知っておきたいB2B SaaSのビジネス指標と単語


Pixta

来月10月19日に開催するB2B SaaSに特化したカンファレンス「SaaS Conference Tokyo 2016 」に向けて、今回はB2B向けのスタートアップなら知っておきたいビジネス指標と単語をまとめてみることにした。

MRR (Monthly Recurring Revenue) = 月間定額収益。年間定額のサービスを提供している場合、その額を12で割るケースが多い。

ARR (Annual Recurring Revenue) = 年間定額収益。月間定額収益を12倍で算出するケースが多いが、単発的なサービスやコンサルからの収益は含めない。

ACV (Annual Contract Value) = 年間発注額。契約が1年以上の場合、顧客が12ヶ月間で支払う金額。

Churn = 退会や解約を意味するが、”Churn” には様々な種類がある。

Revenue Churn = 退会による、MRR損失。例えば、毎月10万円を支払う顧客が、3社退会した場合、その月のRevenue Churnは、30万円になる(3社 × 10万円)。

Customer Churn = 顧客の退会率。例えば、月の初めに定額で支払っている顧客が100社いたとして、その月に5社退会したら、その月のCustomer Churnは、5%となる。

Gross Churn = 失った金額分のチャーンの比率。以下の方程式で割り出す。screen-shot-2016-09-19-at-12-09-42-am

Net Churn = 失った金額分とエキスパンションやアップセルにり増えたMRRを合わせたチャーンの比率。以下の方程式で割り出す。

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Negative Churn = Net Churnがマイナスになること。これはエキスパンションやアップセルによって増えたMRRが、退会によって失ったMRRより多い場合に起きる。

NPS (Net Promoter Score) = 顧客満足度とロイヤリティを数値に表したスコア。これは、実際に顧客の声を直接聞いて、そのデータを数値化する必要がある。

このスコアを出す1つの方法として、顧客に「このサービスやプロダクトをどの程度知り合いに勧めたいと思うか?」と質問をし、0-10の点数で答えてもらうというやり方がある。
(10 = 是非勧めたい、0 = 全く勧めない)

① プロモーターの比率 = 9 か10 と答えた回答者の数 ÷ 全回答者数

② 非プロモーターの比率 = 6 以下の数字を答えた回答者数 ÷ 全回答者数

NPS =(①プロモーターの比率 – ②非プロモーターの比率)

参照:a16z ‘16 more metrics

CAC (Customer Acquisition Cost) = 一顧客を獲得するためにかかった営業及びマーケティングの費用。

LTV (Lifetime Value) = 一顧客が、取引期間を通じて企業にもたらす利益 。B2B SaaSの場合は、以下の方程式で割り出すことができる。

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Premium/Professional Service = プロダクトやサービスの提供による月次売り上げ(MRR)以外からくる、トレーニングやカスタマイズ、コンサルティング等単発的な売り上げ。

Expansion / Upsell = 既存顧客に対し、現在加入しているプランより高いサービスプランの購入を促したり、アカウント数を増やすこと。

Customer Success = プロダクトやサービスが正しく活用され、顧客がその価値を得られていることをプロアクティブに把握し、徹底していくアプローチ。

Inside Sales = 会社の外ではなく、電話やオンラインで行う営業のアプローチ。

Field Sales = 会社の外に出て、潜在顧客と直接会う営業のアプローチ。

Outbound Sales / Sales Development = 営業チームが潜在顧客にアプローチをかけること(電話やメールでの営業、テレマーケティング等)。

