実績も少なく特段アピールできる数字もない、成功よりも失敗する理由の方が多く挙げられるシード・アーリーステージのスタートアップへの投資を決めるにあたっては、〈感情〉が大きなファクターになる。
起業家と話した後、どれだけ自分が「ワクワク」したか。
僕は、どれだけ事業計画がよく出来ていても、理論上 ”儲かる” と思ったとしても、自分が最後に「ワクワク」を感じなければ、ほとんどのケースで投資は実行しない。今回は、この「ワクワクの要素」を分解してみようと思う。
僕がスタートアップに対して「ワクワク」する3つの時。
1.「機会」にワクワクする:
スタートアップが解決しようとしている課題に強い共感を感じたり、「自分も欲しい」と思えるサービスに出会った時。
投資家にピッチする時は、この「共感」を得られるまで、「機会」についてじっくり話し込んで欲しい。できる限り相手がイメージしやすいように、その課題を持つ人物のストーリーを描くように、シナリオを持って説明すると良い。
そして、「機会」の大きさを理解してもらうことも重要だ。どれだけプロダクトや数値に自信があったとしても、それだけではなく、「機会」に対する共感を得てもらえるよう徹底した方が良い。
2.「チーム」にワクワクする:
そのチームが狙っている機会に対して「このチームだったら絶対に勝てるだろう」と思った時。この「絶対に負けない」要素は、誰よりも強いパッションを持っているか、そして誰よりも早く実行に移す力を持っているのか、がキーとなる。
パッションの強さ
- ユーザー目線でこだわり抜いたプロダクト設計になっているかどうか
- 業界についてどこまで詳しく知り尽くしているかどうか
この2つの点が重要。
実行に移す力
- 自分たちの戦略がどこまで解像度高く見えているのか
- 進捗にスピード感を感じられるのか
- そして良い人材が集まっているのか
この3つのポイントによって示すことができる。
3.「ビジョン」にワクワクする:
起業家が目指す世界を実現するために、積極的に関わり支援したいと思えた時。起業家と同じ夢を実現させたいと思う気持ちの強さは、個人差もあるし相性にもよるが、そんな中で僕が特に重要視しているのは、ユーザーはもちろんのこと、プラットフォームに関わるプレイヤー全員が〈勝者〉になれるのか、誰か一部の人間が搾取されるようなことはないのか、だ。すなわち、「このサービス・プロダクトによって世界が良くなるのか」。ここが一番大事だと思っている。
伝染とエネルギー
「ワクワク」する気持ちは伝染すると思う。
だからまず、起業家自身が心の底から自分がやっていることに「ワクワク」して欲しい。もちろん、人間走り続ければ、気持ちが薄まることもある。そんな時には、ユーザーと話したり、他の起業家と話したりすることで、自分で自分をインスパイアする。
そして、エネルギーに溢れることも重要だ。疲れている時、他人に「ワクワク」を伝染させるのは難しい。運動をしたり、自分の周りをポジティブなエネルギーを持っている人で囲んでみたり、時には休んでみたりして、エネルギーを溜めていく必要がある。
他人をワクワクさせることは、VCやエンジェルだけでなく社員やパートナーとの間でも大事なことで、採用活動にも活かすことができるはずだ。
「自分は、他人をワクワクさせているか?』を常に意識してみて欲しい。
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