起業家の振り返りと整理の時間

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Nathan Rupert Follow

初めての起業で陥りがちなワナの中でよくあるのが、「忙しい = 事業が進んでいる」と勘違いしてしまうこと。忙しくしているのは、ある意味居心地が良い。ハイペースでテンポよくTO DOを処理しているため、仕事をしている ”気分” になれる。また、実際は事業が成長していない時でも、忙しくしていることで「リソース不足なんだ」と言い訳もしやすくなる。

スタートアップにリソース不足は当たり前のこと。忙しいのも当たり前だ。だからこそ、時間を最大限に有効活用すること、そして最短で学び、多くを吸収することが重要だ。

そして、振り返りと整理の時間を定期的に設けて、以下のポイントを考える必要がある。

やりたかったことと、やったこと:今週やりたかったことは何か?今週の目標はなんだったのか?それらを全て実行できたのか?目標に対してどのぐらい達成することができたのか?できていないことがある場合、その理由を振り返り、今後の目標達成のために変えていける(変える必要のある)ことがあるかを考える。

自分の状態:エネルギーは十分あるか?体調は良いか? ― スポーツ選手と一緒で、健康であること、そしてエネルギーいっぱいの状態で働けるように自分自身を管理することが大事だ。運動、睡眠どちらの時間も作り、また、燃え尽きてしまわないように休むことも忘れてはいけない。

再計算:事業を進めていくにあたり、ユーザーや市場、事業そのものについてなど、学ぶ機会が多くある。この新たに得た知識、情報そして感覚は、どんどん既存の事業計画やモデルに反映させていくべきだ。結果、当初の計画を引き直すことになる可能性も十分あり得る。

勝った状態:中長期で見たときに、自分の会社の「勝った」状態とは、そして、その条件は何なのかを定義する。また、その状態にたどり着くためにするべきことは何かを考える。

上手くいったこと、いかなかったこと:今週実践したことのなかで、上手くいったこと、そして上手くいかなかったことは何か。新しい取り組みを続けていれば上手くいかないことも多くあるはず。小さな失敗をたくさんすることは経営の中で自然なこと。重要なのは、そこから得た学びを次に生かせるかどうかだ。

ビジョン:もう一度、改めて会社のビジョンについて、そして、そのビジョンに向かってまっすぐ進んでいるかを振り返ってみる。そのビジョンを達成するために、既存の事業やビジネスモデルに囚われることなく、イノベーションし続けられているかを考える。

次に実践する事こと:上記を全て考慮した上で、次の一週間で実践することを整理して、目標を設定する。

振り返りと整理の時間の取り方は、自分のライフスタイルに合う方法で行えば良い。週末数時間かけてカフェで行う人もいれば、早朝や夜中に行う人もいる。振り返り、整理、そして未来への戦略について考えることを定期的に習慣付けることができれば、より効果的な起業家になれる。


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スタートアップのアイディアはレッド・オーシャンから

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スタートアップを始めるきっかけとなるアイディアは、いろんな形で現れる。

自分自身が必要性を感じて「欲しい」と思ったことがきっかけになることもあれば、自身の経験からひらめいたり、トレンドを察知して発見することもある。今回紹介したいのは、分析を通してアイディアの機会を探す方法 ー レッド・オーシャンと思われる市場をブルー・オーシャンに変化させることができる「市場の再定義」の方法だ。

市場の再定義の方法は、主に3つあると思う。

テクニカルブレークスルー:1つ目は、従来よりさらに良い体験を現在の技術で提供することができるか、または、オペレーションコストを大幅に下げることができるか、だ。重要な指標としては、既存のソリューションより10倍以上の優れた体験を提供できるかがポイントになる
ここで有名な事例と言えるのは、Google。すでにレッド・オーシャンであった検索エンジン市場に参入したにも関わらず、優れたアルゴリズムで他とは比べものにならないサービスを提供し、この市場をブルー・オーシャンに再定義することに成功した。