Self Serve =登録からサービスの利用開始までの一連の流れを、営業やカスタマーサポートなどを介さずに顧客が自分自身で行うこと。

Lead Generation = プロダクトやサービスに興味を持ってくれている潜在顧客の問い合わせや登録を増やすこと。

SQLs (Sales Qualified Leads) = 営業チームが直接営業のアプローチをしても良いと判別できたリード。

SDR (Sales Development Rep) = リードとのアポ取りや、SQLへの転換をさせるInside Salesの担当者。

Account Executives = 潜在顧客にプロダクトやサービスのデモを行い、価格交渉やクロージングを行う営業担当者。

B2B SaaSに特化したカンファレンスを10/19に開催!
Slack、Box、Intercomなど、もっとも注目されるエンタープライズ・スタートアップに早い段階から出資し、各社の育成まで手がけている Social Capital のゼネラルパートナー Mamoon Hamid氏。Slack の創業時からカスタマーエクスペリエンスを担当するAli Rayl氏、そして Atlassian と Intercom でマーケティングチームをリードしているMatt Hodges氏を招いて、「SaaSスタートアップの成長」をテーマに、インタラクティブなトークセッションを繰り広げていきます。詳細はこちら!

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企業向けハード+ソフトウェアソリューション


Tecnalia

これからスタートアップ業界の中で、大きな可能性を秘めていると思う分野は、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた企業向けソリューション。特に少子高齢化の時代を迎えている日本では、効率性向上を図って、様々な業務を「無人化」するニーズが増々高まっていくと思う。

シリコンバレーをはじめ、機械学習、画像認識、そしてロボティクスを応用した、様々なスタートアップが生まれている。

Gecko Roboticshttps://www.geckorobotics.com/
発電所の点検を無人化するサービス。四角いロボットが、発電所のボイラールームを物理的にクロールして、様々なセンサーで点検を行う。

Skycatchhttps://www.skycatch.com/
建設現場などのマッピンングや現場のプランニング、分析に必要なデータを、ドローンを使って収集するソリューション。

Robby Technologieshttps://robby.io/
半径5km以内の物品の宅配を完全無人化するロボット。

Ceres Imaginghttp://www.ceresimaging.net/
ドローンなどに搭載する高画質カメラを使用し現場を撮影、分析することで、農業の生産性を向上させるためのデータを提供する会社。

Litmus Automationhttp://litmusautomation.com/
製造ロボットなど様々なデバイスのデータを収集し、効率化につなげるための解析を行うIoTのミドルウェアソリューション。

日本のスタートアップ業界では、コンシューマー向けのプロダクトが目立っている。しかし、企業向けのソリューションには、まだまだ効率化、無人化できる分野があり、国としても必要性が高まることが予想される。だからこそ、日本のスタートアップにも、この分野には積極的に挑戦して欲しい。

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VCが期待する投資リターン


OTA Phot

VCがスタートアップに投資するとき、その1社からどれくらいのリターンを期待しているものなのか?それを知るためには、まずVCがどのようなリターンシミュレーションをしているのかを理解する必要がある。

VCファンドのリターンシミュレーションは、投資戦略や投資ステージ、投資スタイル、ファンドリターンの期待値、そして最終的にどのような配分でリターンが出るか等の考え方によってだいぶ異なる。今回は、僕が行っているシード期やアーリーステージへの投資を例にして説明する。

Power Law
アーリーステージの投資リターンは、「べき乗則(Power Law)」が成り立つ(例1例2例3)。
Power Lawとは、VCファンドの価値を測ってみたときに、そのファンドの半分以上の価値がポートフォリオの中で最も企業価値の高い会社数社によってつくり出されているという原理。過去の自分の投資先のパフォーマンスを分析しても、この「Power Law」が成り立っていて、数字にすると、ポートフォリオ全体価値の80%は、20%以下の投資先企業によって生み出されていることになる。

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ファンドリターン
VCは、ファンドを何倍の規模にすることを期待されているのか?
これは、ファンドに出資するLP(リミテッドパートナー)によって異なるが、北米でVCファンドに専門的に出資する機関投資家は、最低でも10年で約4倍(IRR15%)規模になることを期待する。トップクラスのシードファンドの中には、10年の間で8倍以上の実績を出した例もある。

シミュレーション
スタートアップに投資するときに、VCはその1社にどれくらいのリターンを期待しているのか?例えば、30億円規模のアーリーステージ専門のファンドを運営しているとしよう。
想定するファンドの運用形態としては:

