SaaS企業は、少数精鋭では経営できないその理由

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2020年、北米で上場したSaaS企業の従業員人数の中央値は、1192人

利用シーンがシンプルで、顧客獲得やカスタマーサクセスがセルフサーブ型で割と完結しやすいプロダクトを展開しているSlack、Zoom、HubSpotでも、2500人以上の従業員がいる。

僕は以前から「SaaS企業を少数精鋭で成り立たたせることは難しい」と言い続けている。今日は、この理由を改めて述べてみたいと思う。

ニーズの変化

テクノロジーの進化と、その進化によるお客様のニーズの変化は、非常に早い。

たとえば、スマートフォンのように新しいデバイスが普及すれば、そのデバイスへの対応ニーズが顕在化する。AIなどの新技術が誕生すれば、その技術の活用ニーズも顕在化する。To Cの使いやすいサービスが現れれば、to Bのサービスでも同じ基準のUXを求められる。

この変化に適応していくためには多くのエンジニアの力が必要になる。実際にSlackでは売り上げの約37%(一年で約450億円)を開発に投資しているという。

ニーズの変化にスピーディーに適応することが必須であり、SaaS企業にとって、開発は永遠に終わることのない取り組みの一つになる。

エンタープライズ

年間1000万円以上の費用を払っているエンタープライズ顧客数は、Zoomが約1650社、Slackが1300社ほど。両者とも初期の段階ではセールス部隊がいない状態でスタートしているが、今現在は多くのセールス部隊を抱えてエンタープライズ顧客を増やしている。

多くのSaaS企業はこのように、ある時期を越えたところでエンタープライズ顧客の獲得フェーズに入る。このフェーズを成功に導くことこそが、SaaS企業の成長を維持するための重要な鍵となるわけだが、購入プロセスが複雑化しやすいエンタープライズ顧客を攻略するには、強力なセールス部隊が不可欠だ。

競争環境

新しくユニークなSaaSプロダクトを作るハードルが下がってきている時代のなかで、オペレーションや技術への投資で優位性を築いていくのは基本的な戦略だ。しかし少数の人数でSaaS企業を経営しようとすると、この優位性を作るための投資がしにくくなり、競合他社によって追い越されやすい状態を生み出してしまう。

プロダクトを磨くスピードを上げ、市場へのリーチを拡大させて、競争環境が激しいSaaS業界で戦える体制を整えることが、PMFを達成した後企業の成長を加速させるポイントとなる。

SaaS事業をこれから立ち上げる起業家には、先行投資を続けて組織を大きくしていく覚悟を持っていてほしい。

(編集してくれたkobajenneに感謝)


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