2011年にEric Riesの著書「リーン・スタートアップ」が出版されてからというもの、たくさんの起業家がこの本をベースにしてアイディアを検証しているが、同じ本を読んで、同じように進めているのにも関わらず、すぐに市場に適合するプロダクトにたどり着くことができる起業家がいれば、何ヶ月も何年も迷走し続ける起業家もいる。僕は、その差が出てしまう理由の1つに、起業家の「メンタリティー」が大きく関係していると思っている。リーン・スタートアップをベースにアイディアの検証をする時は、強い信念と論理的思考が必要だ。
信念を曲げない強さ
起業家がリーン・スタートアップを実践する場合、強い信念を持って取り組む必要がある。持っているアイディアが最初からスムーズに上手くいくケースは、可能性としてかなり低いと思う。ユーザーヒアリングで思ったような反応がでなかったり、仮説が間違っていたり。思い通りに行かないことが多くあるはずだ。そんな中、リーン・スタートアップの中では「ピボット(方向転換)」という言葉が数多く登場している。この言葉は、便利だし有効な方法だけど、誤った使い方をしてしまうと、本来の目的を見失ってしまう。例えば、時にはアプローチの方法を微妙に変えながらチャレンジをし続けるべき状況でも、ちょっと思い通りにいかなかったからと言って、そのアイディアを「ピボット」して逃げてしまうこともできる。
起業家は、自分の中で「世界はいずれこうなる、その世界を実現するのは自分だ」といった様な強い信念を持たないと、「永遠のピボット」を続けることになるだろう。
論理的思考
信念の強さと同じくらい必要なのが、論理的な思考。これは信念だけで進めてしまうと、いつの間にか現実が見えない状態に陥ってしまいがちなためだ。だから、ロジカルな視点でユーザーや市場、競合などを分析して、次のアクションを決断していける論理的な思考が必要になる。
そして最後に。起業家は、頑固な人が多い。もちろん良い起業家である為には、ある程度の頑固さは必要だと思う。ただ、感情的になって細かいところで必要以上に頑固になってしまうと本質的な部分を見落としてしまい、良いプロダクトにたどり着けなくなる。
「リーン・スタートアップ」は、起業家に取って凄く良い著書だと思う。でも、起業家のメンタリティーによっては、結果の差が大きく出る。だからこそ、リーン・スタートアップを実践する前にアイディアを自身のビジョンにして、強い信念を育てるフェーズが必要である。そして、そのアイディアを検証する時は、常にロジカルに考える、またはロジカルに考えることができる信頼のおけるパートナーが必要になると思う。