  • 1社への投資に対して、5000万円を投資
  • ファンドの管理コストや報酬は、全体の約2割を占める。30億円のファンドだと、6億円を管理にかけるので、実際投資に使える資金は24億。

投資資金24億円で、1社への投資が平均して5000万円の場合、48社に投資することになる。

Power Lawに沿ったリターンシミュレーションを組むのであれば、48社の約2割、つまり10社がファンド価値の約80%のリターンを生み出すことになる。

30億円のファンドを4倍にすることを目指していれば、ポートフォリオのトップ10社が、120億円のリターンのうちの96億円を生み出すという計算になり、平均すると19.2倍のリターンを出すという結果になる。

でもこれは、あくまでもLPが期待している最低ライン。一流のシードファンドになるためには、10倍、つまり300億円のリターンを目指す必要がある。ということは、48社のポートフォリオのうち、トップ10社が240億円のリターンを出す必要がある。つまり、このシミュレーションを組んでいるシードのVCは、スタートアップに投資するとき、ポートフォリオのトップ10社に対して48倍のリターンを期待していることになる。

上記の例は、リターン配分の考え方を説明することを目的として計算を簡単にするために、追加投資や投資先の持分比率などは考慮していない。でも、実際僕が組んでいるシミュレーションとは大きく外れてはいない。僕がシード期のスタートアップに投資するときは、その1社から30倍以上リターンを期待している。

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起業家の知的誠実さ


Richard Schneider

起業家をサポートする投資家の役割の1つは、起業家が自らを過信しすぎず、また、先入観にとらわれずに物事に取り組めるように、「知的誠実さ」を保てるように、導いていくことだ。

会社経営とは困難の連続だ。だからこそ、自信や自らを信じる強さ、そして時には楽観主義でいることができないと、なかなか続けられるものではない。でも、この「自信」や「楽観主義」を自分に都合よく解釈してはいけない。自分の会社について認めたくない “不都合な事実” から見て見ぬふりをして避けるために、無理に自信を持とうとしたり、楽観視し過ぎて、最終的に自分に対して嘘をつくようなことをしてはならない。
ただ、ここで難しいのは、ほとんどの場合、意図的に自分に嘘をつこうとしているわけではないということ。僕も含めて誰もが、気付かぬうちに自然とこうしたシチュエーションに陥ってしまうことが多い。だからこそ「知的誠実性」をもって物事に対応できているかを確認するための「質問」や「情報」のポイントを予め理解しておく必要がある。

以下は、特に定期的に確認すべきポイントだ。

数値
今設定している ”数値” は本当に正しいのか?この数値でビジネスが成り立ち、また、この数値を維持して成長し続けることに「根拠」があり、また、「現実的」なのか?KPIの1つ1つの根拠と実現性を確認する。

競合
競合と比べて、十分に差別化できているか?ユーザーが比較した時に、自分のサービスを選んでくれる「決定的な理由」が十分にあるのかを確認する。


マネージメントを上手くできているか?社員に対する適材適所が実践されていて、モチベーションを高く維持して働ける環境があるか?1対1のミーティングや360度評価、そして経営評価をする取組みなどを通して確認する

市場
狙っている市場は十分に大きいのか。頭の中で市場を広く定義し過ぎて、現実とのギャップが発生してはいないか。ターゲットユーザーや市場を明快に定義し、その規模がどれくらいかを確認する。

誰にでも認めたくない「不都合な事実」はある。しかし、経営者には事業の数値、競合、人、そして市場に関しては「知的誠実性」を持ち続ける必要がある。外部パートナーや株主の存在を活用しながら、自分が本当に誠実に考えることができていのかを問いかけてみてほしい。

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点じゃなくて線を引く


iParham

  "I Invest in Lines, Not Dots" ~ Mark Suster (Upfront Ventures)

資金調達をするために投資家と話をするとき、パートナーシップやM&Aを進めるために他の企業の代表と会うとき、または、重要な採用候補者を口説こうとしたとき。重要なのは、「点」じゃなく、「線」を引くことだ。

