不況こそがチャンス。SaaSスタートアップのブラックスワン対策。

シリコンバレーの著名VCセコイアキャピタルが先日、投資先の起業家に宛てて書かれたレター「2020年のブラックスワンに対しての警告とガイダンス」を公開した。まだ読んでいない人は、是非読んでみてほしい。

今直面しているこの状況がどのくらい長く続くのか。どれほどの社会的、そして経済的インパクトを与えるのかは分からない。でも、現段階は希望的観測をする時期でもなく、業績不調を環境のせいにする時期でもない。

起業家や経営者は、この状況下だからこそ『不況に強い会社とは何なのか、どうしたら不況に強い会社になれるのか』をもう一度考え、実行に移していくタイミングなのではないかと僕は思う。

苦しい時こそ成長するチャンスだ。セコイアのレターに記載されていたダーウィンの言葉の通り「強い者、賢い者が生き残るのではない。変化に対応できる者が生き残る。」のだ。

今回のブラックスワンは、国内に止まらず世界中にあらゆる変化を起こしている。

前置きは長くなったけれど、今回はSaaS経営者がその変化にどう対抗するべきなのか。そして、不況時に改めて考えるべきポイントについて書くことにした。

リード獲得戦略を考え直す

この状況のなか、どのリード獲得戦略が引き続き好調で、どの戦略の効果が下がってしまっているのか。やはり展示会などのオフラインイベントの効果は下がってしまうだろう。ならば、より強化すべき既存の戦略はあるのか。それとも、今まで実行していなかった戦略(アウトバウンドやWebinar等)で、新たに試すべきものはあるのかなどを考えてみると良い。

ナーチャリングを強化

今、リードの存在がより重要になってくる。セグメント別、スコア別、時期別などでカテゴライズして、さらに戦略的にリードを温めていく取り組みが必要になる。

商談フェーズの考え方を変える

普段、有効リードに対してはすぐに対面営業を行っているという企業も、今はオンライン商談に切り替えてるところが多いだろう。商談後、どのフェーズまでオンラインのみで進めることができるのか。場合によっては、注文書が入るまでの全てのフェーズを完全にオンラインへ切り替える必要が出てくるかもしれない。その場合「商談フェーズ」そのものの定義、そして進め方も変わってくる可能性がある。

カスタマーサクセスの強化

顧客サイドの予算状況が変わるかもしれない。その結果顧客は、きちんと使いこなせていて業務の効率化に役立っていることを実感できる、所謂〈依存度の高い〉SaaSのみの契約を更新し、そうでないサービスやプロダクトは解約する動きが出てくる可能性がある。顧客に対して、きちんとバリューを発揮できているかどうかの重要度がより一層高まることになる。

セールスピッチのアップデート

「リモートワーク」「自動化」「コストカット」。今は特にこれらのキーワードが顧客のマインドのトップに浮上しているだろう。顧客が今一番考えていることに合わせて、セールスで強調するべきポイントや説明の流れをアップデートする必要があるかもしれない。

チームワークを強化

より一層チームの団結力を上げるタイミングだ。限られたリソースの中でアウトプットを高めることが非常に重要になる。部署間の壁をなくして、コラボレーション頻度とその質を高め、全員が一丸で会社の目標を達成するのだ。

コスト意識を高める

セコイアのレターにも書いてあるように、9ヶ月、長くて12ヶ月はこの状況が続くかもしれない。経済が回復するまでには、さらに長い時間を要するかもしれない。残高、キャッシュフロー、ランウェイ、そして計画対比などの意識をより高めていく必要がある。

僕は決して恐怖やパニックを煽ろうとしているわけではないし、この先を予想しようとしているわけでもない。不確実性の時期に入ったときは、最悪の場合に備えた準備を行うこと、そして変化に素早く適応できる姿勢でいることが重要なのだと思う。

チームの団結力を上げて、強い会社を作り、これはみんなで共に成長するチャンスなのだと捉えて欲しい。

(編集してくれたkobajenneに感謝)

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トップダウンなのか、ボトムアップなのか?SaaSのGTM(市場戦略)の考え方

(FORTUNE Global Forum)

プロダクト・フィットを達成したSaaS企業が、次に考えるべきは『GTM』だ。

GTMとは『Go-To-Market』の略。市場を獲得するための戦略のことで、SaaSでは「トップダウン」「ハイブリッド」「ボトムアップ」の3つの型に大きく分けることができる。

トップダウンは、CXOレベルでの導入意識決定が必要なケースが多く、ピンポイントでのマーケティング戦略や、フィールドセールスによる長いサイクルの対面営業プロセスを要する。カスタマーサクセスの面でも、導入時の訪問支援サポートや個別のアドバイスをするようなハイタッチな手法になる。このトップダウン戦略を採用している企業例としては、Veeva、Workday、Zuoraなどが挙げられる。

ハイブリッドは、比較的ターゲティング範囲が狭く、インサイドセールスで完結できる場合もあれば、フィールドセールスも絡めたハイブリッドなセールス戦略が必要になる場合もある。カスタマーサクセスも、トップダウンよりは比較的ライトな形式になる。ZendeskやSalesforceなどが、ハイブリッド型からスタートしている。

ボトムアップは、対象者が広範囲なためマスに近いマーケティング戦略が適用できる。いち従業員が一人、または数名で使い始められるプロダクトやサービスで、セルフサーブ型でユーザーオンボーディングが完結できる。また、バイラル要素があり、営業サイクルも短い。Zoom、Slack、Twilioなどが例として挙げられる。

GTMを考えるときの要素

では実際自分の提供しているSaaSは、どのGTMの型に当てはめるべきなのか。それを見極めるためには、以下の視点で考えてみると良いだろう。

プロダクトの複雑性: SaaSプロダクトの価値や機能の利便性について、人が対面で説明する必要がある場合は、ハイブリッド、またはトップダウンの戦略が必要になる。一方、ウェブを通してすぐに理解してもらえるものであればボトムアップの戦略が通用する。

また、プロダクトを使いこなすために長い期間や手厚いサポートやトレーニングを要する場合は、トップダウン型である必要があり、比較的ライトなトレーニングで済むのであれば、ハイブリッド型を適用できる。登録したら人が関与すること無く、すぐに使い始められるプロダクトならば、ボトムアップ型の戦略を取るのが最適だ。

デリバリー:ユーザーが、一人でそのSaaSを導入することができるのか。それとも複数人のコミットや調整が必要なものなのか。関わる人の数が多ければ多いほど、トップダウン型の戦略を取る必要性が高まる。導入までの時間をあまり取らないものは、ボトムアップ型が通用する。

価格:プロダクトやサービスの価格によって、決裁者が変わる。そして、この決裁者が誰になるのかによって取るべき戦略が変わる。いち従業員が申請するだけで導入できるような価格帯なのか。または部署がもつ予算を使えば導入できるのか。はたまた幹部層が管理する予算を取らなくてはならないのか。大きな予算が必要になるほど、ランクの高い決裁者によって導入可否が判断されるため、トップダウン型の戦略を取る必要がある。

