自分の「AIナラティブ」は、信じてもらえるのか?

あなたの会社もこんなことを考えていないだろうか──どうすれば、自社をAI企業として再ポジショニングできるか、と。

プロダクトにAIを組み込んだ。「AI企業」としてAIエージェントで勝負した。ウェブサイトのコピーも書き直した。発表もした。でも、投資家の反応はどこか薄い。ユーザーの熱量も期待したほどではない。「何かが足りない」のは分かっているけれど、それが何なのかが言語化できない。

同じ「AI」を掲げているのに、なぜあの会社は、信じてもらえるのか。なぜ自分たちはそうじゃないのか。僕が今考えている答えは、「人間に信じてもらえるかどうか」だ。ウェブサイトにAIと書いても、誰も振り向かない時代になった。「AI-Firstプロダクト」すら、もはや差別化の言葉じゃない。

では、何が『信じてもらえる』ナラティブをつくるのか。今日は、その問いを一緒に考えたい。

「やっている感」は、通用しない

自分たちがやってきたことは、マーケットが見抜いてしまっているのかもしれない──

既存の機能にAIを組み込んで「AI-powered」と打ち出したが、それがビジネスにどんなインパクトをもたらしたのか、まだ数字で語れていない。AIエージェントを発表したが、利用データも顧客の成果も示せない。投資家向けプレゼンではAIを語るが、プロダクトのアーキテクチャもチーム構成もロードマップも2年前と同じ……

そこには、動かなければならないプレッシャーがあった。だから動いた。それは間違いじゃない。

でも、マーケットはすでに「抗体」を持っている。表面的なAIの主張は、プラスになるどころか、信頼を静かに削っていく。マーケットは、想像以上に賢い。

AIが進化した先に、あなたのプロダクトはどうなるか?

AIが進化すればするほど、自分たちのプロダクトは強くなるのか。それとも、代替されるのか。

あなたは、この問いにどう答えるだろうか。その答えがストーリーとなり、ナラティブの核になる。

AIが進化し続けたとき、自身のプロダクトはバリューチェーンのどこに位置するのか。理想は、LLMの進化とAIの普及によって、自社プロダクトの価値が高くなり、利用を増やす構造になっていることだ。

SnowflakeのCEO Sridhar Ramaswamyは、そのロジックを明確に語っている。LLMが進化するほどデータ量は増え、アクセス需要が高まる。つまり、AIが普及すればするほど、Snowflakeの利用も増える。「データのガバナンスと分析のプラットフォーム」から「AIネイティブなアプリケーションとワークフローを構築・実行するプラットフォーム」へのビジョンは、その構造的なロジックの上に立っている。

Figmaは、少し異なるアプローチを取った。自社プロダクトがClaudeと連携することを発表し、FigmaがAIに向かって走っている姿勢を鮮明にしたのだ。FigmaとClaudeの間には多くのシナジーがあることを示し、さらにAIモデルをプロダクトに組み込み続けることで、Figmaのツールをより強力にしていくと宣言した。このClaude連携の発表は、Figmaが市場予想を上回る業績、NRRの向上、営業利益率の改善を発表したタイミングと重なっている。

どちらの企業も「AIを使っています」とだけ言っているのではなく、AIの進化が自社の成長につながる、構造的なロジックを示している。それが、信じてもらえるナラティブの正体だ。

それでも、数字はすべてだ

「数字を出せ」と言われるのはわかっている。でも、何の数字を、どのレベルで示せばいいのかが、実はまだ誰にもわかっていない。

ただ、一つだけ確かなことがある。成長の再加速、突出した収益性。これ以上に強いナラティブはない。Figma、Snowflake、Shopify、Palantirのように成長の再加速やマージンの改善を実現した企業は、相対的に良いマルチプルで評価されている。

でもここには、AI時代における「良い数字」のベンチマークが、まだ定まっていないという問題がある。Rule of 40、NRR、Gross Margin──従来のSaaS指標は、AIがコスト構造と成長カーブを同時に変える世界では、再解釈が必要になるだろう。