初めて誰かと会うとき、その人にとってあなたは「点」だ。
そこから、その人と会い、話す機会を重ねて、関係を築いていくことによって、その人が、あなたとの「線」を引くことになる。今回は、人を ”巻き込み” ながら深い関係性を築くための「線の引き方」について書いてみようと思う。

成長と進化
人は、自然と成長し、進化し続ける人に惹かれる。会う回数を重ねるたびに、自分が動かしている事業が成長していて、また、起業家自身も成長し、物事の考え方が進化していると相手に気付かせられるかどうかが肝だ。
以前、半年を通してミーティングをし続けた起業家がいた。最初はアイディアも戦略も説得力がなく、出資を断っていたのだが、その起業家と半年をかけて話をすればするほど、アイデアがブラッシュアップされ、解像度の高い計画と戦略に進化していっていることを感じた。さらに、その人に強い忍耐力、精神力が備わってきたことも見て取れるようになり、最終的に出資を実施するという結果に繋がったことがある。

プランニング
計画性があることは重要だ。線を引くためには、成長の変化率を十分に証明できる期間と、適度なミーティングの回数を重ねる期間を設ける必要がある。僕の場合、起業家と会って、すぐに投資を決めなかった場合も、3ヶ月〜半年をかけて月に1度程のテンポでキャッチアップするようにしている。

相手の「線」を引く
自分の「線」を引くだけではなく、相手の「線」も引いていく必要がある。自分と相手との相性だったり、自分が今取り組んでいる事業のことを考えたときに、相手と有益な関係を築くことができるのか、を見極めるのも重要だ。

「点」の状態よりも、「線」の状態の方が、トリガーを引きやすい。資金調達やM&Aを進めようとしたときや、何かを依頼するときにも、線が引かれている状態の方が実行しやすい。だから、常に長期的な視点で見て、考え、「線」を引いていきたい相手とは、早い段階で着実な関係構築を始めていくべきだ。

「点」よりも「線」、これを意識すれば、良好な関係性は、たくさん作れるはずだ。

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未来がソウゾウできるアイディアを選ぶ


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「複数のアイデアがあって、どのアイデアにすればよいか悩んでいる」
ときどき起業家からこんな相談がくる。そんなとき僕はいつも「未来が想像できて、未来を創造できるアイデアを選ぶべきだ」と答える。
アイデアを選ぶときに考えるべき要素と、その詳細について説明しよう。

どんな未来になるのか

技術の発展が進み、常に時代が変化し続けるなか、3年先、5年先、そのアイデアはどういう状態になるだろうか。人類の進歩に貢献できる存在であり続けることができるのか、それとも時代の流れに逆らう存在となってしまうのか。どの程度の規模まで事業を成長させることができるのか。

その未来を実現する条件

そのアイデアを成功させるための条件は何か、そして成功までの道のりの中で踏むべきステップは何なのか。
最初から全ての答えをそろえる必要はない。しかし、どのようなタイミングでどのようにその答えを出せるのかは、ある程度把握しておく必要がある。

想定外のなかで存続できるか

不景気になっても存続できるアイデアなのか?大企業が参入してきたらどうするのか?想定していた条件や基準を満たさない結果に直面したらどうするのか?強敵な競合が現れたとき、想定外の問題が発生したとき、どういうアクションを取れるのか。

毎日ブログを書けるか

そのアイデアについて、毎日ブログ記事を書けるくらいのパッションを持っているか。そのアイデアに関わる知識、業界、技術について貪欲に学びたいと思えるパッションがあるか。

最低5年続ける覚悟はあるか

想像や想定よりも上手くいかないケースの方が多い。タイミングが早すぎたり、なかなかユーザーが獲得できなかったり、資金が集まらなかったりもする。そんな時でも自分たちを信じて諦めずに突き進む覚悟はあるか。

どんな未来を創造したいか

最後に、どんな未来を創りたいか。この世の中にもたらせたい変化、そして創り出したい価値は何なのか。そのアイデアは、自分が創造したい未来を創りだすことができるのか。
これらの要素について、明確な答えを持っていること。パッションを持ち続けられること。この2つが重要だ。