この3つの視点で考えてみると、自分のSaaSがどのGTMの型に当てはまるのかが見えてくるはずだ。プロダクトがシンプルで、デリバリーも早く、価格が低いのであればボトムアップ型。非常に複雑で、デリバリー期間も長く、そして高単価なのであれば、基本的にはトップダウン型の戦略が必要になる。一方で、要素に偏りがない場合は、ハイブリッド型の戦略になる。

戦略と戦術の具体化

今回はGTMの概念をシンプル伝えるために大きくまとめでみたが、実際にGTMの戦略を決めるときは、マーケティング、セールス、そしてカスタマーサクセスのプランを具体的な戦術にまで落とし込んで作っていく。バイヤーのペルソナ、セールスのファネルやテクニック、バリューの伝え方など、細かく落とし込むことで解像度の高いGTM戦略が完成する。

GTMは常に進化していく。

ただし、GTMは一度決めて終わるものでなく常に変化していくもの。プロダクトの成熟度や競争環境、顧客のニーズ、そして会社のフェーズで変わるからだ。例えば、BoxやShopifyも、初期はボトムアップのGTMからスタートしていたが、その後ハイブリッドやトップダウンのGTMへと戦略の展開方法を変えている。

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起業家に薦めたい。SaaSの使いこなしで1日あと2時間確保する方法

SaaSに特化した投資を実行する身としては、僕自身も様々なSaaSプロダクトを使いこなして、自分の生産性を最大化することを積極的にやっていきたいと思っている。今回は、自分がどういうSaaSプロダクトを、どういう風に使っているのかについて書いてみる。感覚としては、これから書く以下を実行したことで、1日のうち新たに確保できた時間は、1〜2時間ほど。これは大きい。

Hubspotで日程調整

HubspotとGoogleカレンダーと連携させることによって、日程調整がとても楽になる。日程調整をしたい相手には、Hubspotのミーティングリンクを送るだけで自分が空いている時間を共有できて、そしてカレンダー登録も自動化できる。

ミーティングの合間の調整タイムを入れたり、スロットあたりの長さも調整が可能など自由度が高い。僕が薦めたい活用方法は、Hubspotミーティングのリンクを2バージョン作ること。一つは緊急度が低いミーティング用、そしてもう一つは緊急度の高いミーティング用だ。

後者のカレンダー上では1日2時間ほどの時間を確保する。そうすることで、もう一つのカレンダー上では、その時間帯は空き時間ではなくなり、緊急案件が発生しても確実に時間を確保することができる。Hubspotは、Zoomとも連携ができる。予定が登録された瞬間に、そのミーティング専用のZoomリンクを自動生成する機能があるので、僕はデフォルトでZoomリンクを自動生成するように設定している。

Hubspotで人間関係を管理

基本的にヒトの情報は全てHubspotで管理している。特に便利だと思う機能はタスクの機能。誰かと打ち合わせした後に、Hubspotにそのとき話した内容を記録し、次にその人と会うタイミングをその場で決めてHubspotのタスクに入れている。タスクの期限が来た時には、メールでリマインダーが送られるように設定している。これによって、フォローアップやキャッチアップの漏れが大幅に削減されるし、しばらく話をしていなかった人の情報にもきちんとアクセスできるのは嬉しい。

Superhumanでメールのスーパーサイヤ人に

メールクライアントは、Superhuman。主に使っている機能は、リマインダー機能。返信をもらいたいメールを送信した時に、予め設定した時間までに返事が来なかったら通知が来るようにする。これで、メールのフォローアップ漏れも無くなるし、いちいちフォローアップが必要なメールをTo Doリストに入れる必要もなくなる。

リマインダー機能の活用方法は、もう一つある。僕のメールの基本ルールは、2〜3分で返信ができるものはその場で返信して、検討したり調査したりする時間が必要など、返信に時間がかかると判断したメールは、リマインダー機能を使って、一旦夕方までInboxから消えるようにしている。こうすることによって、Inbox自体がスッキリするので、情報に左右されることなく1日のスケジュールを着実にこなすことができる。夕方になったらその隠したメールたちがInboxに表示されるようになるので、それらをまとめて対応できる。

Superhumanのテンプレート機能もとても便利で、良く繰り返して使う文章(例えばオフィスへまでのアクセス案内を説明する時など)は、ショートカットでメールに挿入できるようにしている。

1Passwordでパスワード管理

1日を通して、少なくとも10回は色々なサービスにログインする。そんな時に必ず必要になるのが「パスワード」なわけだが、セキュリティーのために各サービスのパスワードは、ユニークで複雑な異なるパスワードである必要がある。このパスワードを覚えたり入力したりするのは、とにかく時間が取られるし、ましてや記憶しておくことなど不可能だ。1passwordは、そういう悩みをすべて解決してくれるので、パスワード管理においては必須ツールだ。

Notionで人生を管理

To Doリストや人生計画、読みたいものリスト、運動スケジュール、書きたいブログテーマ等とにかく僕のほぼすべてをNotionで管理している。たくさんの情報を整理、管理するにはもってこいのツールで、さらにアイコンやクリップなども使えるので見た目も楽しい。

To Do管理で僕が薦めたい方法は、

・じっくり考えて進めないといけないタスク
・あまり考えなくてもできるタスク

の2つに分けること。じっくり時間をかけて熟考しながら進めなくてはいけないタスクは、1日2個までに限定して、毎日1〜2時間そのタスクに集中する時間を確保する。とにかくひたすら手を動かすような、あまり考えなくても進められるタスクは、打ち合わせの合間や夕方の時間帯など、頭の回転が少し鈍ってきているなと感じる時にバッチ処理で進める。

おやすみモードの活用

色々なサービスがたくさん出てくると、人は知らず知らずのうちに、常に通知や連絡に追われる日々を過ごす。僕は日中1日2時間くらいiPhoneの〈おやすみモード〉をONにする(Mac OSでも同時に通知OFFにしている)。その間、前述した時間をかけて熟考する必要があるタスクに集中する。これをやり出してから、実際自分はどれぐらい通知に追われているのか気が付くきっかけになった。

Zapierで領収書管理

Zapierは使い始めたばかりで一番上手な使いこなし方を検証しているフェーズだが、最近は、請求書管理に使っている。メールで届いた請求書や領収書にラベルをつけると、Zapierがそのラベルに応じてGoogle Drive上の該当フォルダーにPDFファイルで自動保存してくれる。これでメールを検索して請求書などをPDFに変換してフォルダに整理するという作業が自動化され、請求書関連で要していたストレスフルな時間を大幅削減できるようになった。

以上が、僕が今メインで活用しているSaaSの使い方だ。使いこなせばこなすほど大幅な生産性アップに繋がる。みんなが他にどういうツールをどのように使っているのかも知りたいので、もしお奨めがあればツイッターで@DJTOKYOにメンションで教えてくれると嬉しい。