Palantirは、興味深い事例だ。売上$4.4B超でRule of 40スコアが127。異例な数字だ。でも、これが新しいベンチマークなのか、それとも唯一無二のアノマリーなのか? 僕は後者だと思っている。つまり、Palantirをベンチマークにしても、自社の文脈では意味をなさない可能性が高い。

だから問いはシンプルになる。自社のピアセットはどこか。そこと比べて、速く成長し、効率的に動けているか。

最高のAIナラティブとは、結局のところ「期待を超える数字」なのだ。

社内でのAI活用は、強烈なシグナルになる

チームにAIを使えと言っている。でも、自分自身はどうだろうか。

投資家がかなり敏感に反応するのに、自分が意外と見落としてしまうポイントがある。それは、創業者やCEO自身が、AIとどう向き合っているか、だ。

“We don’t just sell AI. We run on it.”
(AIを売るだけでなく、自分たちがAIで動いている)

この姿勢を体現しているのがShopifyのCEOだ。彼はこれまで以上にコードをコミットしているという。社内メモにはこう書かれている。

“Reflexive AI usage is now a baseline expectation at Shopify.”
(AIを反射的に使うことが、Shopifyにおける基本的な期待値になった)

追加の人員を要求する前にAIでできない理由を証明すること。AI活用能力が人事評価と採用の判断基準に組み込まれたこと。プロダクトデザイナーはすべてのプロトタイプにAIツールを使うこと。彼はこれを、生存のための必須条件と位置づけている。

PLほど直接的なシグナルではないかもしれない。でも、企業の「本気度」をマーケットに伝えるシグナルとしては、強力だ。

すべてが同じ方向を指しているか

数字は出している。ストーリーも語っている。社内でのAI活用も進めている。でも、それらが一つの方向を向いているか、と問われると、自信を持って答えられない。

信頼されるAIナラティブとは、数字、プロダクトストーリー、顧客の成果、社内のAI活用、組織の意思決定──すべてが同じ方向を向いている状態のことだ。一つでも欠けていたり、矛盾していたりすると、マーケットは敏感に反応する。AIの追い風を語ることと、証明することは別だ。現実がナラティブと一致していなければ、すぐに見抜かれる。

今、あなたはこの問いにどう答えるだろう:

  • 成長率と効率性の指標は、AIストーリーを裏付けているか?
  • AIのバリューチェーンにおける自社のポジションと、AIの進化がなぜ自社にとってプラスなのかを語れるか?
  • それを証明する、リアルな顧客の成果があるか?
  • 社内の行動は、マーケットに語っていることと一致しているか?

AIナラティブの競争で勝つのは、最も高度なAIを持つ企業ではない。ストーリーに一貫性があり、あらゆるレイヤーでエビデンスに裏打ちされている企業だと考える。

完璧な答えはまだ僕にもない。ただ、一つだけ確信していることがある。

AIの波に乗ろうとするあまり、自社の数字から目を背け、ストーリーの綻びに気づかないふりをしながら「AI企業」を演じ続けることは、いつか必ず限界を迎える。

数字とストーリーと行動で、本気度を証明し続ける企業だけが、最終的に市場の信頼を勝ち取る。

このテーマについて一緒にディスカッションしたい起業家がいれば、ぜひ連絡してほしい。

(記事の編集してくれたkobajenneに感謝)


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僕は、ソフトウェアビジネスの「勝ち方」の変化を語りたい

かつてのプレイブックはもっとシンプルだった。オンプレミスからクラウドへの移行期、やるべきことは比較的明確だった。優れたUIを作り、マルチテナンシーのアーキテクチャを活かし、継続的な改善ができるチームを組み、Go-to-Marketを実行する。このやり方が通用した時代があった。でも今は違う。求められるものが圧倒的に増えている。

では、どう変わったのか。

より複雑な問題を解け

シンプルなUIや、スプレッドシートで代替できるプロダクトは、ビジネスではない。それはただの機能だ。

自分たちはツールなのか、それともソリューションなのか ──
その答えは「ソリューション」一択であるべきだ。

製薬業界の規制の複雑さや、ヘルスケア領域における多職種間の連携のように、深い業界知識を必要とするもの。患者ケアのように保険、法規制、医師との連携を横断的にオーケストレーションしなければならないもの。建設プロジェクトマネジメントのように、ゼネコン、サブコン、検査官、資材サプライヤーを一つにまとめるもの。この世界には、多種多様な「複雑さ」が存在する。

