SaaStr シリーズ:ARR 1億円から10億円へ 〜 ストレス無く成長する方法


Photo by: Carl A

今日から、このブログのコンテンツの一つとして、アメリカ最大のSaaSコミュニティー『SaaStr』に投稿されてる記事の中で、僕が皆に届けたいと思う記事を翻訳して、皆に届けていきたいと思う。(すべての翻訳記事掲載については、SaaStrから掲載許可を得ています)

今回の記事は、2011年にAdobeが買収した電子サインサービス「EchoSign」を創業、その後SaaStrを創業したJason Lemkinの記事。(元記事はこちら

自分の過去の経験と学びを基に、ARRを1億円から10億円へ、もっと早く-そしてもっとストレス無く達成するための方法10項目をリストアップした内容。

1. 問題解決にかける時間をより少なくして、諸問題を取り扱うシニア人材の採用活動により多くの時間を割く

これは自分が何度もやりがちであったミスで、一緒に働いてきた多くのCEOたちにも見られることだ。ARRが1億円程度に達成したら、もう採用活動に充分な時間をかける人は誰もいない。

もっと酷いのは、すべてを自分でやろうとして、自分で解決することで言い訳をする時だ。

そう、あなたは自分でセールスチームを管理することも、ドリップマーケティングキャンペーンを行うことも出来るだろう。プロダクトが複雑になってきて、どう全体を組み合わせていくのかを忘れ始めたとしても、あなたがまだProduct headの役割を担うことはできると思うだろう。

だが本来は、このような問題を取り扱うことができるVPを採用することに時間を費やす方が良い。 こういうことこそが、ARR 1億円 を達成した会社のトップがフルタイムで行うべき仕事の全てなんだ。自分で何でも問題解決しようとすることが一番時間の無駄で、例えぴったりの人材がいても、その人を雇用しないための言い訳になってしまう。

2. 主要な取引パートナーを数社持った時点で、フルタイムのBiz Dev(事業開発)のヘッドを採用する

僕はこの助言を受けて、その通りだと思ったのにも関わらず実行しなかった。  資金も十分になく、優秀なBiz Dev(事業開発)VPをしっていたわけでもなかったからだ。だから、自分自身、そしてセールス、プロダクト、カスタマーサクセスのVP達とで、主要なパートナーを共同で管理していた。このチームアプローチ自体が大失敗だったわけではない。すべてのパートナーが、VP、またはCレベルのサポートを受けることができていた。

でもそれは同時に「パートナーを戦略的に取り扱える者が誰もいない」ということでもあった。 パートナーの反応は総じて良好だったが、特に競争の激しいマーケットにおいて、それでは不十分で、常に変化し続けるパートナーのステークホルダーの状況をすべて把握できる人が必要だ。  迅速に行動して、パートナーに実際に会いに行く。共有している顧客が、共にハッピーであるよう徹底すべき。リードを運ぶパートナーと戦いながら、マインドシェアを創り出す。 そんな重要なパートナーを2社持ったなら、これはもうフルタイムの仕事になる。 初めは週50時間の仕事に感じられるかもしれない(そうでないかもしれないが)。  でもそれは、この仕事がフルタイムの仕事に値しないということには繋がらないのだ。

3. 迅速に行動する。クライアント、有望見込客、取引パートナーとは会って話す。もっとさらに精力的に。

これは、僕がごまかしてきたこと。  迅速に行動したつもりだったけれど、その頻度が不十分だった。  僕は、多くの業務を自分自身で抱えこんでいることを理由に(Point 1を参照)、クライアントを訪問して、彼らと会って話をするということから遠ざかっていた。でも、この点において、僕は自分自身をもっと追い込んで、行動させるべきだった。

あとで分かったのは、自分が実際に訪問した多くのクライアントは、11〜12年以上経ってもクライアントでい続けてくれている。あくまでも自分が携わっていた中での話だけど、訪問して会って話をしてきた顧客を失ったことがない。でも、トップクライアントをCEOが直接訪問しなければ、強い関係づくりをすることはできない。最低でも四半期に2回は、足を運ぶことだ。

これは、(ハードコストの面で)このフェーズで会社の規模を拡大するためにできる最も安価な施策のひとつ。もしあなたに十分な資金がない場合でも、トップクライアント、有望見込み客、取引パートナーを訪問して話をするくらいの余裕はあるはず。

4. ARR 2円ごとに1円をバランスシート上で確保すること。  それ未満であれば過少投資していると考える。

僕たちは、ARR 約4億円でキャッシュフローをプラスにすることが出来た。  これを実現できたのは、僕たちがローコスト・リードを生み出すセカンドオーダー・レベニューに注力したことにあって、その結果、毎月110%以上のMRRを現金で取り入れることができたからだ。 皆にも実行してみてほしい。最初の段階で資金繰りが上手くいかなかくても、このポイントのあたりでキャッシュフローをプラスにし始められるはずだ。

これは素晴らしいことであり、ベンチャーキャピタル及び他の利益から生み出された自由だった。だがこれには隠れた税金があり、僕はそのことを表面的にしか理解していなかった。僕たちは、ARR 4億円、バランスシート上で約1.5億円で、キャッシュフローをプラスにした。そして負債を少し(1.25億円ほど)追加することで、バランスシート上の数字を2億円までにしたが、会社が成長するにつれて、これでは不十分となった。  ARR 8億円で、銀行にキャッシュが2億円ある場合、5000万円~7500万円超、最高1億円の投資を行うというのはかなり神経質になる。1億円の投資が心配な状態で、セールス担当を20人追加採用したり(ARR 10億円を射程に入れると必要になる)、ヨーロッパにオフィスを新設したり、大きなキャンペーンとイベントを実施するためにコストをかけるのは難しい。これは微妙だが、SaaSでは、ARR 50%未満が銀行にある場合、投資が不足していると言える。