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ARR1000億という名の山の登り方

今回のポストでは、サブスクリプション・ビジネスにおける収益化のためのプラットフォームを提供するZuora社の社長、Tien Tzuo氏が来日中に開催したイベントのディスカッション内容を書き起こしたものだ。彼が語った、セールスフォースでの経験や学び、そしてARR 1000億円に到達するまでの『7つのフェーズ』とは。

セールスフォースでの時間

僕(Tien Tzuo氏)のセールフォースでの従業員番号11番。1999年創業間もない時にジョインして、まだオフィスもプロダクトもない時だった。僕らは「インターネット時代のエンタープライズサービスを作る」をビジョンで事業展開した。セールスフォースは、SaaSの事例が全くない中、イチからSaaSを設計して事業を伸ばしてきたので、みんなが最近聞くようなコンセプト(例えば、カスタマーサクセスやSDR/BRD)や指標(ACV等)は、セールスフォースが発明したものだ。

ほぼ同時期に創業されたエンタープライズサービスを提供する企業は、オンプレを提供していたけれど、セールスフォースはオンプレを提供する事を強く否定し続けた。「インターネット時代のエンタープライズサービスを作る」と言うビジョンに執着した。この執着心は、自分たちに〈フォーカス〉を与えてくれて、そしてSaaS市場が確立したタイミングで、僕たちはその市場のリーダー的存在になれた。

ストーリーを語る力

これはセールスフォースで学んだ事で、大きな概念を描いて発信していく。セールスフォースは、自分達のことを語る時、SFA (セールスフォース・オートメーション)については言及せず、「ソフトウェア時代を終わらせる」と言うストーリーを語った。

Zuoraでもその学びを活かして、ビリングツールのサービスプロバイダーとして自らを語るのではなく、「サプスクリプション・エコノミー」のストーリーを語り続けている。

The Climb

SaaS企業を成長させる時に気をつけなければならないのが、『自分が今どのコンテキストやフェーズにいるのか』だ。これを意識せずに伸ばしていくと、思わぬ落とし穴にハマってしまう。また、急成長しているときはとにかく色々壊れてしまう。過去に囚われず、自分たちを再発明していく必要がある。

この7つのフェーズの総称を「The Climb」と言う名前にした理由は、SaaS企業を伸ばすとき、登山と同じようにスィッチバック(ある方向から概ね反対方向へと鋭角的に進行方向を転換するジグザグに登っていく)が必要だからだ。「今までとは違うことをやらなくてはいけない」というマインドセットが重要なのだ。

アイデアの証明(0ドル〜100万ドル)

起業家がよくする間違いの1つは、ニーズを確認する前にプロダクトを作ってしまうこと。
開発をする前に、完成されたプロダクトがない状態でも、自分たちが売ろうとしているプロダクトが、まずは1億円分売り上げることができるのかを確認しなくてはならない。プロトタイプの状態でユーザーにぶつけることで、自分のアイデアが求められているものなのかを確認、証明すべきだ。

製品の証明(100万ドル〜300万ドル)

ARR 1億円を超えるタイミングまでには、プロダクトの最終形態の解像度を上げておきたい。最終版を完成させるにはあと5年かかるかもしれない。でも、完成に向けてどういった順番でどの機能を開発するのか、どのクライアントを取りに行くのかなどは、ARR 3億円のフェーズに行くタイミングまでには明確に答えられるようにしておきたい。Zuoraでは、早い段階からSaaS企業だけでなく、他の業種や業界を狙っていくという判断をしているから、それを考慮したプロダクト設計にしていた。

市場の証明(300万ドル〜1,000万ドル)

特にベンチャーキャピタルから資金調達をした場合、本当の市場規模を理解する必要がある。今自分が経営している会社は、どのくらい大きくなるポテンシャルがあるのか。評価額はどの位までになれるのか。これを知らずに大型調達をしてしまうと売却も上場もできない会社になるリスクが出てくる。

ARR 100億円を達成したタイミングでどのくらいの顧客数になりそうなのか ー 平均単価100万円の顧客を1万社持つのか、はたまた平均単価1000万円で1000社の顧客を持つのか。そして、将来的にターゲットとなりえる顧客数の規模はどの程度なのか。こういった質問にしっかりと答えらえるようにしなくてはならない。

並行して、マネージメントの仕方も大きく変える必要がある。組織の中で1人のリーダーが効果的に直接影響を与えらえる人数は、大体7人まで。それを越えたらレイヤー(層)を1つから2つに増やす必要がある。従業員57人くらいになればリーダーのレイヤーは3つに増やす。そして従業員150人となればレイヤーは4つに。マネージメントの仕方や情報共有の仕方、そして目標設定の仕方は、レイヤーを増やすたびに大きく変えていくべきだ。

ビジネスモデルの証明(1,000万ドル〜3,000万ドル)

ARR 10億円から30億円の間では、ビジネスモデルに焦点を絞り始める必要がある。
顧客獲得コスト、解約率、LTV、粗利益、NRRやコホート別に見たトレンドなど様々な視点での指標を用いて、ビジネスを成立させるために何をどこまで持っていく必要があるのかを考え抜く。

特にARR 30億円規模になると、予算の割り振り方が今後の成長に大きなインパクトを与える。顧客セグメントや取り組み毎に、どのくらいのセールスとマーケティング予算を割り振るべきなのか。今後のさらなる成長のためにR&Dに割くべき先行投資額はいくらなのか。これらをはっきりとしておきたい。

ビジョンの証明(3,000万ドル〜1億ドル)

ARR 30億円を超えた時点で上記すべてを明確化することができたのなら、もうARR 100億円は見えてくる。大体2〜3年で達成できるだろう。
特に上場を目指すのであれば、組織であれ投資家であれ、より強い「巻き込み力」が必要だ。たくさんの企業があるなかで、何故自分たちを選ぶべきなのか?ビジネスの証明、明確化は出来ているのだから、あとはビジョンを語り説得する。

Zuoraの上場時には、「世界がサブスクリプションに転換することを信じるなら弊社に投資した方が良い」というストーリーを強く訴えかけて投資家を巻き込んだ。

業界の証明(1億ドル〜3億ドル)

ARR 100億円を越えると、「プラットフォーム」を創造できる規模になってくる。太陽の周りにたくさんの小さな惑星があるように、自分の周りに小さい企業が多数集まり始める。プロダクトを連携したい、一緒に販売したいという企業が集まる。だからこの時点でどういったエコシステムを作りたいか、一緒に成長し続けるためにはどのような相手とどのように組むべきなのかを考える。

会社の証明(3億ドル〜10億ドル)

僕たちは、今ちょうどARR 1000億円を目指してる段階なので、ここからはあまり語れないが、ここまで来るともう長期に物事を考えなくてはならない。長期的に成長できる会社であり続けるには、どうすれば良いのか。業界の中で僕らはどういった立ち位置にいるべきなのか。そして、さらなる高みをどう探しにいくのか。

