ハングリーであること、恐れていること

Sequoia Heritage Keith Johnson、Sequoia Capital Doug Leone、Snowflake Frank Slootman、Kleiner Perkins Mamoon Hamid……

僕は、彼らのような尊敬する経営者やリーダーの方たちと直接話す機会に恵まれてきた。これは本当に、本当に光栄なことで、今もなお、彼らとの時間を思い返すだけで、興奮を覚えるほどだ。

彼らは、それぞれが独自の視点と経験を持っていて、性格も全く違う。でも一つだけ。彼ら全員に共通する特徴がある。それは、飽くなきハングリー精神を持っていること。彼らのハングリー精神は、より多くの富を得るためでも、大勢の人からの賞賛を得るためでもなく、卓越性、パフォーマンス、そして真実に対する執着心からきているのだと、僕は感じている。

Doug Leoneが以前、こんな話をしていた:

#2であることは勝つことではない。#2であるということは、#1になることに敗北したということだ。

Dougのメッセージはとても明確で、「最善を尽くさないことは選択肢ではない」ということ。この言葉は、僕に深く響いて、今も投資チームのマントラとなっている。

ハングリーであることで、恥をかくことや間違いを指摘されること、未知の領域に挑戦することに対する怖さを、全て振り払うことができる。フィードバックを渇望して、更なる成長のための道を絶えず探求することになる。

僕が以前、ある支援先の組織診断を実施して、企業の代表である起業家にその診断結果をフィードバックしたとき、彼が真っ先にした質問は、「僕たちは、ナンバーワンですか?」だった。とにかくパフォーマンスを向上したい、真実に向き合いたい。こういうスタンスを持つ経営者は、間違いなく大成功するだろう。

ハングリーであることに対する恐れ

この情熱は、このこだわりは、人を遠ざけてしまうのだろうか?
要求が多すぎると思われるだろうか?

以前の僕は、「ハングリー精神」そのものに恐怖を抱いていた。でも、Frank Slootmanの言葉が、その恐怖を消し去った。

“ You can push the standards in every meeting, every email, every slack. You should AMP IT UP in every interaction. Don’t be afraid that people will leave you because of your intensity. Because the best people will stay.”

「一つひとつの会議やメール、スラックで、基準は常に押し上げることができる。すべての対話の中で、物事を磨き、強化しようとするべきだ。あなたが、強烈なまでの情熱、こだわりを持つことによって人々が去ることを恐れないでほしい。最高の人々は、あなたのそばに残るから」

重要なのは、自分、そして周りに対して、誠実であること。情熱やこだわりを共有して、ミッションを理解する人々に囲まれることが、より充実した環境を作れる方法なのだと思う。

“WHY”の重要性

強力なハングリー精神には、明確な “WHY” の意識が必要だ。その理由は、大きく2つある。

まず一つは、あなたの強烈さの根本にあるものが何なのか、なぜ必要なのかを周りの人が理解できるよう、コンテクストを提供する。この努力を蔑ろにすれば、その強烈さも「クレイジー」だと捉えられてしまうかもしれない。

そしてもう一つは、困難な場面に直面したとき、明確な “WHY” は、あなたの『強さの源』になる。人には必ず、辛いと感じる時があるだろう。「なぜ自分はこんなに頑張るのだろう?」と思うことだってあるだろう。そんな時、明確な “WHY” を持つことで強い自分を維持できるだろう。

情熱と生活のバランス

卓越性を追求する道は、困難に満ちている。生活とのバランスを見つけるのも非常に難しい。Jeff Bezosが言うように、仕事と生活を単純にバランスさせるのではなく、二つの間の調和を求める必要がある。

今でも僕は、この調和を見つけるのに苦労をしている。自分を少しストレッチさせ過ぎているかもしれない。「自分は本当にこのまま続けるべきなのだろうか?」と自分を疑うことさえある。

そういうとき、僕は一時的に減速して “WHY” に立ち戻っている。

少なくともこの調和を生み出すためには、ライフパートナー、そしてビジネスパートナーたちと自分のミッションを共有し、同じ方向を目指すことが大切なのだと思う。僕は、パートナーたちの支えなしでは、間違いなく、今、この場所にはいない。

ジャーニーであり、目的地ではない

「僕のハングリー精神は十分なのか?」「もっとできるのではないのか?」
自分を疑う場面は山ほどあるし、「ハングリー精神を持つべきだ!」などと僕が書くこと自体、ふさわしくないのかもしれない。