あなたがイニシャル・スケールに近づいたら、少なくともある程度の戦略的債務を引き受けることを検討する価値がある。ガソリンタンクがほぼ空であることを知らせるライトを点灯させたくないと思うこともあるだろう。それこそが一歩を踏み出したくなる時なんだ。

5. CTO主導からVPE主導の開発チームにする。 これ無くして本来のエンタープライズにはなれない。

これは我々の多くが理解しているトランジションだが、順序が若干間違っている。  多くの場合、エンジニアリングのVP(VPE)を採用して、CTOからの引き継ぎを行う。というのは、CTOが燃え尽きてしまったり、8〜9名を超える開発チームの立ち上げにトラブルを抱えたり、技術的な負債やバグなどの問題を解消することに無関心になるところを見ているから。こうした事態の組合わせは、経験値の高いVPEを採用するタイミングであることを示す合図としては十分だ。

だが、SaaSにおいてもまた、もっと微妙なフェーズトランジションがある。大企業のニーズを本当の意味でサポートしていくためには、ベテランのVPEが必要になるだろう。大手やパワーを持つ会社または人間と話せる人間。それは、セキュリティ、データ、プロテクション、コードレビュー、暗号化、キーストア、リリース管理などについて、企業がどのように考えるかを真に理解していて、実際にその経験がある人間だ。大企業のクライアントからの信頼を得るには、そういったVPEが必要だ。彼らは、大企業のニーズに素早く応えることができる体制へと会社を変化させていくだろう。

6. 早い段階でアウトバウンドチームを追加する。それは、いつも必ずうまく行く。

これは今でこそ広く理解されていることだが、僕にとってはかなり斬新な話だった。僕は、高速で対応するアウトバウンドチームを管理したことも、立ち上げたこともなかった。そして、ARR 1億円から10億円の間、僕たちの会社には、たくさんの(多岐にわたりながらも非常に多くの)インバウンドリードがあったので、かなり後になるまで、伝統的なアウトバウンドチームを立ち上げることはしなかった。でも、今言えるのは、もっと早くに立ち上げるべきだったということ。重要なのは、それはいつでも必ず功を奏するということだ。

今日のSaaSの世界の教訓は、もし大量のリードを持っていたとしても、アウトバウンドチームは早めに立ち上げるべき。このチームは、あなたの会社のスイートスポットの中でも最も大きなアカウントを狙うことが出来る。そのこと自体に価値がある。会社の歴史の中の早い段階で、そうしたロゴやブランド、名前を得られることは必ず何かに繋がる。このような「付加的」なアウトバウンドチームは、インバウンドエンジンの中核が稼働している限り、コストさえカバーできれば良いと思う。最初の1年で1円の売上を立てるために1円を使ったとしても、構わないと言っても過言ではないだろう。

7. カスタマーカンファレンスを早めに開催する。

SaaStrアニュアルの規模を考えると、これは皮肉に満ちているように思えるかもしれないが、僕は、カスタマーカンファレンスの趣旨を理解するのが遅かった。僕が目の当たりにしたのは、Dreamforceのパワーだった。でも、セールスフォースはとても複雑なプロダクトだ。

僕たちのプロダクトがどれだけ簡単に使えるのかを説明する内容で、まる1日分のコンテンツを埋めるなんて、そんな方法は僕には分からなかったし、ましてや十分なクライアントを集めることができるかどうかも分からなかった(1000人でも分からない)。

その結果、ARR 12億円 に達成してやっと初めてのカスタマーカンファレンスを行うことになった。そしてこれは間違っていた。絶対にクライアントが集まることができる場所を作るべきだ。例えそれが10〜20社しか集まらない場合でも実施すべきだ。

8. セールスチームを早期に特化型にする。クローザーにはクロージングを、オープナーにはオープニングを担当させ、フィールド/ミッドマーケット/ SMB区分を早期に行う。

これは、今では多くの人が理解しているものだが、僕はこれを学ぶのに少し時間がかかった。初期段階ならば、「フルスタック」のセールス・プロフェッショナルがいることに問題はない。でもそれは、その段階までだ。一般的に、セールス・プロフェッショナルは一つのことが得意であり、アウトバウンドが得意な人もいれば、アカウント管理が得意な人もいる。インバウンド、大規模ディール、小規模ディール、中規模ディール、複雑なディール、2コールクローズディール、ハイベロシティ対ローベロシティ・・・このうちのいくつかの分野に優れている人はいないし、ましてや全分野において優れている人もいない。もし、得意でない分野のセールスをやらせた場合、そのセールス担当の多くは失敗するだろう。

セールス担当が、イエローページを開いて1日のスケジュールの50%を使ったとする。そして25%はランダムなリードが舞い込んでくることを期待する。そして残りの25%は付随した仕事にあてる。そんな日々はもう終わりだ。セールス担当が3人の時点でも、すべての担当者は自分が得意なことをやらせるべきで、特化型になるべきだ。例えば、SME・中規模サイズのマーケットのクローザーは、1日のアポイントメント数を1〜2件ではなく、4件にすべき。それには、通常は誰か他の人がアポの設定をする必要がある。でも、もし2件ではなく4件のアポをこなすことができれば、それはクローザーの生産性を2倍にすることができるということだ。そしてその結果、セールス担当からさらに高い生産性を期待する事ができるようになり、クロージング率、リード毎の収益もより高くなるだろう。これをやらない手はない。

