人と会社の「コンテクスト」が魔法を起こす

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Great vision without great people is irrelevant
(偉大なビジョンは、偉大な人々がいなければ意味がない) 
~ Jim Collins

スタートアップには、一人の「人」の動機や強みと、スタートアップのビジョンや戦略が、完全に一致する、 “魔法の瞬間” を迎えることがある。

その瞬間をキャッチしたら、その人は、まるでスーパースターを獲った無敵状態のヒーローになったかのように、勝利を重ね続ける。ALL STAR SAAS FUNDがタレント支援活動をさせてもらっている中で、僕は幸いにも、そんな魔法の瞬間に何度か出会したことがある。

成長と勝利をし続ける人が多いスタートアップは、会社もまた同様に成長し続け、勝利し続ける。

「それはそうだろう」と思う人も多いだろう。

でも想像してみてほしい。「自分が描くゴール」と「相手の本当の望み」が完全に、完全に一致する経験をしてきた人は、いったいどのくらいいるのだろう?ましてやそれが、「人」と「会社」の間で起こる確率を考えたら……。

だから、僕はこの瞬間を「奇跡のようだ」とさえ思う。

コンテクストを理解する

この魔法を引き起こすためには、どうしたら良いのだろう。
そこに、再現性はあるのだろうか。

そんなことを考えるようになって、「もしかしたら、コンテクスト(背景)の理解」が一番大事なのかもしれない、という回答にたどり着いた。ここからは、会社が人のコンテクストを理解するためにできることをブレイクダウンしていこうと思う。

人生で何を達成しようとしているのか。根底にある動機は何か。何が彼らを幸せにして、何が彼らを苦しめているのか。

僕たちが、普段(起業家や採用などの)面談で話をする時、これらの答えのヒントを探るため、【相手の成長過程】についての話をすることがある。その人は、どんな幼少期を過ごして、学生時代はどんな生活をしていたのか。家族との関係はどうだったのか……。若い頃の自分の経験は、その人の『人格』を創り上げたコンテクストが隠れていることが多いからだ。なかでも僕がよく聞く質問を3つ紹介する。

転んだ時、あなたはどうする?

人は、挑戦し続ける限り必ず、転ぶ。

この転んだ時のエピソードは、その人の『原動力』を知るきっかけになり、また、転んだ時の思考プロセスを理解するためのヒントも隠れている。

社会人になってからでも学生の頃の話でもよいので、その人が挫折、絶望を感じた時のエピソードを聞いてみよう。この時、こんなポイントに注目してみて欲しい。

立ち直りのプロセス:転んだとき、何を考え、どう立ち上がったのか。
圧倒的な努力で乗り越えたのか?人を巻き込んで乗り越えたのか。
直感的に動くタイプなのか?慎重に考えて動くタイプなのか?

立ち上がる理由:転んだ後になぜ立ち上がろうとしたかの理由を知ることができると、「その人を動かす原動力は何なのか」を知ることができる。単なる負けず嫌いだから?完璧主義者や責任感が強いから?成長のプロセスが楽しいから?それとも失望させたくない相手が存在するから?

回答自体に、正解・不正解は存在しない。
立ちはだかる困難を乗り越えるためのその人なりの「成功の型」、そして転んでも立ち上がろうとする原動力が何なのかを探りたい。

触れて欲しくない “トリガー” は何か?

ストレスを感じるポイントは人それぞれ。

ストレスは、「その人が何に敏感で、何にこだわりがあるのか」を理解するヒントになる。裏を返せば、根源となる強みを理解できるようになる。注目するポイントはここだ。

なぜ触れてほしくないのか?:過去のトラウマや失敗からきているのか。こだわりからきているのか。それとも何かに対する苦手意識からきているのか?

ストレスと感じた時、どうしている?:そのストレスを感じたとき、解決に向けてすぐに行動を取るのか、それとも我慢をするのか?感情は見せるのか、それとも抑えるのか?

ストレスを感じる理由から、その人の価値観が見えてきたり、ストレスとの向き合い方や対処法で、本人のコミュニケーションスタイルなどが見えてきたりする。

人生のKPIは何か?

人には、最大化、または最小化させたいと思っている「指標」がある。

それは「お金」かもしれないし「子供との時間」かもしれない。ここもまた、間違った答えは存在しない。重要なのは、そのKPIを設定した背景、そしてそのKPIを最大化させるためにどんな行動を取っているかだ。

KPIを知ることで、本人のモチベーションの軸を理解できるようになる。お互いのKPIを開示することができれば、信頼関係を構築するきっかけにもなる。この質問は、とてもパワフルな質問で、僕が一番好きな質問、かもしれない。

整合性をはかる

「人のコンテクスト」を理解することができたら、次に自分たちの会社が掲げているビジョンや環境と一致しているのかを振り返ってみてほしい。

  • その人の判断基準 ⇔ 会社のバリュー
  • その人のコミュニケーションスタイル ⇔ チームとの相性
  • その人の壁を乗り越える型 ⇔ 会社の環境や上司のマネジメントスタイル
  • その人のKPI ⇔ 会社がそのKPIに貢献できるか
  • その人の価値観 ⇔ 会社とのマッチ度やその価値観を活かせられるか

一つひとつの整合性を確認していくと、最終的なマッチ度が見えてくるだろう。もちろん100%マッチすることはなかなか難しい。でも、ここで大事なのは【総合的にその人が会社で成功するイメージが湧くかどうか】だ。

密度の高い対話と相手を理解しようとする強い姿勢、そして、それぞれの価値観と目標が同じ方向を向いているかを評価するための時間……「魔法の瞬間」を迎えることは簡単なことではない。間違えることも沢山あるだろう。だけど、この瞬間が生まれた数だけ、人も会社も成長することは間違いない。だからこそ、僕も永遠のテーマの一つとして努力を続ける価値があると思っている。

そして、ここまで読んでくれた人に一言!!

ALL STAR SAAS FUNDでは、支援先が、より強い組織を築いていくために、人とスタートアップの出会いを作り、支援する「HR Partner」を募集しています!「魔法の瞬間」を迎えるためにスタートアップと一緒になって活動をするハートフルでやりがいのあるポジションです。少しでも興味ある方はご連絡ください。募集中のポジションについての詳細はこちらです!ご連絡お待ちしています!


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