受け入れられないということの恐怖

起業をしたら、ときに自分の信念や考え方を色々な人から否定されるという状況に直面する覚悟が必要だ。
ユーザーインタビューをした結果、自分が作ったサービスがユーザーから受け入れられないこと、営業電話をかけてもきちんと話さえ聞いてもらえないこと、投資家に対してピッチをするときや、アクセラレータープログラムに応募をしても自分のアイディアやサービスが受け入れられないこと、自分が挑戦していることを家族や友人に説明しても理解してもらえないことなど、自分が取り組んでいることが受け入れられないということは頻繁に起きる。

しかしこれは当たり前のことで、起業家はその恐怖に立ち向かう必要がある。

ユーザーからの受け入れ

その中でも特に向き合っていく必要があるのは、ユーザーやお客さんからのフィードバック。一番良くないパターンは、ユーザーの反応を恐れてユーザーヒアリングを行わなかったり、プロトタイプのフィードバックをユーザーに求めず、それを避けるかのように開発をどんどん進めること。良いプロダクトを作るためには、ユーザーとの距離感を縮める必要がある。距離を縮めるということは、ユーザーとコミュニケーションを取る頻度を増やして、フィードバックを受けて、理解や共感を深める事。

決して、自分のユーザーを恐れてはならない。

何が間違っていたのか?

もしユーザーから受け入れられなかった場合は、「何故なのか」を振り返って分析し、学ぶ必要がある。伝え方が悪かったのか、ユーザーの課題を理解していなかったからなのか、ソリューションが適合していないのか等、原因を探る必要がある。その学びを生かして次に繋げていく。

起業家の道を進む過程で、自分の何かを「否定される」ということは当たり前のこと。恐怖心を持つことも当たり前のこと。でも、恐れたままで大丈夫。

ただ、その恐れを理由にリスクを取ることを止めないこと。そして必ずその恐怖に立ち向かう事。逆にその恐れをモチベーションを高める武器にするといい。


前田ヒロのメールマガジンに登録しよう!

最新の記事やポッドキャストをいち早くお知らせします!


起業家を理解する事

シードアクセラレーターを3年半前に立ち上げて、35のスタートアップを支援してきた中での一番の気付きは、シードステージの投資家やシードアクセラレーターの運営者は起業家をきちんと理解する能力がものすごく重要だと言うこと。これ無しでは起業家にポジティブなインパクトを与える事はできない。

アイディア

起業家と初めて出会う際に先ず最初に理解しないといけないのが、起業家とその起業家が進めようとしているアイディアが適合しているか。以前にも書いた事があるのだが、起業家の経歴、働き方、性格、長所と短所を理解して、アイディアを成功に導くために必要な要素が揃っているかを分析する必要がある。経験上ほとんどの場合、起業家が最初に考えるアイディアは、その起業家に適合してない事が多い。僕が関わってきたスタートアップの中で成功しているのは、大半が元とは別のアイディアになっている。

実際僕も、過去に何度か起業家とその起業家のアイディアが適合していない事に気づかず、その起業家が思い付いたアイディアに惚れすぎてしまった事や、自分が考えたアイディアに惚れてしまってそれを起業家に押し付けてしまった事がある。結果、両方とも上手くいかなかった。

アイディアに惚れすぎてはならない、アイディアを押し付けてはいけない。起業家を理解することが最優先。理解していない状態で、アイディアを進めないこと。

アドバイス

アドバイスを提供したい人は沢山いるのだが、日本で最も足りてないと思うのが、「聞き上手」な投資家。今対話している起業家は現在どんな状況下にいて、何が一番の悩みなのかを理解せずにアドバイスをしてしまうと、起業家が混乱してしまう事が多い。まず大事なのは状況を把握すること。そして、その起業家はどういう考えをもって「今」にたどり着いたのかを理解する事。アドバイスをしないという判断が正しい事も多々ある。「今」大事じゃない事について、アドバイスをしても起業家は混乱するだけだ。

