嵐に耐えられる会社の築きかた


Zooey

Lars Dalgaardは、シリコンバレーのVCアンドリーセン・ホロウィッツのゼネラルパートナー。2001年にSuccessFactorを創業し、2007年にNASDAQで上場。2012年にはSAPが同社を$3.2Bで買収した。彼が最近書いたブログが非常に興味深い内容だったので、Larsの許可を得て、彼が最近書いたブログを要約することにした。元記事はこちら
一流の創業者や社長は、長くそして強く存続できる会社を作ろうとする。とくに未上場の状態を維持する会社が増えている今の時代だからこそ、長く強く存続できる会社を作ることは、必要なことであると言えるだろう。

しかし、企業の肝となるセールス、マーケティング、HR、リーガル、カスタマーサポート、会計やファイナンス部門を正常に機能させ続け、さらに優良なガバナンスを維持させ続ける、言わば「嵐に耐えられる会社を築く」というのは、過去に同じ経験を積んでいない社長にとって容易なことではない。

この「嵐に耐えられる会社を築く」ために今の社長に必要なのは、個人、プロフェッショナル両方の面で、ただひたすらに成長し続けることだ。

そして選択や決断をするときは、必ずこの質問を自分自身に問いかけていくべきだ。

「この決断は、長期的にこの企業を強くしていくのか?」

ここでは、僕自身が起業したときに得た「学び」について共有しようと思う。

成功する会社は、売られるのではなく買われる

会社を売却するときの企業価値は、他社が買収したくなるような優良な会社であるかどうかで決まる。SuccessFactorを当時の売上げの11倍の評価で売却する交渉をしたとき、僕は「この評価での条件をのまないのであれば、これ以上での交渉は行わず、会社を成長させ続ける道を選ぶ」と伝えた。僕らはあのとき、消して虚勢を張っていたわけではない。

優良な会社は、売られるのではなく買われるものだ。自分の会社を売りたがっているという情報が流れれば、その瞬間に会社の評価は下がる。景気に左右されない自立した会社を作っていれば、交渉時の立場は有利になり、売却交渉を長く引き伸ばすことによって価値をさらに上げる事ができる。

では、近道など存在しない、自立した会社を作るための方法とは何なのか。

それは社長が次の5つのポイントにフォーカスを当てて、会社を成長させていくことだ。

  1. 「早く学ぶこと」を学ぶ
  2. 良い時も悪い時も持続できる企業文化をつくる
  3. “本物” の役員構成を作る、そして使う
  4. 正しいミーティングのリズムを作る
  5. 頭の中のモンスターを殺す

1.「早く学ぶこと」を学ぶ

会社が早く成長すれば成長するほど、次から次へと難題に直面する頻度が高くなり、大きなチャレンジが続く。そしてそんな状況が続くことで、自分がCEOとして何をすべきなのかが分からなくなる。

そんな状況の中でも大きなビジョンを持ち続けようとする社長のために、「早く学ぶ」を学ぶためのヒントを紹介しよう。

永続的に、そしてアグレッシブに助けを求めるマインドを持つ

「僕が知らないことは何か?それを教えてくれる人は誰か?」 を日々自分に問いかける。他人から「自分に自信がないのか」と思われてしまうことを恐れて、このアクションをためらう起業家が多いのだが、必要としている知識やノウハウを、アドバイザーや、役員、エグゼクティブ、社員、コーチ、顧客などから積極的に学ぶことは、非常に重要なことだ。

今まで自分自身の力で課題や問題を解消し成長に導いてきた人が起業して、自分の思い描いた未来を現実のものにしようとしたとき、他人に助けを求めるというのは違和感を感じてしまうかもしれない。しかし、成長するには、「早く学ぶこと」が必要だ。自分のエゴや恐怖は、脇に置いておこう。

小規模の会社と大規模な会社の経営は違う

会社が成長しスケールし始めると、従来の経営手法に変化が求められる時がくる。社長は、そのギャップに戸惑いを感じることがあるだろう。しかし、大規模な会社で社員1000人のモチベーションを維持させ、結果を出し続けるためには、いくつかのプロセスや仕組みを導入する必要がある。

