SaaS企業が勝つために必要なバリュー

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Photo by: Malcolm Macgregor

企業のバリュー(価値観)は、会社の文化を作り上げるうえでの重要な要素であり、DNAであり、経営層からマネージャー、そして社員それぞれの判断基準や行動指針にもなる。正しいバリューの設定と運用をすることで、掲げたミッションを達成する力強い会社を作ることができる。

今回は、代表的なSaaS企業のバリューをいくつか紹介しながら、僕が思う「SaaS企業が勝つために必要なバリュー」について書いていこうと思う。

Salesforceの4つのバリュー

まずは、「SaaSの王者」であるSalesforceの4つのバリューを見てみよう。

信頼 – 社員、顧客、アドバイザーなど、Salesforceに関わるすべての人達と透明性を持ったコミュニケーションをとり、関係を大切に築いていく。

カスタマーサクセス – Salesforceの成功は、顧客の成功があってこそ。顧客と共に成功し、成長し続ける。

イノベーション – テクノロジーを通じて新たな価値を提供するだけでなく、社員一人一人がイノベーションというマインドセットを持つべきだ。

平等 – ダイバーシティーは、イノベーションとクリエイティビティーの促進に通ずるものと信じている。その人のバックグラウンドを尊重し、共に働ける環境づくりを大事にする。

Hubspotの7つのバリュー

続いてはHubspotの7つのバリュー(これは、この128ページもある英語版資料の中から一部を抜粋、要約したもの)。

ミッションとメトリックス – 私たちは、中小企業を愛している。彼らを成功に導くことが私たちのミッションだ。これを達成するため、私たちはメトリックス(数値)にコミットする必要がある。

顧客のために解決する – Solve For The Customer (SFTC)。顧客を満足させるだけでなく、成功させることが重要だ。

透明性 – 会社の中のあらとあらゆる情報を社員全員に開示する。

オーナーシップを持つ – 自律とオーナーシップを大事にしている。たくさんの細かいルールやポリシーを作るのではなく、個人個人に判断を委ねる。

人>パーク – 会社の最大な従業員特典は、”Amazing People” に囲まれること。謙虚で共感力が強く、柔軟性と透明性のある、有能な人に囲まれる環境である。

ユニークであれ – 他とあえて違うことをしないとイノベーションは起きない。現状に挑戦し続けることが大事。

人生は短い。意味のある事をしろ – 仕事は人生の中の大部分を占めている。だからこそ楽しく、健康で、意義のあることをするべき。

SmartHRの6つのバリュー

そして最後は、勢い良く成長しているSmartHRのバリュー(ウェブサイトからの引用)。

自律駆動 – SmartHRは「100の問題を50人で2問ずつ解く組織」を目指す。そのために、情報をオープンにし、フラットな状態をキープすることを約束する。

ひとりひとりが指示を待つのではなく、みずから解くべき問題を見つけ出そう。そして、自分で判断し、主体的に行動を起こしていこう。

早いほうがカッコイイ – あれこれ悩む前に、動き出そう。まずは荒削りでもOK。最速のアウトプットを心がけ、フィードバックのループを素早く回していこう。

大きな意志決定も、即断即決でいこう。それがチームを加速させ、社会を加速させる原動力になる。

最善のプラン C を見つける – 今あるものが最適解とは限らない。「こんなものだろう」という思い込みを捨て、常識を疑い、俯瞰で物事をとらえよう。

手段や技術に固執せず、柔軟に工夫しよう。選択肢を多く出し、「どちらか」ではなく「どちらも」叶える最善の答えを生み出そう。

一語一句に手間ひまかける – 細部まで徹底的にこだわろう。言葉はもちろん、UIも、コードも、すべてはユーザーや社会に対するメッセージだ。

もっと言葉を磨こう。1 ピクセルにこだわろう。コードの一行一行に魂を込めよう。その小さな手間ひまが、大きな成果につながっていく。

ワイルドサイドを歩こう – なんでも挑戦して失敗しよう。そして、失敗から学び、次へと活かそう。

新しい挑戦にはレールがない。誰も通ったことがない道の先には、誰も提供できていない価値がある。挑戦をやめなければ、いつかたどり着ける。

人が欲しいと思うものをつくろう – 世の中の深い課題に目を向け、大きな変革を起こそう。表面的な解決策ではなく、人々の行動から課題をあぶり出そう。

現在に最適化するのではなく、未来を見据えて考えよう。そして、ユーザーが自慢したくなるほどのプロダクトをつくろう。

SaaS企業が勝つために必要なバリュー

もうすでに気が付いているかもしれないが、3社のバリューには共通している要素がいくつかある。そしてその要素こそが、僕がどのSaaS企業にも取り入れて欲しいと思うポイントだ。

カスタマーサクセス:3社とも顧客目線のバリューを掲げている。SaaSという言葉の最後の”S”は「サービス」をさす。プロダクトだけではなく、セールス、オンボーディング、そしてカスタマーサクセスの全てを顧客目線で設計、実行することで、より良いサービスへと成長させていく必要がある。「顧客と共に成功し、成長し続ける」これがSaaS企業にとって一番重要な使命だと思う。

イノベーション: 顧客がサービスを導入してくれる主な理由の一つは、テクノロジーだ。常に新しい事にチャレンジし続けることによって、他社との差別化を強化し、顧客に最先端のソリューションを提供する。テクノロジードリブンであることももちろん重要だが、挑戦的なマインドセットも会社の文化に根付かせる必要がある。

透明性:SaaS企業はプロダクト、マーケティング、セールス、サクセスなど様々なファンクション間の連携によって成り立つ。この連携力の強さによって顧客の体験が大きく変わる。そのためにも、全社員を信頼し、情報を開示すること。そして社員それぞれにオーナーシップを持ってもらう必要がある。

以上が、僕が考えるバリュー設定をするときに積極的に取り入れると良い「SaaS企業が勝つために必要なバリュー」だ。

ただ注意して欲しいのは、他の企業のバリューをそのまま自分の企業に当てはめようとしても、それは根付かない。自分たちが体現することができる、自分たちに合った言葉とバリューの組み合わせを探す必要がある。

(edited by kobajenne

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