アクセラレーター、スタートアップスタジオ、パートナー型

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Paul Miller

スタートアップ投資には様々な形式がある。今回は、シード期に特化したアクセラレーター、スタートアップスタジオ、そしてパートナー型の3つの違い、そしてそれぞれの長所と短所につい運用者側の視点から書いてみた。

アクセラレーター
基本は少額(500万円〜1000万円)出資して、5%~10%の比率を取る。Batch式(一度に複数社に投資)アクセラレーターが多く、5社から多いところは100社にまとめて出資して同時に育成を行う。日本国内ではOpen Network Lab、最近ではCode Republic等があり、北米ではYcombinatorやTechStarsがある。

長所:複数社に対し比較的低いValuation(企業評価)で出資をするため、アクセラレーター側にとってもハイリスク・ハイリターン型の手法として実行しやすい投資モデルだ。また、日本国内の市場でも1社で300倍以上のリターンを出せる可能性がある。ある意味、ここでリスクを取らないと大きな機会損失に繋がる可能性があり、アクセラレーターとしての特徴を活かせていないことになる。

起業家にとってのメリットは、コミュニティー要素が大きい。同期のスタートアップと仲良くなれるし、同じアクセラレーターの先輩起業家と繋がることもできる。メンターネットワークを構築しているアクセラレーターも多く、いっきにネットワークが広がりやすい。

短所:多数のスタートアップに一斉に投資するため、運営側が1社に対してかけられる時間に限りがある。しかも年10社〜100社のペースでポートフォリオが拡大していく。アクセラレーターの育成プログラムの仕組みやメンターの活用は起業家にとってのメリットもあるが、実は運営側が時間のレバレッジを効かせるための手段のひとつにもなっている。

これにより、仕組みから外れたイレギュラーな対応は難しくなり、シード期以降のサポートは、別の体制がない限りは難しくなる。でも、これは必ずしも悪いことだとは限らない。シード期にフォーカスして、他の投資家が取れないハイリスクを取り続けた方が、スタートアップのエコシステムにとって良いことだと思う。

スタートアップスタジオ
エンジニアやデザイナー、そして起業家を内製化するモデル。投資家、起業家、その他のメンバーを含めた全てのメンバーが、同じ屋根の下に集まり、スタートアップを誕生させる。
投資額は様々だが、法人化やスピンアウトが行われるまで、エンジニア、デザイナー、そして起業家の人件費、オフィスやマーケティングに関するコストは、スタートアップスタジオ側で負担するケースが多い。ただし、コスト構造が高いため、設立したスタートアップの15%から高いところは70%の比率を取ることがある。北米では、IdeaLabExpaBetaworks、日本でもMistletoeが新しくスタートアップスタジオを開始している。

長所:ほとんどの機能が内製化せれているため、デザインや開発等のノウハウが蓄積されていく。さらに、起業家と同じ屋根の下にいるので、起業家同士での情報共有、投資家と起業家間でのコミュニケーション頻度が高く、アイディアの交換も活発に行うことができる。起業家のサポートはかなり手厚く行える。

短所:人員が多く必要となるため、運営側のマネージメントの負担が大きい。投資や事業づくり以外の業務が多く発生し、運用コストも高くなってしまう。そのため、前述の通り、アクセラレーターやシードファンドと比べて比較的高い比率を取ることが必要になる。これによるリスクとしては、将来的に外部投資家を入れる際の資本政策が複雑化することがあるということだろう。

パートナーシップ型
シード期のパートナーシップ型ファンドは、様々な型で形成されており、戦略もそれぞれ異なるため、一概に言うことは難しいが、だいたい1人から2人程度の少人数で運用されることが多い。ファンドサイズによって、1社あたりの出資額は500万円から1億円で、比率は5%~20%ほど。1社に対し1人のパートナーが担当をして、担当者は起業家のサポートやアドバイスを継続して行う。投資スタイルは様々で、ハンズオンでサポートする人もいれば、細かい点には関与せず “放置” する人もいる。

長所:投資戦略や投資スタイルは、スタートアップスタジオとアクセラレーターと比較しても柔軟にできると言える。1年に数社だけ投資して高い比率を求めるやり方もあれば、100社に分散するやり方もあれば、レイターステージまで追加出資をし続けるスタイルもある。担当パートナーの属人的な特徴が現れるので、どのように起業家と関わっているか、どういったサポートをするのか、パートナーそれぞれを理解すると良い。

短所:ファンドの管理報酬が毎年2〜2.5%なので、ファンドサイズが小さいと内製化できる機能が限られる。ファンドサイズを大きくしてしまうと投資戦略を変えなくてはならなくなることもあるので投資スタイルと戦略に矛盾が生じてしまうこともある。

シード期のスタートアップ投資は様々な形式があり、それぞれに長所と短所がある。どちらの方が優れているということはなく、起業家は、自分がその特徴を一番活かせるところと組むと良い。しかし、取り組みや仕組み以外にも考える要素もある。また、ザックリと3つに分けているが、投資母体の構成によってまた特徴や長所と短所が変わる。例えば大企業が人件費を負担しているアクセラレーターもあれば、ミドル・レイター投資を行う大型ファンドがシード投資を行う場合、アクセラレーターも運営するパートナーシップ型のハイブリッド等でまた変わっていく。

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