9. カスタマーマーケティングをさらに強化する。 クライアントとの契約が締結されても、マーケティングは終わらない。

クライアントを1件獲得するのにいくらかかっているのかは把握しているだろう。では、売り上げた後、そのクライアントが継続してプロダクトやサービスを使い続けてくれるよう、そしてアップセルを狙うマーケティングのために、カスタマーライフタイムの何%を費やしている?いくら費やしているのか、または費やすべきなのか、その答えを知っているのは、恐らくこれを読んでいるほんの一握りのSaaS経営者だろう。

この答えは絶対に知っておくべきであり、計画も持つべきだ。そして、それに対する人材も採用すべきだ。リカーリングレベニューモデルの場合、プレ・セールカスタマーマーケティングと同じくらいポスト・セールカスタマーマーケティングが重要になる。リニューアルや競合からの獲得、アップセルをゴールとする別のチームが必要になる。そして、それらの収益源の一部をマーケティングに対して使うべきだ。最低でも5%、長期的に考えるなら10%でも良いと思う。

カスタマーサクセスのプロは、優秀で重要だが、彼らはマーケターではない。カスタマーサクセスチームにカスタマーマーケティングをさせても良いのは初期段階までだ。ARR 5億円を達成したら、そこは分けておかないと、上手く回らなくなってくるはずだ。

10. ARR 10億円達成に近づいたら、ブランドへの投資を積極的に行うべき。最初は馬鹿げた話に思えるかもしれない。でも、これが70%以上のアーリーアダプターでない企業がベンダーを選ぶ判断基準になる

最後のポイントは、僕がやった微妙な間違い。ARR10億円を達成させた僕は、セカンドオーダーレベニュー、リファーラルそして、幸せな顧客が持つパワーを良く理解している。しかし、僕はそれが全て真の「ブランド」であるとは思ってなかった。初期段階において、ブランドにあまりこだわる必要はない。なぜなら、そもそもブランドなど持っていないからだ。だからニッチな分野においてミニブランドを得るようになって、それがリードの生成につながる。

そして、ARRが10億円に近づいた時、このミニブランドがブランドに変わる。僕が考えるこの差は、あなたの会社が、アーリーアダプターではない企業にとっての最初の選択肢になっているということだ。アーリーアダプターはベンダーリスクを取りながらも革新さを求めて、挑戦することを好む。しかし、事業領域が成熟して、このアーリーアダプターのフェーズを離れたら、その先にいる多くのクライアントは、どのベンダーを採用すべきなのかを教えてもらいたがる。だからこそ、トップブランドになるということは非常にパワフルなことなのだ。もしかすると、前職で採用した実績があって、次もまた採用してくれるかもしれない。Techcrunchの記事やブログポストで見かけることがきっかけになるかもしれない。とにかくARR 10億円に達した時、その分野であなたの会社は多くの人に知られている存在になっているだろう。

だから、ARR8〜10億円以上になったら自分のブランドに投資する。一番有名な展示会に行ったら、リードを獲得するのではなく、既存クライアントに会うべきだ。どこにでも行って、ありとあらゆる場所に参加する。コンテンツマーケティングを実行するのは、自分のプロダクトやサービスを売るためじゃない。既存のクライアントを助けるために実行するんだ。ステージにあがれ。コーポレートマーケティングのVP、そしてCMOを採用する。

そしてブランドを守り抜く。一度でも無くしてしまえば、それを取り戻すのは至難の業だ。でも、もし投資し続ければ、それはその先何十年も続くブランドとなるだろう。

(edited by kobajenne

ARR100億円のSaaS企業を作る10項目

先日、支援先のPOLLIFE PEPPERが主催するイベントで、① 世界最大級のSaaSカンファレンス「SaaStr」について、そして② 過去僕が20社以上のSaaS企業に投資して学んだ事について話をさせてもらう機会があった。

今回のポッドキャストでは、このイベントで話した2つ目の内容の一部を公開しようと思う。

以下はポッドキャストで話をしている内容のサマリーなので、ポッドキャストを聴きながら、または聴いた後に読んでみて欲しい。

その1:まずは、カスタマーサクセス

SaaSに必要なのは、とにかくまずは「カスタマー・サクセス」だと思う。

このステップを後回しにしたりスキップしてしまうと、後で痛い目をみる。

カスタマーサクセスをきちんとやれば、クライアントの満足度が上がり、リファレンスを出してくれる。良いリファレンスが多ければ、新規クライアントの獲得ハードルも下がる。

