SaaSの起業チャンスは、先行プレイヤーのサービスに不満な顧客

いま成功していると言われるSaaS企業が、その事業を立ち上げた時。そこには、既に先行している既存B2Bプレイヤーが存在していたケースが多い。

そのなかで彼らが成功を掴むことができた大きな要因として『先行しているプレイヤーが完璧に満たすことができていなかった顧客の要望』を満たすことだけに注力し、それを拡大させたということが挙げられるだろう。

例えば、このような例がある。

  • Siebel SystemsはCRMを提供していた。しかし、彼らのサービスは、オンプレミスだったため、導入までに時間のかかるカスタマイズと継続的なメンテナンスが必要だった。そこで1999年、革新的なCRMサービスを登場させたのがセールスフォースだ。彼らは、クラウドを通してオンデマンドでスピーディーに導入とアップデートができるサービスを提供し、これまで顧客が抱えていた(従来のサービスでは満たせていなかった)顧客ニーズを満たした。
  • カスタマーサポートチーム向けのSaaSを提供するZendeskは様々な業界で使われていたが、In-App Message (アプリ内メッセージ)の強化を希望する顧客や、チャットを使ったリードクオリフィケーションのニーズを完全に満たせていなかった。そこで、誕生したのが、Intercomだ。
  • Workdayは、大企業向けに人事や財務を含めた経営管理を効率化させるSaaSを提供していたが、その仕様は中小企業にとっては使いにくく、ニーズを満たせているものではなかった。そこで中小企業を主なターゲットとしたRipplingやGustoなどが誕生した。
  • CISCOのWebexは、ビデオカンファレンスの市場を独走していたが、操作性や使用環境の制限など、すべての顧客の満足度を満たすことはできていなかった。そしてそこには、より簡単にインストールができて、どのOSを使っているかを気にすることなく、ビジネス利用できるクラウドサービスを求めている顧客が存在していた。そこで登場したのが、Zoomだ。
  • Jiraをはじめ、先行しているプロジェクト管理ツールが多く存在するなか、施工現場を意識したUX、建設・建築業界が取り扱うデータの管理に向いてるソリューションが無かった。AndPadは、このニーズを取り込み生まれたソリューション。
  • セールスフォースなど先行しているCRMツールが山ほどある中でも、保険業界に完璧に寄り添ったプレイヤーがいなかった。しかし、保険という特殊な分野には、特有のニーズが存在しており、今までのCRMツールではそのニーズを満たすことができなかった。そこで登場したのがhokanだ。

他にもこうした例はたくさんある。では、このように先行しているB2Bのプレイヤーがいる中で、こうしたチャンスが生まれる理由は何なのか?

技術のシフト

オンプレミスからクラウドへ。メールからチャットへ。データベースからAIへ。デスクトップからモバイルへ。

技術的パラダイムシフトが発生するとき、従来の技術とは異なる全く新しい体験やサービスの提供ができるようになる。今まで解決できなかった課題が解決できるようになったり、今までリーチできなかったセグメントへのリーチができるようになる。これらが新たなSaaS企業を誕生させるチャンスになるのだ。

また、SaaSの普及や技術の進歩によって、新たな需要を生み出すこともある。

世の中に存在するSaaSプロダクトやサービスを利用することで、潜在していた需要が表に現れたり、新しいニーズが生まれるためだ。また、普段プライベートで使い慣れてるサービスの体験をB2Bのシーンでも活用したいという需要も出てくる。

規模のジレンマ

直近で発表されたSalesforceの年間売上が1.7兆円。来年は、2.3兆円を目指しているという。そして、現在の売上が900億円のZendeskは、来年1100億円の売り上げを目指しているという。

このように、企業規模が大きくなるにつれて、100億、1000億円単位の売り上げを生み出すことが可能なセグメントを最優先ターゲットにしていく必要が出てくる。一方SaaSスタートアップがまず最初に目指すセグメントは、売り上げ単位が10億円程の市場で、大手先行プレイヤーにとってはニッチ過ぎるセグメントとなり、高い優先度がつく対象とならないことが多い。

プロダクトの複雑性と技術的負債

SaaS企業が、大手企業、または特定の業界に向けたサービスやプロダクトを展開した場合、そのままの状態で規模の異なる企業や他の業界にまで参入することは難しい。UIやプロダクトの複雑性や技術的負債を抱えることにもなる。よって、〈既存SaaSプレイヤーが満たせてない顧客ニーズ〉が存在するセグメントが必ず残る。

SaaS市場は、拡大の一途を辿っている。そして成長スピードも加速している。SaaSが普及すればするほど、SaaSを取り入れたい顧客が現れ、同時に、既存のSaaSプレイヤーが満たせられていない顧客ニーズが見えてくる。

SaaSの起業チャンスは、今後もさらに増える。今こそ、SaaSで起業する絶好のタイミングだと言えるだろう。

(編集してくれたkobajenneに感謝)