ただ、自分は、果たしたいこと、果たすべきことから、まだまだほど遠い場所にいることは間違いない。今の自分は、まだ進化と成長を続けるジャーニーの途中にいる。

僕の “WHY” の中心には、いつもALL STAR SAAS FUNDが在る。そして、このジャーニーを続けられているのは、僕たちを信じてくれている起業家や投資家、メンターの皆さん、応援してくださっている全ての方達がいてくださってこそであり、本当に、本当に感謝でいっぱいだ。

偉大な何かを達成するためのハングリーさは、意識的な選択だと思う。自分を満たすため、夢を実現するための方法は無数にある。だから、もし、このハングリー精神に共感してくれた起業家や、「ハングリーなVCになりたい」と感じた人がいれば、僕に連絡をしてほしい。

決して簡単ではないし、苦労はするだろう。だけど、一緒にいれば、お互いを高め合うことができるし、勝利をより確実なものにできると信じている。

ハングリーなVCになりたい方はこちらを通してご連絡を

(記事の編集してくれたkobajenneに感謝)

AIとSaaS — その戦略、事例、そして未来

(本記事はNotion AIを活用しています)

スマートフォンが、ウェブに新たな大きな波を作ったように、AIは、SaaS業界に大きな変革を起こすと思っている。

David Sacks

AIの発展、そしてGPTを活用したアプリ、サービスがどんどんと増えている昨今、その勢い、影響力はますます強まっている。なかでも、つい先日発表された「Notion AI」は、特に上手にAIを取り入れ、従来の利便性を保ちながらもユーザーに新たな価値を提供した例だろう。

このAIの波は、SaaS業界にも革新的な波をもたらしている。SaaS企業がAIを活用することで、より強力なプロダクトを提供し、普及を加速させられる可能性があると思う。今回は、AIを取り入れたサービス事例を紹介しながら、SaaS企業がAIを取り入れるときに考えるべきポイントにも触れていく。

AIの事例

AIを取り入れた最近のSaaSプロダクトを調べてみて、それらを大きく3つのカテゴリに分類してみた。

(1)プログラミングやカスタマーサポート業務などを自動化したりアシストしたりする「サジェスト/アシスト」カテゴリ

(2)大量のデータから重要なポイントのみを抜き出したり、サマライズする「サマライズ」カテゴリ

  • 会議内容のサマライズ (Vowel)
  • お問い合わせ内容などからフィードバックをサマライズ (betterfeedback)
  • 記事の要約 (Genei.io)

(3)画像、音楽、動画、コピーなどのクリエイティブを生成する「クリエイティブ」カテゴリ

SaaSの提供価値を高めて普及を加速する

僕は、AIとSaaSを切り離して別々のものとして見るのではなく、それぞれが “ソフトウェア” という世界の中の1つとして混ざり合うような感じになっていくのではないかと考えている。SaaS企業は、AIによってより多様にお客さまの課題を解決できるようになり、提供価値はさらに上がっていくことは間違いない。また、AIがドライブする新たなUXの実現によって、SaaSやソフトウェアの普及がもっと加速する可能性もある。

例えば、DBの構築や管理を求められてきたサービスは、AIによって自動化できる幅が広がることで、お客さま側の教育やベンダー側の工数を減らすことができ、より広い対象に向けてサービスを提供できるようになる。大量のデータを扱うサービスも、AIによってより使いやすく、簡単に使いこなせるようになる可能性だってある。

音声コマンドで、より高度で複雑な指示を出せるようになれば、PC環境でしか実現できなかったことを、ハンズフリーの環境でも使えるようになる。

AIの可能性は、無限にある。

Source: Foundation Models Are The New Public Cloud

AIもSaaSも基本戦略は変わらない

AIは、コモディティー化されていく前提で考えておくべきだろう。中長期目線でみれば、AIの精度やAIを取り入れていること自体を差別化要素にすることは難しくなる。

前述の通り、AIとSaaSは切り離して考えるのではなく「AIを取り入れたSaaS」として考える。そう考えれば、SaaSの基本戦略であるプロダクトのポジショニング、進化を続けるプロダクト、お客さまに寄り添った設計やUX、データやワークフローを押さえることが、引き続き重要であり続けることは明白だろう。

AIもSaaSもまだまだこれから

AIによって、SaaSはさらに大きな可能性を、そして市場にさらに大きなインパクトをもたらすだろう。

こうしている今も、世界中で多くのAIスタートアップが生まれて、新たな挑戦に挑む企業が登場している。でも現段階では、そのほとんどがアーリーアダプターの興味関心によって試されているような状態だ。これが実際の業務に本当に定着するのか、中長期で価値を提供し続けることができるのか。最適なUXは何か、十分な精度が備わっているのかなど、未知数な部分はまだまだ多い。