小規模の会社と同じ経営手法を大企業でも適用させようとすることは、必ず避けなくてはならない。

明確なコミュニケーションフレームワークを構築する

スケールする組織は、学習する組織である。

最高の「学習できる組織」を作るためには、マネージャーや社員が互いにフィードバックを求めたり伝えたりできるコミュニケーションフレームワークが重要だ。1人1人何が上手くできていて、何を改善する必要があるか。このフレームワークは、組織図の再設計や、後継者の育成、そして報酬額の設定をおこなう際にも非常に役立つはずだ。

ちなみに。CEOは、他のボードメンバーとこのフレームワークを実践すると良い。

リーダーシップコーチに依頼する

リーダーシップコーチは、社長の360度評価を行ってくれる。周りのボードメンバーや直属の部下からの声や意見を匿名で集め、整理をした上でフィードバックしてくれる。このフィードバックは、CEOをさらに成長させる材料となる。

エキスパートを雇用する

社長が自らセールス、マーケティング、リーガル、フィイナンス、HRなどの会社の重要な機能について学ぶよりも、それらのエキスパートである人たちをエグゼクティブチームに招き入れるべきだ。

大半の社長は、自分自身で学び、会社のほとんどの機能の主導権を持とうとする。しかし、長く存続してスケールし続ける会社をつくるためには、重要な機能は、それぞれの分野に適した人に任せていく必要がある。

2. 良い時も悪い時も持続できる企業文化をつくる

会社のカルチャーは社長がつくる。これは他の人に任せられることではない。

そして、自分自身がつくりあげたカルチャーを自分自身が信じ続けることは、会社を成長させ続ける上で、非常に重要だ。

コア・バリューを定義する。

コア・バリューを定義し、さらにそれを書き出すことは、時間の無駄のように思えるかもしれないが、とても大切なことだ。コア・バリューを明確化させるためには、クリアな考えと規律が要求される。

コア・バリューの定義で大切なのは、人が共感と親近感を感じられるかどうか、である。共感できない理念を定義づけたところで、それは存在しないに等しい。コア・バリューは、組織全体にとって大切で重宝される存在でなくてはならない。人材を採用する際にも、このコア・バリューは、常に意識することで、自分たちにより共感してくれる人材を獲得することができるだろう(参考:会社のコア・バリュー)。

3. “本物” の役員構成を作る、そして使う

社長は、自分の思い通りの経営スタイルを貫き通したいがために、役員の人員を強化することに懸念を抱くことがある。しかし、強化することによって、経営チームに足りていない要素を補完し、誤った判断をすることから守ってくれる、ディフェンスにもなる。

経営チームをより強化させるための方法は次の通り。

早い段階で社外役員を迎える

多くの会社は、創業メンバーと出資しているVCから役員体制を構成させる。ただ、前述の通り、早く学ぶための効果的な方法は、学びたい知識や経験を豊かに持つ社外役員を迎え入れること。選択基準は、会社から100%独立しており、CEOと会社のことを優先的に考え、サポートしてくれる人材だ。

売り上げ10億円に到達する前に、1〜2名ほどの社外役員を迎えて、10億円超えたところで3〜4人迎えるくらいのテンポが良いだろう。

僕自身の経験からも、社外役員を迎えることによって引き締まった経営ができて、基準と目線を上げていくことができたと思う。外からの情報や視点を参考に、重要な決断もすることもできたのは大きかった。

取締役会は、規則正しく

取締役会の延期やキャンセルはしないこと。取締役会は、会社のコアとなるメンバーが、社長やマネージメントそれぞれの現状を把握し、会社が抱えている課題を考えるきっかけになるからだ。

リアルなデータが重要

状況を正確に把握できるためには、データを持つことが不可欠だ。そのデータを、少なくとも取締役会の3日前に、役員に共有することによって、より効果的な会議ができるだろう。昨年比や計画に対してのファイナンシャルパフォーマンスはもちろん、社員のターンオーバーといった人員の数値や計画などを共有することによって、様々な側面で会社を見渡すことができる。

社長以外からもレポートさせる

少なくとも年に1度は、会社の重要な機能を任せているメンバーを集めて、レポートをさせる機会を持つと良い。これは社長以外の視点から会社の現状を理解し、会社のリーダーやマネージャーと会って話す絶好の機会になる。

