完璧である必要はない。ベンチャーキャピタリストによる起業家支援

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僕がベンチャー投資をはじめたのは、まだ大学を卒業して間もない23歳の時だった。最初は、投資戦略や投資基準の定め方や案件開拓の方法など、常に試行錯誤の連続だったが、そのなかでも、特に長く悩んだことは、「投資先の起業家をどうやって支援するのか」だった。

完璧である必要はない

起業家は、採用、マネージメント、プロダクト、資金、競合、パートナーシップなど数多くの、それこそ死ぬほどたくさんの悩みや課題を抱えている。ベンチャー投資をはじめたばかりの僕は、良いVCは、起業家が持つこれら全ての悩みや課題を解決するためにサポートする必要があり、それらに対する「答え」を持っていなくてはならない、と思っていた。慣れない営業開拓をしたり、打ち合わせに同席したり、採用候補者のリスト作成を手伝ったり、とにかくその起業家に必要な「答え」に繋がることは、できる限りカバーしようとしていた。

もちろん起業家は、こうした多面的なサポートを喜んでくれる。が、実は一見 ”手厚いサポート” に見えるこのやり方の中身を掘り下げていけばいくほど、効果が薄い‥いや、それどころか結局逆効果になることが多くある。
理由はシンプルだ。中途半端にオペレーションを手伝っても、中途半端な結果しか現れない。そして、知識や経験のない、自分が得意としない分野について、どれだけアドバイスをしようとしても効果は無いからだ。

生かすべきは、強みと興味

だから僕は、多分野の知識や経験を積んで起業家をあらゆる面でサポートするのではなく、自分の長所と興味を生かした専門分野のみに集中したサポートを実行している。その方が、スケールさせることもできるし、なにより自分が提供できる価値を最大化させることができる。

僕の場合、エンジニアとしての経験と興味を生かした「プロダクト」、グローバルなポートフォリオ(投資先)から得た学びや経験を生かした「ストラテジー」、そして自分が組織を率いたときに苦労した「マネージメント」の3つの分野に関する専門的な知識とスキルが、自分の生かすべき強みだ。これらは、自分の長所と言える分野であるとともに、支援対象としているシード期のスタートアップの成長のために欠かせないポイントにもなる。

良いパートナー

知識や経験以上に重要なのは、起業家にとって「良いパートナー」になれることだと思っている。僕の中で良いパートナーの定義は、

  • 透明性:何も隠さず自分の気持ちや考えを伝えること。間違っていたり、悪いと思った時は真っ直ぐにそれを言う。
  • コントロールはしない。尊重する:起業家と意見や考えが一致しないときも、自分の意見や考えは、はっきり主張する。これは、僕の視点から何が正しいと思うか、ほかに考慮すべき要素が何なのかを”伝える”ためだ。でも最後は、たとえ起業家と自分の考えにずれがあったとしても、起業家の決意を尊重して応援する。VCとしての役割の1つは、起業家があらゆる選択肢を考慮して考え抜いているかどうか、を確認することだと思う。
  • 感情のカウンターパート:起業家はとにかく日々感情のジェットコースターに乗っている。上がっているときは、感情も上がり、下がるときは、これでもかという程思いっきり下がる。だから僕は、この起業家の感情の上下を把握しつつ、常に適切な感情を表現できるようにしている。起業家がパニック状態になったなら、とにかく自分は冷静でいる必要があるし、勢いがあるときは「行けっ!」と背中を押して加速させる。感情が荒れているときは、安定と安心の姿勢で接する。

これが僕の考えるVCの支援の仕方。
これはあくまでも自分自身の長所、短所、性格、そして起業家のニーズを考慮してあみだした僕流のスタイル。VCによってそれぞれの考えや、支援の仕方(強み)があって良いと思う。いろんなタイプの支援者が増えることによって、起業家は自分が必要なサポートや自分に合うパートナーの選択肢、活用方法が増えることに繋がるのだから。

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