スピーディーな決断は、効率的なスイッチの切り替えに繋がる。

ルール化:テーマごとにその課題を解決するアプローチをルール化したりすると、問題の本質に早くたどり着く事ができる。例えば僕の場合、オペレーションについて課題を抱えている時は、そのボトルネックとなっている要因を探し出すことに集中するし、もしα版のプロダクトについて検討課題がある時は、初期ユーザーのファネル(導線)を中心に解析しようとする。こんな風に、経験を重ねてどんどん自分の中のルールを作っていく。ただ、気をつけないと行けないのは、作ったルールに執着し過ぎない事。他により効果的で最適なルールがあれば、常にチャレンジし続けること。

時間を作る:以前のブログにも書いたことだが、考える時間を作るのは大事なこと。考える時間を作る事によって悩むべきことと「今は悩まなくていい」ことが判断できる。

実践と経験によって身に付く「ハイコンテクスト・スイッチング」のスキルを着実に自分のものにするためには、学習する力を常に意識していかなくちゃならない。


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僕は社長に向いていない

「社長」という職業をマスターすることは難しい。

クオリティの高いプロダクトを作るプロダクトマネージャーであり、時には社員のメンタルケアもする精神科であり、他社との連携開拓をする政治家でもあり、はたまた時には優秀な人材を確保するヘッドハンターであり…その他にもたくさんの役割を担っている。

時には頑固で時には柔軟に。時には自信過剰で時には謙虚に。時には慎重すぎるくらい慎重に、でも時には積極的にリスクを自ら取りに行く。

矛盾点の多い不自然な職業なのだと思う。

社長になるためのトレーニングは無い。社長になって初めて経験することが山のようにあるのだから、社長になるための準備が万全に出来ている社長予備軍などいないはずだ。

多種多様な性格を持つメンバーがたくさんいる組織、変化の激しい市場、容赦なく攻撃してくる競合相手を、常に上手にアレンジして会社を経営していかなくてはいけない。

こんなにコンプレックスだらけの職種なのだから、どんなに優秀な人物であっても誤った判断をしてしまったり、思うように成果に繋がらないこともある。そんな自分に落胆して、「自分は社長に向いてない」と思ってしまう事も何度もあるだろう。特に負けず嫌いで、学校や仕事で優等生だった人であればあるほど、そう思う頻度が高いかもしれない。

はじめから社長に向いている人はいない。

恐らく完全にマスターするのは不可能だと思う。大きな責任を背負いながらマスターできない仕事をし続ける精神的な負担は計り知れない。不安、恐怖、混乱の状態のなかで、時に「自分は社長に向いていない」と思ってしまうのは当たり前だ。きっとどの社長もそう思ったことがあるだろう。でも、これは一流になるまでのプロセスにすぎない。

メンタルマネージメント

重要なのは、自信をなくして不安や恐怖などネガティブな感情のループに陥ったときのメンタルマネージメントだ。以下は、僕が推奨するテクニック。

メンターを探す:自分と同じ立場や状況を一度でも経験したことのある相談相手がいるとだいぶ楽になる。心を開いて気ままに相談できる相手がいればさらにベストだ。

再校正: 自分の考えをもう一度すべて紙に落とし込んで、自分がくだした判断のロジックを可視化する。何度考えても同じ結論にたどり着くことができて、自分自身が何を求めているのか、何をゴールにしているのかなど、考えがぶれていないことを再確認する。

もう1つ僕が良くやる事は「勝つためには」という言葉を真っ白な紙の一番左上に書いて、自分にとっての「勝った状況」は何なのかをその下にリストアップする。そして「今の状況」を一番右上にリストアップする。
勝った状態と今の状態のリストの間に今の状態から勝った状態にたどり着く為に取るべきアクションをリストアップして、自分が今行っている事が本当に重要なのかどうかを確認したり、今のうちにやらないといけないことを整理する。