ただ、AIが多くの業界に「新たな変革の波」を起こすことは間違いないと思う。ソフトウェアの世界で挑戦する起業家のみんなにとっても「どのようにして自分たちのサービスにAIを取り入れられるのか」を考えるにはベストなタイミングだろう。

(Thank you kobajenne for editing this blog)


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差をつける、2023年

そもそも「予想する」ことは難しいことだけど、2023年の予想は特に難しい。

「リセッションは浅く、今年の前半に底を打つだろう」という比較的楽観的な予想もあれば、「2022年より深刻な状態になり、2024年に入ってからでないと回復の兆しはみられないだろう」という悲観的な予想も出ている。

まだまだ先行きが不透明なこの1年、僕たちはどのように突き進んでいくべきか。

起業家たちからもらう質問の中でも、もっとも多い質問の一つなので、僕なりの答えをブログにまとめてみようと思う。

強いのか?それとも弱いのか?

自分が経営するスタートアップの状態は「強い」のか「弱い」のか

同じフェーズのスタートアップと相対的にみて、KPIの進捗、ユニットエコノミクス、財務状況、組織の状態はどうか。もう一度見つめ直してみてほしい。

強い状態でいることは当然だ、と思う人も多いだろう。でも、変化の激しい市況の中で「強く有望な企業」でい続けるためには、一つの視点にとらわれず、その変化に順応できる“秀でた強さ”が必要だ。

既存株主にVCが入っているのであれば、「僕たちは今、強い状態にあるのか、有望だと感じるか」を聞いてみるのも良い。日々スタートアップを支援しているVCの視点で意見をもらえるだろう。

まだ株主がいなくても、VCが実施しているオフィスアワーや相談会などで話をする中で、自分たちの強さや弱さの気づきを得ることはできると思う。自分たちから見える景色だけでなく、俯瞰的な意見もぜひ取り入れて見つめ直してみてほしい。

その結果、自分たちが強く有望な状態であると考えるのであれば、市況にかかわらず攻めのスタンスをとっても良いと思っている。資金調達の面においても、強く有望なスタートアップならば調達を成功させられる可能性は十分ある。

一方、「弱さ」が見えたスタートアップは、「強く有望」なスタートアップになるために何をすべきなのか、既存計画の見直しの必要性などを含めて考えるところからスタートしてみてほしい。

大切なことなのでもう一度。とくに市況の変化が激しい時期は、「強さ」を測る投資家の基準やセンチメントも頻繁に変わるので、株主はもちろん、これから関係を築いていきたいVCや投資家たちと、自分たちの強さや有望さを確認する機会を定期的に設けよう。

C-90・60・10プランをつくる

達成確度 90%、60%、10%ごとのプランをつくる
※この「C」は「Confidence(自信度)」を表す

これは、北米のSaaS特化VC SaaStr が推奨しているファイナンシャルプランの立て方。

(参照:SaaStr「The 3 Financial Plans You Need for The Year: C-90, C-60 and C-10 (Updated) 」内のスライドを日本語に翻訳したもの)

まずベースプランとなる「C-60」をつくる。「それ以上だとストレッチが足りない、それ以下だとリスクが高すぎる」というちょうど良いバランスで設定する。

そして「C-90」。これは悲観的なシナリオになったとしても十分に資金が確保できるのか、ランウェイを確保できるのかを確認するためのもの。全社に共有するためではなく、あくまでも経営陣の中で共有するためのプランだ。つくり方は比較的簡単で、ベースプラン(C-60)から売上を20%程度カットした数字を設定する。

「C-10」は、よりストレッチさせたプラン。ベースプラン「C-60」よりも20%ほど上回った数字を設定する。例えば、年度成長率100%が「C-60」であれば、「C-10」は年度成長率120%を設定する。ちなみに僕の個人的な考えとしては、SaaStrが推奨する達成確度10%〜20%というのは、少々ストレッチしすぎているように感じている。「C-30」くらいに調整してみても良いのでは、と思う。

プロダクトは、命

プロダクトの予算は、可能な限りカットしない方が良い

予算の見直しでコストカットを実施するとき、全体を均等にカットしようとする企業をよく見かける。でも、プロダクトは攻め続けるべき。プロダクトは、スタートアップにとって命であり、差別化を実現できる非常に重要な要素だ。プロダクトが劣ってしまうと、景気が回復したときにも大きな不利になってしまう恐れがある。

現実の理解

向き合うべきは、あなたの現実

SnowflakeのFrank Slootmanに、不景気にどう対処すべきかと聞いたとき、彼のアドバイスは「ニュースに振り回されず、ビジネスの中で起きていることだけに反応すべき」だった。市場はあまりに大きく複雑。だから、マクロ経済が悪かったとしても、自分が取り組んでいるビジネスや市場には全く影響がないということだってあり得るのだ。

「あなたの現実は、隣の人とはまったく異なるかもしれません」~ Frank Slootman

今年の予算は、どんな状態か?
抱えている課題のトップ3は、何か?
お客さまは、何を考えているのか?

