VCとして、理想の自分


Photo by: Erik Drost

職人やアスリート、アーティストたちが最高の結果を導くための「理想の自分像」を持っているように、起業家やベンチャーキャピタリストも自分にとっての「理想な状態」のイメージがある。どんな職に就いていても、この「最高」の定義は統一することはできず、最高のレベルに達する道も一つではない。自分の性格や長所を活かしたプレイスタイルを見つけるのが肝だ。

僕にも自分が理想とする『ベンチャーキャピタリスト像』がある。
でも、この「理想」に近くまでには、まだまだ時間がかかると思っているし、最低でも10年、いや、最悪30年かけても達成できないかもしれない。実は今回のポストは、もともと自分のためのメモとして書き留めていたもの。でも、自分へのリマインダーとして、そしてコミットメントを共有する意味も兼ねてここに公開してみたいと思う。

感情コントロール:常に感情を安定させること。起業家はものすごいスピードで変化する環境の中で、様々な側面から発生する会社の課題を解決する。ハイな時は自分が〈無敵だ〉と感じ、ローな時にはこれは〈地獄か〉と感じる。まさに感情のローラーコースターに乗っている。ここで、起業家を支援するパートナーである僕が同じ状態になってはならない。どんな状況下にあっても感情をコントロールして、常に客観的なフィードバックをし、適切な対応ができる人間であるべきだ。

この感情のコントロールは、投資判断をする時にも重要だ。ベンチャーキャピタリストは起業家のビジョンやパッション、可能性を深く知ろうとする。その過程の中で、強いパッションの”伝染”や、大きな機会を見逃しているのではないかという恐れなど、色々な感情や想いが芽生える。でも、過度な楽観性や恐怖心は、結局良い投資判断に結びつくことはない。感情に振り回されないこと。

勇気:たとえどれだけ険しい道が待ち構えていようとも、自分が信じる起業家、そして事業をサポートし続ける勇気を持つこと。起業家たちに対する僕の信念が強ければ強いほど、僕は多くの時間、評判、そして資金を使う。リスクを背負う勇気を持つ。リスクを避けていては、僕が目指す最高のVCにはなれない。

「勇気」を持つべきは自分だけでなく、起業家も同じこと。僕は、ここでも起業家の勇気を引き出す助けをしていきたい。さらに大きな目標を立てる勇気、もっと早く行動する勇気、難しい決断をする勇気。起業家が偉大なゴールを達成するための ”もうひと押し” ができる人間である必要がある。

ポジティブ:僕と話をした後、その人の自信やエネルギー、野心、インスピレーションが増すような、周りの人にポジティブなインフルエンス(影響)を与えられる存在であること。
自分がポジティブなエネルギーを放出し続けるためにも、自分の健康とエネルギーは常に高く維持する努力が必要。そして、自分の周りにポジティブなエネルギーを持つ人を置く必要がある。

ハッスル:「僕」という存在を常に進化させるためには、僕自身がどれだけ努力し自分を成長させるかにかかっている。スマートに働くのは当然のこと。ハードにハッスルし続けなければ、理想の自分に近づくことはできない。諦めるな、常にハッスルしろ。

知的好奇心:知的好奇心は、ベンチャーキャピタリストにとって強い武器になる。業界、トレンド、テクノロジーについての情報をより多く吸収することによって、投資の精度も上がる。そして、経営に関するあらゆる経験とノウハウを築くことにより、一段と強力な起業家のサポーターになれる。マインドは常にフレッシュで、知的にハングリーであり続けることを忘れない。

信頼と透明性:人との強い絆を創るためには、強い信頼を得る必要がある。常に正直であること、フェアであること、そしてブレないこと。ペイ・フォワードを意識し、まずは ”GIVE” することを大事にする。

自分の経験と知識のレベルが上がるにつれ、世界中で活躍する偉大な人々と出会い、信頼を築けるようになる。

バイアスを無くす:過去に挑戦されて失敗したアイディアが、別の起業家、違うアプローチ、そして異なるタイミングで挑戦した結果大成功したケースはたくさん存在する。「一度失敗したから」を理由にアイディアを却下するべきではない。次の大きな機会を捕らえるためにもバイアスを無くし、今そこにある真実を追求し続けるべきだ。

ベンチャーキャピタリストとしての理想の自分像。上手く実践できていると思える点は少ない。実際のところ、ほとんどが「まだまだ」だ。冒頭でも述べたように、一流になる方法は一つではない。僕は、自分の長所と短所、自分の性格、そして自分が戦いたい方向からこのような考えを生み出している。これを読んでくれているみんなにも、「理想の自分」を文章にすることを試してみてほしい。そして、将来その理想が現実になるように、挑戦し続けてほしい。