特化する:eBayやCraigslistのような横に幅広く展開しているプラットフォームとは異なり、AirBnB、Uber、Starhubなどのように、「特化すること」によって、より探しやすく選びやすく、そして使いやすい優れた体験を提供できる。

プラットフォームシフト:ここ3年〜5年の間で起きたスマホシフトによって、多くの “機会” が生まれている。これは、よりユビキタスでパワフルなプラットフォームにシフトすることによって、今までリーチできていなかったユーザーに対してサービスを提供し、また、これまで以上に優れた体験を提供できるようになってきているからだ。例えば、Instagram、Uber、Instacart、Snapchatなどは、このスマホシフトから生み出せれている。

レッド・オーシャンであると思われる市場をブルー・オーシャンに再定義してみる、というのは、スタートアップのアイディアを見つける1つの方法になるかもしれない。だから、競合が多いということを理由に、その市場をレッド・オーシャンと定義付けて避けてはならない。逆に、競合が多いからこそ成功の機会が多くひそんでいるかもしれないからだ。
但し、これはあくまでもスタートポイントで、そこからのアイディア検証、事業分析、そして実現させていくための行動力など、そこから多くのアクションが求められることは忘れないでほしい。


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起業家を見極める時

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僕がシード期のスタートアップへの投資を検討する時は、ほとんど起業家自身を見ていることが多い。シード期のスタートアップは、まだプロダクト/マーケットフィットを達成しておらず、組織や仕組みもできていないケースが大半のため、シード期のスタートアップへの投資で最大のリスクは「プロダクト/マーケットフィットを達成できるのか?」になる。

だからこそ僕が重要視するのは、起業家自身となるわけだ。

見極めのポイントとしては、以下の要素を持っているかどうかを見るようにしている。

クリアな考え (Clarity of Thinking) – 起業と経営は、とにかく試行錯誤の繰り返しだ。「分析して、考えて、試す」これを幾度となく繰り返していく必要がある。そのためにも、分析する力、考える力、そしてその考えを整理する力が必要だ。何が起きて何を試して、今の考えに至ったのか、その考えを元に次に実行すべきことは何なのか。そして、その先にどういう未来を描こうとしているのかなどを起業家との話を通して確認していく。起業家が、それをいかに明確に伝えられるかを重要視する。

学習マシン (Learning Machines)以前のブログにも書いたことだが、起業家は常に新しい事を学んで、スキルを磨き続けないといけない。プロダクトマネージメント、マーケティング、採用、法務、組織づくりなど、学ぶべきことは尽きることがない。最初のミーティングから2回目そして3回目のミーティングの間でどのくらい学習して新しい知識を吸収できているか。人として、どのくらい成長できているかを確認している。

勇気 (Courage) – 難しい決断をする勇気、大きなビジョンや目標を掲げる勇気、失敗を恐れない勇気、ユーザーから直接フィードバックを求める勇気等、起業や経営にはとにかく勇気を求められる場面が多い。起業という重要な決断のタイミングはもちろんのこと、様々な事柄に対するアクションをいつ決心して、どのくらいのスピードで行動に移したか、そしてそれらの理由などをヒアリングするようにしている。

パッション (Passion) – パッションがないと長続きしない。今やってること、やろうとしていることに起業家自身がハマっているのかどうか。その情熱が僕にも感染するぐらい溢れているかどうかが大切な判断ポイントとなる。

反発力 (Resilience) – 人生においてガッカリする場面は多い。でも、起業家に求められるものはガッカリした後の立ち直るスピード、その失敗を熱に変えて加速させることできるかだ。過去に大きな失敗した経験はあるか、その時どういった行動を取ったのかを分析して、反発力があるかどうかを確認している。

プロダクト/マーケットフィット。
それを達成できるかどうかがシード期のスタートアップで一番重要だ。そのために僕達は起業家を見極める必要がある。上記に書かれているポイントが揃っている起業家は、それを達成できる可能性がかなり高い。そして将来的にもトップクラスの経営者に成長できるポテンシャルを持っていると言えると思う。


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