不透明な市況に右往左往するよりも、これらの理解を徹底的にアップデートすべき。

自分とお客さまの状況を客観的にみてしっかり理解し、それらを基にアクションを取るべきなのだ。

晴天では15台も追い越せない……でも、雨天なら追い越せる。

“You cannot overtake 15 cars in sunny weather…but you can when it’s raining.”

F1界のレジェンド、アイルトン・セナ氏の言葉。

環境が良ければ、誰もがアクセルを踏む。採用もマーケティングも、みんなが先行投資をする。そのような中で差を生み出すのはなかなか難しい。

ならば、今僕たちがいる環境は、強い会社がより強くなる絶好のチャンスだと捉えてみたい。PMFを達成し、ユニットエコノミクス、財務状況を改善して、プロダクトを強化する。競合との差をつけるなら、今だ。

(記事の編集してくれたkobajenneに感謝)


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恐怖に向かって走る

人は、恐怖を避けようとする。

恐怖を感じた時、多くの人は、その恐怖を無視することができなくなるまで放置するか、その恐怖について考えようともせずに、恐怖から逃げようとする。

僕自身も、同じことをしてしまいがちだった。今でも、課題や問題が現れそうな時、「もう少し待てば状況は良くなる。時間が状況を良くしてくれる。」と楽観的で安易な考えを持って、簡単な選択をしてしまう時がある。

そもそもなぜ、人は恐怖から逃げようとするのか?それは、3つの理由のどれかに当てはまるのではないかと思う。

  1. 感情的なストレスを避けたい。エネルギーも奪われるし、気持ちの良い物ではないから。
  2. 嫌われたくない。誰かを不快な気持ちにさせたくない。
  3. 自分が失敗したという事実を作りたくない。その可能性が少しでもあるなら避けたい。

この3つのことを考えるだけでも、一歩踏み出そうという気は失せる。

でも、これまで僕が「本当に素晴らしい」と感じ、尊敬するリーダーたちは、みんな「恐怖に向かって走る」人たちだ。彼らは、自身や会社の課題を発見するスピード、対策を打ち推進するスピード、全てが速い。だから、進化と成長スピードの速い会社を経営できている。

今回のブログでは、恐怖への立ち向かい方、について伝えよう。

まず最初に、人は「恐怖やリスクを過大評価してしまう」ということを理解しなくてはいけない。著名な心理学者 ダニエル・カーネマン の本 によると、判断をする場面で、人は、悪い結果やリスク、失う物にフォーカスし過ぎてしまう傾向があるという。悪いシナリオが起きる確率を過大評価してしまい、上手くいくシナリオを過小評価してしまう。恐怖やリスクが、頭の中で必要以上に強調されてしまうのだ。

でも振り返ってみてほしい。勇気を振り絞って恐怖に立ち向かってみたら、こんな結果になったことはないだろうか?

  • 実際やってみたら、想像していたほど恐れる必要もないことだった。
  • 行動に移してみたら、それまで恐怖だと思っていたものが恐怖ではなくなった。
  • 想定通りの結果にはならなかったけれど、自分の姿勢や言動によって、信頼を得ることができた。
  • 今回の結果は悪かったかもしれないけれど、自分がより前向きにポジティブになることができた気がする。

そう。つまり自分が恐れ、避けていたことの大部分は「もっと早くに向き合うべきだった」ことである可能性が高く、もっと早くに向き合わなかったことへの後悔に繋がることが多いのだ。

では、恐怖を感じてそこから逃げたいと思ってしまった時はどうすれば良いのか。僕は、こんな順番で自分の思考を整理している。

  1. 様々な判断や行動を考えて、それぞれのシナリオをできる限り詳細にシミュレーションする。
  2. シミュレーションのなかで恐怖を感じる要素があったら、「恐怖を過大評価しているのでは?」と自分に問いかけてみる。その上で、恐怖に対する対策を考える。
  3. その結果の自分の決断が、「一番簡単な選択肢ではなく、一番正しい選択肢である」かどうかを再度確認してみる。

このプロセスを進めていくと、恐怖への立ち向かい方が変わってくる。

ただ、一人でこのプロセスを進めることは、かなりの練習とマインドセットの変化が必要になる。人は一人だと、どうしても楽しくて、希望を感じるテーマに目が行きがちになるから。こればかりは、人間だから仕方ない。