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不況こそがチャンス。SaaSスタートアップのブラックスワン対策。

シリコンバレーの著名VCセコイアキャピタルが先日、投資先の起業家に宛てて書かれたレター「2020年のブラックスワンに対しての警告とガイダンス」を公開した。まだ読んでいない人は、是非読んでみてほしい。

今直面しているこの状況がどのくらい長く続くのか。どれほどの社会的、そして経済的インパクトを与えるのかは分からない。でも、現段階は希望的観測をする時期でもなく、業績不調を環境のせいにする時期でもない。

起業家や経営者は、この状況下だからこそ『不況に強い会社とは何なのか、どうしたら不況に強い会社になれるのか』をもう一度考え、実行に移していくタイミングなのではないかと僕は思う。

苦しい時こそ成長するチャンスだ。セコイアのレターに記載されていたダーウィンの言葉の通り「強い者、賢い者が生き残るのではない。変化に対応できる者が生き残る。」のだ。

今回のブラックスワンは、国内に止まらず世界中にあらゆる変化を起こしている。

前置きは長くなったけれど、今回はSaaS経営者がその変化にどう対抗するべきなのか。そして、不況時に改めて考えるべきポイントについて書くことにした。

リード獲得戦略を考え直す

この状況のなか、どのリード獲得戦略が引き続き好調で、どの戦略の効果が下がってしまっているのか。やはり展示会などのオフラインイベントの効果は下がってしまうだろう。ならば、より強化すべき既存の戦略はあるのか。それとも、今まで実行していなかった戦略(アウトバウンドやWebinar等)で、新たに試すべきものはあるのかなどを考えてみると良い。

ナーチャリングを強化

今、リードの存在がより重要になってくる。セグメント別、スコア別、時期別などでカテゴライズして、さらに戦略的にリードを温めていく取り組みが必要になる。

商談フェーズの考え方を変える

普段、有効リードに対してはすぐに対面営業を行っているという企業も、今はオンライン商談に切り替えてるところが多いだろう。商談後、どのフェーズまでオンラインのみで進めることができるのか。場合によっては、注文書が入るまでの全てのフェーズを完全にオンラインへ切り替える必要が出てくるかもしれない。その場合「商談フェーズ」そのものの定義、そして進め方も変わってくる可能性がある。

カスタマーサクセスの強化

顧客サイドの予算状況が変わるかもしれない。その結果顧客は、きちんと使いこなせていて業務の効率化に役立っていることを実感できる、所謂〈依存度の高い〉SaaSのみの契約を更新し、そうでないサービスやプロダクトは解約する動きが出てくる可能性がある。顧客に対して、きちんとバリューを発揮できているかどうかの重要度がより一層高まることになる。

セールスピッチのアップデート

「リモートワーク」「自動化」「コストカット」。今は特にこれらのキーワードが顧客のマインドのトップに浮上しているだろう。顧客が今一番考えていることに合わせて、セールスで強調するべきポイントや説明の流れをアップデートする必要があるかもしれない。

チームワークを強化

より一層チームの団結力を上げるタイミングだ。限られたリソースの中でアウトプットを高めることが非常に重要になる。部署間の壁をなくして、コラボレーション頻度とその質を高め、全員が一丸で会社の目標を達成するのだ。

コスト意識を高める

セコイアのレターにも書いてあるように、9ヶ月、長くて12ヶ月はこの状況が続くかもしれない。経済が回復するまでには、さらに長い時間を要するかもしれない。残高、キャッシュフロー、ランウェイ、そして計画対比などの意識をより高めていく必要がある。

僕は決して恐怖やパニックを煽ろうとしているわけではないし、この先を予想しようとしているわけでもない。不確実性の時期に入ったときは、最悪の場合に備えた準備を行うこと、そして変化に素早く適応できる姿勢でいることが重要なのだと思う。

チームの団結力を上げて、強い会社を作り、これはみんなで共に成長するチャンスなのだと捉えて欲しい。

(編集してくれたkobajenneに感謝)

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ビジョンと夢は大きい方が成長スピードも上がる ~ BASE 鶴岡 裕太

今回のポッドキャストエピソードは、2019年に上場したBASEの代表 鶴岡裕太さんに出演いただきました!BASEの始まりについて、鶴岡さんが思う経営者の仕事について、そして時間の使い方などについてお話を伺いました。

【ハイライト】

  • BASEの始まりについて
  • 藤田さんとの出会い
  • Yahoo!ショッピングの無料化
  • 周りに誰を置くか。目線をあげるコミュニティーが必要
  • ビジョンと夢は大きい方が成長スピードが上がる
  • 経営者にしかできない仕事
  • 時間の使い方について
  • 一日の始まり方と終わり方を変えない理由
  • 当たり前の事をやる難しさ
  • 長くやり続ける秘訣
  • 問題を分解してコミットする能力の重要さ

(ポッドキャスト編集してくれたkobajenneに感謝)