単純なメモアプリや汎用的なプロジェクト管理ツールでは、ディフェンシブなビジネスを維持することは難しい。問題が本質的に複雑であればあるほど、ポジションは強固になる。

ハイバリューなワークフローに入り込め

「顧客のワークフローに組み込まれろ」というのは、エンタープライズソフトウェアの鉄則だ。これは正しい。ただこれからは、もう一段階深く踏み込む必要がある。

狙うべきは、ハイバリューなワークフローだ。そのワークフローが止まったら事業の継続そのものが危うくなるようなもの。関わる人や部署が多ければ多いほど、ソフトウェアを引き剥がすことが難しくなる。部門横断的なプロセスにプロダクトが組み込まれれば、スイッチングコストは自然と高まる。

複数部門の承認が必要な支払い処理ワークフローを考えてみよう。契約との照合、営業トランザクションとの検証が求められる。もしシステムが落ちたら、支払いが止まる。このくらいのクリティカリティが必要だ。

そして、顧客ごとにユニークなデータ(ほかのどこにも存在しないデータ)を扱っているなら、あなたのシステムは自然と「権威あるSystem of Record」になっていく。

権威あるSystem of Recordであれ

強いソフトウェアビジネスは、System of Recordからはじまる。組織が「なくては回らない」と感じる基盤だ。ただ、単なる記録や保管庫ではなく、「権威あるSystem of Record」になってやっとスタート地点に立てる。

  • 情報の相互依存性:データ同士が複雑に結びついていて、ほかの場所での再現・維持が困難であること。
  • 蓄積による価値:今日のデータだけでなく、何年にもわたって蓄積された取引や関係性が、履歴・トレンド・組織の記憶を形成する。現行データだけを移行しても、この価値は再現できない。
  • ビジネスロジックの埋め込み: 重要な答えを得るために、そのシステムを通すしか方法がない状態。ここまでくれば、深いロックインが完成している。

Workdayは、まさにこれを大規模に実証している。7,500万人以上のユーザーが年間1兆件以上のトランザクションを処理し、プラットフォームには何年にもわたる従業員の履歴が蓄積されている。この蓄積されたデータが予測、コンプライアンスレポート、監査証跡を可能にしている。

さらに重要なのは、これらすべての情報が一つのプラットフォーム上で相互連携していること。人事データと財務データ、給与と福利厚生、スキルとパフォーマンス評価 ── 独立したシステムではなく、統合されたプラットフォーム内で結びついている。ある部門での変更がほかの部門のワークフローに自動的に反映される。この相互連携こそが、単なるデータの蓄積を超えた、「権威あるSystem of Record」を形成している。

ソフトウェアの「外」に価値を作れ

ディフェンシビリティは、ソフトウェアだけでは築けない。コードの外側にある価値がますます重要になっている。

  • プロフェッショナルサービスとカスタマイズ:PalantirのForward Deployed Engineers(FDE)のように、顧客の現場に入り込んで、一社一社に合わせたソリューションを構築するアプローチ。
  • ネットワーク効果:ユーザー同士が互いに価値を生み出す仕組み。支払う側と受け取る側の両者がプラットフォームに参加することで利用価値が高まるRampや、サプライヤーとバイヤーをマッチングするInfomartやMonotaROに代表されるマーケットプレイスの構造が、まさにこのネットワーク効果の例だ。
  • Embedded Fintech: ソフトウェアの上にペイメントや金融サービスを重ねる。hacomono、SUPER STUDIO、アトミックソフトウェアのように、プラットフォーム内で取引を完結させ、そのトランザクションデータをBI、意思決定、顧客インサイトに結びつけることで、ソフトウェアだけでは生み出せない価値レイヤーを構築している。

共通するのは、テクノロジーだけに依存しないMoatを築くということだ。

情報の流れを制す

情報の流れにおいて、上流にいるかどうかが圧倒的なポジショニングを築く。

流れの真ん中にいれば、情報の入力を制御している上流のプレイヤーに簡単に置き換えられてしまうかもしれない。データが生まれるその瞬間を押さえにいけるかどうかが、分かれ目になる。