数あるアイデアの中から、「これだ」という1つに絞り込むときは、自分自身が創り上げたい(創造)未来に繋がるアイデアを選ぶべきだ。

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スタートアップの社長を評価する


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スタートアップの社長が評価されるとき、たいていその指標となるのは、会社の成長率や目標の達成率だ。しかし、投資家やボードメンバーがよく見落とすポイントがある。それは、社員が社長をどう評価しているかだ。

僕自身も最近まで、特に順調に成長しているスタートアップに対しては、この評価の重要性を見落としていたのだが、会社が順調であるときも、この評価は非常に重要であることに気づいた。その理由は、1) 社長以外の視点で会社の状況や情報を収集することができる 2) 組織の中で壊れていたりしている部分を悪化する前に早期発見することができる 3) 社長をより良い経営者にするために必要なコーチングが何かを把握できるようになるからだ。

社長を評価するための社員面談は、社長の許可を得て一部または全員と1対1で話す機会を設ける。この評価を行うタイミングは「組織的なブレークポイント」で行う。ブレークポイントとは、会社が10人、25人、50人、そして100人を超えた時。より効率的なコミュニケーションのために組織変更がされたり、部署が設置されてミドルマネージメントが入るタイミングだ。

社員と1対1で話すとき、主に確認すべき点は以下である。

ビジョンや戦略の明快さ:会社のビジョンや戦略が明快に伝わっているかどうか。個人レベルでどういうアクションを取るべきか、目標は何か、が明確に理解されているか。

コア・バリー(価値観)の明快さ:会社のコア・バリューを理解できているか。仕事をするとき、何か判断をするときに何を重要視すべきかを理解しているか。経営軍はそのコア・バリューをきちんと日頃実行しているか。

カルチャー作り:社員のモチベーションが高いか。一体感のあるチームになっているか。

人材マネージメント:採用基準が明快に定義されていて、高く設定されているかどうか。人材が適材適所に配置されているかどうか。

上記の要素に対して情報をまとめて、社長にフィードバックをする。緊急性のある問題が発覚した場合、すぐにアクションに移すこともあれば、注意だけして時間かけて改善するケースもある。なお、これはあくまでも社長をより良い経営者にするためのフィードバックが目的であり、役員報酬等その他の決議に使われるものではない。

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アクセラレーター、スタートアップスタジオ、パートナー型


Paul Miller

スタートアップ投資には様々な形式がある。今回は、シード期に特化したアクセラレーター、スタートアップスタジオ、そしてパートナー型の3つの違い、そしてそれぞれの長所と短所につい運用者側の視点から書いてみた。

アクセラレーター
基本は少額(500万円〜1000万円)出資して、5%~10%の比率を取る。Batch式(一度に複数社に投資)アクセラレーターが多く、5社から多いところは100社にまとめて出資して同時に育成を行う。日本国内ではOpen Network Lab、最近ではCode Republic等があり、北米ではYcombinatorやTechStarsがある。

長所:複数社に対し比較的低いValuation(企業評価)で出資をするため、アクセラレーター側にとってもハイリスク・ハイリターン型の手法として実行しやすい投資モデルだ。また、日本国内の市場でも1社で300倍以上のリターンを出せる可能性がある。ある意味、ここでリスクを取らないと大きな機会損失に繋がる可能性があり、アクセラレーターとしての特徴を活かせていないことになる。

起業家にとってのメリットは、コミュニティー要素が大きい。同期のスタートアップと仲良くなれるし、同じアクセラレーターの先輩起業家と繋がることもできる。メンターネットワークを構築しているアクセラレーターも多く、いっきにネットワークが広がりやすい。

短所:多数のスタートアップに一斉に投資するため、運営側が1社に対してかけられる時間に限りがある。しかも年10社〜100社のペースでポートフォリオが拡大していく。アクセラレーターの育成プログラムの仕組みやメンターの活用は起業家にとってのメリットもあるが、実は運営側が時間のレバレッジを効かせるための手段のひとつにもなっている。