長期的に考える: とにかく長いスパンで物事を考える。自分が考えたビジョンや長期的な目標にメンタルをフォーカスする事によって、いま目の前で直面している壁や課題が小さく感じる。

減速する: 常にハイスピードな状態を維持したままで高いパフォーマンスを出し続けることは難しい。時には減速してアウトプットも減らして、インプットを増やしたり、仕事のペースを落としたり、状況が許すのであれば数日休んだり。加速する為には減速することも必要だ。

しつこく言っているけれど、社長という職業に就いたら、たくさんのコンプレックスの渦の中で生きていかなくてはならない。だから、最初から完璧にできる人などいない。ただ重要なのは、決して諦めないこと。究極はそこなのかもしれない。

P.S

自分の運が悪いと思っているのであれば「Uber創業者のFailcon」を見るといい。本当に勇気づけられる。


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会社のコア・バリュー

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コア・バリューは、組織が大きくなってから心配すればいい

忙しい!ハッスルする!それが俺たちのコア・バリューなんだ!

と言って、自分たちの「コア・バリュー(会社が持つ中心的な価値観)」について考えて議論することを後回しにしてしまうスタートアップが多い。
でも実は、コア・バリューというのは後回しにすればするほど、会社全体の価値観が決まらないまま走り続けるということになってしまい、立て直しが難しくなってしまう。だから、1人目の社員を採用する前に、組織が小さいうちに、「コア・バリュー」を決めておくべきだ。

コア・バリューの重要性

コア・バリューは、会社の雰囲気、文化を作る。メンバーそれぞれの判断基準となり、決断スピードを上げる。コア・バリューが明確な会社は、会社の文化に合った人材を雇用するためのしっかりとした採用基準を持つことができる。そして、メンバー同士の絆そのものとなって、メンバー全員を同じ方向に向かわせるための重要な要素となる。

もしコア・バリューを決めずに組織が大きくなってしまったら、組織の中のある特定の人の意思や出来事に影響された「勝手に出来上がった会社の文化」が成立してしまう。メンバー同士の仕事に対するパッションやそれぞれのスキルに大きな差が生まれて、メンバーがお互いをリスペクトし合えなくなり、全体の生産性が落ちてしまうという結果に繋がりかねない。

社長= 会社の価値

組織が小さい間は、その組織の中で象徴的存在となる人物がコア・バリューとなる。そしてそれは「社長=会社」というコア・バリューになる。

だからコア・バリューを決めるときは、社長の長所、 社長が仲間を集めるときに一番大事にしていること、 社長が一番苦手のタイプ、 社長の短所などをきちんと理解することが必要だ。

他社のコア・バリュー

下記は、Facebookが提示しているコア・バリュー。ハッカー文化をものすごく大事にしているのがとても良く分かる。

  1. 影響を見据える
  2. 素早い行動
  3. 大胆になること
  4. オープンであること
  5. ソーシャルバリューを確立する

そして次はZapposのコア・バリュー。顧客に感動を与えるために常に創造することを大事にする内容になっている。

  1. サービスを通じて,WOW(驚嘆)を届けよう。
  2. 変化を受け入れ,その原動力となろう。
  3. 楽しさと,ちょっと変わったことを創造しよう。
  4. 間違いを恐れず,創造的で,オープン・マインドでいこう。
  5. 成長と学びを追求しよう。
  6. コミュニケーションを通じて,オープンで正直な人間関係を構築しよう。
  7. チーム・家族精神を育てよう。
  8. 限りあるところから,より大きな成果を生み出そう。
  9. 情熱と強い意思を持とう。
  10. 謙虚でいよう。

常に意識して行動する

社長をはじめとするマネージメントメンバーは、他のメンバーに会社のコア・バリューを正しく伝えていく必要がある。だからこそ、常にこのコア・バリューを意識して行動し、コミュニケーションをしなければならない。1回のミーティング、メール1通の中でも、コア・バリューを意識する。

