VCやエンジェル投資家に伝えるべき「物語(ストーリー)」


Elias Ruiz Monserrat

VCやエンジェル投資家にピッチをするときは、彼らが前のめりに話を聞き、関わりたいと思わせられるような、説得力のある「物語(ストーリー)」を伝えることがキーとなる。

起業家のピッチによくあるのが、”ファクト” についてだけ話すこと。チームの経歴からはじまって、市場規模、プロダクトのデモ、KPIそして事業計画を説明して完結してしまう。確かにこうしたファクトも重要ではあるが、それだけでは肝心なことが伝わらない。

自分たちが、このマーケットを狙うための最適なチームであること、そして描いているビジョンを実現させることができるということを、まるでストーリーのような流れで伝えられるかどうかが重要だ。

投資家を説得させるためのストーリーに含めるべき要素

WHO (誰なのか)

チーム構成について
ここは十分に時間をとって話をするべきだ。自分たちの過去の経歴を話すときは、どういう性格の人間が集まっているのかを含めて説明すること。そしてなにより重要なのは、今から挑もうとしているマーケットで活躍することができる優秀で最適な人材がチームに集まっていることを感じさせること。この事業を成功させるために必要な要素が何かを意識し、その要素がこのチームに揃っていると感じさせるような伝え方をする。

WHY (なぜなのか)

「機会」の魅力について
自分が狙っている機会が、魅力的であり大きな可能性を持っていることを伝える。トップダウンの数値でマーケットの大きさを表すのではなく、ユーザーからのヒアリング、自分自身の経験をもとに、大きな機会が健在していることを表現すると良い。そして、なぜこのタイミングなのかも明確に伝えられるべきだ。

THE FIRST WHAT (まず、何をするのか)

この「何」には2つのポイントがある。1つ目は「何」をつくるのか。
ここでは、デモを含めてサービスやプロダクトの説明をする。このとき、ユーザーがそのサービスやプロダクトを使っているかのようなシナリオで説明をして、なぜプロダクトがこのように設計されているのか、それぞれの機能が存在している理由を伝える。

THE SECOND WHAT(その後、何をするのか)

2つ目は、「何」になっていくのか。
このプロダクトまたはプラットフォーム、そしてこの会社は、この先何になっていくのかを伝える。その最終的な将来像は、野心的であると同時に現実的である必要がある。そして、創造しようとしている世界観が、この世の中にとって重要であることを感じさせるように伝えることが不可欠だ。

HOW (どうやって)

どうやって事業をつくり、成長させ、最終的な将来像につなげていくのか。
考え抜いていることを証明するためには、これらのポイントを十分に詳細に説明できる必要がある。答えを全て知っていなくても良いが、少なくとも、どうやって答えを見い出すのかは説明できるようにしておく方が良い。明確なマイルストーンが定義できていて、WHO、 WHY、WHATが全てつながる形で、最後のHOWを伝えらると、きれいにストーリーをまとめることができる。

資金調達のために投資家と話すときは、透明性が高く、本物だと感じさせるようなストーリーがあると、より説得力が増す。情報やファクトだけをスライドにまとめてピッチするのではなく、誰がなぜ、どういう風に何を創造し、最終的に何になっていくのか、その全ての「点」がつながるように伝えることが大切だ。

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知っておきたいB2B SaaSのビジネス指標と単語


Pixta

来月開催するB2B SaaSに特化したカンファレンス「ALL STAR SAAS CONFERENCE 」に向けて、今回はB2B向けのスタートアップなら知っておきたいビジネス指標と単語をまとめてみることにした。

MRR (Monthly Recurring Revenue) = 月間定額収益。年間定額のサービスを提供している場合、その額を12で割るケースが多い。

ARR (Annual Recurring Revenue) = 年間定額収益。月間定額収益を12倍で算出するケースが多いが、単発的なサービスやコンサルからの収益は含めない。

ACV (Annual Contract Value) = 年間発注額。契約が1年以上の場合、顧客が12ヶ月間で支払う金額。

ARPA (average revenue per account) = 顧客ごとの平均収益。

Churn = 退会や解約を意味するが、”Churn” には様々な種類がある。

Revenue Churn = 退会による、MRR損失。例えば、毎月10万円を支払う顧客が、3社退会した場合、その月のRevenue Churnは、30万円になる(3社 × 10万円)。