最後に

何か違和感を感じた時や、今まで上手くやってきていたことが上手くいかなくなっていると感じたら、それは会社に変化があった時。その時は、会社と自分自身の〈再発明〉をしなくてはいけない。前の一歩で成功の要因となったものが、今の一歩では足かせになることがある、ということを忘れてはいけない。白紙に戻った気持ちで課題に向き合えれば、おのずと答えが見えてくるはず。変化に適応し続ければ、ARR 1000億円のSaaS企業を創りあげることができると信じてる。

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長期にわたるSaaS経営マラソンを走り切るには

SaaSスタートアップの経営は、とにかく時間がかかる。ゼロからARR100億円に到達するには、早くても8年は必要と考えたほうが良い。でも、その間ずっと全力で走ってる状態では、途中でバーンアウトしてしまうだろう。持続性のある経営を行うためにも、自分自身と会社、そして組織全体のメンテナンスを強化していく必要がある。

この記事では、現役のSaaS起業家からコメントやアドバイスをもらったので、彼らのコメントをもとに「長期なSaaS経営マラソンを走り切る方法」について書いていきたいと思う。

顧客と話してリチャージする

エネルギーを維持するためにやってることは、顧客と頻繁に会うこと。
人生をかけて創り上げた製品やサービスに対して、顧客から直接感謝の言葉をもらったり、さらなる改善点を教えてもらえる体験はエネルギーをもらえるし、ツライことを乗り越えてきて良かったと心から思える。― 福山 太郎 (Fond)

Fondの太郎くんが、彼自身そしてチーム全体のエネルギーを持続するために行っているのは、顧客と積極的に会って話をすること。これが今後の開発ロードマップのヒントになったり、カスタマーサクセスへの貢献にも繋がっているので、少なくとも週に一度はお客さんと会う機会を作っている。

顧客と定期的に会うこと。最低週に一社、できれば二社。顧客に会うことは、一番エネルギーをもらえるし、最も勉強になる。特にインターネットの会社を経営していると顧客に会う機会が自然と少なくなってしまいがちだから、意識することが大事!事件は会議室では起きていない!― 福山 太郎

COOやCクラスのメンバーを入れる

自分の役割を他のメンバーに委任できれば、新しい取り組みや事業など、未来を考えるためにより多くの時間を割くことができる。ARR1億円を超えたタイミングで自分の役割の大部分を担ってくれるCOOクラスを採用できればそれが理想だが、カスタマーサクセスやセールス、プロダクトなど部分的に委任できるVPやマネージャーを積極的に採用すると良い。

COOに仕事を任せ始めたのは、ARRが1億円を超えたタイミング。アドバイザーのFOND福山太郎さんから「ARR1億円まではアートで、ARR1億からはサイエンスの世界」と聞いていたので、そのバトンタッチがうまくできたなと思っています。― 宮田 昇始(SmartHR)

考える時間を確保する

スタートアップの経営はとにかくやることが尽きない。だからこそ、考える時間の確保は重要だ。実はこの時間は、起業家にとっての〈精神安定剤〉にもなる。気が付けばカレンダーが埋まっている・・・という事も多いなか、考えるための時間を予めブロックして、その時間は場所を変えてみるなど、環境にも工夫を取り入れると良い。

どうしても日々のオペレーションに追われていると、短期目線になりやすい。中・長期の未来について考えたり、他の経営者や専門家と話したり、自身の業界とは全く関係のない業界の人と話したりすることは、普段使わない思考を活性化できるので、リフレッシュした気持ちになるし、エネルギーが湧くきっかけになるだろう。

以下は、Plaid社の倉橋さんが考える「良いエネルギー」で自分を満たすために実施していること。

・未来、理想を考える時間がとれている。

・新鮮な気持ちに定期的に戻れている。

・累積思考バイアスを壊せている。

・具体的にはオフィスに行かない時間を作る(AMは基本行かない、毎週X曜日は行かない、この週は行かない)。

・未来の話をしている時間を増やす。

・学習と発見をメンバーに求め、結果を認める。

・無駄な時間、無駄なインプットを許容する。

・CPO(Chief Product Officer)の柴山とただただ話す。

・思考が切れる時間を作る。

・2週間以上、強制的に業務から離れる(半年に1度程、旅行など)。

・起業初期いたコワーキングスペースを”サード・プレイス”として持ち続ける。

倉橋 健太(Plaid)

採用ミスは辛い、でも乗り越えたら勝機が見える

初めて本格的なマネジメントチームを組成しようとした時。特に、間違ったマネージメント採用をしてしまった時のストレスは非常に大きかった。経験豊富なマネージメントチームを組成すると、仮に採用後に違和感を感じても、自分が間違っているのかと思ってしまいがちだけど、何か違和感を感じたら必ず介入して、必要に応じて方向転換を行うことを学んだ。マネージメント面接慣れをするのには時間がかかった。― 福山 太郎

まだチームが全部で50人のとき、ミドルクラス人材の組織ミスマッチが数件起こり、組織の空気が悪くなった。ファイナンスを推進する傍ら、1on1を繰り返し、経営の余裕もなくなっていた。 痛みは伴ったが、会社視点で前向きなリーダーへの裁量を広げ、配置変更し、チームビルティングをし直した。― 稲田 武夫 (Oct)

採用ミス、特にマネジメント層はストレスが大きい。カルチャーフィットの確認、採用基準の明確化、リファレンス、そして他の経営者からのアドバイスを聞くなどして、できる限りミスは回避はしたい。でも、100%回避することは不可能なので、どこかでミスは発生する。
その時重要なのは、とにかく早期に行動すること。問題を解消することができたら、今までより断然強く良いチームとなり、その結果、勝機が見えてくるようになるはず。とにかく乗り越えるしかない。

長期に経営できるマインドセット

2つあります。1つ目は「水は低きに流れ、人は易きに流れる」を意識しています。無理に努力するのではなく、自然と努力できる環境をつくっています。自分も会社も。2つ目は「三方よし」です。誰かが過剰に得したり、損する仕組みは長続きしません。例えば「顧客」「社員」「会社」の三者ともがハッピーになる仕組みづくりを意識しています。― 宮田 昇始

長期の経営を意識したマインドセットも重要。働き方や環境づくり、サービスや組織の設計など、長く自然と働けるようするのが大事だ。

・長期に正義を置く。長期と短期は常にセットで考え、発信し、問題提起する。

・プロダクトとビジネス以外の側面についても、一切妥協せず同一の目線感で意思決定する。

・組織や売上は最後に考える。とはいえちゃんと売上は作る(理想を言っていられる自信とステークホルダーからの信頼)。

・今のリズム、重心を設計する。固定化(思考停止)してくる部分を意図的に壊す。

・予定不調和な採用を心がける(スキルや人員計画ドリブンな採用を行わない)。

― 倉橋 健太

体の安らぎ、心の安らぎ

1日1時間の筋トレ。8時間睡眠。平日はお酒を飲まない。― 福山 太郎

今年からランニングを月間100kmやってます。走っている間が、深く内省する時間です。あとお酒は週6〜7回ほど。 ― 宮田 昇始(SmartHR)