会社のコア・バリューを正しく理解して、それを部下に伝えることが大切だ。

会社の文化が崩れ始めるきっかけは、マネージメントメンバーが、コア・バリューを持たない、もしくは、意識せずに人材採用を続けてしまうことが大きいと思う。社長は、マネージメントメンバーの1人1人に対して、常にコア・バリューを意識することをしつこくリマインドする事が大事だ。

会社のコア・バリューは早い段階で明確にして、厳しく守り続けた方がいい。後回しにしてしまうと、結果思わぬ方向に会社が進んでしまい、これを立て直すには会社全体に大きな負荷がかかる。

なにより、自分が自ら作った会社と組織をいつまでも愛し続けるための「コア・バリュー」なのだと思う。


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崖の上からから飛び降りながら、飛行機をつくる

img_9578LinkedInの創業者 リード・ホフマンの名言の1つに、「スタートアップとは、崖の上からから飛び降りながら、飛行機をつくるようなものだ」という言葉がある。

僕もまさにその通りだと思う。

起業家は、「やばい、やばい、やばい」と日々言いながら(もしくは頭の中で言いながら)仕事をしている。それは、人材採用が間に合っていなかったり、サービスを作り上げるための体制や仕組みにボトルネックが生じてしまったり、はたまたプロダクトに対する需要が供給を上回ってしまったり。とにかく起業家は、日々多くの「追い込まれた状況」の下にいる。

僕は、これがスタートアップの正しい姿だと思う。ある意味、「やばい」と感じているのであれば、安心と言っても良いのかもしれない。なかには、この「やばい」状況から逃げるためにサービスのローンチを必要以上に先延ばしにしたり、改善や新しい取り組みをすることなく現状を維持したままでオペレーションを続けたりする起業家がいる。でも、怖いからこそ、順調と感じているからこそ、逆に「どうすれば崖から飛び降りれるか」を常に一生懸命考えた方がいい。

崖から飛び降りる方法はいくつかある。

さっさと顧客からお金をもらう

もしそのサービスが有料サービスなのに無償Beta版の提供を続けて、まだ有料会員や企業など顧客がいないのであれば、さっさと課金を始めた方が良い。ユーザーからお金を受領しサービスを提供するとなれば、もう後戻りは出来ない。とにかく走り続けて、ユーザーを満足させるために、改善を繰り返しながらオペレーションを回していけないといけない。

スケールしない事をする

特に最初の段階は、正直オペレーションの仕組みは重要視しなくても良い。人力でも良いので、とにかくオペレーションを回し続けてみることが重要だ。例えば、もしエンタープライズサービスを展開しているのであれば、顧客のオフィスに常駐させてもらって、サービスを提供してみればいい。もしデリバリーサービスをやってるのであれば、実際に自分自身で顧客に商品を配達してみればいい。とにかく最初は、スケールしないことをする。YCombinatorのポールも同じことを言っていたが、最初は顧客の事やオペレーションの中身を学ぶことこそが大事。仕組みや体制作りに集中して注力するよりも、サービス自体をスピーディに検証して学び改善することを最優先にするべきだ。

先ずは限界を目指す

限界を経験しなければ、組織も経営者もプロダクトも成長することは出来ないし、イノベーションは起きない。今の組織、そして自分自身の限界値がどこにあるのかを考えて、とにかく「限界」を目指ざす。

このとき大切なのは、常に崖から落ちている状況下にいるのではなくて、飛び降りては着地して飛び降りて着地はしての繰り返しであるべきということ。飛び降りたあと着地ができた時は、頑張ってくれた仲間達と自分自身をちゃんと褒めて祝う。ただ、着地した状態はとても居心地が良いものなので、ついつい長居してしまわないように注意すること。

まだ自分は飛び降りて無いと思うのであれば、さっさと自分を追い込んで、崖の上から飛び降りるべきだ。


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学習マシン

起業家は、常に新しい事を学んで、スキルを磨き続けないといけない。

プロダクトマネージメント、マーケティング、採用、法務、組織づくりなど、学ぶべきことは尽きない。プロダクトが完成して、会社をスケールする時期になっても学び続けることが重要だ。なぜなら、社員10名程のスタートアップでのマネージメントと、100人以上の社員をもつ企業でのマネージメントでは、全く異なるテクニックと戦略が必要になるからだ。