退会率が、年間10%なのと1%なのでは経営の難しさが全然違う。

最初は小さく感じるかもしれないけれど、売上の数字が大きくなればなるほど退会率の痛みも大きくなる。

目標にすべき更新率の目安は、年間契約の場合で更新率が90%以上であること。

月契約の場合は、チャーンレート1%未満で運用すべき。

その2:採用計画を達成しなければ、売上計画を達成することなど不可能

売上を伸ばすためには、人が必要だ。

売上を1億円伸ばすために必要なカスタマーサクセス人員は1〜2名を目安にすると良い。

また、営業一人あたりが新規で獲得する1年間のARRは5,000万円。ということは、ARR5億円を達成するには、10人の営業担当者が必要になる。

一人あたりが取れるARRを考慮しつつ、会社の目標を達成するために、何人の人員必要なのかを常に考えなくてはいけない。

もう一つ忘れてはいけないのは、新しく人が入社した後、その人がフル稼働できるようになるまでに時間がかかるということ。計画を立てる上で、この点も考慮する必要がある。

その3:ポジショニングが超大事

クライアントが「これが自社にとって最適なプロダクトなのだ」と一瞬で分かるような売り方をするべきだ。

展開するプロダクトはハイエンドなのか、またはローエンドなのか。

例えば人事労務や建築など、どこの部署または分野に特化するプロダクトなのか。これらをはっきりとしてポジショニングすることが重要。

もし、クライアントに対するアピールポイントが機能比較になってしまった場合、それは既にポジショニングに失敗しているということだ。

プロダクト導入を検討する時に「○○なら▲▲社のプロダクトだ(「人事労務ならSmartHR」のように)」と瞬時に自分たちのプロダクトを相手に思い浮かべさせること。そして、導入検討に使う時間など必要無いほど素早く、相手が導入を決断できるような、《決定的なブランド力と実績》を持つことが大切だ。

狙ったポジショニングは、独占できたほうが良い。勝率9割以上にするべき。

営業とマーケティングの戦略は、とにかく顧客目線で。

導入するプロダクトをクライアントが選ぶ時どのようなことを気にしているのか、どのような判断基準があるのかをリストにしてみる。その結果、自分たちのプロダクトが第一候補になれているのかを常にウォッチすること。

実は、負けても良い商談もある。そもそも狙ってないポジショニングで負けたのであれば、それは無視しても良い。しかし、自分たちの強みとしているポジショニングで負けた場合は、かなりシビアに見たほうが良い。

負けてもいい商談、絶対に勝たないといけない商談を明確にすべきだ。

その4:価格、価格、価格

「最適な価格」は常に変化する。あのSalesforceでも、7回ほど値段が変わっている。

プロダクトは常に進化しているのだから、クライアントにとってのメリットが増えれば、価格が上がるのは当然の動き。また、カスタマーサクセスのコストが上がった場合も、価格を上げるタイミングに繋がる。

価格によって、プロダクトの見え方が変わる。

価格は、ハイエンドなのかローエンドなのかを表現するための一つの方法だ。

価値、価格の両方の面で何一つ懸念されずにプロダクトが売れ続ける時は、値上げを検討するべきタイミングだ。プロダクトは、少しの文句を言われながら導入されるのがちょうど良い。

ありがちなのは、最初の価格設定を安くしすぎるケース。とりあえず、次のクライアントには、その2倍の価格で提案してみると良い。過去、初期の価格設定を3万円にしていたプロダクトが、30万円にまで値上げを成功させたことがある。自分たちが考えるプロダクトの価値とクライアントが考える価値は異なる。自分たちの目線より、クライアント目線で探るべき。

その5:売上継続率100%以上でないとユニコーンにはなれない

アメリカの上場SaaS企業49社の平均売上継続率は約120%。

少なくとも売上継続率が100%以上でないと、時価総額1,000億円の企業にはなれないと思う。

現実に売上継続率180%の企業も存在し、その企業は既存クライアントだけで翌年の売上が80%増になる。売上継続率が高いということは、顧客満足度が高くなり、顧客が定着する。

ということは、新規に必ず獲得しなくてはいけないクライアント数が減ってストレスが減り、企業経営自体が楽になる。

クライアントが成功すればするほど、価格を上げられる料金体系にすることが重要。

とにかく意識すべきは、クライアントの成功の単位。人事はヒト単位、営業は顧客単位、デベロッパーはAPIコール単位、アカウンティングは金額単位など。どのような単位で物事を考えているのかを念頭におく。

その6:プレイブック無しでは、スケールできない

SaaS企業は、多くの人を入社させて、戦力化させていく必要がある。

すべての部隊に、それぞれのプレイブックが必要。

営業チームなら、営業時のスクリプトや、商談のスタイル、戦略など。

カスタマーサクセスチームなら、顧客の成功の定義など。

マニュアルやプレイブックを持つことが超重要だ。

初期段階は属人的でも問題ないが、部隊が100人以上になったときに属人性のある体制は負債になる。

そして、ARR10億円を超えると、プレイブックがないと企業全体が成り立たなくなると言っても過言ではない。

その7:CS、セールス、マーケ仲良くせなあかん

本当に成功しているSaaSは企業は、部署間の連携能力が高い。

例えば、営業チームは顧客が何を考えているのか。どういう機能があればさらに導入してもらえるのかを理解しているはず。この情報は絶対にプロダクトチームにフィードバックするべきだ。

営業チームが現存するプロダクトを販売し続け、プロダクトチームは自分たちの仮説に頼って開発を続けていく状態は、一番避けたい。

また、既存クライアントが何に困り、何を求めているのか。どうしたらよりハッピーなシチュエーションを作り出せるのかは、カスタマーサクセスチームが一番理解しているはず。この情報もプロダクトチームにフィードバックすることで、今後のプロダクトがよりクライアント目線のものになる。

その8:セールスフォースを使い倒せ

どこかで、事業の成長スピードが遅くなったり、いつもより高いチャーンレートになったりする場面に出くわす。そんなとき重要なのは、どれだけ早くその原因を突き止めることができるかだ。

リードからのコンバージョン率、成約してからの継続率などのKPI管理、各クライアントのライフサイクル、その他全ての情報をしっかり管理して、いつでも見返して分析できるようにしておくこと。