クローズドなセッションの実施

会社の現状を把握するためには、2つのクローズドなセッションを行うと良い。1つは、役員とマネージメントチームのみが集まるセッション。そしてもう1つは、役員と社長のみのセッションだ。

このように2つのセッションに分けることで、他のメンバーに対する遠慮をせずに議論を進めることができ、また、会社のトップである社長の顔色をうかがわずに話すことができるため、オープンでダイナミックな議論ができる。

4. 正しいミーティングのリズムを作る

無駄なミーティングは絶対になくすべきてあるが、鍵となるステークホルダーとの定期ミーティングは会社をスケールする上で重要である。

ボートメンバーとの1:1

ボードミーティングが定期的にあるのに、また改めてボードメンバーと話す必要があるのか?そう思う人もいるだろう。しかし、ボードメンバーを正しく選んでいたら、1:1ミーティングを通して、根本的な課題を早期発見できたり、CEOとしてのスキルを磨くことができる。

マネージメントミーティング

このミーティングは、マネージメントからの状況アップデートを議題とするのではなく、会社の存続のために重要な事項や、改善点、その他普段の業務の中では話すことができない重要事項を中心に議論する。

顧客と定期的に話す

これは、スタートアップのフェーズを過ぎても重要なことだ。ある程度成長したフェーズのなかでも、定期的に顧客と話す機会をもつことは大切にして欲しい。

5. 頭の中のモンスターを殺す

自分に嘘をつかないこと。数値、KPI、計画や結果を細かく厳しい目で見て、本当に什長にいっているのか、自分が避けている現実がないかを常に確認する。

「勝つ」マインドセットを忘れずに

そもそもここまで来れたのは、他の人が不可能と思っていたことを可能にしたから。そして自分を信じたからだ。だから、自分の直感を信じることも大事だ。でも、「嵐に耐えられる会社」を築くためには、常に自分の考えを他の人の知恵を借りてチャレンジし続け、学び続けてほしい。

AppleやAmazon、Facebookといった一流企業は、膨大なプロセスを導入し、作り続け、起業家精神と会社のミッションを維持できている。

そう。ハードワークでしか会社を強くできない。近道などはない。

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小さく早く回す


mobjob

プロダクトマーケットフィットを達成できていないスタートアップは、限られた時間とリソースのなかで、主に4つのことを明確にさせる必要がある ー (1) コストパフォーマンスが良く、且つスケールさせることができるユーザー(顧客)獲得チャネル、(2) 適切なアクティベーションフロー、(3) 高い継続率を維持させるためのユーザー体験、そして、(4) 事業として成立させるためのビジネスモデルだ。資金が尽きる前にプロダクトマーケットフィットを達成するためには、”小さく早く” PDCAを回していく必要がある。ここでは、回転率を上げる方法をいくつか紹介する。

1つの数値にフォーカスする

改善する数値を1つに絞り込む。アクティベーションのコンバージョン率なのか?それとも継続率なのか?1つの数値にフォーカスを当てて、その他の数値は無視する。

開発の削減

開発のリリースを早める一番効果的な方法は、開発メンバーを増やすのではなく、開発する工数を減らすこと。今改善したい最重要KPIをメンバーのみんなに理解してもらい、今すぐ対応すべきこと、無駄な開発や、あとに回せる開発作業について徹底的に議論する。特に「検証のための開発」は、場合によっては開発をせずに人力で同じような機能や体験を演出できることもある。

頻度を高く、細かくリリースする

機能追加や改善のリリースに1ヶ月かけているとしたら、例えばそれを週に1度全4回のリリースに分けることができるかを考えてみる。小まめにリリースすることによって、どの部分がどの程度KPIに影響を与えるのかが見えやすくなる。

PDCAの “PLAN” を行う上での明確な優先順位付け、そして “DO” の短縮や削減が実現できれば、より小さく早く効率よくこのPDCAを回すことができるだろう。


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スタートアップのファーストラウンド


Simon Cunningham

最初の投資家選びは、非常に重要である。当然のことながら、出資者の中でも一番長く付き合う人となり、相性によって成長スピードを加速させる強い味方にも、減速させる要因にもなりえる。だから、スタートアップの将来を左右するといっても過言ではない最初の投資家選びは、非常に重要であり、そして難しい。投資家が持つさまざまな経験を、自分たちのスタートアップに活かすことができるのか。この判断が難しい。

