3年ほど前にSquareやTwitterを創業したジャック・ドーシーは、スタンフォード大学での講義で「CEOは会社の編集長になるべきだ」と語った。
ジャックは、3つの編集ポイントが大事だと言う。
一つ目はチーム。最高な仕事ができるように最高なチームになるための編集をする。新しい人材を入れたり、時には外したりする。これによってネガティブ要素を取り除いていくのだ。
二つ目はコミュニケーション。社外に対しては、ユーザーの共感を得られるように会社のストーリーを編集する。そして、社内に対しては、社員一人一人が組織としてどの方向を向いていて何が一番大事かが理解できるようなストーリーを見せる。
三つ目は会社を成長させるためのお金の流れの編集。売り上げや資金調達から得たお金を違う形の価値のあるものに編集することで、会社を成長をさせていく。
さらに、Squareの元COOだったキース・ラボイスも、CEOが会社の編集長になることを意識する重要性について語っている。
キースは、自分がいま取り組んでいることは、「編集」をしているのか、それとも「書いている」のかを常に意識することが大事であると言う。「書いている」というのは、マーケティング戦略を企画したり、プロダクトデザインやロードマップを作ったり、戦略を考えてたりするなど、何かを生み出す作業だ。
すなわち、この「書く」作業の割合が多いという事は、部下や社員への信用が足りていない、もしくはCEOが様々なタスクを任せていける人材を雇用できてないという事に繋がっているのだ。
特に、スタートアップが組織を拡大(スケール)させて行かないといけないフェーズにいる時、CEOはできるだけ「編集長」になる事を意識する必要があるわけだ。
そして最後に、僕自身がもう一つ思っていること。それは、CEOは自分自らをも編集する必要があるということだ。スタートアップのCEOは、様々な役割を並行して担わなくてはならない。変化をもたらすプロダクトを作れるイノベーターであり、組織を作ってチームを引っ張るリーダーであり、そしてオペレーションを最適化することができるオペレーターである必要もあるのだから。
僕が関わっているスタートアップの中で急成長している会社の多くは、創業者自身、人が変わったかのように自分を「編集」し、あらゆる人、物、そしてお金を上手に組み合わせて「編集」している。その結果、大きな価値が生まれているのだと思う。