成功確率

実は、僕は投資家が起業家の成功する確率を伸ばすことができるとは思っていない。僕が関わってきたスタートアップで成功している企業は、僕がいてもいなくても成功することはできたと思っている。それと同じように失敗しているスタートアップも、僕がいてもいなくても失敗しているのだと思う。ただ、唯一貢献できているのだろうと信じているのは、成功や失敗にたどり着くまでのスピードと成功と失敗の大小。今までの経験を活かしながら、より早い段階で成功もしくは失敗に起業家を導く。これによって成功の規模を最大限に引き出し、また、失敗を最小限にとどめる。これがシードステージの投資家やシードアクセラレーターの運営者に特に必要とされていることだ。

感情

起業家は日々、感情のジェットコースターに乗っているようなものだ。不安、恐怖、混乱の状態に入る日もあれば、自信に溢れて無敵になった気分にさえなる日もある。でも、どんな状態でもハードワークを続けて、決断スピードを落としてはならないし、社員に対してリーダーシップをとっていかないといけない。だからこそ、起業家がどのような感情状態にあるのかを理解して、コミュニケーションの仕方を変えていく必要がある。

僕自身も、まだまだ起業家や人を理解する力を磨く必要があると思う。これをマスターしてこそ、起業家をサポートする人間として一流と言えるのだろう。


前田ヒロのメールマガジンに登録しよう!

最新の記事やポッドキャストをいち早くお知らせします!


創業者の時間

スタートアップの創業者は常に忙しい。やる事が多すぎて遅い時間まで働き、今やっている事以外の事は考えられない状態に入る事が多い。経営経験が少ない創業者はよく自分が忙しいから会社が前に進んでいると勘違いをしてしまい、「忙しい事」によって安心感を得てしまうことがある。

しかし本来創業者の時間は何に一番使うべきか?
それは「今、会社にとって一番大事な事」に使うべき。創業者は現在何に時間を割いていて、そしてそれが自分の会社にとって本当に最優先すべきことなのかを意識する必要がある。

時間の作り方

先ずやるべき事は時間の確保。
会社がどのフェーズにあったとしても、創業者は時間を作る必要がある。会社が「一番大事な事」をやり遂げるには、たいてい時間を集中的に確保する必要がある。毎日寝る前に30分ほどかけて、その日何の事にどれくらいの時間を割いたかを振り返り、記録する。

次にやるべき事は「今、会社にとって一番大事な事」を考える。
考え方としては、今一番の課題は何なのか?もしくは、会社の成長を妨げる一番のボトルネックは何か?を考える。恐らくたくさん出てくると思うが、これをあえて一個に絞る事が大事。

そして、記録してきた日々の時間の配分を見て、「一番大事な事」にどれくらい時間をかけられているかを見る。もしそれが1日4時間未満だった場合、他の事に時間を割き過ぎだと判断する。

時間の確保がきちんと出来ていないと判断した場合は、それらが今本当に必要なことなのかを考えて、もし必要な場合それを他の人に任すことができるかを考える。他の人が担うことができるのであれば、そのオペレーションを他の人に任す。経営者は、できる限り最低1日4時間程度は今直面している課題の為に時間を集中的に確保出来るようにする。その時間が途切れるほど生産性が下がるので、4時間連続で確保する事がベスト。

採用

「一番大事な事」の大半は採用になる事が多い。採用は必ず創業者自らやるべきだと思う。会社が小さければ小さいほど、そして埋めようとしているポジションが重要であれば重要なほど創業者自身が判断をする重要性が高まる。自分が作った会社の文化を大事にするべき

オペレーションモードの罠

会社が軌道にのりとにかく今やっている事を継続すれば、売上も利益もユーザーもどんどん増えていく ー この、今やっている事だけを繰り返す「オペレーションモード」に入らない事。トップに立つ人間の役割は、常に先の事を考え、機会を探し、先手を打つ。先の事を考える時間を確保する事。

マスターするまで時間がかかる

タイムマネージメントは、すぐに上手くはならないし、時間確保ができるようになるまで時間がかかる事が多い。僕自身もまだ完全にマスターできていなくて、自分の時間配分に不満足な時もある。とにかく繰り返し繰り返し自分の時間配分の最適化に挑戦する事。いずれ効果的で生産性の高い創業者になり、自分の会社の成長スピードも加速する事になる。


前田ヒロのメールマガジンに登録しよう!

最新の記事やポッドキャストをいち早くお知らせします!