これにより、仕組みから外れたイレギュラーな対応は難しくなり、シード期以降のサポートは、別の体制がない限りは難しくなる。でも、これは必ずしも悪いことだとは限らない。シード期にフォーカスして、他の投資家が取れないハイリスクを取り続けた方が、スタートアップのエコシステムにとって良いことだと思う。

スタートアップスタジオ
エンジニアやデザイナー、そして起業家を内製化するモデル。投資家、起業家、その他のメンバーを含めた全てのメンバーが、同じ屋根の下に集まり、スタートアップを誕生させる。
投資額は様々だが、法人化やスピンアウトが行われるまで、エンジニア、デザイナー、そして起業家の人件費、オフィスやマーケティングに関するコストは、スタートアップスタジオ側で負担するケースが多い。ただし、コスト構造が高いため、設立したスタートアップの15%から高いところは70%の比率を取ることがある。北米では、IdeaLabExpaBetaworks、日本でもMistletoeが新しくスタートアップスタジオを開始している。

長所:ほとんどの機能が内製化せれているため、デザインや開発等のノウハウが蓄積されていく。さらに、起業家と同じ屋根の下にいるので、起業家同士での情報共有、投資家と起業家間でのコミュニケーション頻度が高く、アイディアの交換も活発に行うことができる。起業家のサポートはかなり手厚く行える。

短所:人員が多く必要となるため、運営側のマネージメントの負担が大きい。投資や事業づくり以外の業務が多く発生し、運用コストも高くなってしまう。そのため、前述の通り、アクセラレーターやシードファンドと比べて比較的高い比率を取ることが必要になる。これによるリスクとしては、将来的に外部投資家を入れる際の資本政策が複雑化することがあるということだろう。

パートナーシップ型
シード期のパートナーシップ型ファンドは、様々な型で形成されており、戦略もそれぞれ異なるため、一概に言うことは難しいが、だいたい1人から2人程度の少人数で運用されることが多い。ファンドサイズによって、1社あたりの出資額は500万円から1億円で、比率は5%~20%ほど。1社に対し1人のパートナーが担当をして、担当者は起業家のサポートやアドバイスを継続して行う。投資スタイルは様々で、ハンズオンでサポートする人もいれば、細かい点には関与せず “放置” する人もいる。

長所:投資戦略や投資スタイルは、スタートアップスタジオとアクセラレーターと比較しても柔軟にできると言える。1年に数社だけ投資して高い比率を求めるやり方もあれば、100社に分散するやり方もあれば、レイターステージまで追加出資をし続けるスタイルもある。担当パートナーの属人的な特徴が現れるので、どのように起業家と関わっているか、どういったサポートをするのか、パートナーそれぞれを理解すると良い。

短所:ファンドの管理報酬が毎年2〜2.5%なので、ファンドサイズが小さいと内製化できる機能が限られる。ファンドサイズを大きくしてしまうと投資戦略を変えなくてはならなくなることもあるので投資スタイルと戦略に矛盾が生じてしまうこともある。

シード期のスタートアップ投資は様々な形式があり、それぞれに長所と短所がある。どちらの方が優れているということはなく、起業家は、自分がその特徴を一番活かせるところと組むと良い。しかし、取り組みや仕組み以外にも考える要素もある。また、ザックリと3つに分けているが、投資母体の構成によってまた特徴や長所と短所が変わる。例えば大企業が人件費を負担しているアクセラレーターもあれば、ミドル・レイター投資を行う大型ファンドがシード投資を行う場合、アクセラレーターも運営するパートナーシップ型のハイブリッド等でまた変わっていく。

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マネージメントの秘訣は、謙虚でいること

 
自分の創業した会社に仲間を集めることができた起業家は、人を惹きつける特別な何かを持っている。他の人よりもうまくできることも多くあるだろう。でも、万能なわけではない。

