Slack、Zoom、Atlassian、Twilioなど急成長SaaS企業の共通点


Photo by: kris krüg

ここ数年の間で上場した米国SaaS企業の中に、異常に高いパフォーマンスを発揮するSaaS企業が存在する。これらの企業は、従来とは違う新しいカテゴリーのSaaS企業と言っても良いだろう。

このカテゴリーに入る会社は、例えばSlack (年度成長率82%、ARR 500億円以上)、Zoom (年度成長率118%、ARR 400億円以上)、Twilio (81%、ARR 1000億円以上)だ。巨大な規模のARRを達成しているのにも関わらず、ものすごい高成長率を実現している。

これら企業をみていくと、ARRの規模や成長率のほか、主に「ボトッムアップでセールス」を行っているという共通点があるのだが、その他にもこのような共通しているポイントがあることに気付く。

セルフサーブ:大規模で高成長を維持できているSaaS企業には、セルフサーブ型のプロダクトがある。クライアントの会社がプロダクトを導入する時、まずは少数または、一部の部署で使い始め、価値を感じられるようになってから、徐々に組織全体に広げていくことができる。

1000万円以上の単価を狙える:セルフサーブ型のプロダクトを提供するSaaS企業は、自社のプロダクトの平均単価が低い。でも、このカテゴリーに入る企業は、年間1000万円以上を支払うクライアントを多く持っている。

例えば、Zoomの場合、年間1000万円以上を支払っているクライアントが300社以上、全体の売上の3割を占めている。Slackの場合も、そのようなクライアントが500社以上いて、全体売上の4割を占めている。

高い売上継続率:Slackの売上継続率は143%、Atlassianは148%、Twilioは155%、Zoomは140%と、業界中央値の120%を高く超えている。

これは、導入初期段階ではボトムアップで少人数から課金をし、時間が経過するにつれて組織内でどんどんとプロダクトを使うユーザーが広がり、課金額が増えている証拠である。

これらのポイントは、日本のSaaS企業にとっても重要な点と言える。これらの条件を満たすことができれば、SaaS企業の中でも異常にパフォーマンスが高い〈特別なカテゴリー〉に入ることができるはずだ。

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立ち上げ期のSaaS起業家が、あと24ヶ月頑張る4つの理由


Photo by: Pavel Baramov

SaaSスタートアップの立ち上げには時間がかかる。プロダクトマーケットフィットをし始めるまでに、だいたい24ヶ月かかる(SaaSのプロダクトマーケットフィットについては、この記事を参照)と思っていて良いくらいなのだが、ほとんどの起業家は、早く諦めすぎてしまう傾向がある。そこで今回は、なぜあと24ヶ月頑張るべきなのか、その理由について書いてみた。以下のような傾向が一つでも当てはまるなら、後24ヶ月頑張ってみても良いのかもしれない。

自身のコネを使わずに、新規開拓した有料顧客が10社いる場合

友人や親戚など自分のコネクションに頼らずに得た新規の有料顧客が10社でもいるのなら、それは今後の展望が見込めるサインかもしれない。この10社は、少なくともそのプロダクトやさサービスに費用を投じることによって、自社が抱えている課題を解決してくれている、または解決してくれるかもしれないという期待を持っていることになる。この数が10あるならば、それは今後100に増える可能性を潜めている。顧客が解決してほしい課題は何なのか、そして実際に解決してくれた問題は何だったのかを探ることで、事業をさらに拡大させるためのヒントを得ることができるだろう。

MRRが、月次10%以上成長している場合

月次売上100万円しかない時点での月次10%のMRR成長は、非常に小さく感じるかもしれないし、全く成功していないと感じるかもしれない。でも、SaaSは複利的に成長するということを常に頭においておくべき。この10%を維持することが出来たら、12ヵ月後にはMRR 300万円で、24ヵ月後には900万円になることが予測できる。ということは、MRR1000万円が見えてきたタイミングで、やっと成長を感じられる楽しい時期が始まる。

会社の売り上げが小さいと感じてる時は、とにかく10%成長をどう維持できるのか、もっと言えば、20%成長にもっていくためにはどうすれば良いのかを考えると良い。

アップセルが発生した場合

既存有料顧客が、より費用の高いプランにグレードアップしてくれた、または課金方法を従量課金にすることができた場合。その顧客の満足度が高い証拠であり、これは非常に良い傾向だ。他の顧客に対してもその満足度の高さを再現できるかどうかが分かれば希望がある。

大手企業が顧客になった場合

実績もなく、来年はどうなっているのか分からないスタートアップのサービスまたはプロダクトに対して、大手企業が予算枠を取って社内の稟議通して顧客となってくれたとき、その企業は新しい大きな機会を探ろうとしている可能性がある。もっと話を深く探ることで、求められているものが何なのかを見つけることができる。この流れが、大手の顧客をさらに10社手に入れるための手がかりになる。

逆に、諦める理由があるとしたら・・・

どう考えてもARR 20億円以上の市場規模が無いと思ったとき。M&Aを狙うか、またはVCが入っていない状態であるならば、ARR 20億円の市場規模でも十分なのかもしれない。でも、IPOを狙っているのであれば、少なくとも早い段階でARR 50億円のポテンシャルは欲しいところだ。

SaaS企業は、プロダクトマーケットフィットを見つけ出すまでにかなりの時間を要することが多い。「成長が遅い、進んでいる気がしない」と感じたときでも、上記のような傾向がある場合は、まずは〈24ヶ月〉頑張ってみてほしい。

(edited by kobajenne

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SaaStr シリーズ:ARR 1億円から10億円へ 〜 ストレス無く成長する方法


Photo by: Carl A

今日から、このブログのコンテンツの一つとして、アメリカ最大のSaaSコミュニティー『SaaStr』に投稿されてる記事の中で、僕が皆に届けたいと思う記事を翻訳して、皆に届けていきたいと思う。(すべての翻訳記事掲載については、SaaStrから掲載許可を得ています)