これはセールステクノロジーの領域でよく見られる。たとえば、Sequoia Capitalから資金調達を行なったDay AIは、単に会話を録音しているわけではない。CRM、ディールトラッキング、フォーキャスティングの元となる「生のインプット」を押さえている。最初のデータキャプチャを制することで、その先にあるワークフローやシステムの中核を獲得する権利を得ているのだ。

ヘルスケアでも同じロジックが働いている。米Abridge社のように、AIが医師と患者の会話を書き起こし構造化することで、臨床データをその発生源で押さえている。そのデータは診療記録、保険請求コード、治療計画へと流れていく。いったん上流を押さえれば、そこから臨床システムの中核へと拡張していくのは、自然な流れだ。

まだ「権威あるSystem of Record」を持っていないならば、データの入力を制することは、最も効果的な道の一つだと思う。

エンドツーエンドのソリューションを目指せ

持続的なディフェンシビリティのためには、エンドツーエンドのソリューションが求められる。他社のソフトウェアや外部システムに依存しながらソリューションを完成させれば、それは将来の脆弱性を抱えることに繋がる。

この時代の「問題をエンドツーエンドで解く」とは、エージェンティックな機能を組み込むこと。たとえばコーディングツールの領域では、CursorやReplitなどがすでにノンエージェンティックとエージェンティックのワークフローが一つのソリューションに統合されつつある。

カスタマーサポート領域でも、IntercomのFin AI Agentがヘルプデスクと連携して複雑なクエリを自律解決しているし、Decagonは、自然言語でワークフローを定義して、返金処理やチケット同期などのアクションまでも自動実行できるようになっている。

近い将来、ほぼすべてのビジネスソフトウェアが、エージェンティックなコンポーネントを必要とするときがくるのだと思う。

そして今、アプリケーションスタックに新しいレイヤーが生まれつつある。これを「Agentic Layer」と呼ぶ人もいれば、「System of Intelligence」と呼ぶ人もいる。名前は何であれ、System of Recordの上に位置し、明確な事業機会を表している。

このスタックの複数のレイヤーをカバーすることには、大きな利点がある。ユーザーにより近くなるし、他社のSystem of Recordの上に座ることだってできる。そして、顧客の課題を解決するためのカバー領域が広がり、より多くの価値を提供できるようになる。

経営の基盤は、むしろ今こそ重要になる

AIは個人だけでなく、組織を増幅させる。 個人の開発者やオペレーターが、AIツールを使うことで10〜20倍の生産性を発揮している。では、それが組織全体に適用されたらどうなるか……。複利効果は計り知れない。

ただし、引き続き強い組織やカルチャーは必要だ。AIはマルチプライヤーであり、マルチプライヤーは掛け合わせる対象が強くなければ意味がない。強いカルチャー、高いパフォーマンスと士気と適応力を持つ組織、卓越したディストリビューション、セールス、カスタマーサクセス。これらは過去の遺物ではない。新しいツールからどれだけのレバレッジを引き出せるかを決める、まさにその基盤なのだ。

そして、この組織基盤自体が競争優位になる。AIの時代において、強い組織と弱い組織の差はこれまで以上に開いていく。同じAIツールを使っていても、組織の基盤が違えばアウトプットの質もスピードもまるで別物になる。

勝つのは、最も強い組織基盤を持ち、その優位性を長期にわたって複利で積み上げられる会社だ。

戦略は進化し続ける

強いソフトウェアビジネスを構築するためのハードルは、かつてないほど高くなっている。複雑な問題を解き、ハイバリューなワークフローに入り込み、権威あるSystem of Recordになり、ソフトウェアの外に価値を作り、情報の流れを制し、エンドツーエンドのソリューションを提供し、そのすべてを複利で積み上げられる組織を作る。

求められることは多いし、これからテクノロジーが進化するにつれて、さらに増えていくだろう。

しかし、逆もまた然り。ハードルを上げている同じ力が、これまでにないほど強力で、ディフェンシブルで、価値のあるビジネスを構築する機会を生み出している。より多くのことが求められるが、より多くのことを実現し、市場に届けることができる。

