VCやエンジェルを興奮させる要素


Photo by: Josh Janssen

実績も少なく特段アピールできる数字もない、成功よりも失敗する理由の方が多く挙げられるシード・アーリーステージのスタートアップへの投資を決めるにあたっては、〈感情〉が大きなファクターになる。

起業家と話した後、どれだけ自分が「ワクワク」したか。

僕は、どれだけ事業計画がよく出来ていても、理論上 ”儲かる” と思ったとしても、自分が最後に「ワクワク」を感じなければ、ほとんどのケースで投資は実行しない。今回は、この「ワクワクの要素」を分解してみようと思う。

僕がスタートアップに対して「ワクワク」する3つの時。

1.「機会」にワクワクする:
スタートアップが解決しようとしている課題に強い共感を感じたり、「自分も欲しい」と思えるサービスに出会った時。
投資家にピッチする時は、この「共感」を得られるまで、「機会」についてじっくり話し込んで欲しい。できる限り相手がイメージしやすいように、その課題を持つ人物のストーリーを描くように、シナリオを持って説明すると良い。
そして、「機会」の大きさを理解してもらうことも重要だ。どれだけプロダクトや数値に自信があったとしても、それだけではなく、「機会」に対する共感を得てもらえるよう徹底した方が良い。

2.「チーム」にワクワクする:
そのチームが狙っている機会に対して「このチームだったら絶対に勝てるだろう」と思った時。この「絶対に負けない」要素は、誰よりも強いパッションを持っているか、そして誰よりも早く実行に移す力を持っているのか、がキーとなる。

パッションの強さ

  • ユーザー目線でこだわり抜いたプロダクト設計になっているかどうか
  • 業界についてどこまで詳しく知り尽くしているかどうか

この2つの点が重要。

実行に移す力

  • 自分たちの戦略がどこまで解像度高く見えているのか
  • 進捗にスピード感を感じられるのか
  • そして良い人材が集まっているのか

この3つのポイントによって示すことができる。

3.「ビジョン」にワクワクする:
起業家が目指す世界を実現するために、積極的に関わり支援したいと思えた時。起業家と同じ夢を実現させたいと思う気持ちの強さは、個人差もあるし相性にもよるが、そんな中で僕が特に重要視しているのは、ユーザーはもちろんのこと、プラットフォームに関わるプレイヤー全員が〈勝者〉になれるのか、誰か一部の人間が搾取されるようなことはないのか、だ。すなわち、「このサービス・プロダクトによって世界が良くなるのか」。ここが一番大事だと思っている。

伝染とエネルギー

「ワクワク」する気持ちは伝染すると思う。
だからまず、起業家自身が心の底から自分がやっていることに「ワクワク」して欲しい。もちろん、人間走り続ければ、気持ちが薄まることもある。そんな時には、ユーザーと話したり、他の起業家と話したりすることで、自分で自分をインスパイアする。

そして、エネルギーに溢れることも重要だ。疲れている時、他人に「ワクワク」を伝染させるのは難しい。運動をしたり、自分の周りをポジティブなエネルギーを持っている人で囲んでみたり、時には休んでみたりして、エネルギーを溜めていく必要がある。

他人をワクワクさせることは、VCやエンジェルだけでなく社員やパートナーとの間でも大事なことで、採用活動にも活かすことができるはずだ。

「自分は、他人をワクワクさせているか?』を常に意識してみて欲しい。

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暗号通貨で35億円調達!?ICOの可能性、そしてVCの仕事は無くなるのか?


仮想通貨「イーサリアム」の共同創業者 Photo by: Duncan Rawlinson

今月頭、ウェブブラウザを開発する企業 Brave が、暗号通貨の売却を通じて資金を調達する「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」によって、3500万ドルをたった30秒で調達したことが話題になった(参照ソース元)。

そこで今回はICOの可能性、そしてICOがVC業界にもたらすであろう影響について書くことにした。

ICOとは何か?
ICOとは、プロダクトやサービスまたは企業が、独自のトークンやコイン(仮想通貨)を発行して暗号通貨取引所に上場、資金調達を行うプロセスである。ベンチャーファイナンスやIPO等で、株式を発行し、それを購入してもらうことで資金調達をするのと似たプロセスだ。

