SaaSスタートアップの企業価値にインパクトを与える「ポジショニング」


Photo by: Scott Friesner

ARR(年間定額収益)が同じ規模なのに、VCが付ける企業価値が全く異なるケースがよくある。ARRの10倍にも満たない額で評価される会社もあれば、100倍以上の額で評価されることもある。この差を生み出すのは一体何なのか?

これには、様々な「ポジショニング」が影響している。

データ・ポジション:SaaS企業が提供しているプロダクトを通して、どんなデータが蓄積されているのか?この情報の価値はどれほどのものなのか?そのデータを元に新たな価値提供やマネタイズが可能になる企業の方が評価される。

例えばそのSaaSプロダクトがないと収集することが難しい情報(会社の健康状態、顧客の関するインサイト、財務分析等)や、行えない決断(人材の適材適所、予算の配分、与信等)があるほど、「価値のある良いデータを蓄積できている」と言えるだろう。

時間が経過すればするほど、または導入企業数が増えれば増えるほど、サービスの精度が上がるのか?クライアントに還元できる価値が上がるのか?機械学習を活用できたり、他社からの参入障壁を高めるようなデータを築くことができれば、さらに評価される。

カスタマー・ポジション:顧客のどんな課題を解決しているのか?大きな予算をかけてでも導入する価値があるような〈大きな課題〉を解決できるのか?それとも、優先度が低く、景気が悪くなれば直ぐに打ち切られる可能性があるのか?

当然のことだが、顧客が日々課題として感じているものを解決できるプロダクトであるほど依存性が高い。僕がいつもSaaS企業を評価するときは、ターゲット顧客の「トップ3の課題」を解決できるのかを気にしている。

マーケット・ポジション:狙っている市場はどれぐらい競争が激しいのか?すでに既存プレイヤーが多く、差別化要素が弱いとなかなか良い評価はつけずらい。また、似たようなサービスが同時多発的に生まれていたらプレミアもつきずらい。

チームの構成、プロダクトの性質、競争環境を考慮して、ニッチで独占的なポジションを取れると感じられたら、それは大きなプラス要素になる。

SaaS業界全体の企業状態を表す指標は様々だが、特にベンチャーSaaS企業の場合は特有の評価基準があり、インパクトを与える要素も独特だ。
この「ポジショニング」によって企業の強弱が決まるので、今後の事業展開や戦略を考えたときはこのような要素を含めて考えると良いだろう。

(edited by kobajenne

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