スタートアップを生み出す組織「Startup Studio」

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ここ数年の間に、シリコンバレーでは「Startup Studio」というスタートアップを生み出すための新たな組織概念が誕生して、注目を浴び始めている。

Startup Studioの特徴は、エンジニアリング、デザイン、マーケティング、リクルーティング、そしてその他のオペレーションをすべてインハウスで持つこと。Startup Studioは、これらのリソースを駆使して、新しいスタートアップを生み出したり、投資先の事業を成長させたりしている。

そしてもう一つの特徴は、実際に事業を創った事のある起業家たちが、このStartup Studioの運営・マネージメントをしていているところだ。Twitterの創業者であるEvan WilliamsとBiz StoneのObvious Corp, PaypalやSlideを創業したMax LevchinのHVF、MySpaceの社長だったMike JonesのScience、Time WarnerのSVPだったJohn Borthwickが率いるBetaworksなどがStartup Studioのカテゴリーに入る。

ただし、それぞれのStartup Studioのモデルは若干異なる。Obvious CorpやHVFはアイディアやチームをゼロから生み出しているのに対し、BetaworksやScienceはゼロから始めるスタートアップもあれば、すでに事業を進めているスタートアップ、既に成長拡大フェーズに入っているレイターステージ、もしくはスタートアップを丸ごと買収したりしているケースもある。

経験の蓄積、拡大、そして実行スピード

Startup Studioのメリットは複数ある。

1つは、エンジニアリング、デザイン、マーケティング、リクルーティング、マネージメントなど会社を成長させるために必要なあらゆる面でスタートアップと深く関わることで、その経験や知識がStartup Studioに蓄積していき、そして、これらをスピーディーに他の支援先の企業に伝達し、実行することできる。

こういったオペレーションレベルでのサポートや経験、知識の蓄積は、アクセラレーターやベンチャーキャピタルでは実現できていなかったことだ。

そしてもう1つのメリットは、Evan Williamsが ”Parallel Entrepreneurship” と呼ぶ、複数の事業を並行して同時に生み出す仕組みが実現できること。例えば、1人の起業家が、複数のアイディアを持っている場合、Studio内にいる他の起業家にアイディアを渡して同時に実行させたり、起業経験が少ない若手起業家同士でコンビを組んで二人三脚で事業を創造させる。これによって、経験やアイディアを持つ起業家が、他の起業家にその知識やスキルを上手に伝えていくことができるようになる。

Startup Studioモデルを採用したBEENOSの事業創造プラットフォーム

去年7月に僕たちが発表した「BEENOS」は、Startup Studioモデルを日本で初めて採用し、企業の創造と育成を目的にした組織だ。現在、エンジニアチーム、デザイン、リクルーティング、マーケティングのスペシャリスト、投資マネージメントチーム、ベンチャーパートナー、オペレーションチームの7チーム計24名で運営している。

BEENOSでは、起業家と共にスタートアップの立ち上げをゼロから二人三脚で行い、そして、また、シードステージやミドルステージのスタートアップに対し投資を行い、その企業のオペレーション業務に深く関わっていく。

BEENOSは、エンジニアリング、デザイン、マーケティング、リクルーティング、マネージメント、データ分析に関する知識、そして起業に関する実績、経験を持つ集団であり、その知識、経験を今後の起業家たちに伝えていくことをミッションとし、従来とは異なる起業家支援の形を実行する「起業家のための事業創造プラットフォーム」を目指していきたい。

僕は、この「Startup Studio」モデルは支援を受ける側、そして支援を提供して行く側の双方にとってメリットが多いモデルだと考えている。今後、日本国内でBEENOSの他にもStartup Studioをモデルとした取り組みが増えていくだろう。 


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