トークンの可能性
トークンは誰でも発行することができ、誰でも買うことができる。そしてこのトークンは、ビットコインや他の仮想通貨と同様、需要と供給によって価値が変動する。これらの特徴によって、新たなビジネスモデルやサービスの設計が可能になる。

例えば、ユーザーがコンテンツを生み出すCGM系サービスやコミュニティーサービスの運営企業の場合、ネットワークに貢献しているユーザーがトークンを受け取れるよう設計したり、早い段階でそのネットワークに参加した〈アーリーアダプター〉に、ICO時にトークンを購入させたりすることができる。このトークンは、暗号通貨取引所で売却したり、別の仮想通貨と交換することも可能だ。

ネットワーク需要やユーザーが増えれば増えるほど、そのネットワークの「トークンの価値」が上がる。
つまりトークンを所有するユーザーにとって、そのネットワークに貢献することが大きなインセンティブに繋がる。トークンによって一般ユーザは、ベンチャー投資家と似たようなインセンティブを得ることができるわけだ。

ICOブーム
ICOによる資金調達額は、2016年の時点で、すでに100億円を超える額だったが(参照ソース元)、ここ3ヶ月をみると、なんと300億円を超える規模に拡大しているのだ。(参照ソース元)。下図は、毎月行われているICOの件数を表している。


(参考ソース元:TechCrunch)

VC業界への影響
ICOへの参加に関して、現時点では細かい規制(ルール)が存在しない。そのため、トークンを購入するユーザー側のリスクが非常に高く、様々な問題や限界が顕在している。「完璧なシステム」と呼ぶにはほど遠く、どんなスタートアップでもICOで資金調達をするという時代がすぐに来るとは考えにくい。でも、仮にICOを通じた資金調達が主流になった場合、VC業界にどんな影響を与えるのだろうか?

  1. 価値提供のシフト
    〈リスクマネー〉を提供できるベンチャーキャピタルには、今後も一定の価値が存在し続けると思う。しかし、ICOによってこの〈リスクマネー〉へのアクセスが多少なりとも容易化すれば、企業はベンチャーキャピタリストに対し、資金提供以上の価値提供を求めるようになる。起業家をサポートする力やその他事業を成長させるための「サービス」を提供できるようにならないといけない。これら資金提供以外の価値を提供できないVCは、ICOによって置き換えられてしまう日が訪れるだろう。
  2. VCのビジネスモデルが変わる
    ベンチャーキャピタルは、投資実行からエグジットまで大体7年〜10年がかかる。しかし、投資した対価として得るものが「株式」ではなく「トークン」であれば、流動性が高まる。近い将来、株式をトークンに転換するという条項が投資契約の内容に組み込まれるようになるかもしれない。これによってVCのリスク・リターンの考え方、エグジットのタイミング、ファンド資金の集め方、そしてビジネスモデルそのものが変わるかもしれない。
  3. 新しいタイプの投資家が生まれる
    ICOの普及によって起業家が重要視し始めるのは、トークンの発行後、そのネットワークに人を呼び込む力や、ネットワーク自体の価値を高めるスキルだ。つまりアーリーアダプターであることや、インフルエンサーであること自体が一つの〈価値〉となり、結果、トークンの価値を向上させることを専門とする新しいタイプの投資家が生まれるかもしれない。

VCの仕事は無くなるのか?
どれだけ資金アクセスが簡単になって、お金のコモディティー化が加速しても、ベンチャーキャピタリストの仕事がなくなることは無いと思う。事業をつくるために必要な戦略、採用、マネージメント、プロダクト、パートナーシップ、カウンセリングなど多面の支援ができる「プロフェッショナル」としての需要は残るからだ。

参考記事:完璧である必要はない。ベンチャーキャピタリストによる起業家支援。

そして、トークンによって誰もが短期的にいつでも売買できるような時代になるからこそ、長期的に良い場面でも悪い場面でも逃げない、信頼できる良いパートナーを持つことの需要が高まるはずだ。

ICOの動きはまだ始まったばかり。まだまだ未熟な状態だ。これからどうなっていくのか、予想することは難しい。でも、これが主流になれば新しいチャンスがたくさん生まれることは間違いないだろう。

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