そんな時は、コーチやメンターと一緒に恐怖に立ち向かう、という方法もあるだろう。客観的な考えを伝えてくれるパートナーがいることで、より深いところまで考え抜くことができるから。

今度、恐怖を感じることがあったら、その恐怖から逃げるのではなく、恐怖に向かって走ってみてほしい。逃げるよりは、良い結果にたどり着けるはずだ。
最後に。自分自身で、またはコーチと一緒に恐怖に向き合おう、向き合ってみたいと考えている人に、観てほしいセッションがある。11月17日(木)に僕たちが開催する ALL STAR SAAS CONFERENCE で、Coinbase、Notion、Reddit、OpenAIなどのCEOが実際に受けているコーチングメソッド「Mochary Method」からスピーカーを招聘し、恐怖に立ち向かうためのコーチングテクニックについてディスカッションをする。このセッションを観た後は、きっと「恐怖への向き合い方」に対する意識、考えがさらに変わるはずだ。

参加登録はこちら:

(記事の編集してくれたkobajenneに感謝)


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僕のライフパートナー。

僕には人生を大きく変えた出会いがある。数々の出会いによって、今の僕の考え方と人格は形成されてきた。

これら一つひとつの出会いがなければ、自分は今とは全く別人になっていただろうし、全く違う人生を歩んでいただろう。その中の一人に、2012年から一緒に仕事をしてきた存在がいる。これは余談だが、僕は彼女をリスペクトしすぎた結果、僕のプライベートのパートナーにもなってもらったくらいだ。

最初の出会いは10年ほど前。アクセラレータープログラム「Open Network Lab」の立ち上げのとき。彼女は、プログラム運営の仕組みや、スタートアップ選定のプロセス、そしてイベント・カンファレンスを推進させる仕事をしていた。僕はアイデアを考える役で、彼女のいるチームが詳細を詰めて推進する。そんな風にして一緒に仕事をしてきた。

それからお互いの職場が離れても、SaaS特化カンファレンス「SaaS Conference Tokyo(現ALL STAR SAAS CONFERENCE)」を一緒に企画したり、このブログの記事やポッドキャストの編集を手がけてもらったりと、僕の活動を長く一緒にやってきた仲間だ。

今は、ALL STAR SAAS FUNDのブランド・マーケを統括してもらっていて、ALL STAR SAAS BLOGをゼロから構築してコンテンツが定期的に生まれる仕組みを作ったり、ALL STAR SAAS CONFERENCEの全体統括をしてもらったり、相変わらず僕と一緒に、面白いことを実現するため、届けたいものを届けるため、多方面で活動してくれている。

そんな彼女から学んだことは、僕の生き方のフレームワークの一部になっていて、その学びのいくつかは、実は支援している起業家にも伝えていたりする。今回は、そんな “人生のパートナー” から学んできたことの中から、みんなにも伝えたいと思ったことを共有しようと思う。

「事」に向き合う人と、「人」に向き合う人がいる

僕はいつも、何か議論をしたり決めごとをするとき、結果的に正しい結論に行きつけば良いのだと思っていた。どんな風にどんな議論をするのかとか、どうやって結論に行き着くかということはあまり気にしていなかった。そんな時、彼女に言われたのは、僕は「事に向き合う人」の典型的な考え方をしているということ。

「事に向き合う人」は、とにかく正しい結果や結論を求めて話を進める。相手の考えよりも自分の考えや正論を強調して、“コストパフォーマンス” や “最短” を求めようとしすぎてしまう。相手が話をしようと息を吸い込んだ途端に、結末を言われてしまうような感じだ。

逆に「人に向き合う人」は、誰がどのように物事を進めているのかを意識している。相手や周りの思考、考えを受け止めながら、自分や周りの話し方や振る舞いにも意識を向ける。リスペクトできる人と一緒に働けるかという「誰とやるのか」の意識が高い。

僕自身も、人と話しをするときやマネジメントをするとき、より一層「人と向き合うこと」を意識して、相手がどんなことを考えているのかを意識し始めたことで、コミュニケーションの摩擦を最小限にしながら「コト」を進めることができるようになったと思う。

調子にのったら終わり。自信がある時ほど謙虚に慎重になるべき

「調子に乗るな」

僕は、いつも彼女に注意される。VCをやってると、結構、調子にのりやすい。叱られることも少ないし、「間違ってる」と言われることもほとんどない。リスクが分散されたビジネスモデルをしているから、大きく成功する事は難しいけど、同じように失敗もしにくい。

