会社のコア・バリュー

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コア・バリューは、組織が大きくなってから心配すればいい

忙しい!ハッスルする!それが俺たちのコア・バリューなんだ!

と言って、自分たちの「コア・バリュー(会社が持つ中心的な価値観)」について考えて議論することを後回しにしてしまうスタートアップが多い。
でも実は、コア・バリューというのは後回しにすればするほど、会社全体の価値観が決まらないまま走り続けるということになってしまい、立て直しが難しくなってしまう。だから、1人目の社員を採用する前に、組織が小さいうちに、「コア・バリュー」を決めておくべきだ。

コア・バリューの重要性

コア・バリューは、会社の雰囲気、文化を作る。メンバーそれぞれの判断基準となり、決断スピードを上げる。コア・バリューが明確な会社は、会社の文化に合った人材を雇用するためのしっかりとした採用基準を持つことができる。そして、メンバー同士の絆そのものとなって、メンバー全員を同じ方向に向かわせるための重要な要素となる。

もしコア・バリューを決めずに組織が大きくなってしまったら、組織の中のある特定の人の意思や出来事に影響された「勝手に出来上がった会社の文化」が成立してしまう。メンバー同士の仕事に対するパッションやそれぞれのスキルに大きな差が生まれて、メンバーがお互いをリスペクトし合えなくなり、全体の生産性が落ちてしまうという結果に繋がりかねない。

社長= 会社の価値

組織が小さい間は、その組織の中で象徴的存在となる人物がコア・バリューとなる。そしてそれは「社長=会社」というコア・バリューになる。

だからコア・バリューを決めるときは、社長の長所、 社長が仲間を集めるときに一番大事にしていること、 社長が一番苦手のタイプ、 社長の短所などをきちんと理解することが必要だ。

他社のコア・バリュー

下記は、Facebookが提示しているコア・バリュー。ハッカー文化をものすごく大事にしているのがとても良く分かる。

  1. 影響を見据える
  2. 素早い行動
  3. 大胆になること
  4. オープンであること
  5. ソーシャルバリューを確立する

そして次はZapposのコア・バリュー。顧客に感動を与えるために常に創造することを大事にする内容になっている。

  1. サービスを通じて,WOW(驚嘆)を届けよう。
  2. 変化を受け入れ,その原動力となろう。
  3. 楽しさと,ちょっと変わったことを創造しよう。
  4. 間違いを恐れず,創造的で,オープン・マインドでいこう。
  5. 成長と学びを追求しよう。
  6. コミュニケーションを通じて,オープンで正直な人間関係を構築しよう。
  7. チーム・家族精神を育てよう。
  8. 限りあるところから,より大きな成果を生み出そう。
  9. 情熱と強い意思を持とう。
  10. 謙虚でいよう。

常に意識して行動する

社長をはじめとするマネージメントメンバーは、他のメンバーに会社のコア・バリューを正しく伝えていく必要がある。だからこそ、常にこのコア・バリューを意識して行動し、コミュニケーションをしなければならない。1回のミーティング、メール1通の中でも、コア・バリューを意識する。

会社のコア・バリューを正しく理解して、それを部下に伝えることが大切だ。

会社の文化が崩れ始めるきっかけは、マネージメントメンバーが、コア・バリューを持たない、もしくは、意識せずに人材採用を続けてしまうことが大きいと思う。社長は、マネージメントメンバーの1人1人に対して、常にコア・バリューを意識することをしつこくリマインドする事が大事だ。

会社のコア・バリューは早い段階で明確にして、厳しく守り続けた方がいい。後回しにしてしまうと、結果思わぬ方向に会社が進んでしまい、これを立て直すには会社全体に大きな負荷がかかる。

なにより、自分が自ら作った会社と組織をいつまでも愛し続けるための「コア・バリュー」なのだと思う。


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崖の上からから飛び降りながら、飛行機をつくる

img_9578LinkedInの創業者 リード・ホフマンの名言の1つに、「スタートアップとは、崖の上からから飛び降りながら、飛行機をつくるようなものだ」という言葉がある。

僕もまさにその通りだと思う。

起業家は、「やばい、やばい、やばい」と日々言いながら(もしくは頭の中で言いながら)仕事をしている。それは、人材採用が間に合っていなかったり、サービスを作り上げるための体制や仕組みにボトルネックが生じてしまったり、はたまたプロダクトに対する需要が供給を上回ってしまったり。とにかく起業家は、日々多くの「追い込まれた状況」の下にいる。

僕は、これがスタートアップの正しい姿だと思う。ある意味、「やばい」と感じているのであれば、安心と言っても良いのかもしれない。なかには、この「やばい」状況から逃げるためにサービスのローンチを必要以上に先延ばしにしたり、改善や新しい取り組みをすることなく現状を維持したままでオペレーションを続けたりする起業家がいる。でも、怖いからこそ、順調と感じているからこそ、逆に「どうすれば崖から飛び降りれるか」を常に一生懸命考えた方がいい。

崖から飛び降りる方法はいくつかある。

さっさと顧客からお金をもらう

もしそのサービスが有料サービスなのに無償Beta版の提供を続けて、まだ有料会員や企業など顧客がいないのであれば、さっさと課金を始めた方が良い。ユーザーからお金を受領しサービスを提供するとなれば、もう後戻りは出来ない。とにかく走り続けて、ユーザーを満足させるために、改善を繰り返しながらオペレーションを回していけないといけない。

スケールしない事をする

特に最初の段階は、正直オペレーションの仕組みは重要視しなくても良い。人力でも良いので、とにかくオペレーションを回し続けてみることが重要だ。例えば、もしエンタープライズサービスを展開しているのであれば、顧客のオフィスに常駐させてもらって、サービスを提供してみればいい。もしデリバリーサービスをやってるのであれば、実際に自分自身で顧客に商品を配達してみればいい。とにかく最初は、スケールしないことをする。YCombinatorのポールも同じことを言っていたが、最初は顧客の事やオペレーションの中身を学ぶことこそが大事。仕組みや体制作りに集中して注力するよりも、サービス自体をスピーディに検証して学び改善することを最優先にするべきだ。

先ずは限界を目指す

限界を経験しなければ、組織も経営者もプロダクトも成長することは出来ないし、イノベーションは起きない。今の組織、そして自分自身の限界値がどこにあるのかを考えて、とにかく「限界」を目指ざす。

このとき大切なのは、常に崖から落ちている状況下にいるのではなくて、飛び降りては着地して飛び降りて着地はしての繰り返しであるべきということ。飛び降りたあと着地ができた時は、頑張ってくれた仲間達と自分自身をちゃんと褒めて祝う。ただ、着地した状態はとても居心地が良いものなので、ついつい長居してしまわないように注意すること。

まだ自分は飛び降りて無いと思うのであれば、さっさと自分を追い込んで、崖の上から飛び降りるべきだ。


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