今回の記事は、2011年にAdobeが買収した電子サインサービス「EchoSign」を創業、その後SaaStrを創業したJason Lemkinの記事。(元記事はこちら

自分の過去の経験と学びを基に、ARRを1億円から10億円へ、もっと早く-そしてもっとストレス無く達成するための方法10項目をリストアップした内容。

1. 問題解決にかける時間をより少なくして、諸問題を取り扱うシニア人材の採用活動により多くの時間を割く

これは自分が何度もやりがちであったミスで、一緒に働いてきた多くのCEOたちにも見られることだ。ARRが1億円程度に達成したら、もう採用活動に充分な時間をかける人は誰もいない。

もっと酷いのは、すべてを自分でやろうとして、自分で解決することで言い訳をする時だ。

そう、あなたは自分でセールスチームを管理することも、ドリップマーケティングキャンペーンを行うことも出来るだろう。プロダクトが複雑になってきて、どう全体を組み合わせていくのかを忘れ始めたとしても、あなたがまだProduct headの役割を担うことはできると思うだろう。

だが本来は、このような問題を取り扱うことができるVPを採用することに時間を費やす方が良い。 こういうことこそが、ARR 1億円 を達成した会社のトップがフルタイムで行うべき仕事の全てなんだ。自分で何でも問題解決しようとすることが一番時間の無駄で、例えぴったりの人材がいても、その人を雇用しないための言い訳になってしまう。

2. 主要な取引パートナーを数社持った時点で、フルタイムのBiz Dev(事業開発)のヘッドを採用する

僕はこの助言を受けて、その通りだと思ったのにも関わらず実行しなかった。  資金も十分になく、優秀なBiz Dev(事業開発)VPをしっていたわけでもなかったからだ。だから、自分自身、そしてセールス、プロダクト、カスタマーサクセスのVP達とで、主要なパートナーを共同で管理していた。このチームアプローチ自体が大失敗だったわけではない。すべてのパートナーが、VP、またはCレベルのサポートを受けることができていた。

でもそれは同時に「パートナーを戦略的に取り扱える者が誰もいない」ということでもあった。 パートナーの反応は総じて良好だったが、特に競争の激しいマーケットにおいて、それでは不十分で、常に変化し続けるパートナーのステークホルダーの状況をすべて把握できる人が必要だ。  迅速に行動して、パートナーに実際に会いに行く。共有している顧客が、共にハッピーであるよう徹底すべき。リードを運ぶパートナーと戦いながら、マインドシェアを創り出す。 そんな重要なパートナーを2社持ったなら、これはもうフルタイムの仕事になる。 初めは週50時間の仕事に感じられるかもしれない(そうでないかもしれないが)。  でもそれは、この仕事がフルタイムの仕事に値しないということには繋がらないのだ。

3. 迅速に行動する。クライアント、有望見込客、取引パートナーとは会って話す。もっとさらに精力的に。

これは、僕がごまかしてきたこと。  迅速に行動したつもりだったけれど、その頻度が不十分だった。  僕は、多くの業務を自分自身で抱えこんでいることを理由に(Point 1を参照)、クライアントを訪問して、彼らと会って話をするということから遠ざかっていた。でも、この点において、僕は自分自身をもっと追い込んで、行動させるべきだった。

あとで分かったのは、自分が実際に訪問した多くのクライアントは、11〜12年以上経ってもクライアントでい続けてくれている。あくまでも自分が携わっていた中での話だけど、訪問して会って話をしてきた顧客を失ったことがない。でも、トップクライアントをCEOが直接訪問しなければ、強い関係づくりをすることはできない。最低でも四半期に2回は、足を運ぶことだ。

これは、(ハードコストの面で)このフェーズで会社の規模を拡大するためにできる最も安価な施策のひとつ。もしあなたに十分な資金がない場合でも、トップクライアント、有望見込み客、取引パートナーを訪問して話をするくらいの余裕はあるはず。

4. ARR 2円ごとに1円をバランスシート上で確保すること。  それ未満であれば過少投資していると考える。

僕たちは、ARR 約4億円でキャッシュフローをプラスにすることが出来た。  これを実現できたのは、僕たちがローコスト・リードを生み出すセカンドオーダー・レベニューに注力したことにあって、その結果、毎月110%以上のMRRを現金で取り入れることができたからだ。 皆にも実行してみてほしい。最初の段階で資金繰りが上手くいかなかくても、このポイントのあたりでキャッシュフローをプラスにし始められるはずだ。

これは素晴らしいことであり、ベンチャーキャピタル及び他の利益から生み出された自由だった。だがこれには隠れた税金があり、僕はそのことを表面的にしか理解していなかった。僕たちは、ARR 4億円、バランスシート上で約1.5億円で、キャッシュフローをプラスにした。そして負債を少し(1.25億円ほど)追加することで、バランスシート上の数字を2億円までにしたが、会社が成長するにつれて、これでは不十分となった。  ARR 8億円で、銀行にキャッシュが2億円ある場合、5000万円~7500万円超、最高1億円の投資を行うというのはかなり神経質になる。1億円の投資が心配な状態で、セールス担当を20人追加採用したり(ARR 10億円を射程に入れると必要になる)、ヨーロッパにオフィスを新設したり、大きなキャンペーンとイベントを実施するためにコストをかけるのは難しい。これは微妙だが、SaaSでは、ARR 50%未満が銀行にある場合、投資が不足していると言える。

あなたがイニシャル・スケールに近づいたら、少なくともある程度の戦略的債務を引き受けることを検討する価値がある。ガソリンタンクがほぼ空であることを知らせるライトを点灯させたくないと思うこともあるだろう。それこそが一歩を踏み出したくなる時なんだ。

