僕のライフパートナー。

僕には人生を大きく変えた出会いがある。数々の出会いによって、今の僕の考え方と人格は形成されてきた。

これら一つひとつの出会いがなければ、自分は今とは全く別人になっていただろうし、全く違う人生を歩んでいただろう。その中の一人に、2012年から一緒に仕事をしてきた存在がいる。これは余談だが、僕は彼女をリスペクトしすぎた結果、僕のプライベートのパートナーにもなってもらったくらいだ。

最初の出会いは10年ほど前。アクセラレータープログラム「Open Network Lab」の立ち上げのとき。彼女は、プログラム運営の仕組みや、スタートアップ選定のプロセス、そしてイベント・カンファレンスを推進させる仕事をしていた。僕はアイデアを考える役で、彼女のいるチームが詳細を詰めて推進する。そんな風にして一緒に仕事をしてきた。

それからお互いの職場が離れても、SaaS特化カンファレンス「SaaS Conference Tokyo(現ALL STAR SAAS CONFERENCE)」を一緒に企画したり、このブログの記事やポッドキャストの編集を手がけてもらったりと、僕の活動を長く一緒にやってきた仲間だ。

今は、ALL STAR SAAS FUNDのブランド・マーケを統括してもらっていて、ALL STAR SAAS BLOGをゼロから構築してコンテンツが定期的に生まれる仕組みを作ったり、ALL STAR SAAS CONFERENCEの全体統括をしてもらったり、相変わらず僕と一緒に、面白いことを実現するため、届けたいものを届けるため、多方面で活動してくれている。

そんな彼女から学んだことは、僕の生き方のフレームワークの一部になっていて、その学びのいくつかは、実は支援している起業家にも伝えていたりする。今回は、そんな “人生のパートナー” から学んできたことの中から、みんなにも伝えたいと思ったことを共有しようと思う。

「事」に向き合う人と、「人」に向き合う人がいる

僕はいつも、何か議論をしたり決めごとをするとき、結果的に正しい結論に行きつけば良いのだと思っていた。どんな風にどんな議論をするのかとか、どうやって結論に行き着くかということはあまり気にしていなかった。そんな時、彼女に言われたのは、僕は「事に向き合う人」の典型的な考え方をしているということ。

「事に向き合う人」は、とにかく正しい結果や結論を求めて話を進める。相手の考えよりも自分の考えや正論を強調して、“コストパフォーマンス” や “最短” を求めようとしすぎてしまう。相手が話をしようと息を吸い込んだ途端に、結末を言われてしまうような感じだ。

逆に「人に向き合う人」は、誰がどのように物事を進めているのかを意識している。相手や周りの思考、考えを受け止めながら、自分や周りの話し方や振る舞いにも意識を向ける。リスペクトできる人と一緒に働けるかという「誰とやるのか」の意識が高い。

僕自身も、人と話しをするときやマネジメントをするとき、より一層「人と向き合うこと」を意識して、相手がどんなことを考えているのかを意識し始めたことで、コミュニケーションの摩擦を最小限にしながら「コト」を進めることができるようになったと思う。

調子にのったら終わり。自信がある時ほど謙虚に慎重になるべき

「調子に乗るな」

僕は、いつも彼女に注意される。VCをやってると、結構、調子にのりやすい。叱られることも少ないし、「間違ってる」と言われることもほとんどない。リスクが分散されたビジネスモデルをしているから、大きく成功する事は難しいけど、同じように失敗もしにくい。

「会社の成長」「支援先の成長」「周りの成長」。これらの「成長」が、必ずしも「自分の成長」とイコールにはならない。状況、環境、立場、運など、自分が成長していなくても上手くいく要因はたくさんある。調子に乗ったまま自分の成長を止めてしまえば、いつか痛い目にあうだろう。環境の変化などによって、厳しい挑戦に挑まなくてはならなくなった時に初めて自分の成長不足に気づくのでは、手遅れなこともあるかもしれない。

インプット、アウトプット、そして挑戦。この3つを常に意識して、自分は日々成長するんだ、という気持ちを持ち続けたい。

また、常に謙虚であること。自分の振る舞いが人を動かすということを日頃言われている。特に起業家を支援する人には重要だと僕は思う。自分もまだまだな部分が多いが、謙虚さの重要性は、ALL STAR SAAS FUNDの仲間にも伝え続けていきたい。

感謝を言い合える文化の強さ

今の僕を知ってる人にとっては意外かもしれないが、実は、僕はあまり「感謝を伝える」ということをしない人間だった。例えば食事をご馳走になった時でも、(もちろん頭や心の中では感謝していたけれど)「ご馳走様でした」とさえ言わないレベルだった。そんな日常の僕の言動から、「感謝の気持ち」は伝えなければ全く意味がないことを教えられた。

感謝は、人を動かす強い原動力になる。感謝を伝えるとスポットライトがその人にあたるし、その人の仕事や成果、そして存在が都度認識される。それはその人にとっても、周りの人にとっても幸福度の向上につながって、本人やチームのモラルアップにもつながっていく。

ALL STAR SAAS FUNDでは、コミュニケーションの至るところで感謝の言葉が飛び交っている。メンバーとの1on1で、「ALL STAR SAAS FUNDの一番好きなところはなんですか?」と聞くと、大半は「感謝を言い合う文化だ」と言う。僕は、この感謝を言い合う文化を提案して「ありがとう」が言いやすい環境を作ってくれた彼女に感謝している。僕が好きなALL STAR SAAS FUNDの文化の一つがこの文化だ。

必ずもう一段上にいける

多分、僕が一生彼女に追いつけないこと。それは質へのこだわりだ。僕が良いと思ったことに対しても必ず「もっとレベルを上げられる」と言われる。もっと上手くできる方法がある、もっと伝わる方法がある、もっと面白くできる、もっとできる…何に関しても、もっと上があることを感じて求める。「今のままで良い」という言葉は、彼女の辞書にはない。

現状に満足せず、もう一段上を目指せ。

“バック”は存在しない

何か大きな成果をあげたときは、何かと担当した人や窓口になった人が注目されがちだが、そこには必ず、共に作り上げてきた「人たち」がいることを忘れてはいけない。チーム戦で果たすことは、「フロント」や「バック」といった概念ではなく、それぞれの対等な連携によって実現されるのだ。

とは言っても、目立ちやすいポジションと目立ちにくいポジションは、どうしても存在する。だからこそ、一緒に築き上げてくれたメンバーたちにしっかりスポットライトが当たるようにしたいと思う。彼女は、何かを達成した時、関わってきた人全員にスポットライトを当てようとする。そんな彼女の姿勢をみて、僕も実践しているところだ。

以上が、僕がライフパートナーから学んだこと。他にも学びは多くあるけれど、起業家に伝えたいと思ったいくつかを厳選してみた。日々の行動や考えに取り入れてみると良い変化が現れるかもしれないので、もしよければ試してみてほしい。

Thanks kobajenne


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