宮田くんは、お酒を減らした方が良いと思うのだが(苦笑)、運動する起業家は多い。やはりリラックス効果があるのと、肉体の強化は自信にもなるし、精神面の強化にもなる。体と心の安らぎを満たす方法は人それぞれだが、そのための時間の確保が重要だ。

PMFを達成したらすぐに採用

人事の採用と、広報の採用!もし次回があるならば、PMFを感じた瞬間に彼らを採用できるように関係づくりをしておきます!あと、英語ももっと早くやれば良かった!― 宮田 昇始

もっと早くやれば良かった事は採用リーダーの採用、マーケティングリーダーの採用、技術負債の解消と社内システム開発組織の構築。― 稲田 武夫

PMFを達成すると人の足りなさを直ぐに感じてしまう。PMF達成前から関係づくりできるとよりスムーズになる。特に、採用ペースが月に1名以上になりそうな段階で、採用担当者や人事担当者は採用するべき。

時間は必ずかかる。焦らない。

SaaSで一番大事なのは、淡々と正しいことを行い続けること。時間は必ずかかるので、焦らない。そして社員もツライことを一緒に乗り越えてくれているので、マイルストーンを達成したら、必ず社員とお祝いをすること。顧客の声を聞いて、より良い製品を作って、顧客にさらに喜ばれるのは、最高の幸せ!福山 太郎

とにかく時間がかかるので、そのロードトリップを楽しむことが大事。会社やチームメンバーが記録を更新した時、プロダクトをリリースした時、今まで獲得できなかった顧客を初めて獲得できた時など、マイルストーンを達成した時は、社員とお祝いをしてチームの一体感を強化しよう。

SaaSの経営マラソンは長く、時には辛く感じられる時があるかもしれない。
でも、正しくやれば誇りに思える会社と組織になる。
みんなも是非彼らのアドバイスを取り入れながら、走り切って欲しい。

ご協力いただいた稲田くん宮田くん太郎くん倉橋さんに感謝!

(edited by kobajenne

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ALL STAR SAAS CONFERENCE 2019開催します!
日本、シリコンバレーなどで活躍するSaaSスペシャリスト達と共に
実践的かつインタラクティブなセッションを繰り広げるSaaS特化型カンファレンス

【2019年も見所たくさん!】

① 昨年、ARMに買収されたトレジャーデータの共同創業者が『日米で戦う$100M ARRのエンタープライズSaaS企業の作り方』について語ります。

② 急成長を続ける北米のデカコーン企業 Stripe のChief Revenue Officerが、来日予定!日本にはまだ浸透していない、この「Chief Revenue Officer」の重要性とは。

③ 大型調達を実施したSmartHRとオクトの代表が語る、急成長を支える組織基盤のあり方。

④ SNS投稿禁止の「Deep Dive」セッションでは、ここでしか聞けない(シェアされない)トークを。参加者との質問を交えながら、進めていく参加型セッションです。

⑤ 今年のSaaS業界のホットトピックである「イネーブルメント」や「エンタープライズセールス」のスペシャリストが、その成功の秘訣を教えます。

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SaaStr シリーズ:営業本部長が90日以内に売上を2倍にした方法

SaaStrシリーズ第三弾は2011年にAdobeが買収した電子サインサービス「EchoSign」の元営業本部長が90日以内に売上を2倍にした方法について(元記事はこちら

ブレンドン・キャシディは、我が社が地獄の年から抜け出そうとしていた困難な時期に営業本部長として参画した。リードは増え続けていたが、収益の伸びは停滞していたのだ。

ブレンドンが我々のオファーを受け入れる前に、僕は彼と一緒に座り、彼の仕事の見通しを伝える機会があった。僕は彼を100%信頼していること。そして素晴らしい仕事をしてくれると確信していると言った。しかし、ストレートに言うと、数値のモデリングを構築し、180日以内に売上を2倍にできない限り、会社は十分に大きくなることができず、結果資金が尽きて、失敗する事になるだろうと伝えた。これは、非常に大きな ”注文” であることは分かっていたが、その当時の数字を計算すると、これは成し遂げなければならないことだと伝えた。

彼は、少し時間をかけて会社の数字とデータを見た。そして、僕は、この時の彼の次の反応を忘れることはないだろう。「問題ありません。」と彼が言ったのだ。「十分な原材料があります。リードもあります。そして、何人かの良い担当者もいます。やってのけます。」

そして彼はやってのけた。実際、彼は90日間で売上を2倍にしてしまったのだ。

彼は一体これをどうやって成し遂げたのだろう?そこから何を学べるだろうか?

まず、彼が最初の90日間にやらなかったことを吟味してみよう。 

  • 彼はこの90日間、新しい見込み客や顧客を持ち込まなかった。90日では、大きなインパクトを与えることはできないと考えたのだ。
  • プロダクトはそのままだった。彼が着任した最初の日にプロダクトにあった欠陥やギャップは、90日後もそのままだった。
  • 競争相手が弱くなったわけではない。当然ながら。
  • 価格設定も変更せず、そのままだった。ターゲットの顧客とターゲットの取引サイズも同じだった。ここでもなんら変更はなかったのだ。

それでは、ブレンドンは90日間で一体どうやって売り上げを2倍にすることができたのか。

最終的に、それは以前簡単に説明したことのある1つのメトリックに起因していた。彼は、リードあたりの収益を倍増したのだ。リード・ベロシティ(営業チームがアプローチをしても良いと判別できたリードの成長率)は同じ、リード生成率も同じ。90日間に起こったことは、我々が持っていた各リードから得た収益が2倍になったことだった。