起業家は、物事に対して頑固であって良い。恐らく、その ”頑固さ” が、会社をここまで成長させることができた理由の1つでもあるのだと思う。しかし、マネージメントに関しては少し話が違ってくる。マネージメントに重要なのは、「謙虚さ」と「柔軟性」だ。最初からマネージメントが上手くできる起業家はすくない。だから、誤りを認めて、改善し続けようとする姿勢が大事だ。

「もっと聴く」という姿勢:マネージメントを改善させていく上で最も効果的なのは、社員の話に耳を傾けること。1対1のミーティングを定期的に開催して、フィードバックを求める。特に、確認すべきなのは、「明快さ」だ。社員それぞれが自分の責任とやるべきことをクリアに理解しているのか、組織の縦と横の連携の中で、明快なコミュニケーションが取れているのかを確認してほしい。これらのフィードバックは、物事の伝え方やコミュニケーションのプロセス、プロトコル(例:OKR)、組織構成を見直す判断要素になる。

共同創業者に頼る:何かを伝えたいと思っても、社員にとって社長には直接言いにくいこともある。そんな時は、共同創業者やほかの役員に社員からの話を聞いてもらい、匿名でフィードバックをまとめてもらうと良い。一緒に創業する相手を正しく選んでいれば、この重要な役割を任せることができるはずだ。

メンターを探す:マネージメントの上達に向けてコーチングしてくれるメンターを探す。メンターからの成功や失敗体験から学ぶこともできれば、他の役員やメンバーからのフィードバックを集めて、それらをまとめる役割を任せることもできる。

最初からマネージメントが上手くできる起業家は少ない。間違うこともたくさんある。でもこれは、経営者として成長するプロセスの一貫に過ぎず、謙虚な姿勢をもって進むことができればそれで良い。

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シリコンバレー経営とSaaSの成長


NEC Corporation of America

先日、AnyPerkの福山太郎氏を招いて、イベントを開催した。ディスカッションのテーマは「アメリカでの会社経営」そして「SaaSビジネスのグロース」。福山氏は、日本人として初めてYCombinatorに参加し、今はシリコンバレーで50人規模の会社を経営している。今回は、このイベントで話をした内容の一部を公開することにした。

正しい決断と快適な決断

会社の規模が大きくなると、経営者としての一番重要な仕事は、考えること。ここに一番時間を割くようにしている。特に苦労してきたのは、「決断」するとき。この「決断」には、2つの種類がある。1つは、「Right Decision (正しい決断)」もう1つは、「Comfortable Decision (快適な決断)」だ。「正しい決断」と、「快適な決断」のいずれかで迷ったときは、できるだけ「正しい決断」をとるべき。ビジネスを行ううえで、実践したいことは山ほどあるが、半年に1度、その時点での「会社にとって大事なこと」を決断したら、そのポイントだけに注力すべき。

経営者の仕事

経営の仕事は4つある。

  • 一体感のあるチームを作ること
  • 「Clarity」という明確なビジョン・ゴール・ターゲットを作ること
  • オーバーコミュニケートすること
  • Reinforce(補強する)すること

そして、会社のリーダーは、以下6つのポイントを正しく理解し、いつでも言葉にして、これらの問いに答えられるべき。

  • なぜ会社は存在しているか
  • どんな行動(behavior)を求めているか
  • 何をする会社なのか
  • どうやって勝つのか
  • 今一番大事なことは何か
  • 誰が何をやるのか

これら6つの要素の中で「なぜ会社は存在しているのか」は、経営者自身が決める。でも、「どんな行動を求めているのか」を決めるのは、経営者本人ではなく最初に入社した社員の20人。会社の文化は “性格” みたいなもので、性格が一致して好き嫌いが同じであればあるほど摩擦が少なく、事業を早く成長させることができる。その好き嫌いを綺麗に整理することが、リーダーの行うべきことであり、文化は、初期のチームメンバー20人の性質から抽出し、決まる。