5. CTO主導からVPE主導の開発チームにする。 これ無くして本来のエンタープライズにはなれない。

これは我々の多くが理解しているトランジションだが、順序が若干間違っている。  多くの場合、エンジニアリングのVP(VPE)を採用して、CTOからの引き継ぎを行う。というのは、CTOが燃え尽きてしまったり、8〜9名を超える開発チームの立ち上げにトラブルを抱えたり、技術的な負債やバグなどの問題を解消することに無関心になるところを見ているから。こうした事態の組合わせは、経験値の高いVPEを採用するタイミングであることを示す合図としては十分だ。

だが、SaaSにおいてもまた、もっと微妙なフェーズトランジションがある。大企業のニーズを本当の意味でサポートしていくためには、ベテランのVPEが必要になるだろう。大手やパワーを持つ会社または人間と話せる人間。それは、セキュリティ、データ、プロテクション、コードレビュー、暗号化、キーストア、リリース管理などについて、企業がどのように考えるかを真に理解していて、実際にその経験がある人間だ。大企業のクライアントからの信頼を得るには、そういったVPEが必要だ。彼らは、大企業のニーズに素早く応えることができる体制へと会社を変化させていくだろう。

6. 早い段階でアウトバウンドチームを追加する。それは、いつも必ずうまく行く。

これは今でこそ広く理解されていることだが、僕にとってはかなり斬新な話だった。僕は、高速で対応するアウトバウンドチームを管理したことも、立ち上げたこともなかった。そして、ARR 1億円から10億円の間、僕たちの会社には、たくさんの(多岐にわたりながらも非常に多くの)インバウンドリードがあったので、かなり後になるまで、伝統的なアウトバウンドチームを立ち上げることはしなかった。でも、今言えるのは、もっと早くに立ち上げるべきだったということ。重要なのは、それはいつでも必ず功を奏するということだ。

今日のSaaSの世界の教訓は、もし大量のリードを持っていたとしても、アウトバウンドチームは早めに立ち上げるべき。このチームは、あなたの会社のスイートスポットの中でも最も大きなアカウントを狙うことが出来る。そのこと自体に価値がある。会社の歴史の中の早い段階で、そうしたロゴやブランド、名前を得られることは必ず何かに繋がる。このような「付加的」なアウトバウンドチームは、インバウンドエンジンの中核が稼働している限り、コストさえカバーできれば良いと思う。最初の1年で1円の売上を立てるために1円を使ったとしても、構わないと言っても過言ではないだろう。

7. カスタマーカンファレンスを早めに開催する。

SaaStrアニュアルの規模を考えると、これは皮肉に満ちているように思えるかもしれないが、僕は、カスタマーカンファレンスの趣旨を理解するのが遅かった。僕が目の当たりにしたのは、Dreamforceのパワーだった。でも、セールスフォースはとても複雑なプロダクトだ。

僕たちのプロダクトがどれだけ簡単に使えるのかを説明する内容で、まる1日分のコンテンツを埋めるなんて、そんな方法は僕には分からなかったし、ましてや十分なクライアントを集めることができるかどうかも分からなかった(1000人でも分からない)。

その結果、ARR 12億円 に達成してやっと初めてのカスタマーカンファレンスを行うことになった。そしてこれは間違っていた。絶対にクライアントが集まることができる場所を作るべきだ。例えそれが10〜20社しか集まらない場合でも実施すべきだ。

8. セールスチームを早期に特化型にする。クローザーにはクロージングを、オープナーにはオープニングを担当させ、フィールド/ミッドマーケット/ SMB区分を早期に行う。

これは、今では多くの人が理解しているものだが、僕はこれを学ぶのに少し時間がかかった。初期段階ならば、「フルスタック」のセールス・プロフェッショナルがいることに問題はない。でもそれは、その段階までだ。一般的に、セールス・プロフェッショナルは一つのことが得意であり、アウトバウンドが得意な人もいれば、アカウント管理が得意な人もいる。インバウンド、大規模ディール、小規模ディール、中規模ディール、複雑なディール、2コールクローズディール、ハイベロシティ対ローベロシティ・・・このうちのいくつかの分野に優れている人はいないし、ましてや全分野において優れている人もいない。もし、得意でない分野のセールスをやらせた場合、そのセールス担当の多くは失敗するだろう。

セールス担当が、イエローページを開いて1日のスケジュールの50%を使ったとする。そして25%はランダムなリードが舞い込んでくることを期待する。そして残りの25%は付随した仕事にあてる。そんな日々はもう終わりだ。セールス担当が3人の時点でも、すべての担当者は自分が得意なことをやらせるべきで、特化型になるべきだ。例えば、SME・中規模サイズのマーケットのクローザーは、1日のアポイントメント数を1〜2件ではなく、4件にすべき。それには、通常は誰か他の人がアポの設定をする必要がある。でも、もし2件ではなく4件のアポをこなすことができれば、それはクローザーの生産性を2倍にすることができるということだ。そしてその結果、セールス担当からさらに高い生産性を期待する事ができるようになり、クロージング率、リード毎の収益もより高くなるだろう。これをやらない手はない。

9. カスタマーマーケティングをさらに強化する。 クライアントとの契約が締結されても、マーケティングは終わらない。

クライアントを1件獲得するのにいくらかかっているのかは把握しているだろう。では、売り上げた後、そのクライアントが継続してプロダクトやサービスを使い続けてくれるよう、そしてアップセルを狙うマーケティングのために、カスタマーライフタイムの何%を費やしている?いくら費やしているのか、または費やすべきなのか、その答えを知っているのは、恐らくこれを読んでいるほんの一握りのSaaS経営者だろう。

この答えは絶対に知っておくべきであり、計画も持つべきだ。そして、それに対する人材も採用すべきだ。リカーリングレベニューモデルの場合、プレ・セールカスタマーマーケティングと同じくらいポスト・セールカスタマーマーケティングが重要になる。リニューアルや競合からの獲得、アップセルをゴールとする別のチームが必要になる。そして、それらの収益源の一部をマーケティングに対して使うべきだ。最低でも5%、長期的に考えるなら10%でも良いと思う。