プレイブックはこれからも変わり続ける。それでも僕は、「顧客の課題をテクノロジーによってどう変えていくか」に常に寄り添い、戦略を適応させ続けるチームが最後は勝つのだと信じている。

だから、このフレームワークに「完成版」はない。あるのは、次のイテレーションだけなんだ。

最後に少し触れておこう

「SaaSは死んだ」「SaaSは死んでいない」

これは今にはじまった議論じゃない。モメンタムが生まれるたびに議論が活発になったり、静かになったりを繰り返してきた。この議論が多くの人にとって「考えるきっかけ」を作っているとは思う。

ただ正直に言うと、僕にとって「SaaSか、AIネイティブか」という単純な区分は意味を持たない。(恐れず言うと….. I’m tired of this discussion)本当に問われているのは、強いソフトウェアを創るための戦略が、根本から変わったことだから。

だから僕は、どう前に進んでいくかを話したい。

Let’s Go Build.

(記事の編集してくれたkobajenneに感謝)

パラノイアだけが生き残る 〜 クラシル 堀江裕介

「思ったより大変だぞ」クラシル堀江CEOが語る10年間の経営

クラシル創業者でCEOの堀江裕介さんをゲストに迎えた新エピソードを公開!

22歳で起業した当時の自分に伝えたいという本音からはじまるこのエピソード。ヤフー(現LINEヤフー)の子会社化の決断、そして「一度も心からホッとした瞬間がない」という経営者の現実を赤裸々に告白。 トップダウン経営で2週間での新規事業立ち上げ、失敗を恐れない組織文化の作り方、そして「目を背けたい課題に今日向き合え」という強烈なメッセージまで。スタートアップ経営者必聴の56分!

〈ハイライト〉

  • 22歳での起業と現在
  • 起業家人生の哲学:「どうせ辛いならでかいことを」
  • 風上に立つ事業ドメインの選び方
  • ヤフー(現LINEヤフー)の子会社化の舞台裏と競争戦略
  • 常に戦い続ける経営者のメンタリティ
  • 新規事業の決め方と撤退基準
  • トップダウン経営とビジョンブックの威力
  • 不都合な真実に向き合うための思考法

——

ポッドキャスト編集してくれたkobajenneに感謝


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賢くなりすぎないこと。「とりあえずやってみる」が未来を創る ~ LayerX 松本勇気

急速に進化するLLMが、私たちの仕事や経営の常識を大きく変えている今。

この急速な技術革新の時代において、戦略の構築、そしてプロダクト設計の考え方にどんな変化が起きているのか。

今回のポッドキャストエピソードでは、株式会社Gunosy、続いて
合同会社DMM.comでCTOを歴任し、現在は株式会社LayerXの代表取締役CTOとして活躍する松本勇気さんをお迎えしました。

松本さんは現在、「Ai Workforce」のプロダクト開発を主導し、生成AI技術の実用化とビジネス応用において先駆的な取り組みを展開しています。今回の対談では、LLM時代の差別化戦略、「第3世代のLLM-SaaS」の可能性、アプリケーションレイヤーの重要性について掘り下げました。

AIモデル自体がコモディティ化するなかでの、「賢くなりすぎない」経営の実践、さらには組織のアジリティを高めるための具体的な方法論など、示唆に富む見解が満載です。

AI時代のビジネス戦略と組織マネジメントを考えるすべての経営者、SaaS関係者必聴のエピソードです。

ハイライト

  • Claude 3.7とGPT-4.5の違いと評価(00:00)
  • アプリケーションレイヤーが真の差別化要因となる理由(06:20)
  • LLMによって開拓できる広大な「ホワイトスペース」(08:55)
  • 第3世代のLLM SaaSの特徴と可能性(15:35)
  • 業務自動運転の5段階レベルとその未来像(21:20)
  • 経営者が自ら技術に触れることの重要性(28:45)
  • 組織のアジリティを高めるための言語化の重要性(31:45)
  • ビフォーAIとアフターAI(41:30)