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CEOのポテンシャルを上げる3つの変化

(zapmole756)

CEOは、大変だ。

時には孤独を感じ、時には自分の置かれている状況に不自然さを感じ、そして、自分はもうこの仕事には向いていないのではないかとさえ思うこともある。

僕は、「最初から良いCEOになる」というのは無理な話だと思っている。今、世の中で尊敬されている「良いCEO」と呼ばれるような人たちは、過去に沢山の失敗をして山ほどの物事を学んで、そして成長してきたはずだ。

今まで多くのCEOたちの活動を支援してきた中で、僕はその人が「良いCEO」に近づいてきていると感じる瞬間がある。その”フィーリング”を感じる時というのは、気が付きにくい本当にちょっとした変化で、最初は些細な事に見えるかもしれないが、この変化こそがCEOとしてのポテンシャルを大きく上げるのだと僕は思う。

今回は、CEOのポテンシャルを上げる〈3つの変化〉について書いてみよう。

失敗を愛せるようになる

CEOになると、自分が「常に正しくないといけない」と思い込んでしまうことが多い。間違いや失敗を起こすと周囲からの信頼を無くしてしまうのではないか、と恐れてしまうからだ。でも実は、間違いを認めるCEOの方が周りから信頼され、巻き込む力も強い。

間違いを認めることは、フィードバックを求める姿勢を周囲に見せることになり『プライドを守るよりも正しい行いを優先する人なんだ』という印象と安心感を人に与える。

良いCEOへと着実に成長する人は、失敗を愛し、その失敗から学ぶことを忘れない。誤りに気づいた時は、それをすぐ認めて修正する。そして、自分の間違いや失敗を発見しやすい状況や場所に自分を置く事に対して恐れを抱かない。

成長するポテンシャルの高いCEOは、フィードバックを歓迎し、学ぶことにコミットしている。

気にかけていることを姿勢で示せるようになる

CEOは多忙だ。決断の数も膨大で、背負っている責任も大きい。そんな状況下で、他のメンバー達を気にかけようとすれば、そこにはさらなるエネルギー、時間、思考が必要になる。これがなかなか難しい。特に、今までCEOである自分が、一番パフォーマンスを出してきたという場合は、まず自分の時間を最優先にしてしまいがちだ。

でも、良いCEOは他のメンバーをハッピーにさせて、ポテンシャルを引き出すことの重要性に気付いている。組織の力を上手く活用できるようになると、自分一人の何百倍もレバレッジを効かせることができるということを認識している。

チームのみんなを気にかけていることをきちんと姿勢で示すようになると、たちまちメンバーは幸せを感じ、パフォーマンスが向上する。その結果、会社の業績が改善し、忙しさも決断の数も責任も、組織に分散させやすくなる。

メンバーとの信頼関係の構築、育成やエンパワーをするプログラムに注力したりすることも重要。でも、当たり前のようだけれど「感謝の気持ち」をちゃんと表現することを忘れないのが良いCEOだ。

大きく考えられるようになる

ビジョンや目標が、常に上へ上へと上がり続けるCEOは、ポテンシャルが高い。すでに勝利していることや、成功していることは気にせず、「誰も行き着いたことがないような場所に、自分自身や会社を連れて行くんだ。」と強く思い、それを目指し続ける。

CEOが物事を大きく考えることは、会社全体のスタンダードを高めることに繋がる。実行の質が上がり、人材の質も上がり、そして改善への危機感も上がる。

CEOになる前のほとんどの人の人生は、基本的に他の人に設定された目標を目指してることが多い。だから、最初から自分で目標を決めるという状況に慣れていない。大きく考えられるようになっているCEOは「限界」というのは、結局自分で決めるものなのだと気付く。

これが僕が実際に感じたCEOのポテンシャルを上げる3つの変化だ。人によって最初からできていることもあれば、失敗を経験してはじめてできることもある。この中に、自分の直感に矛盾すると感じたものがあったかもしれない。不自然に感じてしまったものもあったかもしれない。

ならば、CEOのみんなに考えて欲しい。

「自分自身のポテンシャルの最大化を妨げることとは何なのか?」

そうすれば、自分にどんな変化が必要なのかが見えてくるかもしれない。

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トップダウンなのか、ボトムアップなのか?SaaSのGTM(市場戦略)の考え方

(FORTUNE Global Forum)

プロダクト・フィットを達成したSaaS企業が、次に考えるべきは『GTM』だ。

GTMとは『Go-To-Market』の略。市場を獲得するための戦略のことで、SaaSでは「トップダウン」「ハイブリッド」「ボトムアップ」の3つの型に大きく分けることができる。

トップダウンは、CXOレベルでの導入意識決定が必要なケースが多く、ピンポイントでのマーケティング戦略や、フィールドセールスによる長いサイクルの対面営業プロセスを要する。カスタマーサクセスの面でも、導入時の訪問支援サポートや個別のアドバイスをするようなハイタッチな手法になる。このトップダウン戦略を採用している企業例としては、Veeva、Workday、Zuoraなどが挙げられる。