彼はこれをどうやって成し遂げたのだろう?まあ、いくつかの企業秘密も関係しているかもしれないが、僕が観察したのは次の通りだ。

  • 彼は直ぐに(本当にすぐに)実績のあるクローザーでチームをアップグレードした。ブレンドンは、参画して1日程度しか経ってない時点で、我々のステージと価格帯でクロージングすることができる3人の新しい営業を連れて来た。明らかに、彼らはまだプロダクトをよく知らなかった。知るには早すぎたから。だから、ドメインの専門知識は、彼らの成功とはまったく関係ない。しかし、彼らは我々の価格帯での基本的なSaaS販売プロセスを知っていた。そして彼らは有能だった。結果、販売サイクル90日未満で、ブレンドン着任以前からいた営業担当者と比べて最大3倍の率でリードとの取引を完了させたのだ。ドメインについての深い知識がほとんどなくても。
  • 彼は継承したチームを最大限に活用し、効果的に仕事をしていなかったチームメンバーを取り除いた。ブレンドンは、既存の営業チームのサイズを迅速に増やし、なかでも高い見込みのある営業担当と最高の結果をもたらしていた営業担当の2人にエネルギーを集中させた。そして、最も若いSMB営業担当者の驚くべき才能に気づき、直ぐに彼を昇進させた。これにより、彼担当のリードの生産性がおそらく3倍になっただろう。さらにブレンドンは、良い結果をもたらしていない担当者にリードを与えるのを単純に、止めた。考えてみれば、平均以下の担当者に貴重なリードを与えるのはとても無駄な行為である。リードを平均以下の担当者から実績のある担当者に再配布する(そして平均以下の担当者を取り除く)だけでも、大きな変化をもたらした。
  • 彼は、全てを自分1人でやろうとはしなかった。彼が “スーパー担当者” だとしても、これらを全て自分1人でやろうとするには、やることが多過ぎた。代わりに、彼は自分が持っていたリソース内での生産性を2倍、3倍にし、また、以前の中央値の2倍、3倍の確率で営業成績を残す才能がある者を直ちに雇うことに焦点を当てた。
  • 彼は、メトリックとしてパイプラインを使うのを止めた。パイプラインは重要な営業指標だ。しかし、クロージングしなければ話にならない。ブレンドンはパイプラインの無限のチャートと議論に終止符を打った。僕たちは完了することのできる実際のディールについて議論した。
  • 彼は競争を取り入れた。以前の営業チームのほとんどは競争に苦しんでいた。しかし競争はSaaSの世界では当たり前の話。信じられないかもしれないが、多くの人は競争から逃げる。しかし、競争を直ぐに受け入れ、そこから学べば、自分の相対的な短所と長所を学び、少なくとも最初はそこに集中することができる。

素晴らしいマネージメントが、営業本部長の第1の仕事である。雇い、管理し、昇進させ、耳を傾け、反復し、援助する。 これらがブレンドンが最初の90日間にした「すべて」である。他のことをする時間はまったくなかった。同じプロダクト、同じ長所、同じ短所、そして同じ世界。

そして、彼は見事に目標を果たした。

なぜなら僕は、世界レベルのマネージャーを雇ったのであり、マジシャンを雇ったわけではないのだから。

(すべての翻訳記事掲載については、SaaStrから掲載許可を得ています)

(edited by kobajenne

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SaaS企業が勝つために必要なバリュー


Photo by: Malcolm Macgregor

企業のバリュー(価値観)は、会社の文化を作り上げるうえでの重要な要素であり、DNAであり、経営層からマネージャー、そして社員それぞれの判断基準や行動指針にもなる。正しいバリューの設定と運用をすることで、掲げたミッションを達成する力強い会社を作ることができる。

今回は、代表的なSaaS企業のバリューをいくつか紹介しながら、僕が思う「SaaS企業が勝つために必要なバリュー」について書いていこうと思う。

Salesforceの4つのバリュー

まずは、「SaaSの王者」であるSalesforceの4つのバリューを見てみよう。

信頼 – 社員、顧客、アドバイザーなど、Salesforceに関わるすべての人達と透明性を持ったコミュニケーションをとり、関係を大切に築いていく。

カスタマーサクセス – Salesforceの成功は、顧客の成功があってこそ。顧客と共に成功し、成長し続ける。

イノベーション – テクノロジーを通じて新たな価値を提供するだけでなく、社員一人一人がイノベーションというマインドセットを持つべきだ。

平等 – ダイバーシティーは、イノベーションとクリエイティビティーの促進に通ずるものと信じている。その人のバックグラウンドを尊重し、共に働ける環境づくりを大事にする。

Hubspotの7つのバリュー

続いてはHubspotの7つのバリュー(これは、この128ページもある英語版資料の中から一部を抜粋、要約したもの)。

ミッションとメトリックス – 私たちは、中小企業を愛している。彼らを成功に導くことが私たちのミッションだ。これを達成するため、私たちはメトリックス(数値)にコミットする必要がある。

顧客のために解決する – Solve For The Customer (SFTC)。顧客を満足させるだけでなく、成功させることが重要だ。

透明性 – 会社の中のあらとあらゆる情報を社員全員に開示する。

オーナーシップを持つ – 自律とオーナーシップを大事にしている。たくさんの細かいルールやポリシーを作るのではなく、個人個人に判断を委ねる。

人>パーク – 会社の最大な従業員特典は、”Amazing People” に囲まれること。謙虚で共感力が強く、柔軟性と透明性のある、有能な人に囲まれる環境である。

ユニークであれ – 他とあえて違うことをしないとイノベーションは起きない。現状に挑戦し続けることが大事。

人生は短い。意味のある事をしろ – 仕事は人生の中の大部分を占めている。だからこそ楽しく、健康で、意義のあることをするべき。

SmartHRの6つのバリュー

そして最後は、勢い良く成長しているSmartHRのバリュー(ウェブサイトからの引用)。

自律駆動 – SmartHRは「100の問題を50人で2問ずつ解く組織」を目指す。そのために、情報をオープンにし、フラットな状態をキープすることを約束する。

ひとりひとりが指示を待つのではなく、みずから解くべき問題を見つけ出そう。そして、自分で判断し、主体的に行動を起こしていこう。

早いほうがカッコイイ – あれこれ悩む前に、動き出そう。まずは荒削りでもOK。最速のアウトプットを心がけ、フィードバックのループを素早く回していこう。

大きな意志決定も、即断即決でいこう。それがチームを加速させ、社会を加速させる原動力になる。

最善のプラン C を見つける – 今あるものが最適解とは限らない。「こんなものだろう」という思い込みを捨て、常識を疑い、俯瞰で物事をとらえよう。

手段や技術に固執せず、柔軟に工夫しよう。選択肢を多く出し、「どちらか」ではなく「どちらも」叶える最善の答えを生み出そう。

一語一句に手間ひまかける – 細部まで徹底的にこだわろう。言葉はもちろん、UIも、コードも、すべてはユーザーや社会に対するメッセージだ。

もっと言葉を磨こう。1 ピクセルにこだわろう。コードの一行一行に魂を込めよう。その小さな手間ひまが、大きな成果につながっていく。

ワイルドサイドを歩こう – なんでも挑戦して失敗しよう。そして、失敗から学び、次へと活かそう。

新しい挑戦にはレールがない。誰も通ったことがない道の先には、誰も提供できていない価値がある。挑戦をやめなければ、いつかたどり着ける。

人が欲しいと思うものをつくろう – 世の中の深い課題に目を向け、大きな変革を起こそう。表面的な解決策ではなく、人々の行動から課題をあぶり出そう。

現在に最適化するのではなく、未来を見据えて考えよう。そして、ユーザーが自慢したくなるほどのプロダクトをつくろう。

SaaS企業が勝つために必要なバリュー

もうすでに気が付いているかもしれないが、3社のバリューには共通している要素がいくつかある。そしてその要素こそが、僕がどのSaaS企業にも取り入れて欲しいと思うポイントだ。