上記以外の要素は、マネージメント層の仕事となる。社員に文化を伝える方法としては、常にオーバーコミュニケートしていくことが大切。オーバーコミュニケートとは、言い続けること。社員から煩がられても言い続けること。但し、ただ言い続けるのではなく、会社としての仕組みに組み込んでいくことが大切。例えば、人材採用の際に、会社の文化として共有しておきたいことを面接フォーマットを入れておいたり、3ヶ月に1度程度のタイミングで、会社が推進する行動を実践したメンバーを表彰するなど、積極的に仕組みに入れていくことで強化することができる。

チームが30人程度の規模までは、チーム全員を見渡すことができるので、メンバーが何を考えているのかなどチームの状況を経営者自身で把握することができる。でも、30人を超えたところで、創業初期からAnyPerkを作り上げてきたメンバーと、「会社をもっとよくしたい」と考える新しいメンバーの間で対立が起き、2つのグループに分かれる。メンバーが多くなればなるほどチーム全員と個別に話をすることが難しくなり、チームと経営者の間にマネージャーが入るスタイルに変化する。

アメリカで会社を経営するにあたり、日本人が難しいと感じるポイント

アメリカで日本人が会社経営をしていて、難しいと思うポイントは、「正しい決断」、「快適な決断」のなかで、「正しい判断」をし続けること。例えば、投資家に定例ミーティングを入れて欲しいと言われても、無駄と思ったことは「無駄」と言える勇気が大切。自分の弱みを認めたり、自分ができないことをきちんと伝えたり、ミスをしたら謝ることができる能力のある人が伸びる。リーダー1人の知識では、できることに限りがある。適切な人間からのフィードバックを取り入れて動かなくてはならないので、自身の弱みを認めて成長することが重要。

リーダーはレバレッジを効かせ、人材、投資家、外部のアドバイザーなどを含む “有能な人間” をどれだけ振り向かせることができるかにかかっている。例えば、有名なアドバイザーにはストーカーのように連絡をする。会いたい人のリストを作成して、毎月必ずそれぞれにパーソナライズされたメールを送ったりしている。「あなたのこのツイートを見たけれど、僕はこう思うんだ」のような内容のメールを送って、最終的にアポイントが取れたら勝ち。

SaaSの検証

これから起業してサービスを展開させようと思う人がまず検証するべきことは、売れるかどうかを検証すること。MSP (ミニマム・セラブル・プロダクト)を作り、それを徹底的に検証する。「このサービスは、売れるのか、売れないのか。」これが唯一信じられること。AnyPerkのMSPは、デザイナーが作ったプロダクトのモックで、最初の課金ユーザーを獲得することができた。サービスが売れるという手応えを感じたら、次に検証すべきことは「売上がどれだけ伸びているか」、そして「解約率がどれだけ低いのか」。最初の1年で売上が伸びたら、あとは解約が低いことを祈る。また、アップセルを狙うために、「利用料金を2倍に値上げする場合に何が欲しいか?」を1年後の契約更新の際にユーザーに聞いて追加するサービスや機能を決めて開発をしている。もしも、チャーンレートが月次で2%を超えたら、状況を見直し改善する必要がある。

SaaSの1:1:1の法則

理想なレートは、【バーンレート: 1、チャーンレート:1、アクイジション・コスト:1】の状態。

バーンレートは、どれだけ会社がお金を使っているか。年始から年末の減った金額と、トップラインの売り上げの上がりが 1:1 がよい。もし3億円の売上を10億円に伸ばそうとする場合、結果的に7億円分の利益があがることになるので、その目標を達成するためには、7億円分のキャッシュを使って良い。

チャーンレートはどれくらいか。

“グロスチャーン” (既存顧客の退会により失う月額売上) が、1%未満であること。そして ”ネットチャーン” (既存のお客さんが追加でオーダーした分の売上をネットチャーンにプラスした売上) の増加が毎月1%以上であることが理想だ。1,000ドルの売上のうち、10ドルの解約があっても、ユーザーが20ドル分追加で購入した場合、売上は1%増える。

そして最後に、1社あたりのアクィジションコスト(獲得コスト)は、その1社の売上の1年分のに抑えること。

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