これらの情報が整理できていないと、いざ営業効率を上げる必要が出てきた際に、どこから何を始めるべきなのかが分からなくなる。

その9:SaaSは人めっちゃいる

Boxは、ARR700億円突破のタイミングで従業員1600人、SendGridは、ARR100億円突破の時に従業員300人が在籍していた。なかには、ARR10億円のタイミングで従業員100人を突破しているSaaSスタートアップも存在する。

伝えたいのは、SaaS企業を経営者は、たくさんの人を雇う組織を経営する覚悟が必要だということ。

SaaS企業に「少数精鋭」は、ない。

大規模で、人がたくさんいる状態をイメージして経営した方が良い。会社の文化、採用基準、コミュニケーションの取り方、目標設定の仕方など、これら全てを上手くまわしていくことが出来ないと100人、300人が在籍する組織の経営は不可能だ。

少しでも壊れたなと思った時点で、スピーディに対応し修復すること。たとえ、従業員が20〜50人のタイミングでも、それは同じ。一旦放置すれば、修復はどんどん困難になる。覚悟が必要だ。

よく、プロダクトには興味があっても、経営には興味がないという経営者がいるが、経営に興味がなければ、ARR50億円、100億円の会社は創れない。

マネジメントや経営に、関心を持って欲しい。

人を採用して活かすこと。高いパフォーマンス性を維持できる組織にしなければならない。

その10:SaaSは美しい。なんとかなる。

SaaSは、矛盾がないビジネスモデルだ。

クライアントの満足度が高ければ退会率が低くなる。

退会率が低ければ、その年の売上が来年の売上としても残っていく。

そういう美しいビジネスモデルだ。きちんとやれば必ず良い会社になっていくはずだ。

そして、他のビジネスモデルと違って、急に売上がゼロになることがない。

そう、なんとかなる。

SaaSは、正しくやれば、正しく成長する。

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1on1を語る

『1 on 1』の実施は、マネージャーがレバレッジを効かすための機会をつくり、部下にとっては自身をより成長させて自立に繋げられるヒントを得られる機会をつくることができる。今回のポッドキャストエピソードは、スタートアップ向けの人事コンサルを専門にされている金田さんと一緒に『1 on 1』について様々なことを語りました。

【サマリー】

  • 1on1の目的はアウトプット/成果にレバレッジをかけること(単なる悩み相談ではない)
  • 1 on 1のはじめ方
  • 意識すべきこと
  • 頻度と時間の目安は、隔週で30~60分(実施する曜日も時間帯もちゃんと考慮すべき)
  • 1on1の流れ:①仕事の進捗確認→②フィードバックセッション→③目標と評価の確認
  • 心理的安全をつくるためにメンバーがマネージャーへフィードバックする(フィードバックは問題点・改善点を伝えるだけではない、まずは良いことから伝える)
  • KPTフレームワークについて
  • マネージャーはコーチングスキルを高めるべし
  • マネージャーだけではなく、HR/人事も含めた全社員との1on1を実施し、組織課題を潰していく(半年に1回とか)

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世界最大級のSaaSカンファレンス「SaaStr Annual 2019」に参加してきました!


Photo by: Hiro Maeda

先週、アメリカ・サンホゼで開催されたSaaSカンファレンス「SaaStr Annual 2019」に参加してきた。Hubspot, Box, Glassdoor, Gainsight, Twilioなどの著名SaaS経営者が集まる世界最大級のSaaSカンファレンスだ。僕にとってこれで3回目の参加となるこのカンファレンスのハイライトを早速共有したいと思う。

SaaS企業はARR 1000億円まで複利的に成長する 〜 SaaS企業の良いところは、成長に複利効果があること。数年前まではARR 100億円を突破することが凄いことだったが(今でも凄いこと!)最近ではRealPage, Zendesk, Hubspot, Okta, Dropbox, New Relic, Twilio, Box, Workday, VeevaやShopify等のSaaS企業が、ARR 1000億円を突破またはその寸前の規模にまで成長している。

SaaS企業のM&Aが巨大化 〜 この一年の間で大型SaaSのM&Aが目立った。Githubが8000億円以上、Qualtricsが8700億円以上、そして先週Ultimate Softwareが1.2兆円以上。

”新たなヴァーティカルに展開する時は、そのヴァーティカルで1位になれる自信が必要” 〜SAPに8700億円以上で買収されたQualtrics代表はこのように言及していた。とにかく業界2位のプロダクトは、1位のプロダクトを売るよりも難易度が急激に上がるのだ。

”全SaaS企業は上場を目指すべき” 〜 これも同じくQualtrics代表の言葉。M&Aをプランニングするのは極めて難しい。実際Qualtricsも、上場申請の直前で買収されている。

未上場のSaaSユニコーン企業は55社! 〜 時価総額1000億円超えの上場しているSaaS企業も含めると、その数は99社にのぼる!