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株主を最大限活用するコミュニケーション方法


Photo by: US Department of Education

支援先の起業家からよく相談される内容のひとつに、「株主との有効なコミュニケーションの取り方を教えて欲しい」というものがある。
せっかく投資を受け、会社に迎え入れた株主だ。彼らとの間で発生するコミュニケーションが、ただ単に事業の進捗を報告するだけでは勿体なさすぎる。そこで今回は、特に株主の数が多い状況下で効率良く、かつ効果的にコミュニケーションをとる方法について書くことにした。

株主ミーティング
全株主を集めて、定期的にミーティングを開催する。
株主が2〜3人程であれば、月に一度または、2ヶ月に一度の1 on 1を実施する方が効率的にコミュニケーションを取れるが、5人以上の株主となると「株主ミーティング」を開催した方が双方にとってメリットが多い。このミーティングを開催する上でのポイントは以下:

  1. 株主全員に会社の状況を知ってもらう事はもちろん重要だが、一番の目的は課題を洗い出して解決策について議論すること。いろんな視点を混ぜて経営軍が見落としている課題や、今のうちに考えるべきことを見つけて、株主の知見とネットワークを活用して解決策について話し合う。
  2. 1 on 1でのフォローアップは重要だ。人数が多い株主ミーティングの中で、全ての結論や解決策を見出す必要はない。ミーティングの中で、特定のトピックについて強い意見を持つ株主や、持っている課題の解決のためにサポートしてくれそうな株主がいれば、後でじっくりと1 on 1でフォローアップする場を持つと良い。
  3. グループでミーティングをしているその場で、重要な決定事項を決めないこと。重要度の高い決議事項があるのであれば、株主と1 on 1で話をして、それぞれのスタンスや考えを確認した上で、その情報を消化する時間を設ける。より良い判断をするには、考える〈時間〉を持つことが大切だ。
  4. 事業の状況報告に費やす時間は最小限に止めること。事業の進捗やKPIの達成報告にあまり時間をかけず、なるべく議論の時間を多めにとった方が良い。ミーティングの時間が90分間なのであれば、報告に使う時間は15分以下に収める。できればミーティングの2日前には使う予定の資料を株主に共有し、事前に目を通してもらうと良い。報告の時間をできる限り短縮し、効率の良い有意義なミーティングを実施できるよう努力すべき。
  5. 株主ミーティングは、基本的に経営者が必要と感じる頻度・タイミングで行えば良い。ちなみに僕は、2ヶ月に一度ぐらいがちょうど良いと思っている。
  6. ミーティング最中の質問が少なければ、経営者はホッとするかもしれない。でも、経営者の考えに ”挑戦” されて様々な議論が発生する方が、ミーティングの目的を果たしていると思う。
  7. 取締役会と株主ミーティングは、切り分けて考えるべき。会社法上の事項や社内の規定に関する内容の決定は取締役会で行う。株主ミーティングは、起業家が株主を「活用する」ことを目的として実施すると良い。

メールでの報告
株主ミーティングを実施する代わりに、メールやFacebookグループを活用してコミュニケーションを取る起業家も多い。この場合の効果的なコミュニケーションをとるためのポイントは以下:

  1. 事業の重要KPI
    月次、四半期、そして年度の成長率が分かるように記載する
  2. 財務状況
    特にあと何ヶ月存続するできるかを含めて書くこと
  3. 上手くいったこと、上手くいかなかったこと
    マーケティング施策、マネジメントの施策などをまとめる
  4. プロダクト進捗
    新機能のリリースやその効果、今後の開発予定など
  5. 課題、悩んでることや助けてほしいこと
    事業戦略や採用計画など、なるべく詳細に伝える
  6. その他重要な動き

上記の要素を含めることで、より現在の状況やニーズを明確に理解することができ、株主はアドバイスをしやすくなる。また、株主ミーティングと同様で、特定のトピックスで意見を持っている株主がいれば、1 on 1のフォローアップを行うことが重要。

これらが、株主と効率的かつ効果的にコミュニケーションを取るためのポイントだ。経営者と株主がダイナミックに良い連携を取ることができれば、事業に大きなポジティブ・インパクトを与えられる可能性がある。ぜひ、株主を ”使い倒し” て欲しい。

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