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難しい決断が、人格を築く 

人間の人格を形作るのは、これまでにどれだけ多くの「難しい決断」を下してきたか、それに大きく左右されると思う。そして、その「決断の質」も同じくらい重要だ。より困難で、より深く考えた決断を積み重ねるほど、強い人格が作られていく。僕がこれまでに出会った「人格者」と呼ばれる人たちは、経営者やリーダーとして多くの人を引っ張っりながら、数多の難しい決断を経験してきていた。

その理由は、シンプルだ。

  1. 難しい決断が、その人の価値観を強化する
  2. 難しい決断が、学びの機会を与えてくれる
  3. 難しい決断が、新たな視点を広げ、他者への共感力を育む

では、僕たちはどのように難しい決断に向き合うべきなのだろうか?

難しい決断とは?

そもそも、「難しい決断」とは何なのか?

僕が考える「難しい決断」とは、痛みを伴い、ときには自分を傷つける可能性がある選択だ。それは、自分ひとりの問題ではなく、複数の関係者が関わる場面で、全員を満足させる道が存在しない瞬間。多くの要因とトレードオフが絡んで、正解も明確な答えも見つからない場面。そんな時にこそ、僕たちは本当の意味で試される。

例えば、こんなシナリオを想像してみてほしい。

  • パフォーマンスは高いけれど、カルチャーや組織に悪い影響を与えてしまっている役員を解雇すべきかどうか。
  • 次の資金調達に向けた重要なマイルストーンに到達できる兆しが見えてきたなかで、どのタイミングでコスト削減を行なうべきか。削減のタイミングが早すぎると調達の確度が下がってしまうが、遅すぎれば倒産のリスクが高まる。
  • 既存事業が頭打ちの状況だが、新規事業のアイデアはある。ただ、限りあるリソースをどこまで新規事業にかけるべきなのか。

どのシナリオもトレードオフがあり、どの道を選んでも誰かが苦しい状況に置かれてしまうだろう。

決断のためのヒント 

そんな難しい決断を迫られたとき、僕はこんなことを意識するようにしている。

  • ビジョンを大切にすること
    会社のビジョンは何か?そのビジョンを実現するために、どのようなアクションを取るべきなのか?特にスタートアップでは、ビジョンこそがすべての礎。人も資本も、そのビジョンに共感して集まってくる。だからこそ、リーダーはそのビジョンの実現に忠誠であるべきだ。
  • 信頼を最大化すること
    これは、全員を幸せにすることを意味するわけではない。ときには自分の決断で、誰かを失望させることもあるだろう。でも、ここで忘れてはならないのは、「決断をどう遂行するか」ということ。厳しい選択でも、透明性をもって進めることができれば、失われるかも知れなかった信頼を守れることだってある。「不要なサプライズ」は避けた方が良い。
  • 自分を信じる
    周囲の人は、それぞれ自分が正しいと思うことを語るだろう。その意見は参考にするべきだが、最終的な決断を下すのは自分だ。自分の直感を信じ、最も正しいと思える道を選ぶべきだ。なぜなら、その決断に一番コミットして、実行するのは自分自身なのだから。信念がなくては、そのエネルギーを注ぐことはできない。

どれも当たり前な話だけれど、「難しい決断」を迫られている場面では、多くの人の感情や思惑がぶつかり合うことが多く、自分自身の考えが揺らぎがちになる。そんな時のために、俯瞰して一緒に考えてくれる中立的なパートナーやアドバイザーがいれば、とても頼りになるだろう。

難しい決断に向かって走れ 

難しい決断を避けたり、逃げるという選択肢も、もちろん存在する。だけど、僕はあえて「逃げずに、その恐怖に向かって走ってほしい」と伝えたい。

なぜなら、その先にあるのは、あなた自身の成長とさらに強く磨かれた「人格」につながって行く道だから。

どちらにせよ、面倒なことというのは大抵の場合後からまた追いかけてくるもの。ならば、今のうちに立ち向かっておいた方が良いわけだ。

もし難しい決断を迫られたときは、今日この瞬間から堂々と前向きに、自分が信じるその道を進んでいこう。

(記事の編集してくれたkobajenneに感謝)