カスタマーサクセス:3社とも顧客目線のバリューを掲げている。SaaSという言葉の最後の”S”は「サービス」をさす。プロダクトだけではなく、セールス、オンボーディング、そしてカスタマーサクセスの全てを顧客目線で設計、実行することで、より良いサービスへと成長させていく必要がある。「顧客と共に成功し、成長し続ける」これがSaaS企業にとって一番重要な使命だと思う。

イノベーション: 顧客がサービスを導入してくれる主な理由の一つは、テクノロジーだ。常に新しい事にチャレンジし続けることによって、他社との差別化を強化し、顧客に最先端のソリューションを提供する。テクノロジードリブンであることももちろん重要だが、挑戦的なマインドセットも会社の文化に根付かせる必要がある。

透明性:SaaS企業はプロダクト、マーケティング、セールス、サクセスなど様々なファンクション間の連携によって成り立つ。この連携力の強さによって顧客の体験が大きく変わる。そのためにも、全社員を信頼し、情報を開示すること。そして社員それぞれにオーナーシップを持ってもらう必要がある。

以上が、僕が考えるバリュー設定をするときに積極的に取り入れると良い「SaaS企業が勝つために必要なバリュー」だ。

ただ注意して欲しいのは、他の企業のバリューをそのまま自分の企業に当てはめようとしても、それは根付かない。自分たちが体現することができる、自分たちに合った言葉とバリューの組み合わせを探す必要がある。

(edited by kobajenne

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理想的なシリーズAのSaaSスタートアップ


Photo by: simone

「理想的なシリーズAのSaaSスタートアップの状態とは?」

起業家からよく聞かれる質問のひとつ。

多くの場合、シリーズAの資金調達を実行するSaaSスタートアップは、およそ3〜5億円を調達しようとする。今回のポストでは、僕がシリーズAのSaaSスタートアップへの出資を検討する際に確認しているポイントについて書いていきたいと思う。

ただし、これはあくまでも「理想的な状況」であって、実際この中のいくつかの要素が足りていなかったとしても、シリーズAの調達ができないというわけではない。でも、満たしてるポイントが多ければ多いほど調達できる確率は確実に上がる。

Retention
僕のブログやツイッターでも〈継続率の重要性〉について常に発信しているが、チャーンが高ければ高いほどARR100億円を達成するハードルは上がる。
だから、有料顧客がサービスに高い満足度を示しているのか、長期にわたって使い続けたいと思われているのかを確認している。年間契約が多いSaaSスタートアップの場合、契約更新率は90%以上が理想。月額契約が多い場合は、1%未満のカスタマーとグロスチャーンが理想だ。

Growth
成長率に勢いがあることが全てではないが、成長率は様々な視点から事業の状況を語ってくれる。
そのサービスに高い需要があるのか。顧客にとって必要不可欠なサービスになるため、強力なセールスやマーケティング、カスタマーサクセスの構築ができているのかもこの数字が示す。MRR1000万円を突破したタイミングで月次成長率10%以上を維持できてるのであれば上出来だ。

Management Team
シード段階と比べて、チームがどの程度アップグレードできているのか。
セールスやカスタマーサクセス、プロダクトチームそれぞれの先頭に立ちチームを引っ張っていける人材がいるのか。各チームのレベルはどのくらい向上しているのか。そして、今まで社長が行ってきた業務をどれだけ権限委任することが出来ているのか。最も良いのは、営業のクロージングを社長以外の人ができ始めていて、さらにカスタマーサクセスとプロダクトチームの権限委任が完了している状態だ。

TAM / SAM / SOM
狙っている市場で、ARR100億円以上の企業を作ることができるのか。
この答えは、ボトムアップで(対象顧客数 x ARPA)で算出した方が分かりやすい。可能であればSOM (今のプロダクトで狙える顧客セグメントの市場規模)、SAM(2〜3年の期間で狙いたい顧客セグメントの市場規模)、そしてTAM (最終的に獲得したい最大の市場規模)に分けられていると良い。SOMが100億円以上、SAMが500億円以上、そしてTAMが1000億円以上が理想と言える。

Competitive Dynamics
狙っている市場をどこまで独占できるのか。
他社より自社のプロダクトが優れていること。高い競合勝率(90%以上が理想)。そしてさらに、サービスの導入理由を顧客ヒアリングなどを通じて確認できると良い。

以上が、シリーズAのSaaS企業に対して投資を検討する際に重要視しているポイントだ。冒頭で伝えたとおり、これらはあくまでも〈理想な状態〉だ。実際、これらを満たせていない企業に投資を実行したこともある。でも、最高のシリーズAを達成するために、常に理想的な状態を意識しながら挑んで欲しいと思う。

(edited by kobajenne

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レイヤーで考えるSaaSの経営と戦略

分解して見ると、SaaS企業は、様々なプロダクト、顧客セグメント、そして獲得戦略のレイヤー(層)を重ねることによって売上を伸ばし続けている。例えば、大手米SaaS企業のBoxとVeevaの資料からも、時間軸とともにプロダクトのラインナップを重ねて、対象顧客を広げているのが分かる。今日は、SaaS企業のレイヤーの種類と考え方について書こうと思う。

Veevaのプロダクトラインナップ
Boxのプロダクトラインナップ

SaaS企業には、主に3つのレイヤーがある。

  1. プロダクト: 恐らく、多くの人が最初に思い付くのが「プロダクト」のレイヤー。プロダクトレイヤーを重ねる目的は様々だが、例えば、既存顧客にプロダクトを売り込んで平均単価を上げる「アップセル」を実行すること、既存顧客とのタッチポイントを増やして(LTVを上げる目的として)退会率を下げること、そして新たな顧客セグメントを狙いに行くこと等の目的がある。
  2. 戦略: 主にユーザー獲得にかかわる「戦略」レイヤー。インバウンドやアウトバウンド、コンテンツマーケティングやセミナーなど。また、営業育成やインサイドセールスチームの立ち上げも戦略レイヤーに入ると思っている。
  3. セグメント:SMBやエンタープライズ、IT企業や製造業、顧客セグメントには様々な切り口がある。新たな顧客セグメントを狙いに行くときは、プロダクトか戦略、または両方が絡んでくることがほとんどだ。

では、どのレイヤーをまず増やすべきなのか。優先順位の考え方には、主に以下2つの要素がある。

  1. TAM: 市場規模が一番重要。5年後10年後の売り上げ構成を考えた時、どのレイヤーが一番大きいのか?可能であれば、一番大きいところから狙いに行きたい。
  2. ロードマップ:ただし、単純にTAMだけを優先するのも難しい。TAMの大きいレイヤーを狙うためには、プロダクトや組織をどこまでストレッチさせないといけないのかも考慮も必要だ。例えば、SMBからエンタープライズの市場を狙うためには、その市場で戦うことができる組織やプロダクトになるまでにどのくらいの時間が必要なのか。その準備期間中に他のレイヤーを先に狙いに行く必要はないのか。このように、レイヤーを追加する時は、他のレイヤーとのトレードオフを考える必要がある。