カスタマーサクセスのプロは、優秀で重要だが、彼らはマーケターではない。カスタマーサクセスチームにカスタマーマーケティングをさせても良いのは初期段階までだ。ARR 5億円を達成したら、そこは分けておかないと、上手く回らなくなってくるはずだ。

10. ARR 10億円達成に近づいたら、ブランドへの投資を積極的に行うべき。最初は馬鹿げた話に思えるかもしれない。でも、これが70%以上のアーリーアダプターでない企業がベンダーを選ぶ判断基準になる

最後のポイントは、僕がやった微妙な間違い。ARR10億円を達成させた僕は、セカンドオーダーレベニュー、リファーラルそして、幸せな顧客が持つパワーを良く理解している。しかし、僕はそれが全て真の「ブランド」であるとは思ってなかった。初期段階において、ブランドにあまりこだわる必要はない。なぜなら、そもそもブランドなど持っていないからだ。だからニッチな分野においてミニブランドを得るようになって、それがリードの生成につながる。

そして、ARRが10億円に近づいた時、このミニブランドがブランドに変わる。僕が考えるこの差は、あなたの会社が、アーリーアダプターではない企業にとっての最初の選択肢になっているということだ。アーリーアダプターはベンダーリスクを取りながらも革新さを求めて、挑戦することを好む。しかし、事業領域が成熟して、このアーリーアダプターのフェーズを離れたら、その先にいる多くのクライアントは、どのベンダーを採用すべきなのかを教えてもらいたがる。だからこそ、トップブランドになるということは非常にパワフルなことなのだ。もしかすると、前職で採用した実績があって、次もまた採用してくれるかもしれない。Techcrunchの記事やブログポストで見かけることがきっかけになるかもしれない。とにかくARR 10億円に達した時、その分野であなたの会社は多くの人に知られている存在になっているだろう。

だから、ARR8〜10億円以上になったら自分のブランドに投資する。一番有名な展示会に行ったら、リードを獲得するのではなく、既存クライアントに会うべきだ。どこにでも行って、ありとあらゆる場所に参加する。コンテンツマーケティングを実行するのは、自分のプロダクトやサービスを売るためじゃない。既存のクライアントを助けるために実行するんだ。ステージにあがれ。コーポレートマーケティングのVP、そしてCMOを採用する。

そしてブランドを守り抜く。一度でも無くしてしまえば、それを取り戻すのは至難の業だ。でも、もし投資し続ければ、それはその先何十年も続くブランドとなるだろう。

(edited by kobajenne

世界最大級のSaaSカンファレンス「SaaStr Annual 2019」に参加してきました!


Photo by: Hiro Maeda

先週、アメリカ・サンホゼで開催されたSaaSカンファレンス「SaaStr Annual 2019」に参加してきた。Hubspot, Box, Glassdoor, Gainsight, Twilioなどの著名SaaS経営者が集まる世界最大級のSaaSカンファレンスだ。僕にとってこれで3回目の参加となるこのカンファレンスのハイライトを早速共有したいと思う。

SaaS企業はARR 1000億円まで複利的に成長する 〜 SaaS企業の良いところは、成長に複利効果があること。数年前まではARR 100億円を突破することが凄いことだったが(今でも凄いこと!)最近ではRealPage, Zendesk, Hubspot, Okta, Dropbox, New Relic, Twilio, Box, Workday, VeevaやShopify等のSaaS企業が、ARR 1000億円を突破またはその寸前の規模にまで成長している。

SaaS企業のM&Aが巨大化 〜 この一年の間で大型SaaSのM&Aが目立った。Githubが8000億円以上、Qualtricsが8700億円以上、そして先週Ultimate Softwareが1.2兆円以上。

”新たなヴァーティカルに展開する時は、そのヴァーティカルで1位になれる自信が必要” 〜SAPに8700億円以上で買収されたQualtrics代表はこのように言及していた。とにかく業界2位のプロダクトは、1位のプロダクトを売るよりも難易度が急激に上がるのだ。

”全SaaS企業は上場を目指すべき” 〜 これも同じくQualtrics代表の言葉。M&Aをプランニングするのは極めて難しい。実際Qualtricsも、上場申請の直前で買収されている。

未上場のSaaSユニコーン企業は55社! 〜 時価総額1000億円超えの上場しているSaaS企業も含めると、その数は99社にのぼる!

上場しているSaaS企業の時価総額は、間もなく100兆円を突破する 〜 2019年2月5日現在で7.5兆円。

Net Retention(売上継続率)によって企業評価が大きく変わる 以下の例だとNet Retention 15%の差によって、企業評価に1600億円もの差が生じている。

新たなカテゴリーを生み出した企業は 〜 そうでない企業と比較して売上成長率が53%高く、企業評価も74%高い(2009〜2011年の間)。カテゴリーを生み出すことによって競合も少なくなり、またマーケットリーダーとして見られやすい。

ビジネスオペレーションを採用するべき 〜 Glassdoorは、ARR 50億円超えたところでカスタマーリテンションが大きく下がった。その原因を突き止めるべく、複数の部署を横断的に分析するビジネスオペレーションの担当者を採用した。多くの場合、その原因は1つの部署に留まることがないからだ。そしてこの結果が、Glassdoorの急成長に大きく貢献することになる。

”僕らは勝ってるのか?” 〜 と起業家は常に自分に問うべきだ。HostAnalyticsの社長によると、この問いは次の一手を見つけるヒントになる。

経営者はストーリーを語ることが仕事になる 〜 ARR 60億円以上のSaaS企業を経営するJellyvision社の社長Amanda Lannert氏の発言。リーダー達を指導する規模にまで会社が成長したら、経営者はとにかくビジョンを繰り返し語り続け、優秀な語り手になる必要がある。

SaaS企業のMendoza線 ~ Scale Venture PartnersのRory氏によれば、ARRが10億円を超えると、年度成長率が毎年15%〜20%程のペースで減速していくケースが多く見られる。

つまり、ARR 10億円超えた時点の成長率から、その先の成長率をある程度予測することができるということだ。例えば、年度成長率120%でARR 4.5億円からARR 10億円にたどり着いたSaaS企業の場合は、5年後、133億円のARRと翌年成長率36%で着地する(毎年18%の減速を想定)。