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人のネットワークも投資も、リスクがある時にこそ加わるべき ~ 伊藤穰一

これだけ多様性に富んだグローバルなネットワークを持っている彼は、稀有な存在だと思う。伊藤穰一さん、通称 Joi さん。

僕が日本のスタートアップシーンに興味を持つようになったきっかけも、シリコンバレーとの最初の繋がりを作ることができたのも、実は、そこに Joi さんの存在がありました。

Joi さんは、デジタルガレージの共同創業者であり、現在は千葉工業大学学長にも就任するなど多岐にわたって活動されていますが、僕にとっての Joi さんは、シリコンバレーと深いつながりを持つエンジェル投資家であり、人脈やテクノロジーについて多くの学びを与えてくれた恩師です。

今回のエピソードでは、グローバルなネットワークの築き方や AI について、そして「シリコンバレー」をテーマにお話ししました。

【ハイライト】

  • Joiさんと出会ったきっかけ (00:00)
  • リソースはストック型ではなくプル型である(01:34)
  • 良いネットワーキングとは(04:15)
  • 大人が「子供っぽい要素」を持つということ(05:35)
  • AIは、Openが良いのかClosedが良いのか、そしてこれからのAIのモデルについて(08:26)
  • Linkedin創業者Reid Hoffmanとの出会いと、彼がなぜシリコンバレーで影響力があるのか(15:02)
  • Microsoft CEOのSatya Nadella、Open AIのSam Altman、そしてSteve Jobsの奥さんについて(20:20)
  • どうしたらJoiさんのようにグローバルなネットワークを作れるのか(24:40)
  • Joiさん流「子育て・教育方針」(34:45)

今回はJoiさんのPodcast「JOIITO’s PODCAST」とコラボレーションさせていただきました。
Joiさんと「SaaS」をテーマに話したエピソードはこちら

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僕たちは、妄想力で負けないようにしなきゃいけない ~ 経営者は勝ち筋を作るプロフェッショナルであるべき

PayPay、一休、ZOZO、LINEヤフーなど日本を代表するプラットフォームの発展に大きく貢献されてきた小澤 隆生さん。これらのプラットフォームは、多くの人々に愛され、まさに日本のインターネットエコシステムを形成する基盤になっています。

小澤さんを迎えて今回お届けするポッドキャストでは、小澤さんご自身がこれまでの経験を通じて見出した「成功する経営者が共有する重要な特徴」について語っていただきました。

成功の要因とは何なのか。勝ち筋の見極め方、そして一兆円規模の企業を運営する経営者の視点とは。

野心的なビジョンを持ち、自らのビジネスをさらに成長させたいと考えている方々におすすめのエピソードです。

【ハイライト】

  • 勝ち筋を理解するための「調べるコツ」(0:08)
  • 楽天球団を作った時、なぜ居酒屋を調べたのか(2:43)
  • 打ち出し角度は、なぜ重要なのか(4:35)
  • 孫さんや三木谷さんに共通するヤバさ(11:10)
  • 社長の大胆性を維持するために(15:55)
  • 企業を急拡大させるために必要なのは、実は「新規性」ではない(17:40)
  • 1,000億円の経営と1兆円の経営の違い(20:50)
  • ポートフォリオ経営に必要なこと(22:50)
  • 従業員数万人に伝達しやすい言葉の意識(24:25)
  • ポートフォリオ経営に重要なゴールイメージ(30:00)
  • 目線の上げかた(33:15)
  • どんな会社を買収したいか(36:30)

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人は、スランプの時のみ成長する

1996年、SaaSやクラウドという言葉がまだ存在せず、日本のエンタープライズ市場にパッケージソフトが浸透していくのもまだこれから……という時期に、ワークスアプリケーションズは誕生しました。

ワークスアプリケーションズは、パッケージソフトの普及に大きく貢献し、現在のSaaS市場の誕生、そして業界全体の成長加速を促す存在となりました。

今回のポッドキャストでは、創業したワークスアプリケーションズを売上高500億円を超える企業に成長させ、同社退任後は HR共創プラットフォームを展開する「パトスロゴス」を起業した牧野正幸さん(Xアカウント)にお話を伺いました。