上場しているSaaS企業の時価総額は、間もなく100兆円を突破する 〜 2019年2月5日現在で7.5兆円。

Net Retention(売上継続率)によって企業評価が大きく変わる 以下の例だとNet Retention 15%の差によって、企業評価に1600億円もの差が生じている。

新たなカテゴリーを生み出した企業は 〜 そうでない企業と比較して売上成長率が53%高く、企業評価も74%高い(2009〜2011年の間)。カテゴリーを生み出すことによって競合も少なくなり、またマーケットリーダーとして見られやすい。

ビジネスオペレーションを採用するべき 〜 Glassdoorは、ARR 50億円超えたところでカスタマーリテンションが大きく下がった。その原因を突き止めるべく、複数の部署を横断的に分析するビジネスオペレーションの担当者を採用した。多くの場合、その原因は1つの部署に留まることがないからだ。そしてこの結果が、Glassdoorの急成長に大きく貢献することになる。

”僕らは勝ってるのか?” 〜 と起業家は常に自分に問うべきだ。HostAnalyticsの社長によると、この問いは次の一手を見つけるヒントになる。

経営者はストーリーを語ることが仕事になる 〜 ARR 60億円以上のSaaS企業を経営するJellyvision社の社長Amanda Lannert氏の発言。リーダー達を指導する規模にまで会社が成長したら、経営者はとにかくビジョンを繰り返し語り続け、優秀な語り手になる必要がある。

SaaS企業のMendoza線 ~ Scale Venture PartnersのRory氏によれば、ARRが10億円を超えると、年度成長率が毎年15%〜20%程のペースで減速していくケースが多く見られる。

つまり、ARR 10億円超えた時点の成長率から、その先の成長率をある程度予測することができるということだ。例えば、年度成長率120%でARR 4.5億円からARR 10億円にたどり着いたSaaS企業の場合は、5年後、133億円のARRと翌年成長率36%で着地する(毎年18%の減速を想定)。

別の例として、94%の成長率でARR 10億円を突破したSaaS企業は、そこから6年かけてARR 100億円を突破するということになる。ARR 10億円突破のタイミングで勢いをつけることが大事。

とは言え、Qualtricsは10年かけてARR 35億円突破し、そこから6年でARR 300億円を突破した 〜ことを考えると、全てがMendoza線に沿って動いているとは一概に言えない。

このカンファレンスは、とにかく会場全体がポジティブな空気で溢れていて、改めてSaaS業界の勢いを感じた。僕も引き続き、さらに日本のSaaSを盛り上げるために積極的に動いていきたい。

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起業家にとってレバレッジが効く仕事とは?


Photo by: DzyMsLizzy

過去に何度も書いているように、スタートアップはとにかく忙しい。起業家はすぐにやりたい事ややるべき事が山積みになり時間に追われるようになる。でも、プロダクト/マーケットフィットを達成しているスタートアップの起業家は、ハイスピードで様々な作業をこなすマインドセットから「レバレッジが効く」仕事に時間をかけるマインドセットへとスイッチする必要がある。

起業家にとってレバレッジが効く仕事とは?
多くの起業家は、顧客の獲得や、プロジェクトマネージメント、バックオフィスのタスク処理など、どうしても短期的に会社のKPIに直結する作業をしたくなるだろう。だが、こういった業務にはレバレッジが無い。「レバレッジが無い仕事」とは、アウトプットを再利用できなかったり、組織の中の影響範囲が狭かったりする内容の仕事を指す。

逆にレバレッジが効く仕事は、一度出したアウトプットを何度も何度も利用することができ、組織への影響範囲が大きく影響を与える時間軸も長いものだ。レバレッジが効く仕事は、KPIに直結しない、緊急度が低い内容になってる場合が多く、一見時間の無駄に見えてしまうかもしれないが、実は非常に重要度が高いのだ。

起業家はどのような「レバレッジが効く仕事」を行うべきなのか?
以下は、僕が考える起業家にとって重要なレバレッジが高い仕事の例だ。

ゴール設定:会社全体のゴールを、部署さらには社員レベルにまで落とし込むこと。 社員一人一人がどんな事にフォーカスするべきなのかを明確にすることで、部署間のコラボレーションがより円滑に進めることができるようになったり、それぞれが整合性を保った働き方ができるようになる。さらに言えば、社員の自己啓発につながるフレームワークとなる。社員全員に四半期から一年単位で影響していく内容になるため、目標設定には十分に時間をかけることを高く勧める。

オンボーディング / トレーニング:社員のオンボーディングやトレーニングの設計作業は掛け算効果がある。新入社員を戦力化するまでのスピードを上げることもできるし、業務効率の向上にも繋がる。GmailやSlackの使い方を教えるだけでも、その社員の今後の人生のアウトプットは上がるだろう。また、マネージャーや幹部層のトレーニングやコーチングも高いレバレッジがある重要な仕事だ。

コミュニケーションのプロトコル:良いアイディアや判断は、悪いコミュニケーションによって殺される。起業家の思いや考えを社員一人一人に届ける仕組みづくりもレバレッジが効く仕事の一つだ。会議の仕方や1on1のやり方、クラウドサービスの活用方法次第で、社長から社員へ、そして社員同士のコミュニケーションをより効率よく、効果的にすることができる。

幹部やマネージャー採用:マネージメントや幹部層の強化は、起業家にとってレバレッジが非常に高い。強いリーダーシップは「優秀な人材の巻き込み力」を強化し従業員を活かすことができる。そして何より、これによってレバレッジが高いその他の仕事に取り組むための時間を確保することができるようになる。

レバレッジ無しではスケールはできない
自分の時間は常にに一番貴重であり、有限なものだ。会社をスケールするためには、組織としてのアウトプットを上げ続けていく必要があり、そのためには自分が働いていない間でも効果を感じられるようなレバレッジが高い仕事を行わなければならない。自分のカレンダーやタスク管理アプリを見て、『レバレッジが効く仕事』がどのくらいできているのかを確認してみてほしい。

(edited by kobajenne

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マーケットプレイスの立ち上げと拡大方法、そしてネットワーク効果の考え方。〜 Fablic 堀井 翔太

日本初のフリマアプリ「ラクマ(旧Fril)」を運営する株式会社Fablicを創業し、2016年に楽天株式会社に同社を売却した堀井 翔太氏。フリマアプリの立ち上げ方、ネットワーク効果について、そしてFablicを通して学んできたことについて聞きました。

【ハイライト】

  • マーケットプレイスの立ち上げと拡大方法
  • マーケットプレイスのジレンマ
  • ネットワーク効果の考え方について
  • プロダクトがコモディティー化するスピードについて
  • プロダクト・マーケットフィットを達成した後にやるべきこと

Photo and sound edited by kobajenne

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SaaSスタートアップの企業価値にインパクトを与える「ポジショニング」


Photo by: Scott Friesner

ARR(年間定額収益)が同じ規模なのに、VCが付ける企業価値が全く異なるケースがよくある。ARRの10倍にも満たない額で評価される会社もあれば、100倍以上の額で評価されることもある。この差を生み出すのは一体何なのか?

