SaaStr シリーズ:営業本部長が90日以内に売上を2倍にした方法

Pocket

SaaStrシリーズ第三弾は2011年にAdobeが買収した電子サインサービス「EchoSign」の元営業本部長が90日以内に売上を2倍にした方法について(元記事はこちら

ブレンドン・キャシディは、我が社が地獄の年から抜け出そうとしていた困難な時期に営業本部長として参画した。リードは増え続けていたが、収益の伸びは停滞していたのだ。

ブレンドンが我々のオファーを受け入れる前に、僕は彼と一緒に座り、彼の仕事の見通しを伝える機会があった。僕は彼を100%信頼していること。そして素晴らしい仕事をしてくれると確信していると言った。しかし、ストレートに言うと、数値のモデリングを構築し、180日以内に売上を2倍にできない限り、会社は十分に大きくなることができず、結果資金が尽きて、失敗する事になるだろうと伝えた。これは、非常に大きな ”注文” であることは分かっていたが、その当時の数字を計算すると、これは成し遂げなければならないことだと伝えた。

彼は、少し時間をかけて会社の数字とデータを見た。そして、僕は、この時の彼の次の反応を忘れることはないだろう。「問題ありません。」と彼が言ったのだ。「十分な原材料があります。リードもあります。そして、何人かの良い担当者もいます。やってのけます。」

そして彼はやってのけた。実際、彼は90日間で売上を2倍にしてしまったのだ。

彼は一体これをどうやって成し遂げたのだろう?そこから何を学べるだろうか?

まず、彼が最初の90日間にやらなかったことを吟味してみよう。 

  • 彼はこの90日間、新しい見込み客や顧客を持ち込まなかった。90日では、大きなインパクトを与えることはできないと考えたのだ。
  • プロダクトはそのままだった。彼が着任した最初の日にプロダクトにあった欠陥やギャップは、90日後もそのままだった。
  • 競争相手が弱くなったわけではない。当然ながら。
  • 価格設定も変更せず、そのままだった。ターゲットの顧客とターゲットの取引サイズも同じだった。ここでもなんら変更はなかったのだ。

それでは、ブレンドンは90日間で一体どうやって売り上げを2倍にすることができたのか。

最終的に、それは以前簡単に説明したことのある1つのメトリックに起因していた。彼は、リードあたりの収益を倍増したのだ。リード・ベロシティ(営業チームがアプローチをしても良いと判別できたリードの成長率)は同じ、リード生成率も同じ。90日間に起こったことは、我々が持っていた各リードから得た収益が2倍になったことだった。

彼はこれをどうやって成し遂げたのだろう?まあ、いくつかの企業秘密も関係しているかもしれないが、僕が観察したのは次の通りだ。

  • 彼は直ぐに(本当にすぐに)実績のあるクローザーでチームをアップグレードした。ブレンドンは、参画して1日程度しか経ってない時点で、我々のステージと価格帯でクロージングすることができる3人の新しい営業を連れて来た。明らかに、彼らはまだプロダクトをよく知らなかった。知るには早すぎたから。だから、ドメインの専門知識は、彼らの成功とはまったく関係ない。しかし、彼らは我々の価格帯での基本的なSaaS販売プロセスを知っていた。そして彼らは有能だった。結果、販売サイクル90日未満で、ブレンドン着任以前からいた営業担当者と比べて最大3倍の率でリードとの取引を完了させたのだ。ドメインについての深い知識がほとんどなくても。
  • 彼は継承したチームを最大限に活用し、効果的に仕事をしていなかったチームメンバーを取り除いた。ブレンドンは、既存の営業チームのサイズを迅速に増やし、なかでも高い見込みのある営業担当と最高の結果をもたらしていた営業担当の2人にエネルギーを集中させた。そして、最も若いSMB営業担当者の驚くべき才能に気づき、直ぐに彼を昇進させた。これにより、彼担当のリードの生産性がおそらく3倍になっただろう。さらにブレンドンは、良い結果をもたらしていない担当者にリードを与えるのを単純に、止めた。考えてみれば、平均以下の担当者に貴重なリードを与えるのはとても無駄な行為である。リードを平均以下の担当者から実績のある担当者に再配布する(そして平均以下の担当者を取り除く)だけでも、大きな変化をもたらした。
  • 彼は、全てを自分1人でやろうとはしなかった。彼が “スーパー担当者” だとしても、これらを全て自分1人でやろうとするには、やることが多過ぎた。代わりに、彼は自分が持っていたリソース内での生産性を2倍、3倍にし、また、以前の中央値の2倍、3倍の確率で営業成績を残す才能がある者を直ちに雇うことに焦点を当てた。
  • 彼は、メトリックとしてパイプラインを使うのを止めた。パイプラインは重要な営業指標だ。しかし、クロージングしなければ話にならない。ブレンドンはパイプラインの無限のチャートと議論に終止符を打った。僕たちは完了することのできる実際のディールについて議論した。
  • 彼は競争を取り入れた。以前の営業チームのほとんどは競争に苦しんでいた。しかし競争はSaaSの世界では当たり前の話。信じられないかもしれないが、多くの人は競争から逃げる。しかし、競争を直ぐに受け入れ、そこから学べば、自分の相対的な短所と長所を学び、少なくとも最初はそこに集中することができる。

素晴らしいマネージメントが、営業本部長の第1の仕事である。雇い、管理し、昇進させ、耳を傾け、反復し、援助する。 これらがブレンドンが最初の90日間にした「すべて」である。他のことをする時間はまったくなかった。同じプロダクト、同じ長所、同じ短所、そして同じ世界。

そして、彼は見事に目標を果たした。

なぜなら僕は、世界レベルのマネージャーを雇ったのであり、マジシャンを雇ったわけではないのだから。

(すべての翻訳記事掲載については、SaaStrから掲載許可を得ています)

(edited by kobajenne



前田ヒロのメールマガジンに登録しよう!

最新の記事やポッドキャストをいち早くお知らせします!


Pocket