起業家たちの成長スピードはそれぞれ違うし、決して同じになることはない。
そんな中、僕が支援している起業家の中で、いつの間にか僕が〈師匠〉や〈先生〉と仰いでしまうほど急成長する起業家がいる。この成長率の差に何か理由があるとしたら、それは、起業家の『マインドセット(考え方)』にあるのではないかと僕は思う。
今回は「事業の成長」という見方ではなくて「人としての成長」という面に重点をおいて、そのマインドセットの違いについて書いてみようと思う。
強みと弱み
成長率が高い起業家と低い起業家に生じる大きな差の一つは、自分自身の強みと弱みに対する意識の違いだ。
成長率が高い起業家は、自身の強みと弱みを深く理解していて、短所を隠さず周りに伝えることができる。そして自分の短所を補完できるような人を積極的に周りに置こうとする。常に周りからのフィードバックを求めて、自分の失敗や苦労をオープンに共有する。
以前、急成長している支援先の起業家に「株主や仲間をどういう基準で選んでいるのか」と聞いたところ、「この人を自分の周りに置くことで、会社はもちろんのこと自分自身も成長できるのか、を自分に問うようにしている」という回答が返ってきた。
色々な視点の意見を取り入れたり指摘に耳を傾けたりすることで、自分や会社に対する問題点を洗い出し、常に成長に繋げていこうとする。そういった高い意識がある。
逆に成長率が低い起業家は、自分の弱みを隠そうとする。自分や事業の状況をオープンにせず、仲間や株主など支援している側の人間からのフィードバックもあまり受け付けない。閉鎖的な状況を作り上げていく傾向がある。
成功と失敗
「成功」の定義の仕方と、「失敗」を経験した時の反応にも差がある。
成長率が高い起業家は、失敗を経験した時こそモチベーションをさらに上げて、同じ失敗を繰り返さないように素早くアクションを取る。先日も支援先の急成長起業家に、組織に関する問題を指摘したところ、彼らはすぐに改善に向けて行動を始めた。後日、ある程度時間が経過した後で再度組織を評価したところ、問題視していたポイントが見事に解消されていた。その一方で、成長率が低い起業家は、失敗を経験した時点でモチベーションが低下してしまい、真正面から問題に立ち向かうことができず、問題がいつまでも改善されない。
失敗だけじゃない。成功したときも同じだ。
成功を体験したとき、成長率の低い起業家は、目の前に出た結果の話だけをしようとする。でも成長率の高い起業家は、結果だけでなく、どういった施策や要因によって良い結果を導くことができたのか、「結果の出し方」に物凄いこだわりを持っている。もし、その結果の出し方に納得しなければ、逆に反省して、根拠をもって同じ結果を出せるようにアクションを取る。勝つことだけに執着するのではなく、「勝ち方」と「自身を成長させること」に高いモチベーションを持つ。
チャレンジ
難しいことや困難に直面したとき、ほとんどの人は思考を止めて逃げ出したくなる衝動に駆られるだろう。成長率が高い起業家は、そんな時こそ立ち止まらず、前へ前へと進もうとする。急成長している起業家からは、
「事例がなければ自分が事例を作る」
「成り立たないと言われていることだとしても、自分が成り立たせてみせる」
「不可能を絶対に可能にする」
という言葉を聞くことが多い。もしかするとチャレンジそのものを楽しんでるのかもしれない。
目線とモチベーション
急成長する起業家は、目線がどんどん上がっていく。目標の達成が近づいてきたら、もっと高い目標を目指し、それを繰り返していく。自分の限界にチャレンジし続ける。そして、その高いモチーベーションを維持し続ける秘訣は、決して金銭的なことではなく、社会に対するインパクトや、偉大な ”何か” を創造したいという強い想いにある。
これらが、これまでたくさんの起業家たちと出会ってきた中で僕が感じている『起業家のマインドセット』の違い。マインドセットは持って生まれたものではなく、自分を置く環境や日々の練習によって変えられるものだと思う。だから、自分を成長させるためのマインドセットに変えていくことは、今からでも十分可能だ。肝心なのは「自分をもっと良くしよう」を優先的に考える姿勢。その為には、エゴを捨てて弱みをさらけ出して、周りに頼ることも重要なのだと思う。
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