だから僕は、投資実行や人材採用時、その “人” が 「学習マシン」である事を必須条件にするようにしている。学習マシンの素質を持つ人は、何に関する知識が足りないのか、何を修得するべきなのかを理解していて、それをどこで誰から学ぶことができるかを自ら見出すことが出来る。そして、学んだことをすぐにビジネスで実行できる。

でも、その人が学習マシンであるかどうかは、実際一緒に働いてみて初めて分かることが多い。ましてや、1回や2回の面接で判断することは難しい。僕の今までの経験でも、最低4週間程度一緒に働いてみて、やっと見えてきたりすることがある。

では、どのようにそれを判断しているのか。

僕が思う「学習マシン」の素質がある人の共通点をまとめてみる。

ボードゲーム、RPG、戦略ゲームが大好き

僕が知る学習マシンの素質を持つ人は、ボードゲームやRPG、戦略ゲームなど「学ぶ期間」を必要とするゲームが好きな人が多い。一緒にゲームで遊ぶと、負けるのが嫌で熱くなってしまうようなタイプだ。

常に情報収集に励んでいる

特に、自分が課題としているテーマに関するブログ記事や本を沢山読んでいる人。

学んだ事を実行できる

一度学んだことは、すぐに実行にうつすことができる力を持つ人。学んだ事を自分なりに噛み砕いて語ることができたり、人に伝えて教えていくことができる人。

ソーシャル

社交的で、人とのコミュニケーションが上手い人。誰が何についてアドバイス出来るかを理解している。FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを活用して、自分のネットワーク内で起きていることを把握できる人。メールのレスポンスも早い。

いい大学から来てる(事が多い)

例外のケースももちろんある。でも全体的に見て、やっぱりいい大学から来ている人がこの素質を持っていることが多い。

プレゼンが上手い

色んなスキルを取得する事ができるから、プレゼンテーションの質も高く、上手い。そしてきれいなスライドを作れるスキルを持っている。

これらが、僕が考える学習マシンの素質を持つ人の共通点だ。
特に、人材採用をする時は、その人の過去の実績よりも学習能力を優先した方がいいと思う。なぜなら、前の会社で成功したことをそのまま丸ごと他の会社で実行しても上手くいく事は少ないから。文化や人など、色々な状況が会社ごとに違えば、そこからまた学び直していく必要がある。だからこそ、「学習マシン」が組織にいることが重要だと思う。


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リーン・スタートアップに必要な「メンタリティー」

Amazon Holds News Conference
2011年にEric Riesの著書「リーン・スタートアップ」が出版されてからというもの、たくさんの起業家がこの本をベースにしてアイディアを検証しているが、同じ本を読んで、同じように進めているのにも関わらず、すぐに市場に適合するプロダクトにたどり着くことができる起業家がいれば、何ヶ月も何年も迷走し続ける起業家もいる。僕は、その差が出てしまう理由の1つに、起業家の「メンタリティー」が大きく関係していると思っている。リーン・スタートアップをベースにアイディアの検証をする時は、強い信念と論理的思考が必要だ。

信念を曲げない強さ

起業家がリーン・スタートアップを実践する場合、強い信念を持って取り組む必要がある。持っているアイディアが最初からスムーズに上手くいくケースは、可能性としてかなり低いと思う。ユーザーヒアリングで思ったような反応がでなかったり、仮説が間違っていたり。思い通りに行かないことが多くあるはずだ。そんな中、リーン・スタートアップの中では「ピボット(方向転換)」という言葉が数多く登場している。この言葉は、便利だし有効な方法だけど、誤った使い方をしてしまうと、本来の目的を見失ってしまう。例えば、時にはアプローチの方法を微妙に変えながらチャレンジをし続けるべき状況でも、ちょっと思い通りにいかなかったからと言って、そのアイディアを「ピボット」して逃げてしまうこともできる。