「会社の成長」「支援先の成長」「周りの成長」。これらの「成長」が、必ずしも「自分の成長」とイコールにはならない。状況、環境、立場、運など、自分が成長していなくても上手くいく要因はたくさんある。調子に乗ったまま自分の成長を止めてしまえば、いつか痛い目にあうだろう。環境の変化などによって、厳しい挑戦に挑まなくてはならなくなった時に初めて自分の成長不足に気づくのでは、手遅れなこともあるかもしれない。

インプット、アウトプット、そして挑戦。この3つを常に意識して、自分は日々成長するんだ、という気持ちを持ち続けたい。

また、常に謙虚であること。自分の振る舞いが人を動かすということを日頃言われている。特に起業家を支援する人には重要だと僕は思う。自分もまだまだな部分が多いが、謙虚さの重要性は、ALL STAR SAAS FUNDの仲間にも伝え続けていきたい。

感謝を言い合える文化の強さ

今の僕を知ってる人にとっては意外かもしれないが、実は、僕はあまり「感謝を伝える」ということをしない人間だった。例えば食事をご馳走になった時でも、(もちろん頭や心の中では感謝していたけれど)「ご馳走様でした」とさえ言わないレベルだった。そんな日常の僕の言動から、「感謝の気持ち」は伝えなければ全く意味がないことを教えられた。

感謝は、人を動かす強い原動力になる。感謝を伝えるとスポットライトがその人にあたるし、その人の仕事や成果、そして存在が都度認識される。それはその人にとっても、周りの人にとっても幸福度の向上につながって、本人やチームのモラルアップにもつながっていく。

ALL STAR SAAS FUNDでは、コミュニケーションの至るところで感謝の言葉が飛び交っている。メンバーとの1on1で、「ALL STAR SAAS FUNDの一番好きなところはなんですか?」と聞くと、大半は「感謝を言い合う文化だ」と言う。僕は、この感謝を言い合う文化を提案して「ありがとう」が言いやすい環境を作ってくれた彼女に感謝している。僕が好きなALL STAR SAAS FUNDの文化の一つがこの文化だ。

必ずもう一段上にいける

多分、僕が一生彼女に追いつけないこと。それは質へのこだわりだ。僕が良いと思ったことに対しても必ず「もっとレベルを上げられる」と言われる。もっと上手くできる方法がある、もっと伝わる方法がある、もっと面白くできる、もっとできる…何に関しても、もっと上があることを感じて求める。「今のままで良い」という言葉は、彼女の辞書にはない。

現状に満足せず、もう一段上を目指せ。

“バック”は存在しない

何か大きな成果をあげたときは、何かと担当した人や窓口になった人が注目されがちだが、そこには必ず、共に作り上げてきた「人たち」がいることを忘れてはいけない。チーム戦で果たすことは、「フロント」や「バック」といった概念ではなく、それぞれの対等な連携によって実現されるのだ。

とは言っても、目立ちやすいポジションと目立ちにくいポジションは、どうしても存在する。だからこそ、一緒に築き上げてくれたメンバーたちにしっかりスポットライトが当たるようにしたいと思う。彼女は、何かを達成した時、関わってきた人全員にスポットライトを当てようとする。そんな彼女の姿勢をみて、僕も実践しているところだ。

以上が、僕がライフパートナーから学んだこと。他にも学びは多くあるけれど、起業家に伝えたいと思ったいくつかを厳選してみた。日々の行動や考えに取り入れてみると良い変化が現れるかもしれないので、もしよければ試してみてほしい。

Thanks kobajenne


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VCがプロダクトやプラットフォームを作る時代に。進化を続ける北米のベンチャーキャピタル事情

僕も大好きなテーマの1つ「北米のVC事情」。
業界に流れる資金がどんどん増えてコモディティー化されていくなかで、VCも「起業家に選ばれるVC」になるため、より戦略的な取り組みが必要視され、活動がますます活発化しています。今回のエピソードでは、北米を中心に最新テックニュースを深堀するオフトピックの宮武徹郎さんをゲストに迎えて、進化を続ける北米VC事情についてディスカッションしました!

【ハイライト】

  • VCファンドの大きなトレンドと役割の変化
  • Founder Friendly文化がシリコンバレーで浸透した理由とその落とし穴
  • Specialized vs. Scale。VCファンドの二極化の背景
  • 今アメリカで起きているアクセラレーターの逆襲
  • YCが作った仕組みとその強さの理由
  • プラットフォームVCの特徴と戦略
  • VCのアンバンドル化の特徴
  • VCがプロダクトを作る時代に
  • 結局、尊敬するすごいキャピタリストはどんな人?