そこで、僕が考える「最初の投資家」を選ぶときの重要なポイントを紹介しようと思う。

信頼:これこそが、最も重要なポイント。極端に聞こえるかもしれないが、これが当てはまらないのであれば、そもそもそ選ぶべきではない。お互いを信頼しあって、良いことも悪いことも共有できる関係であるべきだ。状況が悪くなっても、難しい決断をする時も、常にフェアであり、起業家や経営者をサポートする姿勢をなくさない投資家を選んでほしい。

レファレンス:ほかの起業家から、投資家のレファレンスを取ることを勧める。特に、上手くいかなかった時や、シビアな状況を経験した起業家から、そのような厳しい状況下で、その投資家がどういった対応をしたのかを確認すると良い。サポートをしてくれたのか、任せてくれたのか。それとも必要以上に干渉され、結果的に状況の改善の妨害となったことなどはなかったのか、などを聞いてみてほしい。

次のフェーズ:いつかの ”将来” ではなく、”現在” 活かすことができる経験、ノウハウ、ネットワークを持ち、また、次のフェーズ行けるように貢献してくれる投資家を選んでほしい。そんな投資家と出会うためには、今、自分に何が必要なのかを明確に理解する必要がある。プロダクト検証のガイダンスなのか?売り上げを伸ばす事なのか?事業戦略なのか?これがはっきりしていれば、最良の投資家と出会うことができるはずだ。

投資家を選ぶなかで迷いがあったり、良き出会いに恵まれていないと思う起業家がいたら、これら3つのことを考えて選んでみると良いと思う。もしも、「信頼はできても、活かすノウハウがないかもしれない投資家」と「信頼はできないけど活かせるノウハウがある投資家」のどちらかを選ばないといけない場合は、必ず「信頼」を優先して選んでほしい。


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スタートアップのイノベーションは一回きりじゃない


Boegh

“良い” スタートアップ と ”物凄く良い” スタートアップの大きな違いの1つは、イノベーションを起こしている数だ。起業家は、「イノベーションが起こるのは、始まりのフェーズだけだ」と勘違いしていることが多いが、生き残るために、そして市場を独占するためには、イノベーションを起こし続けないといけない。

自社サービスをディスラプトする。

「今自分たちが展開しているサービスを潰せるくらいの力がある新たなサービスやプロダクトは何か?」を常に自分たちに問いかけること。その結果、そのような脅威に繋がる新しいアイディアがあるのであれば、自ら先手を打ってそのサービスやプロダクトを作るべきなのかなど、戦略的な対抗策を早い段階で立てるべきだ。

さらに10倍。

「今のユーザー体験をさらに10倍良くする方法は何か?」さらなるユーザー体験の向上や改善を追求するべきである。

イノベーションはプロダクトだけではない。

イノベーションは、プロダクト以外にも、組織、ワークフロー、オペレーションなど様々なシーンで起こすことができる。業務をより効率化することによって、利益率やユーザー体験の向上につながる。

だから今、起業家のみんなに問いかけたい。

「最近、イノベーティブなことをしたか?」

その答えが「ノー」ならば、焦るべきだ。


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目線を高くする


OnInnovation

“高い目標を設定して達成できてない人よりも、手の届きやすい目標を設定して、その目標を達成してしまう人の方が、人生損をする。”

起業家はもちろんのこと、人は、自分の目線をどんどん高くしていく努力をするべきだ。目線を高くすることによって、自分自身や自分の周り、そして会社にとっても様々なポジティブな効果をもたらすからだ。

周りの目線が上がる:自分の目線や、目標を高く設定することによって、チームメイトや部下をはじめとした自分の周りにいる人たちも、それに引っ張られて目線を高くしようと意識しはじめる。特に起業家は、会社の誰よりも高い目線を持ち、仲間のポテンシャルを引き出すために刺激を与え続けていく必要がある。

良い意味で焦る:高い目標を掲げることによって、その目標を達成するため、現状維持ではなく、さらなる高みを目指そうとする。これは、良い意味での「焦り」を感じさせる。自分自身や自分の物事への取り組み方を変えながら改善を続けていくことで、よりイノベーティブな発想を生み出せるきっかけに繋げていく。そして、時間の重要性をより強く感じて、効率の良い働きと成長を追求するようになる。

