SaaS企業を一流の道へと導く3つの必須要素

僕がSaaS企業への投資に力を入れ始めてから5年が経った。これまで、国内外の多くのSaaS経営者やSaaSビジネスに投資する投資家たちと話をしてきた中で、成功している起業家からよく出てくる共通のキーワードがいくつかあることに気がついた。これらのテーマは「一流」のSaaS企業を作るために重要な要素だと僕は感じている。

今回は、ALL STAR SAAS FUND 2号のクロージングの発表を機に、一流SaaS企業に必要な要素とは何か、そしてALL STAR SAAS FUNDがどのようなサポートを行って起業家と共に一流のSaaS企業を目指しているのかを話しています。

  • ALL STAR SAAS FUNDを始めたきっかけ
  • ファンドの名前に「ALL STAR」を入れた理由
  • ファンドの出資者に求めたこと
  • VCとしてのコンプレックスを無くすためにやったこと
  • 大事にしているバリュー
  • 一流のSaaS企業を作るために必要だと感じている3つの要素
  • CXO採用でよくある間違い
  • 一流のオペレーション体制を構築する方法
  • 顧客課題の解像度を高める重要性
  • 投資する時に気をつけているポイント

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(ポッドキャスト編集してくれたkobajenneに感謝)


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SaaSの使い方と会社のカルチャーはマッチしているのか?

これまで、「会社のカルチャー」は毎日オフィスの中で顔を合わせながらする人同士の会話や行動が積み重なって形づくられるものだった。でも今は、リアルな場で対面したコミュニケーションを行うよりも、SlackやSalesforce、Notion、Zendeskなど、SaaSを通したコミュニケーションの方が多くなってきて、これらの使い方自体が「カルチャーづくり」に大きな影響を与える時代になっている。

では、実際SaaSを使ったカルチャーづくりにはどんな事例があるのだろうか?どんなことに気を付けるべきなのだろうか。

SaaSを活用した事例

透明性を高める – 多くの企業が透明性を高めようと積極的に取り組みを行っている。その中でも上手くできている例の一つとして、SmartHRのSlackの活用方法がとても参考になる。2019年12月に公開されたSmartHRの運用ガイドラインでは、アイコンの重要性、表示名の細かいルール、チャネルの使い方などが記載されているのだが、特に注目したいのが「DMを原則使わない」というルール。

以下のグラフにある通り、ほぼ全てのコミュニケーションがオープンなチャネルで行われている。これがSmartHRの透明性の高いカルチャーを支えている一つの柱になっているのだと思う。

オペレーション・エクセレンス – The Model文化を浸透させているセールス・フォースでは、自社のプロダクトを活用したKPI管理が徹底されている。下図のようなダッシュボードを使い、一日単位ではなく時間単位で定量的に自己のパフォーマンスを測っている。

KPIやフェーズをしっかり定義し、自分の活動を徹底的に記録する。メンバー全員にこの意識が根付いているからこそ実現できるカルチャーだ。

*参考記事「セールスフォース・ドットコムのトップインサイドセールスは、どんな一日を過ごしている?密着してわかった「詳細な活動計画

ズレを無くす – 10Xでは、ありとあらゆる情報の整理や管理がNotion上で行われていて、どこにどのような情報があるのかが分かる状態、分からない場合も誰に聞けばよいのかがすぐに分かる状態をつくることを大切にしていて、「情報の地図」というドキュメントが整備されている。(参照記事:神は「順序」に宿る。10Xの、バリューを軸に組織のスループットを最大化する方法

“ここには、我々はどういう状態を達成したいか、どの情報がどこに置かれているか、どんなメンバーがいてそれぞれ何に詳しいのか、情報をどう取り扱うか、などが記載されています。” ~ 10X 矢本真丈”

理解と認識を言語化してズレを無くすことで、一人一人の判断力を高めたり、コラボレーションしやすい環境をつくることができる。これは全てをドキュメント化するカルチャーが組織全体に根付いていないとできないことだ。

課題を課題として認識する – カミナシでは、会社や事業が抱えている課題をTrelloに残している。課題の認識を共通化することで「それを解決するぞ」というコミットを表す効果がある。ボトムアップで課題をきちんと拾い上げ、言語化し、アクションに落とし込む経営者がいるからこそ成り立つ。

SaaS活用で注意するポイント

では、SaaSを使ったカルチャーづくりで気を付けるべきポイントはなんなのか?

SaaSの活用方法とバリューの整合性 – 会社のバリューとSaaSの運用方法に、整合性をもたせることが大切だ。透明性を大事にするのであれば、SlackのチャネルやNotionの閲覧権限もそれに沿った設定にする必要がある。感謝の気持ちをしっかり伝えられるチームをつくりたいのであれば、SaaS上でも感謝の言葉が自然と出てくるような環境作りが大切だ。特に日々のコミュニケーションで使われるような利用頻度の高いサービスは、組織全体への影響力が高いので、気を付けておくと良いだろう。

ルールは明文化し、全員で守る – 特に、人が増えていくフェーズの企業では、運用のルールをできる限り明文化がさせた方が良い。どのような使い方を推奨するのか、そしてどのようなことが推奨されないのか。これらのルールを明確にすることで、組織全体にそのカルチャーを浸透させやすくなる。SmartHRのSlack運用ルールは、細かいところまで明記されていて、とても分かりやすい。

それでも話した方が良いときもある – SaaSはとても便利なツールだが、コミュニケーションをSaaS上で完結させないことも大事だ。人の感情やニュアンスは、どうしてもテキストだけで伝えるのには限界がある。何かを議論する時や感情的になりそうな議題は、対面、または少なくともZoomで話す。信頼関係を築く上でも、やはり声のコミュニケーションは欠かすことはできない。

チャレンジではなくチャンス – SaaSの普及は、カルチャーづくりを難しくしているのではなく、むしろ簡単にしてくれていると僕は思っている。今までは対面での限られた機会でしか自社のバリューを体現しにくかった。でもSaaSを使うことで、24時間いつどこからでも体現化させることができて、触れる頻度を高くすることができる。これは、カルチャーづくりがより実行しやすくなるチャンスだと考えている。

SaaSの使い方と会社のカルチャーはマッチしているか。

この記事が、SaaSを活用したより強いカルチャーの築き方について考えるきっかけになれば嬉しい。

(編集してくれたkobajenneに感謝)


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