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T2D3は、ただのロマンじゃない 〜この成長曲線には戦略的な意味がある〜

「T2D3」

SaaS業界に関わる人であれば馴染みが深い言葉だろう。PMFを達成したARR 約1〜2億円のタイミングをT1のスタート地点として、そこから毎年Triple(3倍)、Triple(3倍)、Double(2倍)、Double(2倍)、Double(2倍)のペースでARRを成長させる曲線のことをいう。「T2D3」とは、ARRを5年で72倍にするということだ。

ServiceNow や Marketo 、Zendesk など名だたるSaaS企業が、このT2D3を実現させていて、SaaS業界のトップクラスのベンチマークとして利用されている。今回のブログでは、この「T2D3」を目指す意味、そして達成するためのポイントについて触れたいと思う。

T2D3は、戦略的に良い目標である

T2D3を目指すことは、戦略的な意味がある。

T2D3の達成は評価される

T2D3を達成しているSaaS企業は、まだ少ない。達成することができれば、国内でも有数のARR 100億円以上の高成長SaaS企業として評価されるのだ。以下のグラフからも、ARR 100億円以上で年度成長率25%以上のSaaS企業(赤点線枠)は、その他のSaaS企業より高く評価されていることが分かる。

この背景には、「大きな市場のマーケットリーダー」として見られやすくなることが挙げられる。

*東京証券取引所ウェブサイトおよびSaaS上場企業各社の決算資料のデータに基づくALL STAR SAAS FUND独自分析。

組織が程よく“ストレッチ”する

2021年のALL STAR SAAS CONFERENCEに登壇してもらったSmartHR COOの倉橋さんは、T2D3を「壊れない、最高成長速度の良い目安だ」と言及していた。経営者の役割は、「いかに大事なものを壊さず、速いスピードで成長できるかが重要だ」と彼は言う。

目標が低すぎてしまうと進化のない組織になってしまい、はたまた高すぎれば未達に慣れた組織になってしまう。T2D3は、進化する組織を求め続けられる極めて難しいけれど不可能ではない程よいストレッチ目標だ。

SaaSは規模を早期に大きくした方が有利

SaaSは、先に大きくなった方が有利になる。ARR 100億円のSaaS企業と比べて、ARR 10億円のSaaS企業は、雇用できる人数と先行投資に回せる金額が少なくなってしまうことは想像に難くない。最短でARRの規模を大きくして、「人」と「資金」で競合との優位性を築くべし。

T2D3達成で重要なポイントは?

まず、まだ読んでいない人は「SmartHRが“T2D3”を目標にしたら何が起きたか:COO・倉橋隆文と5年間を振り返る」を是非読んでみてほしい。ここには、T2D3を目指すために重要なエッセンスが詰まっている。

この記事にも書かれている重要なこと。それは、戦略を決めるときは、目の前でなく常に先の目標を達成するために「組織」や「オペレーション」をどう進化させるべきかを考えるということ。

例えば、組織のことでいうと、T2D3を達成するためにはとにかく人がいる。350人以上の大きな規模のチームを築くことを想定すべし。この時、目標設定やコミュニケーション、人の配置、オンボーディングなど様々な面で、組織を進化させていく必要がある。進化が間に合わなくなれば、たちまちパフォーマンス低下や、組織崩壊が起きやすくなってしまう。

そして、数字を達成するための戦略も、新しい顧客セグメントの開拓やARPAの向上など適切なタイミングをしっかり捉えて実行に移さなくてはならない。成長率が鈍化してからでは、遅い。鈍化の兆候を先読みして、先手を打つのだ。

T2D3を目指す経営者には、この2つの問いに対する答えをいつも持っておいて欲しい。

「来年の目標を達成するためにプロダクト、組織、そして戦略がどんな状態になる必要があるか?」

「上記の状態になるために必要なアクションが既に実行済みであるか?もし実行にうつしていない場合はいつまでに実行する必要があるか?」

最後に

「T2D3」は、どんなSaaSスタートアップにも目指して欲しい目標だと僕は思っている。でも、「もしT2D3の成長曲線を描くことができなければ、終わりなのか」と言うと、それは違う。PMFを達成させることができて、市場が魅力的なのであれば、T2D3曲線から外れているとしてもさらなる成長の可能性は十分ある。

仮にARR 3億円で年度成長50%で成長しているSaaS企業がいるとしよう。その成長率を何とか10年間維持させることができれば、ARR 100億円を超える高成長率SaaS企業の仲間入りだ。もしこの50%を55%の年度成長率に加速できれば、さらに1年早くARR100億円を達成できることになる。

どんな状態であれ、常に「壊れない、最高成長速度」を探し続けるべきだ。これは戦略的にメリットが多く、より優位なポジションに立てるからだ。

(記事の編集してくれたkobajenneに感謝)


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一兆円企業がこれから続々誕生するSaaS市場でマーケットリーダーになる方法とVCの役割


ついに、この日がやってきました!
いつか一緒に働きたいとずっと思っていた湊 雅之さんがALL STAR SAAS FUNDに参画!