生きがいを感じる:大きな目標やビジョンを持って、チャレンジングな日々を過ごし、そして成長を実感することによって、モチベーションが上がり、より生きがいを感じられるようになる。目線を高くすることで、人はより幸せになれる。

目線の上げ方:目線の上げ方は人それぞれ。もともと目線が高い人もいれば、環境を変えたり、意識することで目線を上げていく人もいる。これは、自分にあったやり方を探すしかないが、僕がよく薦めるのはこんな方法だ。

  1. 環境を変える。自分より目線の高い人を近くに置くか、そういった人と定期的に話す機会を作る。大体その人物は、ある程度の成功を収めていて、ひとまわりもふたまわりも上をいく先輩のような存在だろう。
  2. 物事の振り返りや、将来的なの計画を立てる時に、「もっと大きなビジョンを考えられるんじゃないか?もっと高いところを目指せるんじゃないか?」と常に自分に問いかける。
  3. 上記2つを試してみてもうまくいかなければ、もしかすると考え過ぎているタイプなのかもしれない。但し、それは決して悪いことではない。「この社会、世の中に残したいものは何か?」「この世の中に、どんな価値を提供したいのか?」それを熟考した上で、今やろうとしていることや、やりたいことの整合性を確認してみて欲しい。

「目線は常に高く」を意識したほうが良い。自分の限界に挑戦し続けて、自分を変えて成長させることで、よりイノベーティブな発想が生まれる。そして、生きがいをもっと感じるようになるだろう。仮に、その高い目標に手が届かない状態が続いたとしても、すぐに達成できるような低い目標を掲げてしまうよりは、絶対に得られるものが大きいはずだ。


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僕がいま、16歳だったら。

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Alex Proimos

これからの世界は、今まで以上にたくさんの「機会」に出会うチャンスがある ー インターネット人口も30億人を超えて、様々な分野でイノベーションが加速していて、より簡単に世界を渡り、繫がることができ、より自由に自分の生き方を選択できる時代にいる。

そんな時代の中で、「僕がもし、今16歳だったら、この先に起こり得る機会を見据えて何を勉強して、どんな経験を積んでいくか」。今回は、このテーマで書いてみることにした。というのも、最近、大学に入る前後の学生から、進路やキャリアに関する相談依頼が増えているからだ。16歳といえば、そろそろ進路を決めて、大学に行くべきかそのまま就職するべきか、大学に行くとしたら何を勉強するか、そしでどんなキャリアを積んでいくかなどを考えても良い時期。実は僕の答えは毎回同じような内容になることが多くて、同じような悩みを持っているほかの学生の皆にとっても参考になればと思い、まとめてみることにした。
これはあくまでも僕の視点からの話しで、テクノロジー分野に偏っている面がある。もちろん、この他にも沢山の機会や選択肢はあるし、これが自分に合うかどうかは、読んでみたうえで自分で判断してもらえればと思う。

チャンス
チャンスは、いつ現れるか分からない。大学在学中かもしれないし、大学行く前に現れるかもしれない。でも、もっと後に大きなチャンスが現れる人がほとんどだろう。重要なことは、いつチャンスが現れた時にも、すぐに行動に移せるようなスキルを身につけて経験を積んでいくことだ。まずは、学ぶことに専念して、いろいろな人と出会える大学に行くことを勧めたい。

プログラミング
できるだけ若いうちに、プログラミングを学び実践経験を積むべき。世の中のほとんどの産業は、ソフトウェアによって動いているといっても過言ではない。ソフトウェアがまだ行き渡っていない分野も、全てとは言わずとも、いずれソフトウェアによって食いつくされる時代がくるだろう(ソフトウェアは世界を食い尽くしている)。そう考えた時、とてもシンプルかつ大胆な答えに聞こえるかもしれないが、時代を動かしていくためには、プログラミングができるのは圧倒的な武器となるはずだ。