ハイブリッドは、比較的ターゲティング範囲が狭く、インサイドセールスで完結できる場合もあれば、フィールドセールスも絡めたハイブリッドなセールス戦略が必要になる場合もある。カスタマーサクセスも、トップダウンよりは比較的ライトな形式になる。ZendeskやSalesforceなどが、ハイブリッド型からスタートしている。

ボトムアップは、対象者が広範囲なためマスに近いマーケティング戦略が適用できる。いち従業員が一人、または数名で使い始められるプロダクトやサービスで、セルフサーブ型でユーザーオンボーディングが完結できる。また、バイラル要素があり、営業サイクルも短い。Zoom、Slack、Twilioなどが例として挙げられる。

GTMを考えるときの要素

では実際自分の提供しているSaaSは、どのGTMの型に当てはめるべきなのか。それを見極めるためには、以下の視点で考えてみると良いだろう。

プロダクトの複雑性: SaaSプロダクトの価値や機能の利便性について、人が対面で説明する必要がある場合は、ハイブリッド、またはトップダウンの戦略が必要になる。一方、ウェブを通してすぐに理解してもらえるものであればボトムアップの戦略が通用する。

また、プロダクトを使いこなすために長い期間や手厚いサポートやトレーニングを要する場合は、トップダウン型である必要があり、比較的ライトなトレーニングで済むのであれば、ハイブリッド型を適用できる。登録したら人が関与すること無く、すぐに使い始められるプロダクトならば、ボトムアップ型の戦略を取るのが最適だ。

デリバリー:ユーザーが、一人でそのSaaSを導入することができるのか。それとも複数人のコミットや調整が必要なものなのか。関わる人の数が多ければ多いほど、トップダウン型の戦略を取る必要性が高まる。導入までの時間をあまり取らないものは、ボトムアップ型が通用する。

価格:プロダクトやサービスの価格によって、決裁者が変わる。そして、この決裁者が誰になるのかによって取るべき戦略が変わる。いち従業員が申請するだけで導入できるような価格帯なのか。または部署がもつ予算を使えば導入できるのか。はたまた幹部層が管理する予算を取らなくてはならないのか。大きな予算が必要になるほど、ランクの高い決裁者によって導入可否が判断されるため、トップダウン型の戦略を取る必要がある。

この3つの視点で考えてみると、自分のSaaSがどのGTMの型に当てはまるのかが見えてくるはずだ。プロダクトがシンプルで、デリバリーも早く、価格が低いのであればボトムアップ型。非常に複雑で、デリバリー期間も長く、そして高単価なのであれば、基本的にはトップダウン型の戦略が必要になる。一方で、要素に偏りがない場合は、ハイブリッド型の戦略になる。

戦略と戦術の具体化

今回はGTMの概念をシンプル伝えるために大きくまとめでみたが、実際にGTMの戦略を決めるときは、マーケティング、セールス、そしてカスタマーサクセスのプランを具体的な戦術にまで落とし込んで作っていく。バイヤーのペルソナ、セールスのファネルやテクニック、バリューの伝え方など、細かく落とし込むことで解像度の高いGTM戦略が完成する。

GTMは常に進化していく。

ただし、GTMは一度決めて終わるものでなく常に変化していくもの。プロダクトの成熟度や競争環境、顧客のニーズ、そして会社のフェーズで変わるからだ。例えば、BoxやShopifyも、初期はボトムアップのGTMからスタートしていたが、その後ハイブリッドやトップダウンのGTMへと戦略の展開方法を変えている。

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ソフトウェア産業の勝ち方が変わってきている ~ LayerX 福島 良典

Gunosy創業者で2018年にLayerXを設立した福島 良典さん。今回も、ブロックチェーンや福島さん流経営スタイル、スタートアップの勝ち方、起業アイデアの考え方など盛りだくさんの内容となりました。僕にとっても、すごく楽しく学びの多いディスカッションになりました。

【ハイライト】

  • 起業家になった理由
  • タイミングの見極め方
  • 信用と起業アイディアの関係性
  • ブロックチェーンを選んだ理由
  • なぜ国がデジタル通貨を発行するのか
  • 金融機能のUnbundlingとは
  • SF小説を書いている理由
  • ポジショニングとネットワーク効果について
  • 競争優位性の作り方
  • 技術力よりも技術意思決定力
  • ハック型とマーケット型の違い
  • 標準化経営について
  • 新規事業は規模から考えてはいけない理由
  • 初めての起業と2回目の起業での時間の使い方の違い
  • スタートアップのモテ期について

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起業家に薦めたい。SaaSの使いこなしで1日あと2時間確保する方法