今回のポッドキャストでは、湊さんがALL STAR SAAS FUNDに参画した理由に加えて、僕たち2人で「SaaSの未来」を語りました。10年後のSaaSはどうなるのか、SaaS市場の中でのVCの役割とは、そしてSaaS企業がマーケットリーダーになる重要性とその方法について話しています。
湊さんもSaaSに深く惚れ込み、その力を強く信じています。ALL STAR SAAS FUNDが掲げるミッションに向かって一緒に走る仲間が、またひとり、ジョインしてくれました。Welcome MASA to to ALL STAR SAAS FUND FAMILY!

【ハイライト】

  • 湊さんがSaaSを好きになったキッカケ
  • 仲間でもライバルでもある関係性
  • お祖父さまから受けた影響
  • ALL STAR SAAS FUNDに参画した理由とその魅力
  • SaaS業界でのVCの役割と実現したい世界観
  • 10年後の日本のSaaSとそのポテンシャル
  • 今後SaaS市場が伸び続けるために必要なこと
  • マーケットリーダーになるための条件

Apple Podcastへのリンク

(ポッドキャスト編集してくれたkobajenneに感謝)


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任せられる人を増やすには、挑戦の機会を増やすしかない。〜経営者が意識するべきコミュニケーションとは〜

今回のゲストは、2013年にユーザベースに入社し、2021年1月にCo-CEOに就任した佐久間衡さん。投資銀行でキャリアをスタートされた後、ユーザベースに参画した佐久間さんの役割の変化や、今のポジションになるまでに経験したことや学んだことについてディスカッションしました。佐久間さんが身につけたコミュニケーションやマネジメントスタイル、事業拡大に大きく貢献した取り組み、新規事業やM&Aについて、そして経営者の重要なジョブの一つについて触れています。

マネジメントや経営に関わるヒントが多いエピソードです!

【ハイライト】

  • ユーザベースに入ってから身につけたコミュニケーション方法とその重要性
  • みんなが納得できる意思決定の進め方
  • トップにも意見を言える状況をつくることの重要性
  • 責任範囲がどんどん広がった理由
  • SPEEDA事業の拡大に重要だったこと
  • 任せられる人を増やす方法
  • 新規事業は「時代の必然の流れをつかむこと」
  • M&Aの考え方
  • Co-CEOのメリットと上手くいかせるポイント
  • 経営者の重要なジョブの一つについて

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(ポッドキャスト編集してくれたkobajenneに感謝)


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暇になることを恐れず自分自身も楽しく、これが私が見つけた組織を成長させるマネージメント法 〜SmartHRにエンジニアメンバーとして入社、そして新CEOへ〜

今回のゲストは、2022年1月よりSmartHRの新CEOに就任することが発表された芹澤さんです!芹澤さんはシード期のSmartHRにエンジニアメンバーとして入社し、その後VPoE、CTOを経て、12月8日、CEO就任のニュースが発表されました。

このエピソードでは、エンジニア組織のマネジメント方法、そして入社してから着実に責任範囲を広げていった芹澤さんに「任される理由」を聞きました。新CEOとしての意気込みも語っていただいています!

【ハイライト】

  • SmartHRに入社したきっかけとその理由
  • VPoEになってから身についたマネジメント法
  • エンジニアチームを引っ張る時に使う1on1術
  • 成果を出している人にマインドシェアを多く割くべきな理由
  • マネージメントをする人が楽しんだ方が良いワケ
  • 暇になることを恐れるな
  • 急拡大しているエンジニア組織をマネージメントするうえで気をつけた方が良いポイント
  • 宮田さんから学んだこと
  • 他の役員との関係作りについて
  • CEOになろうと思った理由
  • 新CEOとしての意気込み

僕がマネージングパートナーを務めるALL STAR SAAS FUNDが運営している「ALL STAR SAAS BLOG」でも、SmartHRチームの皆さんへのインタビューPodcastや記事を公開しています!

〈記事&Podcast〉ストレッチ目標を実現する鍵は「達成可能性70%」にある(取締役・COO(最高執行責任者)倉橋 隆文さん)

〈Podcast〉SmartHR セールスマネジャーに聞く〜チームで成果を出し続けるマネジメントの勘所(セールスグループ エンタープライズセールス マネージャー 阿部 紘大さん)

〈Podcast〉なぜSaaSビジネスにSales Opsが必要なのか?(セールスプランニング 工藤 慧亮さん)

(ポッドキャスト編集してくれたkobajenneに感謝)


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