組み合わせる専門学
プログラミングを学びつつ、もう1つの学問を専攻すると良い。 この組み合わせが、後に周囲との大きな優位性に繋がって、「機会を掴む」だけでなく「生み出す力」が備わる。僕が考える、今後多くの機会が生まれそうな分野としては、癌研究、遺伝子学、機械学習、ロボティクス、熱力学、量子物理学などと言ったハードサイエンスの分野。ハードサイエンスは、難しいコンセプトを理解し、学ぶ必要があるので、起業家にとって最も重要な要素の1つ「学ぶ力」を身に付けることができるのもメリットだ。実際、社会人になってからのほうが学校に在籍している時よりも学ぶことが多いので、若いうちにできるだけ学習能力を身につけておくと良い。

伝える力
今、自分が若い時に最も磨けば良かったと思うスキルが、「伝える力」。どれだけ良い考えやアイデアを持っていたとしても、それを周りの人に正確に伝えられなければ意味がない。「伝える力」は、人を巻き込む力と人を動かす力にもなるので、起業家やマネージャーには絶対的に必要な力だと思う。この力を養うには、イベント運営や部活、インターンシップなどを通して実践経験を積むと良い。

英語
グローバルの舞台で戦うためにも、海外との連携のチャンスを逃さないためにも、「英語力」が必要不可欠なのは、言うまでもない。できれば、海外留学をすると良い。自分が知らない場所や文化を学んで、その環境に適合していく経験は本当に貴重だ。世界を相手に関係づくりをしていくとき、言葉はもちろんのこと、相手の文化もよく知ることができれば、より親密な信頼関係を築くことができるだろう。

以上が、僕が高校卒業後の進路について悩んでいる学生に勧めていること。これらのスキル、知識と経験を得ることができれば、テクノロジーと時代の変化に適応することができ、また、大きな機会を得るチャンスを逃さず見つけて、モノにする力が備わっていくだろう。


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フォローアップの力

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starmanseries

初めて起業する時、多くの起業家は ”フォローアップの力” を軽視していることが多い。そもそも「フォローアップをする」というアクションに親しみがないのは何故だろうか?
それは、フォローアップをするということ自体が、事業の仕組み化やスケールに直接的に繋がっていないように見えるからなのだと思う。でも、実はこのアクションこそが、事業を急速に成長させるための重要なキーなのだ。今回は、特に重要といえる3つのフォローアップ方法を紹介したい。

誘導のフォローアップ:特にサービスやプロダクトを初めて出すとき、ユーザーの誘導が最適化されていないことから、使い方が分からずユーザーが迷ってしまうケースが多い。そういった事態に直面した時は、サービスの使い方をメールや電話で誘導すると良い。この手法は、かなり手間のかかる作業だが、ユーザーとのコミュニケーションを取ることで、UX上なにが分かりにくいのか、どこを改善すれば仕組み化された誘導フローを作り上げることができるのかが見えてくるようになる。

フィードバックのフォローアップ:サービスやプロダクトを使ってくれたユーザーには、たとえ利用回数が1度や2度であったとしても、連絡をして積極的にフィードバックを取りに行くべきだ。まず、初めて使ってくれたユーザーの体験で良かったことや悪かったことをヒアリングして、改善につなげていく。そして、2度目に戻ってきたユーザーに対しては、なぜ戻ってきたのかを聞くことによって、ユーザーが2度3度戻ってくるようにするための体験をどう提供するべきかが見えてくるようになる。

売り込みのフォローアップ:特に、企業がクライアントになるサービスは、売り込みをするきっかけを作ることが重要。サイトに登録してくれた企業に対して、サービスの説明や売り込みをする “きっかけ” を作ること。例えば、無料登録の仕組みを持たずに、初めからデモンストレーションや打ち合わせの申請しかできないようにするのも1つのテクニックである。

このように、一見手間がかかるだけでスケールには繋がらないように見える「フォローアップ」というアクションを大切にすることによって、サービスや事業全体の新たな改善ポイントを発見し、「良いユーザー体験」の定義ができるようになり、結果的に急速な成長につながっていくのだ。


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スタートアップアイデアの検証

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Jessica Lucia

起業のプロセスのなかで、アイデアを検証するプロセスはできるだけ効率よく、そして短期間で終えたい。なぜなら、このプロセスが長ければ長いほど、次のフェーズに行くことが難しくなってくるからだ。