SaaSに特化した投資を実行する身としては、僕自身も様々なSaaSプロダクトを使いこなして、自分の生産性を最大化することを積極的にやっていきたいと思っている。今回は、自分がどういうSaaSプロダクトを、どういう風に使っているのかについて書いてみる。感覚としては、これから書く以下を実行したことで、1日のうち新たに確保できた時間は、1〜2時間ほど。これは大きい。

Hubspotで日程調整

HubspotとGoogleカレンダーと連携させることによって、日程調整がとても楽になる。日程調整をしたい相手には、Hubspotのミーティングリンクを送るだけで自分が空いている時間を共有できて、そしてカレンダー登録も自動化できる。

ミーティングの合間の調整タイムを入れたり、スロットあたりの長さも調整が可能など自由度が高い。僕が薦めたい活用方法は、Hubspotミーティングのリンクを2バージョン作ること。一つは緊急度が低いミーティング用、そしてもう一つは緊急度の高いミーティング用だ。

後者のカレンダー上では1日2時間ほどの時間を確保する。そうすることで、もう一つのカレンダー上では、その時間帯は空き時間ではなくなり、緊急案件が発生しても確実に時間を確保することができる。Hubspotは、Zoomとも連携ができる。予定が登録された瞬間に、そのミーティング専用のZoomリンクを自動生成する機能があるので、僕はデフォルトでZoomリンクを自動生成するように設定している。

Hubspotで人間関係を管理

基本的にヒトの情報は全てHubspotで管理している。特に便利だと思う機能はタスクの機能。誰かと打ち合わせした後に、Hubspotにそのとき話した内容を記録し、次にその人と会うタイミングをその場で決めてHubspotのタスクに入れている。タスクの期限が来た時には、メールでリマインダーが送られるように設定している。これによって、フォローアップやキャッチアップの漏れが大幅に削減されるし、しばらく話をしていなかった人の情報にもきちんとアクセスできるのは嬉しい。

Superhumanでメールのスーパーサイヤ人に

メールクライアントは、Superhuman。主に使っている機能は、リマインダー機能。返信をもらいたいメールを送信した時に、予め設定した時間までに返事が来なかったら通知が来るようにする。これで、メールのフォローアップ漏れも無くなるし、いちいちフォローアップが必要なメールをTo Doリストに入れる必要もなくなる。

リマインダー機能の活用方法は、もう一つある。僕のメールの基本ルールは、2〜3分で返信ができるものはその場で返信して、検討したり調査したりする時間が必要など、返信に時間がかかると判断したメールは、リマインダー機能を使って、一旦夕方までInboxから消えるようにしている。こうすることによって、Inbox自体がスッキリするので、情報に左右されることなく1日のスケジュールを着実にこなすことができる。夕方になったらその隠したメールたちがInboxに表示されるようになるので、それらをまとめて対応できる。

Superhumanのテンプレート機能もとても便利で、良く繰り返して使う文章(例えばオフィスへまでのアクセス案内を説明する時など)は、ショートカットでメールに挿入できるようにしている。

1Passwordでパスワード管理

1日を通して、少なくとも10回は色々なサービスにログインする。そんな時に必ず必要になるのが「パスワード」なわけだが、セキュリティーのために各サービスのパスワードは、ユニークで複雑な異なるパスワードである必要がある。このパスワードを覚えたり入力したりするのは、とにかく時間が取られるし、ましてや記憶しておくことなど不可能だ。1passwordは、そういう悩みをすべて解決してくれるので、パスワード管理においては必須ツールだ。

Notionで人生を管理

To Doリストや人生計画、読みたいものリスト、運動スケジュール、書きたいブログテーマ等とにかく僕のほぼすべてをNotionで管理している。たくさんの情報を整理、管理するにはもってこいのツールで、さらにアイコンやクリップなども使えるので見た目も楽しい。

To Do管理で僕が薦めたい方法は、

・じっくり考えて進めないといけないタスク
・あまり考えなくてもできるタスク

の2つに分けること。じっくり時間をかけて熟考しながら進めなくてはいけないタスクは、1日2個までに限定して、毎日1〜2時間そのタスクに集中する時間を確保する。とにかくひたすら手を動かすような、あまり考えなくても進められるタスクは、打ち合わせの合間や夕方の時間帯など、頭の回転が少し鈍ってきているなと感じる時にバッチ処理で進める。

おやすみモードの活用

色々なサービスがたくさん出てくると、人は知らず知らずのうちに、常に通知や連絡に追われる日々を過ごす。僕は日中1日2時間くらいiPhoneの〈おやすみモード〉をONにする(Mac OSでも同時に通知OFFにしている)。その間、前述した時間をかけて熟考する必要があるタスクに集中する。これをやり出してから、実際自分はどれぐらい通知に追われているのか気が付くきっかけになった。