起業家は、自分の中で「世界はいずれこうなる、その世界を実現するのは自分だ」といった様な強い信念を持たないと、「永遠のピボット」を続けることになるだろう。

論理的思考

信念の強さと同じくらい必要なのが、論理的な思考。これは信念だけで進めてしまうと、いつの間にか現実が見えない状態に陥ってしまいがちなためだ。だから、ロジカルな視点でユーザーや市場、競合などを分析して、次のアクションを決断していける論理的な思考が必要になる。

そして最後に。起業家は、頑固な人が多い。もちろん良い起業家である為には、ある程度の頑固さは必要だと思う。ただ、感情的になって細かいところで必要以上に頑固になってしまうと本質的な部分を見落としてしまい、良いプロダクトにたどり着けなくなる。

「リーン・スタートアップ」は、起業家に取って凄く良い著書だと思う。でも、起業家のメンタリティーによっては、結果の差が大きく出る。だからこそ、リーン・スタートアップを実践する前にアイディアを自身のビジョンにして、強い信念を育てるフェーズが必要である。そして、そのアイディアを検証する時は、常にロジカルに考える、またはロジカルに考えることができる信頼のおけるパートナーが必要になると思う。


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日本人の起業家がシリコンバレーで成功するには

僕はこの3年の間で、シリコンバレーを目指す日本人の起業家が率いるスタートアップ6社に出資をしてきた。出資後、その6社のうち3社が500 Startupsに参加し、1社がY Combinatorに参加した。そして残りの3社は、シリコンバレーに残らずに日本に帰国している。その後、シリコンバレーの投資家から調達を成功をさせた4社のうち、シリコンバレーに残って順調に成長しているのは2社という結果となった。

今までも現在も、シリコンバレーを目指す起業家が僕を訪ねてくることがよくあるのだが、実は僕が彼らに対してシリコンバレーを目指すことを勧めることは滅多にない。その主な理由は、「レバレッジ」だ。

スタートアップは、はじめから不利なことが多い。資本力、マンパワー、ブランドなど大手に劣る点が多い中で、スタートアップは少ないリソースを最大限にレバレッジして競合に勝っていく必要がある。

アメリカに住んだ経験や現地でのネットワークに乏しく、また、現地の文化をきちんと理解できていない日本人の起業家がシリコンバレーでスタートアップを実践しようとする場合、より一層不利な状況になってレバレッジできる事がさらに減ってしまう。

なので僕は、1番良い形でレバレッジを効かせられる環境が国内になるだろうと判断した起業家に対しては、日本で事業を拡大させていくことを勧めている。

成功するための前提条件「現地採用」 

日本人起業家がシリコンバレーで成功するためには、人材を現地で採用する必要がある。僕の投資先以外のケースを見ても、シリコンバレーで順調に成長している日本人起業家のスタートアップに共通している点と言える。

米国のマーケットや競合を相手に勝ち進んで行く為には、現地でトップクラスの人材を獲得する必要がある。セールスやマーケティング、カスタマーサポートといったほとんどのビジネスシーンでは、現地の人間と対面してコミュニケーションを取ることが必要とされるからだ。ネイティブレベルの英語スキルを持ち、且つ現地の文化を理解できる人材がいないと、圧倒的に不利になってしまう。

ただし、現地の人材を獲得するだけでなく、採用した後も雇用した人たちのモチベーションを高く維持して、成長し続けていくことができる環境を提供する必要がある。特にシリコンバレーでは、人材の獲得戦争になっている状況が続いていて、少しでもやりがいを感じなくなると他社に移ってしまう傾向がある。

だから僕は、シリコンバレーで起業を目指す起業家には先ずこの2つの事を問いかけたいと思う。

現地の人を採用できる自信はあるか?

そして、

日本より何倍も人材獲得の競争が激しい場所で、会社を経営する覚悟があるか?


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