今月の売り上げは12ヶ月前の取り組みによって生み出され、12ヶ月後の売り上げは今日の取り組みによって生み出される。

SaaS企業は、昨日や今日の施策がすぐに結果として現れない。特に、規模が大きくなればなるほど、新しい取り組みが全体の売り上げに影響し始めるまでの時間軸は長い。どんなレイヤーでも、少なくとも12ヶ月はかかると思った方がよい。

つまり、「MRRの伸び率が下がってきたから新しいレイヤーを増やそう」ではもう遅い。考え方としては、来年の今頃のMRRを達成するために今のうちにやるべきことは何なのか、再来年の今頃のMRRを達成するためにいつまでに何を始めるべきなのかといった考え方を持つ必要がある。大体、毎年1〜2個のレイヤーを足していく意識をしていくと良いと思う。

中長期の事業計画を作成するときは、このレイヤー毎に考えてみると、詳細で解像度の高い計画を立てることができる。レイヤーを足していき、長期に成長し続けられるSaaS企業を目指すと良いだろう。

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SaaStr シリーズ:SaaS企業の最初の100人


Photo by: Aigars Mahinovs

SaaStrシリーズ第二弾はSaaS企業最初の100人について(元記事はこちら

SaaS事業の人員計画を立てるにあたり、「これだけの人を雇う必要があるのか」と驚く起業家も少なくはない。SaaSは、〈営業型〉である場合は特に、アウトバウンド、販売開発担当者、インバウンド、フィールド・セールス、マーケティング、カスタマー・サクセス、サポート、さらに複雑なプロダクト管理など、システムの開発はもちろんのこと、それ以上の非常に多くのファンクションが必要になるからだ。

大まかに言えば、初期の段階で計画した人数の2倍の人員を雇う必要が出てくるケースが多いだろう。

では、かみ砕いてみてみよう。

あなたは10億円のARRを目指していて、資金もきちんと確保されている状況にあるとしよう。恐らくあなたはその時点で、またはARR15億円を達成する時までには、100名の人員を抱えることになる。もしこれがセールスドリブンモデルのときは、どのような構成になるだろうか。

例えば年間の成長率が100%で、その翌年にはARR 20億円を達成する計画を立てたとする。

すると、翌年100%で成長するためには、まず10億円のARRを達成する必要があり、その場合に必要な人員は40名ほどになる。

  • 1名の営業本部長(VP of Sales)。そして恐らくは営業管理・育成のディレクター(VP or Director of Sales Ops)1名、そしてその下のアナリストを最低でも1名。
  • 20億円のARRを十分に達成するためには、20人の営業担当者が必要になる。なぜなら、ARRが10億円増加し、年末にはさらに増加するからだ。でも実際のところは、その年の半ばにかけて、これより多くの人員を必要とする可能性が高い。これは、新規受注の量やMRRの増加が大幅に見込めるようになるためだ。最終的には、少なくとも25人分の予算を立てると良いだろう。
  • アウトバウンドやスクリーニングにおいて、営業チームをサポートするSDRは恐らく8名程が理想。状況は激しく変化するが、モデル化の目的では、1対3の比率が良い。
  • 25人の営業担当者とSDRを管理するための営業部長を3〜4名(部長1人あたり、8人の営業担当者をつけるのが、チームが上手く機能する標準の比率。そして、SDRについては部長1人あたり8〜10名を管理できるという前提だ)。
  • 僕は、これをインバウンドとアウトバウンドに分けることさえしていないし、個別にフィールド・セールスを追加することについても触れていない。ARRが約10億円に到達達する頃には、恐らく(大規模な取引のための)フィールド・セールスを最低2〜3名は加えたくなるだろう。
  • そう。これは、あなたが考えていたよりも、はるかに多い数字だと思う。

カスタマー・サクセス部門においては、約20名ほどの人員が必要になるだろう。

  • カスタマー・サクセス・マネージャー1人あたり、1.5億円のARRを想定しよう。すると、翌年の計画を達成するためには、約15人の カスタマー・サクセス・マネージャーが必要になる。ただ、同時期に15名を揃えなくても良いので、まずは15名としよう。
  • 彼らを管理する本部長が1名、カスタマー・サクセス・マネージャーを半数ずつ分けて管理する部長が2名。 そして恐らくデータ分析などをサポートするアナリストも1名必要になる。

マーケティング部門では、外部の委託ベンダーの数に応じて変わるが、僕は、4〜8名の人員を雇う必要があると考えている。

  • マーケティングVP
  • デマンド・ジェネレーションのディレクター
  • フィールド・マーケティングのディレクター(イベント等)
  • コンテンツ・マーケティング
  • プロダクト・マーケティング
  • そして恐らく、マーケティングチームが独自で潜在顧客を管理するリード管理担当者(2〜3名)

サポート部門では、この時点で電話サポートを含めた、24時間年中無休のサポートが欲しい。それには最低5名の人員、理想的には6名必要だと考えよう。

OK。まだエンジニアは1人もいないのに、既に70になってしまった!

それでは、プロダクト部門とエンジニアリング部門に移ってみよう。

プロダクト部門では、少なくとも4名のフルタイムの人が必要になる。それでも多すぎるということはない。

  • 全体を管理するプロダクトVPが1名
  • プロダクト、インテグレーション、リリース等を管理する2〜3名のマネージャー

DevOpsあるいはTechOpsでは、24時間365日対応できる状況を確保するために、3〜4名の人員を必要とすることになる。実際は4名いる方がはるかに良い。さて、僕たちはここで、データベース管理者等を数に含めるべきか。答えは、6〜7名程いることが望ましい。

エンジニアリング部門では、20名は確保したいところだと僕は思う。2つの「ピザボックス・チーム(6〜7名程)」に加えて、狂気じみた次世代のことを試行錯誤し続けるエンジニア少数名と、リファクター、バックエンドなどのみに注力する少数名だ。この時点で、フロントエンドチームと協働する2名のデザイナーも必要になるだろう。

そして最後に、僕たちにはQAが必要だ。恐らく最低でもQAエンジニア8名、マネージャーが1名は必要だ。人員削減のために、RainforestQAや他の何かを使っても良いが、そうでなければ、1対2でカバーすることを想定するのがベスト。コードを書く20名のエンジニアに加えて、うまく回り始めたら、QAチームには最低でも8名、さらにチームのリーダーが必要になるだろう。

さて。ということは、10億円程度のARRを目指すならば、プロダクトとエンジニアリング部門であなたが必要とするのは約40名ということになる。

これらを全部合わせると110名になる。そしてさらに、アドミン関連や経理などの人員を必要なだけ雇用する。

分かっている。もうすでに100人を少し超えてしまっている。だから、ここからは実際の状況をみながら調整していくことになる。でも、成長計画を達成するにはこの追加の人員が結局必要になるだろう。

言い換えれば、10億円のARRを達成するにあたり、人員の大部分は、プロダクトを作るためではなく、セールスやマーケティング、サポートを支えるために必要とするわけだ。

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