Zapierで領収書管理

Zapierは使い始めたばかりで一番上手な使いこなし方を検証しているフェーズだが、最近は、請求書管理に使っている。メールで届いた請求書や領収書にラベルをつけると、Zapierがそのラベルに応じてGoogle Drive上の該当フォルダーにPDFファイルで自動保存してくれる。これでメールを検索して請求書などをPDFに変換してフォルダに整理するという作業が自動化され、請求書関連で要していたストレスフルな時間を大幅削減できるようになった。

以上が、僕が今メインで活用しているSaaSの使い方だ。使いこなせばこなすほど大幅な生産性アップに繋がる。みんなが他にどういうツールをどのように使っているのかも知りたいので、もしお奨めがあればツイッターで@DJTOKYOにメンションで教えてくれると嬉しい。

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ARR目標を達成するためにSaaSスタートアップ経営者ができること

Photo by: Philo Nordlund

明けましておめでとうございます。今年もブログやポッドキャストでの情報をより頻度をあげて発信していきたいと思っているので、2020年もどうぞよろしくお願いします。

さて、起業家のみんなは、2020年の初営業日を迎えて、今年のARR目標の設定も完了し、多くが目標に向けて行動に移し始めている頃だろう。今回のブログは、今年の目標の達成確度を高めるために経営者やマネージャーができること、について。

パイプライン、パイプライン、パイプライン:各経営メンバー、マネージャー、そしてリーダーたちとパイプラインのレビューを行い、ディスカッションする。

例えば、以下の通り今年の目標を設定したとしよう。

• 新規顧客からのARRを2億円に
• リードからの成約率が25%を維持
• クロージング期間を平均して半年

この場合、逆算すると今年6月までに8億円分のリードを獲得する必要がある。マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、プロダクトなど各セグメントのリーダーのパイプラインと数値目標への強いコミットが必要だ。もし、ARR8億円分のリードを生み出すコミットができないのならば、リードあたりの収益(ARR / リード)を上げて調整する必要がある。

パイプラインの状況や商談フェーズについて、各メンバーと毎週ディスカッションする機会を作れば、組織全体の数値管理能力と推進力が上がるだろう。

もっとコーチングを:リーダーの役割は、部下やメンバーが目標を達成できるようなガイダンス、スキル、ノウハウやリソース等を提供すること。部下との1 on 1の頻度を増やし(週に一度が理想)、目標達成にどのぐらい自信を持っているのかを確認。自信が足りていないようであれば、必要なサポートをしていく。

ゴールをクリアにし、必達の意識を高める:会社の目標、各チームの目標、そして個人目標はもう設定されていたとしても、設定だけで終わらすのではなく、《共有と確認》を毎週徹底すべき。負け越す状況には決して慣れさせず、各自ゴールにコミットし、常に勝ちに行く姿勢、必達の意識を高める。

カスタマーサクセスにダブルダウン:売上チャーンが下がれば、新規獲得しなくてはいけない売上が減る。アップセルやエキスパンションによって売上継続率を100%以上にできたなら、なおさら良い。売上規模が大きいほど、チャーンやアップセルによるインパクトも大きくなるので、カスタマーサクセスをさらに強化しレベルアップを図るべし。

採用計画を達成させる:SaaSは、採用計画が未達だと売上計画の達成も難しくなる。採用を社長の目標に入れてコミットさせる。もし毎月1名の採用を目指すなら、採用担当者がいることが必須になるだろう。会社に十分なキャッシュがあるのなら、2ヶ月に一名を採用する計画であったとしても、担当者を入れても良いと思う。

セグメントと分析:既存顧客をセグメント化してパターンを探す。リードあたりの売上が、レストラン業界で特に高いかもしれない。従業員人数300人以上の顧客のチャーンが圧倒的に低いかもしれない。プレミアムプランの顧客の方がNPSが高いかもしれない。他より上手く機能しているセグメントを探して、そこにリソースと予算をもっと寄せていく。

Sales Opsへの投資:ダッシュボードの管理、セールスプロセスの改善、情報やノウハウの体系化、部署間の連携力アップなど図るSales Opsの専任がいると営業効率が上がる。特にARR 1億円超えているスタートアップにとっては、メンバー各自が目標達成をするための重要な役割になる(Sales Ops とは?)。

以上が1年間のARR目標の達成確度を上げるポイントだ。目標を達成して、今年もさらに良い年を築いていこう。

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KARAKURIに投資をした理由

コールセンターの就労人口は、おおよそ100万人、そしてその市場は1兆円以上と言われている。コールセンターやカスタマーサポート部隊を持つ企業も非常に多く、サービスを提供するなかで重要な役割を持っている。

でも同時に、多くの人が働く大きな業界であるということは、課題も多いということだ。

コールセンターは離職率が高い。業務内容も環境も〈忙しく大変〉というイメージが強く、採用も難しい。お客様に対して丁寧な対応を心がけたいのはやまやまだが、現実は一人当たりの対応件数が増えるばかり。育成にかけるリソースも足りていない。このコールセンターやカスタマーサポートが抱える課題を全体的に解決しようとしているのがKARAKURIだ。先日総額5億円のラウンドをALL STAR SAAS FUNDで投資させてもらった。