別の例として、94%の成長率でARR 10億円を突破したSaaS企業は、そこから6年かけてARR 100億円を突破するということになる。ARR 10億円突破のタイミングで勢いをつけることが大事。

とは言え、Qualtricsは10年かけてARR 35億円突破し、そこから6年でARR 300億円を突破した 〜ことを考えると、全てがMendoza線に沿って動いているとは一概に言えない。

このカンファレンスは、とにかく会場全体がポジティブな空気で溢れていて、改めてSaaS業界の勢いを感じた。僕も引き続き、さらに日本のSaaSを盛り上げるために積極的に動いていきたい。

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VCのコアバリュー、そして一緒に起業家を成功させる仲間


Photo by: UniversityofMemphis

僕が初めてのベンチャー投資をしてから9年の時が経ち、以来、世界中で100名を超える起業家を支援させてもらってきた。起業家のビジョンを実現するために一緒に働けるというのはとても楽しく、光栄なことだ。

最低でもこの活動をあと50年は続けたい。起業家にとって最も近い存在の一人でありたいし、密な関係を持てる仕事にやりがいを感じてる。

起業家を支援する活動をより長く続けていくために、僕らは起業家にとって最高のパートナーになることを目指し続けるべきだ。これを果たすには、ぶれることのない強いミッションとバリューを持って、行動をとり続ける必要がある。今日はここで改めて、僕たちのミッションとバリューを伝えたいと思う。

Mission

僕たちのミッションは、起業家を中心としたパートナーシップを構築すること。起業家の野心、決心、そして創造性が、大きな影響力をもたらす企業の創造に必要不可欠だと信じている。

Our Values

Founders First|ひとつひとつの決断や行動は起業家を中心に行う。僕たちが常に蓄積している経験、ネットワーク、そして資本は、起業家を活かすために存在している。

Focus on the Future|僕たちは、短期的に成功を求めるのではなく、長期的な視点での「進化」と「最大化」を追求しており、これがすべての判断基準となる。

Reputation is Everything|何十年もの時をかけて築き上げた信頼も、一つの行動や判断によって全てを一瞬で失うことがある。すべての行動と判断は、自身の評価と信頼に繋がっていくことを意識する。

Empathy Towards Others|良質なコミュニケーションは、長期的なパートナーシップを築くために重要なことだ。相手への共感、透明性、一貫性を持って接することが大切である。

Learn and Unlearn|テクノロジーとマーケットの変化は激しい。昨日上手くいってた方法も明日には通用しなくなる。今持っている知識に決して満足しない。固定概念は捨てて、常に新しいことを学習し、進化を続ける。

これが僕たちのミッションとバリューだ。

最後に。今僕たちは、このミッションとバリューに共感し「起業家を成功に導く」を最優先に共に活動してくれる仲間を探しています。コミュニティー構築、そしてチームづくりの支援、さらにはチームのパフォーマンス向上に繋がるフレームワークを築き、教育プログラムを設計、運用するなど、人事を中心とした支援プログラムを創り遂行する、Founder Success Managerを募集しています。

Requirements

1)ミッションとビジョンへの共感

2)起業家支援、コミュニティー作り、そして人事プログラムの構築にパッションを持つこと。

Responsibilities

  • 人事を中心とした起業家支援プログラムの設計と遂行
  • 人材の開拓や支援先への紹介
  • 支援先コミュニティーの運営
  • 勉強会のイベントの企画と運営

People who would be a great fit

  • スタートアップや起業家が大好きな人
  • 好奇心が豊富な人
  • 吸収力がある人
  • コミュニケーション能力が高い人

上記の活動に興味ある方は、以下のフォームよりご応募ください。話を聞きたいという方でも大歓迎です。また、管理体制を強化するためのバックオフィスのメンバーも募集してます。

応募はこちら

SaaSスタートアップの企業価値にインパクトを与える「ポジショニング」


Photo by: Scott Friesner

ARR(年間定額収益)が同じ規模なのに、VCが付ける企業価値が全く異なるケースがよくある。ARRの10倍にも満たない額で評価される会社もあれば、100倍以上の額で評価されることもある。この差を生み出すのは一体何なのか?

これには、様々な「ポジショニング」が影響している。

データ・ポジション:SaaS企業が提供しているプロダクトを通して、どんなデータが蓄積されているのか?この情報の価値はどれほどのものなのか?そのデータを元に新たな価値提供やマネタイズが可能になる企業の方が評価される。

例えばそのSaaSプロダクトがないと収集することが難しい情報(会社の健康状態、顧客の関するインサイト、財務分析等)や、行えない決断(人材の適材適所、予算の配分、与信等)があるほど、「価値のある良いデータを蓄積できている」と言えるだろう。

時間が経過すればするほど、または導入企業数が増えれば増えるほど、サービスの精度が上がるのか?クライアントに還元できる価値が上がるのか?機械学習を活用できたり、他社からの参入障壁を高めるようなデータを築くことができれば、さらに評価される。

カスタマー・ポジション:顧客のどんな課題を解決しているのか?大きな予算をかけてでも導入する価値があるような〈大きな課題〉を解決できるのか?それとも、優先度が低く、景気が悪くなれば直ぐに打ち切られる可能性があるのか?