利益を出せなければ、資金調達のハードルも高くなり、また、仲間や自分の自信もどんどんなくなっていく。そして、何より一番避けたい状況は、3ヶ月や半年をかけて開発した結果、そのアイデアにそこまで需要がないことや、ビジネスとして成り立たないという事実にたどり着いてしまうことだ。そこで今回は、アイデア検証を効率良く行うためのヒントや考え方のポイントを紹介したいと思う。

1つの課題 と 1人のペルソナ:アイデアを思い付いた時まずやることは、そのアイデアによって解決できる1つの課題と、それを最も必要としている人物のペルソナを定義すること。解決しようとする課題と、想定するターゲットユーザーの対象があまりに多すぎるスタートアップは、検証がスムーズに進まなくなるため、結果、結論にも辿りつきにくくなる。ここはまず、間違って直してを繰返しても良いので、とにかく考えて調べて、課題とペルソナを定義することに力を注いでみてほしい。

課題と現状をできるだけ把握する:定義したペルソナに当てはまる人に実際に会って、1つの課題についてできるだけヒアリングをする。そのとき、アイデアや課題に対するソリューション、プロダクトについては、あまり話をする必要はない。とにかくできるだけ「課題」を調査する。例えば、人はいつその課題を感じて、その課題を感じた時にとる行動は何なのか、それを解決するためにお金を払っているのか、などを聞く。そしてもう1つは、自分が設定したペルソナ人物像が最も課題意識が高く、アーリーアダプターとして適正なユーザーになるのかをヒアリングを通して確認する。

修正・再計算・再設計:ヒアリングや調査を行っている時や、プロダクトのベータ版をテストしている時に新しい発見や情報が入ったら【修正・再計算・再設計】を常に実行したほうが良い。ペルソナに変更があれば、市場規模を再計算する。課題に関する発見があれば、ソリューションの再設計をする。コンバージョン率やリテンション率などが見えてきたら、事業計画を修正する。

100億円:特に、VCからの資金調達を予定するのであれば、ある程度の規模や成長が見込める事業にしていく必要がある。VCによってその基準は異なるが、僕の場合は5年〜7年で売上100億円を達成する見込みがあるのかという点が重要な指標の1つになる。

20年:20年先にもその需要が存在するのか、ビジネスを成長させ続けることができるのかを考えて欲しい。起業家のビジョンは大きければ大きいほどそれを果たすために時間がかかる。会社が長期にわたり存在し成長し続けるためにも、狙っている市場は長く存在している必要がある。

リテンション:プロダクトやサービスのビジネスモデルに一番大きな影響を与えるKPIは、利用頻度と継続率。これらが高ければ高いほど、1人当たりから得る収益が低くてもビジネスは成り立つ。逆に低い場合は、1人当たりから得る収益を上げるかユーザー獲得コストをできるだけゼロに近づける必要がある。

以上が、アイデアを効率よく検証するためのヒントだ。ちなみに、この中で一番強調したいポイントは「修正・再計算・再設計」だ。アイデアやプロダクトを検証している期間は、事業計画や市場規模の再計算を毎日、または毎週行う必要がある。ユーザーのニーズがあることを確認できたとしても、そこにどれだけの需要があって、事業として成り立たせるだけの市場規模を持っているのかをできるだけ早い段階で確認しておきたい。


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起業家の振り返りと整理の時間

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Nathan Rupert Follow

初めての起業で陥りがちなワナの中でよくあるのが、「忙しい = 事業が進んでいる」と勘違いしてしまうこと。忙しくしているのは、ある意味居心地が良い。ハイペースでテンポよくTO DOを処理しているため、仕事をしている ”気分” になれる。また、実際は事業が成長していない時でも、忙しくしていることで「リソース不足なんだ」と言い訳もしやすくなる。

スタートアップにリソース不足は当たり前のこと。忙しいのも当たり前だ。だからこそ、時間を最大限に有効活用すること、そして最短で学び、多くを吸収することが重要だ。

そして、振り返りと整理の時間を定期的に設けて、以下のポイントを考える必要がある。

やりたかったことと、やったこと:今週やりたかったことは何か?今週の目標はなんだったのか?それらを全て実行できたのか?目標に対してどのぐらい達成することができたのか?できていないことがある場合、その理由を振り返り、今後の目標達成のために変えていける(変える必要のある)ことがあるかを考える。