Customer Churn = 顧客の退会率。例えば、月の初めに定額で支払っている顧客が100社いたとして、その月に5社退会したら、その月のCustomer Churnは、5%となる。

Gross Churn = 失った金額分のチャーンの比率。以下の方程式で割り出す。screen-shot-2016-09-19-at-12-09-42-am

Net Churn = その月に失ったMRRに、エキスパンションやアップセルによって増えたMRRを考慮したチャーンの比率。以下の方程式で割り出す。

screen-shot-2016-09-20-at-11-46-47-am

Negative Churn = Net Churnがマイナスになること。これはエキスパンションやアップセルによって増えたMRRが、退会によって失ったMRRより多い場合に起きる。

NPS (Net Promoter Score) = 顧客満足度とロイヤリティを数値に表したスコア。これは、実際に顧客の声を直接聞いて、そのデータを数値化する必要がある。

このスコアを出す1つの方法として、顧客に「このサービスやプロダクトをどの程度知り合いに勧めたいと思うか?」と質問をし、0-10の点数で答えてもらうというやり方がある。
(10 = 是非勧めたい、0 = 全く勧めない)

① プロモーターの比率 = 9 か10 と答えた回答者の数 ÷ 全回答者数

② 非プロモーターの比率 = 6 以下の数字を答えた回答者数 ÷ 全回答者数

NPS =(①プロモーターの比率 – ②非プロモーターの比率)

参照:a16z ‘16 more metrics

NRR (Net Revenue Retention) = 売上継続率。今月獲得した売上が、来年の今頃にどの程度になるのかを示す指標。

A = [1年前に獲得した有料顧客のMRR]
B = [その同じ顧客グループの現在のMRR]

Net Revenue Revenue Retention = B / A

Customer Renewal Rate = 既存顧客が契約を更新する率。方程式は以下:

A = [X期間に契約が終わる顧客数]

B = [X期間に契約を更新した顧客数]

Customer Renewal Rate = B / A

CAC (Customer Acquisition Cost) = 一顧客を獲得するためにかかった営業及びマーケティングの費用。

LTV (Lifetime Value) = 一顧客が、取引期間を通じて企業にもたらす利益 。B2B SaaSの場合は、以下の方程式で割り出すことができる。

CAC Payback Period = CACを回収できるまでに必要な期間。方程式は以下:

CAC Payback Period = [平均CAC] / [ARPA x 売上総利益率]

Premium/Professional Service = プロダクトやサービスの提供による月次売り上げ(MRR)以外からくる、トレーニングやカスタマイズ、コンサルティング等単発的な売り上げ。

Expansion / Upsell = 既存顧客に対し、現在加入しているプランより高いサービスプランの購入を促したり、アカウント数を増やすこと。

Customer Success = プロダクトやサービスが正しく活用され、顧客がその価値を得られていることをプロアクティブに把握し、徹底していくアプローチ。

Inside Sales = 会社の外ではなく、電話やオンラインで行う営業のアプローチ。

Field Sales = 会社の外に出て、潜在顧客と直接会う営業のアプローチ。

Outbound Sales / Sales Development = 営業チームが潜在顧客にアプローチをかけること(電話やメールでの営業、テレマーケティング等)。

Self Serve =登録からサービスの利用開始までの一連の流れを、営業やカスタマーサポートなどを介さずに顧客が自分自身で行うこと。

Lead Generation = プロダクトやサービスに興味を持ってくれている潜在顧客の問い合わせや登録を増やすこと。

SQLs (Sales Qualified Leads) = 営業チームが直接営業のアプローチをしても良いと判別できたリード。

SDR (Sales Development Rep) = リードとのアポ取りや、SQLへの転換をさせるInside Salesの担当者。

Account Executives = 潜在顧客にプロダクトやサービスのデモを行い、価格交渉やクロージングを行う営業担当者。

*2019年10月1日に更新(NRR、ARPA、CRR等を追加)

edited by kobajenne

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