これには、様々な「ポジショニング」が影響している。

データ・ポジション:SaaS企業が提供しているプロダクトを通して、どんなデータが蓄積されているのか?この情報の価値はどれほどのものなのか?そのデータを元に新たな価値提供やマネタイズが可能になる企業の方が評価される。

例えばそのSaaSプロダクトがないと収集することが難しい情報(会社の健康状態、顧客の関するインサイト、財務分析等)や、行えない決断(人材の適材適所、予算の配分、与信等)があるほど、「価値のある良いデータを蓄積できている」と言えるだろう。

時間が経過すればするほど、または導入企業数が増えれば増えるほど、サービスの精度が上がるのか?クライアントに還元できる価値が上がるのか?機械学習を活用できたり、他社からの参入障壁を高めるようなデータを築くことができれば、さらに評価される。

カスタマー・ポジション:顧客のどんな課題を解決しているのか?大きな予算をかけてでも導入する価値があるような〈大きな課題〉を解決できるのか?それとも、優先度が低く、景気が悪くなれば直ぐに打ち切られる可能性があるのか?

当然のことだが、顧客が日々課題として感じているものを解決できるプロダクトであるほど依存性が高い。僕がいつもSaaS企業を評価するときは、ターゲット顧客の「トップ3の課題」を解決できるのかを気にしている。

マーケット・ポジション:狙っている市場はどれぐらい競争が激しいのか?すでに既存プレイヤーが多く、差別化要素が弱いとなかなか良い評価はつけずらい。また、似たようなサービスが同時多発的に生まれていたらプレミアもつきずらい。

チームの構成、プロダクトの性質、競争環境を考慮して、ニッチで独占的なポジションを取れると感じられたら、それは大きなプラス要素になる。

SaaS業界全体の企業状態を表す指標は様々だが、特にベンチャーSaaS企業の場合は特有の評価基準があり、インパクトを与える要素も独特だ。
この「ポジショニング」によって企業の強弱が決まるので、今後の事業展開や戦略を考えたときはこのような要素を含めて考えると良いだろう。

(edited by kobajenne

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組織にコミットする時代へ


Photo by: 1st Brigade Combat Team 82nd Airborne Division

世界中でスタートアップへの注目度が急激に高まっている。
ユニコーン企業の数も250社を超え、2018年アメリカ国内のベンチャー投資総額がすでに6.2兆円に達するなど、ドットコムバブル以来の驚異的なスピードで業界全体が動いている*。日本国内でも、2017年ベンチャー投資総額は2700億円を突破。これは2012年の4.3倍の金額だ*。これによって、資金力があり採用余力のあるスタートアップが世界中で増え、人材獲得の競争をより激しくさせている。

特にこの競争が激しいと感じられるのは、Google、Facebook、Apple、Amazon、Airbnbなどがあるアメリカだ。従業員の平均勤務期間が2年以下の企業が多いというデータが発表されている*

採用の競争がどんどん激しさを増すなか、起業家や経営者は人を巻き込み、活かし、そして人が残る良い組織をつくる事にコミットしないと真の「良い会社」は作れない時代になったと僕は思う。では、実際にどんなことにコミットすべきなのか?以下は、この時代の起業家に必要な ”3つのコミット” だ。

従業員に対してコミット
いま、働き方の選択肢がどんどん増えている。動画やソーシャルメディア、クラウドソーシングなどのプラットフォームの拡大によって、自分がパッションを持った分野でお金を稼ぐということがしやすくなった。
つまり、「お金(給料)」だけで人を巻き込むということはもうできないのだ。ミッションやビジョンへの共感。会社への貢献を実感できて自身の成長を感じられること。生きがいや働きやすさを常に実感できる環境づくりが重要になる。
従業員の育成、フレームワーク作り、方向性の定義など、すぐに結果に直結しないことに対して時間とマインドシェアを割り当て、コミットしていく必要がある。

素直になる事にコミット
良い組織をつくるために最も重要なのは、「素直さ」だと思う。トップダウンだけでなくボトムアップでフィードバックや情報を取り入れて、経営やマネジメントに反映させる必要がある。経営陣やマネージャーは、自分たちの弱みをお互いに見せあい、間違いも負けも素直に認める必要がある。

プレイヤーとして優秀な人は、自ら役割を果たし、成果や実績を築き上げる。そして効率よく働き、答えを導き出す。一方、経営者や管理職に必要なのは、重要な役割をメンバーに委任し、メンバーが成果や実績を出せる環境をつくることだ。

必要なのは「効率よりも育成」「答えよりも誘導」だ。

だから、プレイヤーとして優秀な人ほど、経営やマネージメントに携わることになったときに違和感を感じる。この変化を受け入れられる「素直さ」があるかどうかで良い組織づくりができるかどうかが決まる。