自分の状態:エネルギーは十分あるか?体調は良いか? ― スポーツ選手と一緒で、健康であること、そしてエネルギーいっぱいの状態で働けるように自分自身を管理することが大事だ。運動、睡眠どちらの時間も作り、また、燃え尽きてしまわないように休むことも忘れてはいけない。

再計算:事業を進めていくにあたり、ユーザーや市場、事業そのものについてなど、学ぶ機会が多くある。この新たに得た知識、情報そして感覚は、どんどん既存の事業計画やモデルに反映させていくべきだ。結果、当初の計画を引き直すことになる可能性も十分あり得る。

勝った状態:中長期で見たときに、自分の会社の「勝った」状態とは、そして、その条件は何なのかを定義する。また、その状態にたどり着くためにするべきことは何かを考える。

上手くいったこと、いかなかったこと:今週実践したことのなかで、上手くいったこと、そして上手くいかなかったことは何か。新しい取り組みを続けていれば上手くいかないことも多くあるはず。小さな失敗をたくさんすることは経営の中で自然なこと。重要なのは、そこから得た学びを次に生かせるかどうかだ。

ビジョン:もう一度、改めて会社のビジョンについて、そして、そのビジョンに向かってまっすぐ進んでいるかを振り返ってみる。そのビジョンを達成するために、既存の事業やビジネスモデルに囚われることなく、イノベーションし続けられているかを考える。

次に実践する事こと:上記を全て考慮した上で、次の一週間で実践することを整理して、目標を設定する。

振り返りと整理の時間の取り方は、自分のライフスタイルに合う方法で行えば良い。週末数時間かけてカフェで行う人もいれば、早朝や夜中に行う人もいる。振り返り、整理、そして未来への戦略について考えることを定期的に習慣付けることができれば、より効果的な起業家になれる。


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スタートアップのアイディアはレッド・オーシャンから

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スタートアップを始めるきっかけとなるアイディアは、いろんな形で現れる。

自分自身が必要性を感じて「欲しい」と思ったことがきっかけになることもあれば、自身の経験からひらめいたり、トレンドを察知して発見することもある。今回紹介したいのは、分析を通してアイディアの機会を探す方法 ー レッド・オーシャンと思われる市場をブルー・オーシャンに変化させることができる「市場の再定義」の方法だ。

市場の再定義の方法は、主に3つあると思う。

テクニカルブレークスルー:1つ目は、従来よりさらに良い体験を現在の技術で提供することができるか、または、オペレーションコストを大幅に下げることができるか、だ。重要な指標としては、既存のソリューションより10倍以上の優れた体験を提供できるかがポイントになる
ここで有名な事例と言えるのは、Google。すでにレッド・オーシャンであった検索エンジン市場に参入したにも関わらず、優れたアルゴリズムで他とは比べものにならないサービスを提供し、この市場をブルー・オーシャンに再定義することに成功した。

特化する:eBayやCraigslistのような横に幅広く展開しているプラットフォームとは異なり、AirBnB、Uber、Starhubなどのように、「特化すること」によって、より探しやすく選びやすく、そして使いやすい優れた体験を提供できる。

プラットフォームシフト:ここ3年〜5年の間で起きたスマホシフトによって、多くの “機会” が生まれている。これは、よりユビキタスでパワフルなプラットフォームにシフトすることによって、今までリーチできていなかったユーザーに対してサービスを提供し、また、これまで以上に優れた体験を提供できるようになってきているからだ。例えば、Instagram、Uber、Instacart、Snapchatなどは、このスマホシフトから生み出せれている。

レッド・オーシャンであると思われる市場をブルー・オーシャンに再定義してみる、というのは、スタートアップのアイディアを見つける1つの方法になるかもしれない。だから、競合が多いということを理由に、その市場をレッド・オーシャンと定義付けて避けてはならない。逆に、競合が多いからこそ成功の機会が多くひそんでいるかもしれないからだ。
但し、これはあくまでもスタートポイントで、そこからのアイディア検証、事業分析、そして実現させていくための行動力など、そこから多くのアクションが求められることは忘れないでほしい。


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