Vision

初めてKARAKURIに出会ったのは2018年の前半。当時は、チャットボットスタートアップが多く生まれ、ブームのようになっていた。僕もすでに多くのチャットボットスタートアップからのピッチを受けていて、すでにこの分野は「バズワード」として聞き疲れ気味だった。実はKARAKURIからコンタクトをもらったときも「きっとまた同じようなピッチを聞くのだろう」と思っていた。でも、違った。

CEOの小田さんが語ったメッセージは、チャットボットの話ではなかった。それは、コールセンターやカスタマーサポートの話だった。前職でコールセンターBPO業務を立ち上げてきた小田さんは、課題に対する理解度が非常に深かった。

課題の大きさ、機会の多さ、そして業界全体に変革を起こしたい気持ち。業界やクライアントに関する理解度も深く、ビジョンも大きかった。僕は、そんな彼に惹かれて去年8月に投資を決めた。

Technology

そして彼らのもう一つの魅力は、技術力だ。大きなビジョンを描いたら、それについて行ける技術職が必要。この技術力が、KARARKURIには存在している。CTOの中山さんが率いるエンジニアチームは、レベルが高く、開発スピードも速い。クライアントとの満足度インタビューの結果にも現れている。仲間集めも順調に進み、一流の技術チームになれるポテンシャルを秘めていると思う。

Customer Success

クライアントのオンボードから導入後のフォローアップまで、KARAKURIは会社全体を通してカスタマーサクセスへのコミット力が高い。カスタマーサクセスという名前のチームは存在せず、複数の部署が連携して顧客の成功にコミットする体制を取っている。このタッグ制によって、クランアントが様々な面でスピーディなサクセスを体験できるようになっている。結果、既存顧客のアップセルやエクスパンションから成る売上拡大率が高いのだ。

KARAKURIは、そんな優秀なメンバー達と共に、多くの課題を持つ重要な市場に挑んでいる。彼らのビジョンを実現できるように僕も全力でサポートしていきたいと思っている。現在も様々なポジションで絶賛採用中なので、一緒にチャレンジしたいと思う人はぜひ連絡をして欲しい。 ⇒ https://karakuri-ai.co.jp/?page_id=1009

(編集してくれたkobajenneに感謝)

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ARR1000億という名の山の登り方

今回のポストでは、サブスクリプション・ビジネスにおける収益化のためのプラットフォームを提供するZuora社の社長、Tien Tzuo氏が来日中に開催したイベントのディスカッション内容を書き起こしたものだ。彼が語った、セールスフォースでの経験や学び、そしてARR 1000億円に到達するまでの『7つのフェーズ』とは。

セールスフォースでの時間

僕(Tien Tzuo氏)のセールフォースでの従業員番号11番。1999年創業間もない時にジョインして、まだオフィスもプロダクトもない時だった。僕らは「インターネット時代のエンタープライズサービスを作る」をビジョンで事業展開した。セールスフォースは、SaaSの事例が全くない中、イチからSaaSを設計して事業を伸ばしてきたので、みんなが最近聞くようなコンセプト(例えば、カスタマーサクセスやSDR/BRD)や指標(ACV等)は、セールスフォースが発明したものだ。

ほぼ同時期に創業されたエンタープライズサービスを提供する企業は、オンプレを提供していたけれど、セールスフォースはオンプレを提供する事を強く否定し続けた。「インターネット時代のエンタープライズサービスを作る」と言うビジョンに執着した。この執着心は、自分たちに〈フォーカス〉を与えてくれて、そしてSaaS市場が確立したタイミングで、僕たちはその市場のリーダー的存在になれた。

ストーリーを語る力

これはセールスフォースで学んだ事で、大きな概念を描いて発信していく。セールスフォースは、自分達のことを語る時、SFA (セールスフォース・オートメーション)については言及せず、「ソフトウェア時代を終わらせる」と言うストーリーを語った。

Zuoraでもその学びを活かして、ビリングツールのサービスプロバイダーとして自らを語るのではなく、「サプスクリプション・エコノミー」のストーリーを語り続けている。

The Climb

SaaS企業を成長させる時に気をつけなければならないのが、『自分が今どのコンテキストやフェーズにいるのか』だ。これを意識せずに伸ばしていくと、思わぬ落とし穴にハマってしまう。また、急成長しているときはとにかく色々壊れてしまう。過去に囚われず、自分たちを再発明していく必要がある。

この7つのフェーズの総称を「The Climb」と言う名前にした理由は、SaaS企業を伸ばすとき、登山と同じようにスィッチバック(ある方向から概ね反対方向へと鋭角的に進行方向を転換するジグザグに登っていく)が必要だからだ。「今までとは違うことをやらなくてはいけない」というマインドセットが重要なのだ。

アイデアの証明(0ドル〜100万ドル)