当然のことだが、顧客が日々課題として感じているものを解決できるプロダクトであるほど依存性が高い。僕がいつもSaaS企業を評価するときは、ターゲット顧客の「トップ3の課題」を解決できるのかを気にしている。

マーケット・ポジション:狙っている市場はどれぐらい競争が激しいのか?すでに既存プレイヤーが多く、差別化要素が弱いとなかなか良い評価はつけずらい。また、似たようなサービスが同時多発的に生まれていたらプレミアもつきずらい。

チームの構成、プロダクトの性質、競争環境を考慮して、ニッチで独占的なポジションを取れると感じられたら、それは大きなプラス要素になる。

SaaS業界全体の企業状態を表す指標は様々だが、特にベンチャーSaaS企業の場合は特有の評価基準があり、インパクトを与える要素も独特だ。
この「ポジショニング」によって企業の強弱が決まるので、今後の事業展開や戦略を考えたときはこのような要素を含めて考えると良いだろう。

(edited by kobajenne

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組織にコミットする時代へ


Photo by: 1st Brigade Combat Team 82nd Airborne Division

世界中でスタートアップへの注目度が急激に高まっている。
ユニコーン企業の数も250社を超え、2018年アメリカ国内のベンチャー投資総額がすでに6.2兆円に達するなど、ドットコムバブル以来の驚異的なスピードで業界全体が動いている*。日本国内でも、2017年ベンチャー投資総額は2700億円を突破。これは2012年の4.3倍の金額だ*。これによって、資金力があり採用余力のあるスタートアップが世界中で増え、人材獲得の競争をより激しくさせている。

特にこの競争が激しいと感じられるのは、Google、Facebook、Apple、Amazon、Airbnbなどがあるアメリカだ。従業員の平均勤務期間が2年以下の企業が多いというデータが発表されている*

採用の競争がどんどん激しさを増すなか、起業家や経営者は人を巻き込み、活かし、そして人が残る良い組織をつくる事にコミットしないと真の「良い会社」は作れない時代になったと僕は思う。では、実際にどんなことにコミットすべきなのか?以下は、この時代の起業家に必要な ”3つのコミット” だ。

従業員に対してコミット
いま、働き方の選択肢がどんどん増えている。動画やソーシャルメディア、クラウドソーシングなどのプラットフォームの拡大によって、自分がパッションを持った分野でお金を稼ぐということがしやすくなった。
つまり、「お金(給料)」だけで人を巻き込むということはもうできないのだ。ミッションやビジョンへの共感。会社への貢献を実感できて自身の成長を感じられること。生きがいや働きやすさを常に実感できる環境づくりが重要になる。
従業員の育成、フレームワーク作り、方向性の定義など、すぐに結果に直結しないことに対して時間とマインドシェアを割り当て、コミットしていく必要がある。

素直になる事にコミット
良い組織をつくるために最も重要なのは、「素直さ」だと思う。トップダウンだけでなくボトムアップでフィードバックや情報を取り入れて、経営やマネジメントに反映させる必要がある。経営陣やマネージャーは、自分たちの弱みをお互いに見せあい、間違いも負けも素直に認める必要がある。

プレイヤーとして優秀な人は、自ら役割を果たし、成果や実績を築き上げる。そして効率よく働き、答えを導き出す。一方、経営者や管理職に必要なのは、重要な役割をメンバーに委任し、メンバーが成果や実績を出せる環境をつくることだ。

必要なのは「効率よりも育成」「答えよりも誘導」だ。

だから、プレイヤーとして優秀な人ほど、経営やマネージメントに携わることになったときに違和感を感じる。この変化を受け入れられる「素直さ」があるかどうかで良い組織づくりができるかどうかが決まる。

最高を目指すことにコミット
〈業績が良い = 組織の状態が良い〉というわけではない。
もちろん、業績伸びれば従業員の満足度は上がる。その一方で、組織の欠点や課題が見えづらくなる。良い時でも悪い時でも、徹底的に組織の状態を把握し、課題の早期発見と解決に取り組む「”最高” を目指すコミットメント」が必要だ。

そして最後に。僕自身ベンチャーキャピタリストとして、「最高の組織」を作るための支援ができるよう、起業家にとって良いコーチになれるようなスキルを磨き、経験を積み、そして良い組織のつくり方に対する知識を蓄えることをここにコミットする。

(edited by kobajenne

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情報を自分ごとにする重要性。妄想と無知さが生み出す戦略。〜 delyの堀江裕介

1200万ダウンロードを超える大ヒット料理動画レシピサービス「クラシル」を運営するdelyの堀江裕介さんにお話を伺いました。先日発表した、Yahoo! JAPANとのパートナーシップで話題になっていますが、今回のインタビューでは、彼の経営フィロソフィーや性格について聞きました。

【ハイライト】

  • 学生起業家の武器。
  • 妄想と無知さが特殊能力
  • アウトプットをあげるインプットの処理方法
  • 孫さんに気づいてもらった方法
  • 短期的には超シビア。長期的には楽観的。
  • “ハート to ハート”で人を巻き込む。
  • 人を採用するときは「夢とお金」は欠かせない。

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SaaSの価格設定でよくある「間違い」

サンフランシコで開催された『SaaStr Annual 2018』で、Open ViewのBlake Bartlett氏とKyle Poyar氏が行ったプレゼンテーションの内容をまとめました。
※ 一部補足や説明も追加しています。(スライドはこちら

SaaSの価格設定は、誰しもがぶつかる悩みであり、最初から上手にできるスタートアップなどほぼいない。しかし、SaaSの価格設定が上手くできているかどうかは会社の成長スピードに関わる重要なポイントであり、決して無視することはできない。実際512社のSaaS企業を調査した結果、〈顧客獲得の最適化〉をするのと〈価格設定の最適化〉をするのでは、企業の成長インパクトに4倍もの差が出ることが分かっている。(下グラフ参照)

そこで、SaaSの価格設定でよく見受けられる「間違い」トップ5を紹介する。

価格が安すぎる

よくある間違いの1つは、価格を安く設定し過ぎること。導入のハードルを下げるために最初は手頃な価格を設定しがちだが、本来は、「このプロダクトに顧客はいくらまでなら支払うのか」をユーザーヒアリングを通して調査し、その結果を反映させるべき。

また、プロダクトは時間軸と共に常に改善され機能も増えるので、価格に変動が生じるのも当然のこと。Atlassian が2016年に買収した StatusPage の価格設定を時間軸と共に見てみると、2013年と2016年の価格の差は最大30倍にもなり、ARPUも当初より2.4倍になっていた。