今のSaaSの原型となったB2Bソフトウェアの歴史、時代の変化に合わせた競争戦略や圧倒的な採用力を実現した取り組みなど、ワークスアプリケーションズでの約20年間の経営者としての経験と学び、そしてパトスロゴスでの新たな挑戦について深掘りました。

SaaS業界に関わる方はもちろん、すべての業界にいらっしゃる方に楽しんでいただける学びや気づきが多いエピソードです。ぜひお聴きください。

【ハイライト】

  • 1996年のB2Bソフトウェアの環境について
  • ワークスアプリケーションズの戦略
  • 年間2,000人のインターンを受け入れた理由
  • ワークス出身者に優秀な人が多いワケ
  • SaaSは、もう後退しない
  • AIがSaaS業界にもたらす影響
  • 10年後の日本、そして10年後のSaaS
  • リクルーティング部門には営業やコンサル出身者を入れた方が良い
  • エナジャイズできない経営者は0点
  • 採用のブレーキはかけない方が良い理由
  • 20代の時間の過ごし方
  • 社会貢献の大切さ

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「経営OSをアップデートする」サクセッションには、創業者の「否定」も重要になる。

創業から14年。上場したあとも、絶えず成長を続けるラクスル。先日、このラクスルの創業者である松本さんは、同社のCFOだった永見さんにCEOのバトンを渡しました。

そして松本さんは今、世界中にいるチームと共に、ITデバイス&SaaSの統合を目指すクラウドサービス「ジョーシス」をグローバルで展開することに力を注いでいます。

今回は松本さんに、CEOを退くことを決意した背景や、グローバルな視点でのビジネスの考え方についてお話しいただきました。さらに、彼のこれまでの経験や、これから先の100年のビジョンについても掘り下げた内容になっています。

新たな挑戦を続ける松本さんの話は、夢を追い続ける起業家や経営者に聴いてもらいたいエピソードです。

【ハイライト】

  • CEOのバトンを渡そうと思った理由
  • 「経営OS」のアップデートと、Inorganicな成長に必要なリーダーシップ
  • CEOのサクセッションを上手く進めるためのアドバイス
  • なぜジョーシスだったのか —— アイデアを選んだ理由やその基準について
  • 「ワンチーム」と「ワンプロダクト」へのこだわり
  • グローバル企業のマネジメントについて
  • 松本さんにとって「起業家」とは?
  • 100年後に価値が上がるもの、下がるもの
  • 100年続く事業はどう作るべきなのか

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500年続く老舗和菓子店「とらや」がお客様に愛されながら、変化を恐れず進化し続けられる理由

500年。

想像することさえ難しい、遥か遠い時間にさえ感じるこの年数。

でも日本には、実際に約500年以上続く企業が存在します。その1社が、日本を代表する老舗 和菓子店「とらや」です。今回のポッドキャストは、株式会社虎屋 18代目、代表取締役社長の黒川 光晴さんをゲストにお迎えしました。

お客様から深く愛され続けながら、時に従来のやり方を変えてでも進化の道を歩む。

何百年もの間、大切に守られ続けるカルチャー、そして時代とともに変化を恐れず進化する姿勢。黒川さんのお話を聞いて、人や企業が長く、力強く存在し続けるための本質的な要素とは何なのか、少し見えてきたように感じました。

「とらや」が絶対に譲らない軸は、驚くほどシンプルなものでしたが、企業の在るべき姿を明確に示しているものであり、この軸があるからこそ、お客様から長く愛され続けているのだと思います。

そして、200年以上も前に制定された「バリュー」や「掟書(おきてがき)」には、業界に関係なく、現代に生きる僕たちが大切にしたい言葉たちがたくさん綴られていました。

【ハイライト】

  • いつから虎屋の跡継ぎを意識しはじめたのか
  • アメリカのビジネススクールで学んだこと
  • 1805年に定められた「掟書(おきてがき)」について
  • 伝統を守りながらも、変化するべきこととは
  • 事業の「コア」をアップデートするための新しい試み
  • 数百年以上も続く事業の成功の秘訣

ポッドキャスト編集してくれたkobajenneに感謝


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