起業家がよくする間違いの1つは、ニーズを確認する前にプロダクトを作ってしまうこと。
開発をする前に、完成されたプロダクトがない状態でも、自分たちが売ろうとしているプロダクトが、まずは1億円分売り上げることができるのかを確認しなくてはならない。プロトタイプの状態でユーザーにぶつけることで、自分のアイデアが求められているものなのかを確認、証明すべきだ。

製品の証明(100万ドル〜300万ドル)

ARR 1億円を超えるタイミングまでには、プロダクトの最終形態の解像度を上げておきたい。最終版を完成させるにはあと5年かかるかもしれない。でも、完成に向けてどういった順番でどの機能を開発するのか、どのクライアントを取りに行くのかなどは、ARR 3億円のフェーズに行くタイミングまでには明確に答えられるようにしておきたい。Zuoraでは、早い段階からSaaS企業だけでなく、他の業種や業界を狙っていくという判断をしているから、それを考慮したプロダクト設計にしていた。

市場の証明(300万ドル〜1,000万ドル)

特にベンチャーキャピタルから資金調達をした場合、本当の市場規模を理解する必要がある。今自分が経営している会社は、どのくらい大きくなるポテンシャルがあるのか。評価額はどの位までになれるのか。これを知らずに大型調達をしてしまうと売却も上場もできない会社になるリスクが出てくる。

ARR 100億円を達成したタイミングでどのくらいの顧客数になりそうなのか ー 平均単価100万円の顧客を1万社持つのか、はたまた平均単価1000万円で1000社の顧客を持つのか。そして、将来的にターゲットとなりえる顧客数の規模はどの程度なのか。こういった質問にしっかりと答えらえるようにしなくてはならない。

並行して、マネージメントの仕方も大きく変える必要がある。組織の中で1人のリーダーが効果的に直接影響を与えらえる人数は、大体7人まで。それを越えたらレイヤー(層)を1つから2つに増やす必要がある。従業員57人くらいになればリーダーのレイヤーは3つに増やす。そして従業員150人となればレイヤーは4つに。マネージメントの仕方や情報共有の仕方、そして目標設定の仕方は、レイヤーを増やすたびに大きく変えていくべきだ。

ビジネスモデルの証明(1,000万ドル〜3,000万ドル)

ARR 10億円から30億円の間では、ビジネスモデルに焦点を絞り始める必要がある。
顧客獲得コスト、解約率、LTV、粗利益、NRRやコホート別に見たトレンドなど様々な視点での指標を用いて、ビジネスを成立させるために何をどこまで持っていく必要があるのかを考え抜く。

特にARR 30億円規模になると、予算の割り振り方が今後の成長に大きなインパクトを与える。顧客セグメントや取り組み毎に、どのくらいのセールスとマーケティング予算を割り振るべきなのか。今後のさらなる成長のためにR&Dに割くべき先行投資額はいくらなのか。これらをはっきりとしておきたい。

ビジョンの証明(3,000万ドル〜1億ドル)

ARR 30億円を超えた時点で上記すべてを明確化することができたのなら、もうARR 100億円は見えてくる。大体2〜3年で達成できるだろう。
特に上場を目指すのであれば、組織であれ投資家であれ、より強い「巻き込み力」が必要だ。たくさんの企業があるなかで、何故自分たちを選ぶべきなのか?ビジネスの証明、明確化は出来ているのだから、あとはビジョンを語り説得する。

Zuoraの上場時には、「世界がサブスクリプションに転換することを信じるなら弊社に投資した方が良い」というストーリーを強く訴えかけて投資家を巻き込んだ。

業界の証明(1億ドル〜3億ドル)

ARR 100億円を越えると、「プラットフォーム」を創造できる規模になってくる。太陽の周りにたくさんの小さな惑星があるように、自分の周りに小さい企業が多数集まり始める。プロダクトを連携したい、一緒に販売したいという企業が集まる。だからこの時点でどういったエコシステムを作りたいか、一緒に成長し続けるためにはどのような相手とどのように組むべきなのかを考える。

会社の証明(3億ドル〜10億ドル)

僕たちは、今ちょうどARR 1000億円を目指してる段階なので、ここからはあまり語れないが、ここまで来るともう長期に物事を考えなくてはならない。長期的に成長できる会社であり続けるには、どうすれば良いのか。業界の中で僕らはどういった立ち位置にいるべきなのか。そして、さらなる高みをどう探しにいくのか。

最後に

何か違和感を感じた時や、今まで上手くやってきていたことが上手くいかなくなっていると感じたら、それは会社に変化があった時。その時は、会社と自分自身の〈再発明〉をしなくてはいけない。前の一歩で成功の要因となったものが、今の一歩では足かせになることがある、ということを忘れてはいけない。白紙に戻った気持ちで課題に向き合えれば、おのずと答えが見えてくるはず。変化に適応し続ければ、ARR 1000億円のSaaS企業を創りあげることができると信じてる。

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