価格体系が間違っている

アカウント数なのか、APIコール数なのか、それとも社員数なのか。何を基準に価格を変えるべきなのかを正しく決める必要がある。調査の結果、様々な業種や業界で利用されるHorizontal SaaSはアカウント数ベースでの従量課金を採用し、特定の業界に特化したVertical SaaSは利用ベースで従量課金をしている企業が多いことが分かった。

顧客がプロダクトやサービスから得られてる価値に比例して、課金する金額も上がる価格体系にすること。この時、その「価値」を表すKPIが何なのかを考える必要がある。

例えば、経費精算システム Expensify は、元々ユーザー数ベースで課金をしていた。そのため、顧客企業は毎月経費精算を行う社員の分だけのアカウントを登録し、時々しか経費精算をしない社員のアカウントは登録しないというケースが多く見られた。
そこで、課金ポイントを『該当月に経費精算をした”アクティブユーザー”』に変えた途端、全社導入のハードルが下がり、全ての社員が気軽にサービスを利用できるようになった。

もう1つの例として、不動産ブローカーや物件オーナー向けの物件管理SaaS VTS は、物件数ベースで課金をしていたため、物件規模に関わらず課金額が同じだった。つまり、小さい物件を管理してる人にとっては割高なサービスで、大きい物件を管理している人にとっては、非常に安価なサービスになってしまっていた。そこで、従量課金をするポイントを、物件数ではなく〈管理している平米数〉に変えることによって、適正な価格で課金できるようになった。

買いずらい(決めずらく)している

「自分の会社にとって最適なプランはどれなのか?」
「導入したら毎月いくらかかるのか?」
特に、営業手法が『セルフサーブ型』や『インサイドセールズ』中心のSaaSは、これらの答えをすぐに見つけられる料金ページを作成すべき。

参考にできる例として、Slackの料金ページでは、それぞれの料金パッケージがどういったチームや企業に向いているのか、そしてどういったメリットがあるのかを明確にしている。さらに『よくある質問』を同ページ内に表示させ、なるべくその場で疑問を解消できる仕組み作りをしている。

アップセルができない価格体系になっている

成長率が高いSaaS企業に共通する特徴の1つは『Negative Churn』であること。Negative Churnとは、退会による売上の減少額よりも、アップセルやアップグレードによる既存顧客の売上増額の方が上回っていること。以下のグラフからも分かる通り、年度成長率100%以上を達成しているSaaS企業は、売上継続率が平均して109%になっている。つまり、今月獲得できた売上100万円は、新規顧客を獲得しなくても1年後には109万円になっているということだ。

例えば、インフラのパフォーマンス監視サービスを展開する NewRelic は、利用しているインスタンスのサイズに応じて従量課金がされるようになっている。つまり、既存顧客はNewRelicのインスタンスを増やせば増やすほど、課金額が上がっていく〈アップセル可能な料金体系〉になっている。その結果、現在売上継続率は123%にもなるという。

別の例として、400億円以上で Atlassian に買収されたタスク管理サービス Trello も、より便利な追加機能の利用やコラボレーションをする相手の数を増やすために、別プランの購入が必要になる。

価格設定がダイナミックに変化していない

SaaS企業の価格設定は、会社のフェーズに応じても変化するべきだ。初期の段階では1つのプロダクトに対し単一の価格を設定したとしても、その後様々な機能が追加されたり、別のプロダクトが展開されたり、新しい業種がターゲット顧客層となるなど、会社がスケールすると共に価格設定もダイナミックに変化するべき。

SaaSの王者である Salesforce も1999年から新たな価格体系を展開しており、初期の価格から6倍値上がりしているプランもある。

価格は最初に設定したらそれで終わるのではなく、変動するものだ。
新しい機能を展開した時、ニーズの異なる新しい顧客属性を取り入れた時、そして、会社の信頼性やブランドが強化された時など、様々な理由やきっかけで見直す必要がある。

価格設定は会社の成長率や利益率に大きなインパクトを与える。
会社の内部で〈価格の最適化〉について常に考え、実行する担当責任者を置くと良いだろう。

(edited by kobajenne

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参入障壁を生み出す「13種類のネットワーク効果」

本記事は、https://www.nfx.com/essays を要約したものです。著作者(James Currier)から転載の許可を得て掲載しています。
※一部説明を加えています。

PayPal、Microsoft、Facebook、Uber、Twitter、 Salesforce。どの企業も世界に大きなインパクトをもたらし、そして、大きな「価値」を持つ。

これらの会社に共通することとは何なのか。
それは、彼らが強力な「ネットワーク効果」を持っているということだ。

「ネットワーク効果」は、参入障壁を生み出すための4つの要素のうちの1つ。その他にも参入障壁を作るための要素として「ブランド」「スケール」そして「エンベッド(埋め込み)」があるが、「ネットワーク効果」は、特に強い影響を持つ。

ネットワーク効果とは、同じプラットフォームやサービスを利用するユーザが増加することによって、それ自体の効用や価値が高まる効果のこと。例えば、電子メールを使うユーザーが増えれば増えるほどメールを送信できる相手が増加し、メール自体の価値が高まる、というのも1つの例だ。

ネットワーク効果は、13のタイプに細かく分類することができ、それらは全て大きく5つのカテゴリーに属している。下図は、これら13のタイプをカテゴリー別に色分けしたもの。円の中心にある〈Physical (物理的)〉は、ネットワーク効果の中でも一番強い影響を持つ(参入障壁が一番高い)。円の外にいけばいく程、ネットワーク効果が弱くなる。

これから、ネットワーク効果が強い順に、それぞれのタイプを紹介していこう。

Physical (Direct)
上図で、青色にカテゴライズされているのは「Direct Network Effects」。
一番シンプル、且つ強いネットワーク効果で、プロダクトが利用されればされるほどユーザーに還元される価値が上がる。

