Photo by: US Department of Education
支援先の起業家からよく相談される内容のひとつに、「株主との有効なコミュニケーションの取り方を教えて欲しい」というものがある。
せっかく投資を受け、会社に迎え入れた株主だ。彼らとの間で発生するコミュニケーションが、ただ単に事業の進捗を報告するだけでは勿体なさすぎる。そこで今回は、特に株主の数が多い状況下で効率良く、かつ効果的にコミュニケーションをとる方法について書くことにした。
株主ミーティング
全株主を集めて、定期的にミーティングを開催する。
株主が2〜3人程であれば、月に一度または、2ヶ月に一度の1 on 1を実施する方が効率的にコミュニケーションを取れるが、5人以上の株主となると「株主ミーティング」を開催した方が双方にとってメリットが多い。このミーティングを開催する上でのポイントは以下:
- 株主全員に会社の状況を知ってもらう事はもちろん重要だが、一番の目的は課題を洗い出して解決策について議論すること。いろんな視点を混ぜて経営軍が見落としている課題や、今のうちに考えるべきことを見つけて、株主の知見とネットワークを活用して解決策について話し合う。
- 1 on 1でのフォローアップは重要だ。人数が多い株主ミーティングの中で、全ての結論や解決策を見出す必要はない。ミーティングの中で、特定のトピックについて強い意見を持つ株主や、持っている課題の解決のためにサポートしてくれそうな株主がいれば、後でじっくりと1 on 1でフォローアップする場を持つと良い。
- グループでミーティングをしているその場で、重要な決定事項を決めないこと。重要度の高い決議事項があるのであれば、株主と1 on 1で話をして、それぞれのスタンスや考えを確認した上で、その情報を消化する時間を設ける。より良い判断をするには、考える〈時間〉を持つことが大切だ。
- 事業の状況報告に費やす時間は最小限に止めること。事業の進捗やKPIの達成報告にあまり時間をかけず、なるべく議論の時間を多めにとった方が良い。ミーティングの時間が90分間なのであれば、報告に使う時間は15分以下に収める。できればミーティングの2日前には使う予定の資料を株主に共有し、事前に目を通してもらうと良い。報告の時間をできる限り短縮し、効率の良い有意義なミーティングを実施できるよう努力すべき。
- 株主ミーティングは、基本的に経営者が必要と感じる頻度・タイミングで行えば良い。ちなみに僕は、2ヶ月に一度ぐらいがちょうど良いと思っている。
- ミーティング最中の質問が少なければ、経営者はホッとするかもしれない。でも、経営者の考えに ”挑戦” されて様々な議論が発生する方が、ミーティングの目的を果たしていると思う。
- 取締役会と株主ミーティングは、切り分けて考えるべき。会社法上の事項や社内の規定に関する内容の決定は取締役会で行う。株主ミーティングは、起業家が株主を「活用する」ことを目的として実施すると良い。
メールでの報告
株主ミーティングを実施する代わりに、メールやFacebookグループを活用してコミュニケーションを取る起業家も多い。この場合の効果的なコミュニケーションをとるためのポイントは以下:
- 事業の重要KPI
月次、四半期、そして年度の成長率が分かるように記載する - 財務状況
特にあと何ヶ月存続するできるかを含めて書くこと - 上手くいったこと、上手くいかなかったこと
マーケティング施策、マネジメントの施策などをまとめる - プロダクト進捗
新機能のリリースやその効果、今後の開発予定など - 課題、悩んでることや助けてほしいこと
事業戦略や採用計画など、なるべく詳細に伝える - その他重要な動き
上記の要素を含めることで、より現在の状況やニーズを明確に理解することができ、株主はアドバイスをしやすくなる。また、株主ミーティングと同様で、特定のトピックスで意見を持っている株主がいれば、1 on 1のフォローアップを行うことが重要。
これらが、株主と効率的かつ効果的にコミュニケーションを取るためのポイントだ。経営者と株主がダイナミックに良い連携を取ることができれば、事業に大きなポジティブ・インパクトを与えられる可能性がある。ぜひ、株主を ”使い倒し” て欲しい。
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