最高を目指すことにコミット
〈業績が良い = 組織の状態が良い〉というわけではない。
もちろん、業績伸びれば従業員の満足度は上がる。その一方で、組織の欠点や課題が見えづらくなる。良い時でも悪い時でも、徹底的に組織の状態を把握し、課題の早期発見と解決に取り組む「”最高” を目指すコミットメント」が必要だ。

そして最後に。僕自身ベンチャーキャピタリストとして、「最高の組織」を作るための支援ができるよう、起業家にとって良いコーチになれるようなスキルを磨き、経験を積み、そして良い組織のつくり方に対する知識を蓄えることをここにコミットする。

(edited by kobajenne

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情報を自分ごとにする重要性。妄想と無知さが生み出す戦略。〜 delyの堀江裕介

1200万ダウンロードを超える大ヒット料理動画レシピサービス「クラシル」を運営するdelyの堀江裕介さんにお話を伺いました。先日発表した、Yahoo! JAPANとのパートナーシップで話題になっていますが、今回のインタビューでは、彼の経営フィロソフィーや性格について聞きました。

【ハイライト】

  • 学生起業家の武器。
  • 妄想と無知さが特殊能力
  • アウトプットをあげるインプットの処理方法
  • 孫さんに気づいてもらった方法
  • 短期的には超シビア。長期的には楽観的。
  • “ハート to ハート”で人を巻き込む。
  • 人を採用するときは「夢とお金」は欠かせない。

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最高の組織をつくるための必須ツール『1 on 1』


Photo by: The DEMO Conference

「最高の組織」をつくるには、従業員一人一人が自身のミッションを理解し、目標、期待そして戦略を明確にすること。そして、自身のアウトプットが会社全体に貢献しているという実感(自信)を持てる環境づくりが必要だ。

1 on 1は、これらを実現するために必要不可欠なツールであり、もしマネージャーに必要なスキルを一つだけに絞るとしたら、僕は「1 on 1を上手く行えるスキル」を挙げる。

マネージャー=時間のレバレッジ、部下=集中と成長のきっかけ

マネージャーにとって、部下との定期的な30分間1 on 1の時間を設けることは、レバレッジを効かせるための重要な時間になる。

1 on 1を通して「いま何が大事なのか」の認識をお互い再確認し、情報をシンクロさせる。これが、”選択と集中” の絶好の機会になる。会社の成長に貢献するアウトプットを増やし、部下のさらなる自立に繋げていくことができる。

また、マネージャーにとっても自分以外の視点で会社や組織の課題を拾えるきっかけになり、自分自身の成長に繋がるフィードバックを受け取ることができる。

何よりも1 on 1は部下との信頼関係を深めることができる。

進捗を確認する時間ではない

1 on 1は、進捗やタスクを管理する時間ではない。産業革命の時に普及し定着した「マイクロマネージメント」は、インターネット企業の組織体では通用しないと思っている。

1 on 1の時間は、部下のより一層の自立・成長を促すため、そしてクリエイティビティを引き出すための「部下のための時間」だ。極端な話、マネージャーは自ら話す必要はなく、”聞く姿勢” であるべき。答えを出すのではなく答えを出す手助けをする意識が重要だ。そして、よくありがちだが予定していた1 on 1は絶対キャンセルしないこと。

構成は10-10-10

1 on 1ミーティングの理想の構成は:
● 部下が話したいことを自由に話す・・・10分
● マネージャーが話したいことを話す・・・10分
● 未来について語る・・・10分

最初の10分は、部下が話したいことをとにかく自由に話す時間。もし、マネージャーが最初に「あの件はどうなりましたか?」や「週末はどうでしたか?」という質問を部下にぶつけてしまったら、それはすでに “マネージャーが話したいこと” を話していることになる。会話の出だしは「最近どうですか?」や「何について話したいですか?」からスタートすると良いだろう。

次の10分では、プロジェクトの進捗確認をしても良いが、フィードバックを得る時間に使うことを推奨する。例えば、サイバーエージェントやSmartHRでは「あなたのパフォーマンスを天気で表すと、どんな状態ですか?」という質問をしている。これは、部下のコンディションや課題を、双方に伝えやすい形で引き出すことができる良い例だ。
他にも「私が見落としている機会損失はありますか?」や「働きやすい環境をつくるために私にできることはありますか?」などの質問で、マネージャーに対するフィードバックを求めることもできる。

最後の10分は、直近の目標や、部下のキャリアプランニングも含めた中長期の将来プランについて話すと良い。

もちろん、きっちり時間を守る必要はない。最初は、30分間部下が話しっぱなしになってしまうということもあるかもしれないが、回数を重ねる度に徐々にこの理想の構成に近づければ良い。

1 on 1の頻度

1 on 1の頻度には色々な考えがあり、最初は週に一度、そして徐々に月に一度に減らしていく方が良い人もいれば、週に二度が良い人もいる。僕は、直属の部下との1 on 1は、週に一度の頻度が最適だと思っている。その理由は単純で、比較的頻度が多い方が、情報や感覚のシンクロ率が高くなり、信頼関係が築きやすくなると考えているからだ。

『1 on 1』は、実は奥が深く、最初から効果的かつ効率的な1 on 1をするのは難しい。とにかく回数を重ねて、どうすればもっと有意義な1 on 1にできるのかを試行錯誤していくと良い。1 on 1を長くやってきた他のマネージャーやリーダーに話を聞くのも効果的だろう。

僕が1 on 1について参考にしている記事は、以下。

(edited by kobajenne

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