フィジカル・ネットワークの分かりやすい例は、電話回線のネットワーク。電話をかける相手が1人しかいなければ「電話」自体に大きな価値は無いが、かけられる相手が増えれば増えるほどその価値は上がる。電話回線を引くという多額な先行投資こそ必要なものの、一旦整ってしまえばマーケットを独占できる程の強力なパワーを持つ。

例:道路、線路、水、電気やケーブルテレビなど。

Protocol (Direct)
プロトコル・ネットワークは、コミュニケーションや情報処理がスタンダード化され、誰でもそのプロトコルに沿ってネットワークを活用できる。

例:FaxやTCP/IP。最近ではビットコインや、イーサリアムなど

Personal Utility (Direct)
パーソナル・ユーティリティー・ネットワークには、主に2つの特徴がある。
まず、ユーザーのアイデンティティー(身元)がネットワークに紐づいていること。もう1つは、ビジネスや個人的な理由で、そのプロダクトまたはサービスが毎日利用されていること。主にコミュニケーションやコラボレーションの手段になることが多い。

例:Facebook Messenger、Slack、SkypeやSMSなど。

Personal (Direct)
パーソナル・ネットワークは、利用者の「アイデンティティー」と「評判」が紐づいているネットワーク。このネットワークを活用して自身の評判を築いている人が増えれば増えるほど、ネットワークに参加するインセンティブも増え、価値も上がる。

例:Facebook, LinkedIn, Twitterなど。

Market Network (Direct)
マーケット・ネットワークは、「アイデンティティー」と「コミュニケーション」の要素に「トランザクション(取引)」の要素が加わったネットワーク。
純粋な取引だけを目的としたマーケットプレイスのネットワークと違って、ワークフローやコラボレーションができるネットワークで、プロとしての評判を築くこともできるのが特徴。

例:Houzz、AngelList、HoneyBookなど。

Marketplace (2-Sided)
2-Sided(2面性)・ネットワークは、「需要サイド」と「供給サイド」という2種類のユーザーが存在するときに生まれる。例えばクラウドソーシングサービスでは、サービスを提供する側(供給)とサービスを受ける側(需要)の2種類のユーザーがいる。

例:eBay、Alibaba、Amazon Marketplace、Etsyなど。

Platform (2-Sided)
プラットフォーム型・ネットワークは、先ほど紹介したマーケットプレイス型とは異なり、供給サイドがプラットフォームに統合させるための開発を行う必要がある。つまり供給サイドは、技術者やプロダクトを開発している会社になる。

例:iOS、Microsoft、Nintendoなど。

Asymptotic Marketplace (2-Sided)
2面性のマーケットプレイス・ネットワークは、1つとして同じになることはない。特に大きく異なるのは、ネットワークへの参加者が増えたときの、「需要の価値」が上がるスピード。以下グラフを見ると、UberやLyftのような「Asymptotic(漸近的な)・マーケットプレイス」(赤色)よりも、eBay や Craigslist といったマーケットプレイス型・ネットワーク(オレンジ色)の価値の上がりかたの方が、早いことが分かる。

例えば Uber や Lyft は、運転手が増えれば増えるほど、乗客にとってのメリットは増える。その一方で、乗客が得られる価値は急激に減少する。
車が捕まるまで8分かかっていたものが、4分になるのは大きな違いを感じるかもしれないが、それが4分から2分に変わった場合はどうだろう?先ほどよりは、価値を感じなくなるだろう。特定のエリアに一定数の運転手や車が集まってしまえば、それ以上増えたとしてもユーザー体験自体はそこまで変わらなくなるのだ。

Data Network Effects
データ・ネットワークは、名前の通りデータが集まれば集まるほど、そのデータを元にユーザーに提供できる価値が上がるということ。
データのネットワーク効果は、人と人との繋がりから生まれるネットワーク効果よりも弱い。それは「Asymptotic(漸近的な)・マーケットプレイス」同様、一定の数を集めてしまえば、それ以上を集めても得られる価値が大きく上がらないからだ。

例:Google、食べログ、Wazeなど。

Tech Performance Network Effects
テックパフォーマンス・ネットワークとは、ネットワークに参加するユーザーが増えるほど、パフォーマンスも上がるというもの。
例えば、BitTorrent のような Peer-to-Peer でファイル共有をするネットワークは、その同じファイルを共有(Seed)しているユーザーが増えることで、ダウンロードのスピードが上がる。

例:BitTorrent、global VPN、Hola

Language (Social)
言語もネットワーク効果の1つだ。世界には、日本語より英語を話す人の方が10倍近く多く存在する。そこから、「英語」という言語によるネットワーク効果の強さの差が生まれる。

人は、何かを検索する時に「ググる」と言ったり、『仮想通貨』といえば真っ先に「ビットコイン」を思い浮かべる。このようにスタートアップは、言語の中に入り込むことによって、言葉のネットワーク効果を活用することができる。

例:英語、日本語、グーグル、ゼロックスなど。

Belief (Social)
宗教など多くの人が信じる概念には、信念のネットワーク効果が生まれる。
最近の事例として、ビットコインの価値を信じる人が増加したことで、ビットコインの価値が急激に上がるという現象が起きたことが挙げられるだろう。

例:ビットコイン、金、宗教など。

Bandwagon (Social)
最後に、Bandwagonは「仲間外れになりたくない」など人間が生きている中で感じる社会的なプレッシャーによってネットワークに参加したくなる効果。

例えば、テック業界でSlackを使ってない会社は、モダンなコミュニケーションを取り入れられていない印象を持たれてしまうことがある。

Appleも、彼らのブランディングやPR活動により「Apple製品を持つことで “クール” な集団の一員になれる」という社会的プレッシャーを生み出すネットワーク効果を構築することに成功している。

例:Apple、Slack、Githubなど。

以上が「13種類のネットワーク効果」だ。

それぞれのネットワーク効果には、特徴や強さの違いがある。自分が展開しているサービスやプロダクトにどういったネットワーク効果があるのか、そして、それを強化するためにはどうすれば良いのかを考えるための参考にして欲しい。

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